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福祉事務所のソーシャルワーカーとして働く山口咲楽さんにお話を伺う──

Dalam dokumen Socially (Halaman 133-151)

面談者 山口 咲楽

(2018年社会福祉学科卒業)

[写真下段左]

※プロフィールは本文 後ろに記載

取材・構成・編集:髙橋 美衣(社会学科3年)    池田 希帆(社会福祉学科3年)

         中山 晃希(社会福祉学科1年)  金子  充(社会福祉学科教授)

イ ン タ ビ ュ ー 日:2021年8月29日(日)

 新保先生の紹介により、横浜市中区の生活保護 の部署で短期のアルバイトをしました。また、映 画館でのアルバイトを通して、身体障害を持って いる方、聴覚障害を持っている方などが映画を見 る楽しみを保障されていないことにも気付き、考 えさせられました。そういった経験も、福祉の世 界に入るうえで活きてきたと思います。

─大学の授業で一番興味深かったものは何です か。

 清水浩一先生が授業のなかで生活保護バッシ ングについて取り上げていたことも印象に残って いますが、一番は新保先生の公的扶助論です。公 的扶助論では、生活保護法の歴史を学ぶことで制 度がどのように変化したのかを学び、歴史を学ぶ ことの意義を知りました。

─どこの実習先に行きましたか。

 2年生の時に高齢者向けデイサービスに2週 間、4年生の時に川崎区役所の福祉事務所で1 か月間、更正施設で2週間、実習させていただき ました。更正施設での実習は特に印象に残ってい て、アルコール依存の治療をしている病院に行っ てミーティングに参加したり、更正施設の利用者 さんの生活歴を聞き取るための面談をさせていた だいたりしました。とても緊張したことを覚えて います。

─実習で一番印象に残っていることは何ですか。

 更正施設の実習でとても素晴らしい実習指導 者と関われたことです。私たち実習生の話を真剣 に聞いてくれる方でした。実習最終日には実習指 導者との最後の振り返りの時間があるのですが、

実習するなかでどうしても気になっていた、『指 導』という言葉に対する違和感について相談しま した。「どうしても『指導』というものが出来る気 がしないです。何故『指導』という言い方をする のですか?」と聞くと、「その気持ちは僕もわかる

よ。けれど利用者と関わるなかで、その人を知り、

考えた分の熱が入ることがあるんだよね。それを

『指導』という言い方をしてることがあるかもし れない。熱が入ることを『指導』と考えれば、少し 気が楽になるかもしれないよ」と教えていただき ました。この言葉は、今仕事をするなかでも時々 思い出して支えられています。

─社会福祉士の資格を取る勉強はいつ始めました か。

 私は4年生の2月に受験した時には落ちてし まいました。社会人2年目の時に2回目の受験を し、無事受かることができました。

 学生の頃は3年生の冬頃から公務員試験の勉強 と社会福祉士の勉強を並行して行っていました。

 次の受験は、1年目は仕事に慣れることを優先 した方がいいと新保先生や先輩方にアドバイスを 頂いていたので、2年目の時に受験することにし ました。この時は秋頃から勉強を始めました。

─どのように勉強をしていましたか。

 中央法規の参考書を覚えることと、過去問を解 くことを繰り返していました。仕事をしながらの 受験だったので、職場のお昼休みや通勤時間、日 によってはお休みをもらって勉強していました。

─社会福祉士の資格勉強で大変だったことは何で すか。

 仕事で全く触れていない心理学や人体の分野の 勉強が大変でした。分野がとても広いので、特定 の分野に偏ってしまうことがあるのがしんどかっ たです。

─現在はどのような内容のお仕事をしています か。

 東京都の葛飾区で、生活保護のケースワーカー をやっています。1年目からそこに配属され、今

年で4年目になります。

─行政の仕事に就くことを決めた理由は何です か。

 生活保護の業界、世界に興味があったからで す。 日本の貧困、格差社会についてずっと興味 がありました。日本では生活保護の補足率が低い ことを知り、生活保護の申請に一緒について行っ て「ちゃんとこの人を申請させて下さい」と支援 する仕事などをしたいというイメージは持ってい ましたが、大学に入って新保先生に出会って、行 政に志のあるソーシャルワーカーがいることの 重要性を教わりました。それにとても納得したの で、大学3年の秋頃、公務員になろうと思いまし た。生意気ですけど、行政の方に入って生活保護 の業界を良い方向にもっていきたいと思いまし た。

─福祉の世界に入って最初に感じたことは何です か。

 そう聞かれて考えてみると、全然「福祉の世界」

ではなかったですね。先輩や上司に「何故生活課 を希望したの?」と聞かれ「私は生活保護にずっ と興味があって、勉強してきたんです」と答える と、とても驚かれました。「変わってる」「珍しい」

「そんな子いるんだ」と言われました。「机の上で 勉強していたことと、現場って全然違うから、“福 祉福祉”ってなっちゃ駄目だよ」とも言われまし た。ここは福祉の世界ではないのだと感じまし たね。

─福祉の世界ではなくてどんな世界でしたか。

 役所ですね。ケースワーク理論等を知らない人 も沢山いるし、横浜市であれば福祉事務所の職員 は全員が福祉職で採用されていますが、葛飾区は 7割以上が事務職の方だと思います。福祉職であ ればいいという話では全くないのですが、イメー ジとは少し違いましたね。

─仕事でのやりがいは何ですか。

 役所ではどの仕事もそうだと思うのですが売り 上げや利益を求める仕事ではなく、数字で表れる ものでもないので、分かりやすくやりがいという 形は難しいかもしれないですね。でも、「山口さん に相談して良かった」「山口さんに話を聞いても らえたから落ち着いた」と言っていただけること があります。利用者さんの抱える課題はそれぞれ で、簡単に解消出来るものではないことがほとん どですが、利用者さん自身が「まだ問題は山積み だけど、とりあえず今出来ることを頑張ろう」と 思ってもらえると嬉しくなります。皆さんつらい 経験をされているので、「一旦開き直る」ことが実 は大変だったりするんですよね。

 ただもちろん、辛いことの方が多いのが現実で す。先程の「福祉の世界」ではなかったという話 にも繋がりますが、孤独を感じることがありま す。利用者さんについての考えなどを共有出来な かったり、学生の時に皆で話していた自己決定と は何か、受容とは何か、といった話を本当はたく さんしたいんですよね。 本当の意味でやりがい を感じるのはきっと自分が働いている現場の雰囲 気が変わっていった時に感じるのかもしれませ ん。その為に、もっと勉強していきたいと思いま す。

─生活保護を利用している方に対して気をつけて いることは何かありますか。

 地区ごとに担当者が決められていますが、1つ の地区を担当するのは長くて約3年です。3年で 何か大きな変化があると期待しすぎずに長期的視 点を大事にすることを意識しています。次の担当 者が引き継ぐ時に大きく変わるかもしれないし、

もしくは次の次の担当者の時かもしれない。長い 人生ですから、その方の生活が少しでもその方ら しいものになれるよう、きっかけ作りになればい いと思って仕事をしています。

─コロナ禍の仕事で新たに必要となった考え方は

ありますか。

 「こんなことになるとは思わなかった」「生活保 護なんて自分とは無縁だと思っていた」っていう 新規開始の方に何人もお会いしていますね。緊急 事態宣言が出た瞬間に派遣の仕事が一切無くなっ てしまった方や、自営のお仕事をされていてダメ になってしまった方などがいらっしゃいました。

生活保護を利用することは、誰にでもあり得るこ とだと、コロナ禍で多くの方が実感したと思いま すね。

─コロナ禍で生活困窮者の状況はどう変わりまし たか。

 葛飾区では、おそらくコロナを理由に急激に生 活保護を利用する方が増えたわけではないと思い ます。繁華街が多い区の方が、一気に申請が増え たという話は聞きますね。コロナのパンデミック 直後は生活保護よりも社会福祉協議会による生活 資金等の貸し付けが利用されてきましたが、今後 それらの利用期限が終わったあと生活保護の申請 が増えてくるかもしれないので、これからどうな るかはわかりません。

─コロナ禍で感じた生活困窮者の課題は何です か。

 派遣や日雇いなどで働いていた人達は、コロナ 禍で当然のように切り捨てられる訳ですよね。そ ういった仕事で社会が回っていて、地盤が緩い環 境で働かされている労働者が沢山いたということ

です。今までその人達がギリギリ頑張って生活し ていたから目に見えてなかっただけなんですよ ね。これはこの社会の課題だと思います。また、

私が担当している利用者さんのなかでは、コロナ 禍で精神が不安定になった方がたくさんいます ね。外に元々出づらかった人達がより外に出なく なって、病院にも行きづらくなったり、デイサー ビスが休みになってしまったりしたことで、貴重 な社会との繋がりが途絶えてしまう人達が数多く 生まれました。こういった課題も目に見えてきま したね。

─最後に、明学生に一言お願いします。

 皆さんが大学で学ぶなかで感じている葛藤や 疑問、そして志は素晴らしいものだと思っていま す。是非それを抱えたままで、社会で私と一緒に 頑張ってもらえたら嬉しいです。お待ちしていま す。

*山口咲楽さんは、明治学院大学の公式Youtube チャンネル「明学の理由。」の2017年バージョン

「人に寄り添う編」に(当時学 生として)出演されています。

 https://www.youtube.com/

watch?v=t2Ml183VCeE

2014年4月 明治学院大学社会学部社会福祉学科入学 2018年3月 明治学院大学社会学部社会福祉学科卒業 2018年4月 葛飾区入区福祉部西生活課(福祉事務所)

配属

プロフィール(山口咲楽)

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