• Tidak ada hasil yang ditemukan

国際的に認知される日本の国菌 - 一島英治 - J-Stage

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2023

Membagikan "国際的に認知される日本の国菌 - 一島英治 - J-Stage"

Copied!
4
0
0

Teks penuh

(1)

261

化学と生物 Vol. 53, No. 4, 2015

日本の国菌

「和食,日本人の伝統的な食文化」は2013年12月4日ユネ スコ(国連教育科学文化機関)の第8回政府間委員会で「無 形文化遺産に登録」されることが決まった.この背景には,

長年の日本人の平均寿命(2012年は84歳.内訳,女性は 87.0歳[世界第1位],男性は80.0歳[世界第8位](2014年 の世界保健統計による))ならびに健康寿命の世界首位の実 績が注目されていることであろう.

日本を代表する生物をみる.国花はサクラ(桜,櫻)

(「古来,花王と称せられ,日本の「国花」とし,古くは

「花」といえば,桜を指している」(『広辞苑』)),「国鳥」は キジ(雉,雉子)(1947年日本鳥類学会により選定),「名産 魚」はアユ(鮎,香魚,年魚),「国蝶」はオオムラサキ

(1957年日本昆虫学会指定),そして微生物の「国菌」(1〜4)は コウジカビ(別名,コウジキン=麴菌))(2006年日本醸造 学会認定(5))である.

コウジカビの学名は である.コウジカ

ビは不完全世代のみで存在し,有性生殖をしないことから,

不完全菌類に分類されていたのだが,系統的には子嚢菌の一 群に属す.2005年,日本の多くの研究者の協力によりゲノ ム情報の解析(6)が完了した.

真核細胞で真菌類のコウジカビの生物学的な魅力は,強 固な生体防御機構を備える分生子と旺盛な繁殖力をほこる菌 糸,そして水分環境の変化により起こす「分化」の形態変化 にある.先端成長により伸ばす菌糸は重力を感知し,匍匐し て菌糸を伸ばす基底菌糸と気中に垂直に伸びる柄足細胞の 気中菌糸の2形態がある.気中菌糸は先端に膨らんだ大き な頂嚢とその表面に徳利状のフィアライドを形成し,その先 端に数珠状の分生子を着生する.コウジカビの細胞は多核細 胞が特色である.

和食とコウジカビ

和食つくりに必須な下記の発酵食品の製造はいずれも

「麴つくり」から始まる.コウジカビは和名で,このうちキ

コウジカビは日本酒(清酒),味醂,甘酒,醬油,味噌,食

酢などの製造に用いられる と,醬油,味

噌などの製造に用いられる がある.前者

は,デンプンの分解に優れている.後者は,タンパク質なら びにヘミセルロースの分解に優れている.

クロコウジカビ(別名,クロコウジキン=黒麴菌)につ いては,1901年,乾環により泡盛麴から分離され,東京化

学会に報告された が嚆矢である.こ

れらの遺伝子DNA解析の結果から,2013年にプライオリテ

イに基づき「 」は国際的に認められ

(7).クロコウジカビを用いた特産品には蒸留酒があり,青 木淳一の『博物学の時間』(8)によると,奄美大島以南は植物 の旧熱帯区で,鹿児島県に属す奄美大島までは焼酎,それよ り南の沖縄県では泡盛となる.

コウジカビ ならびに醬油コウジカビ

は,強い発がん性化合物アフラトキシンの 生産用培地で培養してもアフラトキシンは検出されない(9). また,遺伝子レベルにおける解析の結果からも,アフラトキ シン生合成系は欠失していることが明白になっている(10, 11). コウジカビならびに醬油コウジカビの安全性は確認されてい る.

わが国の酒の記録は正史『日本書紀』(720年,養老4)に 八 醞の酒(=古事記の八鹽折の酒),そして奈良朝時代(8 世紀前期)に編纂された『播磨国風土記』に,神代にさかの ぼってカビによる酒の記載がある.米飯に「カビ」が生えた ものは,古く「加無太知」または「加牟多知」と呼ばれた.

いまの麴である.

天地と久しきまでに萬代に 仕へまつらむ黒酒白酒を

(文室智努眞人 万葉集 巻19‒4275. 新番号4299)

文室智努眞人は長屋王(天武天皇の孫.高市皇子の子.684‒

729)の子,知奴王で,淳仁朝の天平宝字5年(761)に姓

(文室智奴麻呂)を賜った.黒酒,白酒は禁裏にて天子の代 替りの神事・大嘗会の神酒である.平成の今日に伝わってい る.白酒は白濁の酒(醴),  黒酒はシソ科(APG体系,旧ク マツヅラ科)の落葉小高木,臭木(久佐木)の根の蒸し焼灰 を加え,酸を中和した酒である.

日本酒(清酒)には飲んでよく,風呂の湯に混ぜてよい

国際的に認知される日本の国菌

一島英治

バイオサイエンススコープ

(2)

262

化学と生物 Vol. 53, No. 4, 2015

「美肌効果」をもたらすエチル-

α

-D-グルコシドがある.この 成分は日本酒(清酒)中,エタノール,グルコースに次いで 第3番目に多い.この成分はコウジカビの転移酵素

α

-グルコ シダーゼ(EC 3.2.1.20)により,発酵醪中の小糖類であるマ ルトオリゴ糖やデンプン分解物であるデキストリン成分の非 還元性末端から構成糖のグルコースをエタノールに転移して できる.エチル-

α

-D-グルコシドには荒れ肌の誘発を抑制する 効果が見られる(12)

醬 という泥状の調味料から澄んだ醬油への移行は,信州 の禅僧,覚心(1208〜1298)が建長6(1254)年に中国から径 山寺味噌の製法を持ち返り,紀州湯浅で村人に教える過程で 発酵槽中にたまった液で食物を料理するとおいしいことを発 見したのが「溜り醬油(=溜り)」のはじまりである.『鹿苑 日録』の「日用三昧」の天文5(1536)年,「漿油をネサス」

という記録が最も古い(13).「醬油」という言葉の初出は室町 時代の慶長2(1597)年平井易林刊行の国語辞書『節用集』

易林本である.

醬油が出現するまで,液体調味料の王座に君臨していた のは煎酒(13)であった.『料理物語』(1643)によると,「削り 節1升に,梅干17, 8個,寒仕込みの清酒2升,水少々に味噌 少々.これを火に懸けて1升に煎じ,濾して冷やして」作 る.この煎酒の見られる古文書は『松屋(久松)茶会記』

(弘治3(1574)年4月24日)にたどり着く.それ以前には煎 酒はない.煎酒は文化・文政(徳川第11代将軍家斉治下の 後半期)の頃から省みられなくなった.工業的に作られる醬 油に負けたのであった.

醬油中の旨味の主要成分はグルタミン酸であることを有 働繁三(1899〜1972)が明らかにした(1932).火入れ処理を 施された新鮮な醬油は鮮やかな赤色と特有の芳香「火香」が ある.この芳香成分はホモフラネオール(4-ヒドロキシ-2

(ま た は5)-エ チ ル-5(ま た は2)-メ チ ル-3(2 )-フ ラ ノ ン,

HEMF))である.味噌にも含まれるホモフラネオールは強 い抗酸化性をもち,胃がんの発生を抑制し,放射線障害を予 防する効果をもつ機能性香気成分としても知られている.醬 油の特色あるほかの香気成分は4-エチル-グアイアコール(4- エチル-2-メトキシフェノール)がある.高級な醸造醬油の特 徴的な香気成分である.さらに,魚や肉の生臭みを消す消臭 効果をもつ香気成分メチオノール(3-(メチルチオ)-1-プロパ ノール)がある.そして,面白いことに,醬油の中にはマツ タケ特有の香気成分である1-オクテン-3-オール((3 )-(−)- 1-オクテン-3-オール)が存在する.

大東亜戦争(別名,太平洋戦争)の最終期(1945),長崎 の原爆患者の治療にあたった秋月辰一郎は,ワカメの味噌汁 は原爆の被害あるいは後遺症の軽減に寄与した可能性を示し た.後年,広島大学の伊藤明弘らは,実験動物による研究か ら,被ばくした放射性物質(131I, 134Cs)の排泄に味噌食は効 果のあることを明らかにした.

おのみさは,著書『麴のレシピ―からだに「いいこと」

たくさん』(14)に―麴は神様からの贈り物―と記している.

麴つくりがもたらした独創的な思考

「国酒」と言われる日本酒(清酒)(『SAKÉ』(15))造りの基 本には,種麴の特性を見抜き,その性質を酒造りの場で発現 させてきた酒造技術がある.日本酒造りの秘伝は,「一麴,

二酛,三造り」,にある.醬油の醸造においても重要工程は,

「一麴,二櫂,三火入れ」,である.しかも,これらの日本酒

(清酒),醬油,味噌などの醸造には,いずれも複数の微生物

(の酵素)を巧妙に利用している特色がある.「麴は酵素の宝 庫」と言われる由縁である.この醸造の複雑な技術を導き出 してきた考え方の基本には,特色ある日本文化を支えている 思考の一端を担っているものがある.

文字の表現についてみると,麥偏からなる漢字の「 麴 」 は,国字では米偏からなる「糀」で表現されている.中国,

朝鮮で酒造に用いられる麴は「麯子(=餅麴)」で,麯子の 内部に生育するカビはクモノスカビ やケカビ である(16).だが,わが国の麴の形態は,すでに10世紀に成 立した『延喜式』の「造酒司」の中に見られるように,「糵

(もやし,よねのもやし)」(17)の字は「散麴」を意味する.蒸 したコメを原料にして散麴をつくるものこそ,米粒(コメ)

に相性の良い微生物 である.国字「糀」

の文字による表現の中に,わが国の風土の中で捉えた微生物 制御についての独創的な考え方の実践を表した科学技術の象 徴を捉えることができる.

ちなみに,ここでコウジカビがもたらした世界を先導し た科学研究をたどってみる.

高峰譲吉(1854〜1922)は,消化酵素剤「タカジアスター ゼ(商標登録名は,タカヂアスターゼ)」の発明(1894)・開 発(1895)と,副腎髄質ホルモン「アドレナリン」(別名,エ ピネフリン)の単離結晶化に成功した(1900).アドレナリン は止血剤,強心剤に利用されている.今日,世界で100年以 上の間利用されている薬は3種で,タカジアスターゼ,アド レナリン,ほかはアスピリン(商標登録1899, アセチルサリ チル酸)である.1996年刊行のケンブリッジ大学出版局の

『Biotechnology』(18)によると,1896年はコムギフスマに生育

させた菌類 からの消化酵素剤タカジアス

ターゼはヨーロッパに最初の近代的な微生物酵素工業技術を もたらした年と,記されている.最近,石田三雄により高峰 譲吉の詳細な伝記『ホルモンハンター―アドレナリンの発 見』(19)が上梓された.

醬油の特有の香気成分メチオノールを発見した赤堀四 郎(1900〜1992)(20)は,高峰の発明したタカジアスターゼ中 の

α

-アミラーゼ(タカアミラーゼA(21, 22),EC 3.2.1.1)の大 河研究を先導した.赤堀は外国では入手しやすい動物の臓器 は日本では手に入りにくいこと,そしてタカジアスターゼは 高峰譲吉の発明であり,酵素原末は三共(株)で製造されてい て,入手しやすいことなどから,コウジカビの生産する酵素 タカアミラーゼAに注目し,この酵素研究を日本人の手で 解決したいと考えたことによる.

(3)

263

化学と生物 Vol. 53, No. 4, 2015

江上不二夫(1910〜1982)らはタカジアスターゼからリボ 核酸(RNA)のグアニン塩基の3′-側に特異性のあるリボヌ クレアーゼT1(RNase T1, EC 3.1.27.3)を発見した(1957). この酵素はリボ核酸の構造決定に大きな貢献をもたらした.

いっぽう,安藤忠彦(1924〜2002)はタカジアスターゼから 1本鎖DNAに特異的に作用するアスペルギルス・ヌクレ アーゼS1(Nuclease S1, EC 3.1.30.1)を発見した(1966).ヌ クレアーゼS1について,レイモンド・W・ベックは組換え DNA実験で重要な役割を果たしたと『微生物学の歴史I‒II

(原題・微生物学年代記とその歴史的背景)』(23)の1966年のP 項に紹介している.

クエン酸生産性の高いクロコウジカビ(別名,クロコウ ジキン)は耐酸性の酵素の生産に優れている.新奇産業用酵 素の展開は,北原覚雄によるデンプン糖化酵素グルコアミ ラーゼ(EC 3.2.1.3)の発見(1949),上田誠之助による生デ ンプン分解性のグルコアミラーゼの発見(1956),吉田文彦の 酸性プロテアーゼ(EC 3.4.23.18)の発見(1954)などがあ る.これらの酵素はいずれも国際酵素委員会承認のEC番号 を得ている.

チロシナーゼは特有の2酵素反応(モノフェノール・モノ オキシゲナーゼ(EC 1.14.18.1)ならびにカテコール・オキ シダーゼ(EC 1.10.3.1))を触媒し,次いで起こる逐次反応 により高分子黒色色素・メラニンが形成する.コウジカビの チロシナーゼはコウジ酸(麴酸,5-ヒドロキシ-2(ヒドロキシ メチル)-4-ピロン)により拮抗的(競争的)に阻害される.

コウジ酸は齋藤賢道によりコウジカビの蒸米培養中に発見さ れ(1907),薮田貞次郎(1888〜1977)により単離,命名,構 造決定された(1924).「Kojic Acid」として『The Merck In- dex』に記載されている.コウジ酸は抗生物質である.コウ ジ酸に抗酸化作用,美白作用などの機能があることから,工 業的な生産,利用が行われている.

先述した

α

-グルコシダーゼの産物に,日本酒(清酒)には 量的に少ないのだが,非発酵性糖が存在する.麻生 清らに よる世界初の発見(1954)であるコウジビオース(kojibiose,  2- -

α

-D-グルコピラノシル-D-グルコピラノース)や,ニゲ ロース(nigerose, 3- -

α

-D-グルコピラノシル-D-グルコース,

別 名 サ ケ ビ オ ー ス) が あ る.『Oxford Dictionary of Bio- chemistry and Molecular Biology』(1997)に紹介されてい る.

糖鎖工学分野は日米欧の若い研究者がしのぎを削る領域 である.千葉靖典ら(24)は -

α

-1,2-マンノシダーゼ

(EC 3.2.1.113, mannosyl-oligosaccharide1,2-

α

-mannosidase)

遺伝子( )のcDNAを酵母菌の小胞体で発現滞留する ように遺伝子操作し,酵母の細胞内で糖タンパク質にヒト型 の糖鎖形成の導入に初めて成功した(1998).

国菌の国際化

ロジャー・パルバース(Roger Pulvers, 1944〜,元 東京

工業大学教授・世界文明センター長,2013まで)はアメリ カ生まれ,ハーバード大学大学院修了,オーストラリア国 籍,京都在住で,世界的にまれな,「日本と日本人の優れた 特質と独自性について発信し続けている人」である.彼の著 書に『もし,日本という国がなかったら』(25)がある.その,

248頁に,「日本人の知らない,高峰譲吉の世界的な業績」

の項があり,その頁の後ろから4行目に「国菌」の記載があ る.

「タカジアスターゼは麴を生育する過程で作られたジ アスターゼ(消化剤)です.麴は醬油や味噌を作るとき に 使 わ れ る 菌 で す.ラ テ ン 名 は「

(アスペルギルス・オリザエ)」で,日本の「国菌」に指 定されています.国花ならよその国にもあるが,国菌の ある国は日本だけなのではないかと思います.

タカジアスターゼを抽出する方法を発明したのは高 峰譲吉です.ぼくが飲んでいるものが日本の科学者に発 明された製品だとは,ぼくも母も思いもよりませんでし た.」

ロジャー・パルバースは,宮沢賢治の英語翻訳にも数多 く携わり,その功績から第18回宮沢賢治賞(2008),第19回 野間文芸翻訳賞(2013)を受賞している.さらに,近著に,

『驚くべき日本語』(26)がある.ロジャー・パルバースの上記2

著書(25, 26)は,一般向けの英文著書からの日本語への翻訳本

である.したがって,「国菌」コウジカビ(別名,麴菌)も ようやく,国際的になってきたと言える.ご同慶の至りであ る.

謝辞:「国菌」という言葉が多くの人びとの目に触れるようになったの は,東京大学名誉教授・学士院会員の故 松井正直先生のお薦めにより 一文(1)をまとめたことによる.謹んで感謝いたします.また,本稿は東 京農工大学副学長・大学院連合農学研究科・千葉一裕先生のお薦めによ る.深く感謝いたします.

文献

  1)  一島英治:学士会会報,836, 135 (2002).

  2)  一島英治:日本醸造協会誌,99, 83 (2004).

  3)  一島英治: 麴,法政大学出版局 (2007).

  4)  E.  Ichishima: “Unique  Enzymes  of    Fungi  Used in Japanese Bioindustries,” Nova Science Publish- ers, Inc., 2012.

  5)  日本醸造協会:http://www.jozo.or.jp/koujikinnituite2.pdf   6)  M. Machida, K. Asai, M. Sano, T. Tanaka, T. Kumagai, G. 

Terai,  K.  Kusumoto,  T.  Arima,  O.  Akita,  Y.  Kashiwagi,  K. Abe, K. Gomi, H. Horiuchi, K. Kitamoto, T. Kobayashi,  M. Takeuchi  :  , 438, 1157 (2005).

  7)  S.-B. Hong, M. Lee, D.-H. Kim, J. Varga, J. C. Frisvad, G. 

Perrone, K. Gomi, O. Yamada, M. Machida, J. Houbraken 

& R. A. Samson:  , 8, e63769 (2013).

  8)  青木淳一: 博物学の時間 大自然に学ぶサイエンス , 東京大学出版会,2013.

  9)  H. Murakami, S. Takase & T. Ishii: 

13, 323 (1967).

10)  M. Tominaga, Y. H. Lee, R. Hayashi, Y. Suzuki, O. Yama- da,  K.  Sakamoto,  K.  Gotoh  &  O.  Akita: 

72, 484 (2006).

11)  H. Matsushima, P. K. Chang, J. Yu, K. Abe, D. Bhatnagar 

(4)

264

化学と生物 Vol. 53, No. 4, 2015

& T. E. Cleveland:  , 55, 585  (2001).

12)  広常正人:日本醸造協会誌,99, 836 (2004).

13)  川上行蔵: 日本料理事物起源 ,小出昌洋編,岩波書店,

2006.

14)  おのみさ: 麴のレシピ―からだに「いいこと」たくさ ん ,池田書店,2010.

15)  H. Akiyama: “SAKÉ. The Essence of 2000 Years of Japa- nese Wisdom gained from Brewing Alcoholic Beverages  from Rice,” International edition, translated by T. Inoue,  Brewing Society of Japan, 2010.

16)  上田誠之助: 日本酒の起源―カビ・麹・酒の系譜 ,八 坂書房,1999.

17)  坂口謹一郎: 日本の酒 ,岩波書店,2007.

18)  J. E. Smith: “Biotechnology,” 3rd edition, Cambridge Uni- versity Press, 1996, p.73.

19)  石田三雄: ホルモンハンター―アドレナリンの発見 , 京都大学学術出版会,2012.

20)  赤堀四郎,金子武夫:日本化学会誌,57, 832 (1936).

21)  S. Akabori, B. Hagihara & T. Ikenaka:  ,  27, 350 (1951).

22)  S.  Akabori,  B.  Ikenaka  &  B.  Hagihara:  , 41,  577 (1954).

23)  レイモンド・W・ベック(嶋田甚五郎,中島秀喜監訳): 微生物学の歴史I‒II ,朝倉書店,2004.

24)  Y. Chiba, M. Suzuki, S. Yoshida, A. Yoshida, H. Ikenaga,  M. Takeuchi, Y. Jigami & E. Ichishima:  ,  273, 26298 (1998).

25)  R.  Pulvers(坂野由紀子訳): もし,日本という国がな かったら ,集英社インターナショナル,2011.

26)  R.  Pulvers(早川敦子訳): 驚くべき日本語 ,集英社イ ンターナショナル,2014.

プロフィル

一島 英治(Eiji ICHISHIMA)

<略歴>1957年東京農工大学農学部農芸 化 学 科 卒 業/1967年 農 学 博 士(東 京 大 学)/現在東北大学名誉教授,東京農工大 学名誉教授,野田産業科学研究所名誉理 事<研究テーマと抱負>専攻・酵素化学.

私たちの世代は,幼年期・少年期を戦争 中の銃後社会に育ち,首都からの疎開,

空襲による全焼,敗戦,占領,さらには,

復興という時代に遭遇した.私は成人後,

農芸化学という実験化学の分野でものを 見・考える生活を送った.昨今は,日本 文化のなりたちのしくみを考えている Copyright © 2015 公益社団法人日本農芸化学会

Referensi

Dokumen terkait

給率は僅か13% (平成26年)に過ぎず,残りの87%は アメリカ,カナダ,オーストラリアから輸入されてい る.つまり,「私たちの豊かな食生活は輸入食料によっ て支えられている」と言われる構図は,コムギにおいて も,ぴたりと当てはまっている. 世界に目を転じると,少し違った視点が見えてくる. コムギは全世界の耕地面積の16%に相当する2億1,800

3, 2012 151 今日の話題 勢,第二に技術的課題が挙げられる.第一の点について は,20世紀中は石油資源欠乏や地球温暖化の問題に関 する認識が低く,新エネルギーに対する期待はさほどで もなかったことが考えられる.第二の点については,出 力があまりにも低かったこと,微生物から電極に電子を 渡すために電子媒体となる化合物が必須であったことな

書 館 文 化学 と 生物 プロローグ Molecular Basis of Microbial One-Carbon Metabolism" というテーマのゴードン会議 (GRC) シンポジウムが1998年 から2年おきに開催されている.そのルーツは1974年9月に 東京の帝国ホテルで開催された International Symposium on

プロダクト イノベーション ポリフェノールサイエンスへの 挑戦と創造 サントリーホールディングス株式会社 辻村英雄 はじめに 1899年の創業以来,赤玉ポートワインに始まり,ウ イスキー,ビール,ワイン,清涼飲料,健康食品と化粧 品,さらには花のビジネスなど,わが社が世に送り出し てきた商品は実に多彩であるが,それら商品のベースと

7, 2017 土壌細菌叢の化学的撹乱に対するロバスト性 経時的な土壌メタゲノム解析から見えてきたこと 次世代シーケンス技術の普及により,さまざまな環境 のメタゲノムデータが近年爆発的なスピードで蓄積され ている.土壌環境はその莫大な微生物多様性によってメ タゲノム解析が最も難しい環境の一つであり,土壌メタ ゲノムシークエンスの大規模プロジェクトが世界的に進

9, 2012 684 はじめに 稲が中国の長江流域から渡来したのは,縄文時代末期 (紀元前5世紀)といわれています.当初は玄米を食べ ていたのが,しだいに白米を賞味するようになり,江戸 期も元禄時代(17 〜 18世紀)になると,都市では白米 中心の食生活が一般化しました.それとともに脚気(後 年,ビタミンB1欠乏症と判明)が広がりました.脚気

8, 2015 鵜高重三先生を悼む 日本農芸化学会有功会員,鵜高重三名古屋大学名誉教 授は,去る平成27年4月11日肺炎のため84歳の生涯を 閉じられた.グルタミン酸生産菌を25歳の若さで発見 し,世界のアミノ酸発酵の基盤を築いた農芸化学を代表 する巨人の一人である.実験が大好きで生涯自ら実験を 続け,微生物の可能性を最後まで追い続けられた.ここ

現在の世界は、国家間関係のみでは把握しきれない問題が複雑にからみあっている。この 冷戦後の世界の30年間をいかに評価しうるだろうか。これが本パネルの冒頭で示された論点 のひとつである。冷戦終結時に共有された自由民主主義体制の「勝利」や西側世界の「勝利」 は、今日振り返ればやや単純で楽観的な見通しであったと言える。 2