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微生物代謝工学に基づく必須および新規脂肪酸の大量生産

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コスメトロジー研究報告 10号(2002)

微生物代謝工学に基づく必須および新規脂肪酸の大量生産

小  林  達  彦 筑波大学  応用生物化学系

必須脂肪酸であるγ-リノレン酸はアトピー性皮膚炎等アレルギーの軽減作用があり、また、ア ラキドン酸は皮膚の乾燥抑制効果があるが、これらの油脂類の供給源に目を向けると、魚介類以 外には有効な供給源すら知られていない。また、我が国では有効な生産手段を持たず、海外から の供給に対する依存度が高く、気候などの変動による供給量、品質などの変動を受けやすいこと、

また、海洋汚染による資源自体の汚染も問題となりつつある。

本研究では、脂肪酸のΔ9の位置に二重結合を導入するΔ9不飽和化酵素、および、炭素鎖が20 以上の PUFA の生合成において、C18脂肪酸生産微生物のC20脂肪酸生産株への変換に必須の ステップを担う(炭素鎖18から20へ鎖長を延長する)鎖長延長酵素を対象とし、分子レベルで の検討を行った。これらのPUFAの生合成に関わる酵素・タンパク質遺伝子を遺伝子工学の手法 を用いて親株の Mortierella で特異的に発現させることや遺伝子破壊などの方法を組み合わせる ことによって、様々なPUFAを選択的に生産あるいは新規なPUFAを代謝工学的に生産できる可 能性がある。

【結果および考察】

不飽和化酵素遺伝子の解析

SuperCos 1 cosmid vectorを用いて作製した糸状菌Mortierellaのゲノムライブラリーに由来する大 腸菌ライブラリーに対して、既にクローン化しているΔ9-Desaturase cDNAaをプローブとした指 標によってポジティブクローンを取得した。得られた遺伝子から推定されるアミノ酸配列は、Δ 9-Desaturase a や(ラットやSaccharomycesなどの)の真核生物由来のStearoyl-CoA desaturaseと 高い相同性を示し、Δ9-Desaturase b 遺伝子と命名した。他の生物由来のStearoyl-CoA desaturase とは相同性は低いものの、ヘム鉄が配位結合すると考えられる2ヶ所のヒスチジン残基とヘム鉄 を包み込む領域はよく保存されていた。本Δ9-Desaturase b のアミノ酸配列は、植物の脂肪酸不 飽和化酵素と相同性がなく、ラットやSaccharomycesのStearoyl-CoA desaturaseと相同性を示し たことから、Δ9-Desaturase b はアシル-ACPやリン脂質ではなくアシル-CoAを基質とすること が推測された。

さらに、Δ9-Desaturase bは、Δ9-Desaturase aや酵母のStearoyl-CoA desaturaseと同様に、カルボ キシル末端領域はラットやSaccharomycesのStearoyl-CoA desaturaseより110アミノ酸残基ほど 長く、また、互いによく保存されており、他生物由来のCytochrome b5の一部と相同性を示した。

ラットやSaccharomycesのCytochrome b5と、Δ9-Desaturase bのカルボキシル末端領域とは約30%

の低い相同性であったが、ヘム鉄が配位結合すると考えられる2ヶ所のヒスチジン残基と、ヘム 鉄を包み込む領域はよく保存されていた。さらに、Cytochrome b5 familyに属するNitrate reductase

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コスメトロジー研究報告 10号(2002)

とも相同性を示したが、Δ9-Desaturase b がCytochrome b5様ドメインを含んでいることも鑑み ると、脂肪酸不飽和化の際に独自の電子伝達を行っている可能性が示唆された。続いて、

Hydropathy プロット解析を行った結果、上記のいずれのタンパク質を比較しても疎水パターン

の形状は似通っており、特に、Stearoyl-CoA desaturaseに関しては、小胞体膜に結合していると 考えられる疎水性の高い領域もよく保存されていた。また、Δ9-Desaturase bの遺伝子には5'末

端が GT で 3'末端が AG の 94 bp から成るイントロンが一つ存在することが推察された。Δ

9-Desaturase aはΔ9-Desaturase bと同様に唯一一つのイントロンを持つが、イントロンの塩基配

列は互いに相同性が低く、Δ9-Desaturase bのイントロンが94 bpであるのに対し、Δ9-Desaturase aのイントロンは153 bpであり塩基数も異なっていた。

鎖長延長酵素遺伝子の解析

初発酵素である3-Oxoacyl-CoA合成酵素の一部を、他生物の脂肪酸合成に関わる本酵素のアミノ 酸配列の情報を基に合成オリゴヌクレオチドプライマー(センスプライマーおよびアンチセンス プライマー)を作製し、MortierellaのゲノムDNAを鋳型としてPolymerase chain reaction(PCR) 法を用いて、本酵素遺伝子のクローニングを試みた。増幅したDNA断片を電気泳動ゲルから回 収し、ベクターにサブクローニングし、DNAシークエンサーで本DNA 配列を決定した結果、

大腸菌などの他生物由来の3-Oxoacyl-CoA合成酵素遺伝子と高い相同性を示し、本遺伝子の一部 がクローン化できたことが示唆された。しかしながら現在のところ、完全長の遺伝子クローニン グには至っていない。

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