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最適貯蓄の理論 - Keio

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Academic year: 2024

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最適貯蓄の理論

貯蓄が大きいほど資本蓄積は速く,潜在的生産能力の増大も速い.しかし他の条件が同じであ れば,貯蓄が大きいほど消費は小さくなる.したがって,経済にとって貯蓄が大きいほどよいとは 一概にいえない.では,適度な貯蓄はどのように定まるのであろうか.効用の概念を用いて,そ の問題をつぎに考えよう.

1 最適貯蓄の理論 | 離散型

多期間にわたる最適化の問題を分析する方法として,時間を離散的に扱う方法と連続的に扱う 方法とがある.前者を離散型理論,後者を連続型理論と呼ぶ.経済学としての意味を考えるため には離散型理論の方が分かりやすいので,離散型理論から始めよう.

1.1

2期間の問題

消費可能性 一つの消費財のみが生産され消費される経済を考えよう.はじめに2期間の問題を 考え,2期間の消費の可能性がどのように定まるかを見よう.

c 2 = f (z); y = c 1 + z (1)

c 2 = f (y Ä c 1 ) (2)

効用最大化 社会の効用関数を

u(c 1 ; c 2 )

として,uの値が最大になる貯蓄の大きさを考える.最 大化の問題をまとめておくと

max c

1

;c

2

u(c 1 ; c 2 ); f(y Ä c 1 ) Ä c 2 = 0 (3)

この問題のラグランジュ関数は

L = u(c 1 ; c 2 ) + ï [f(y Ä c 1 ) Ä c 2 ] (4)

したがって,つぎの最大化の必要条件が得られる.

u 1 Ä ïf 0 (y Ä c 1 ) = 0; u 2 Ä ï= 0; f(y Ä c 1 ) Ä c 2 = 0 (5)

これを分かりやすい形に書き直すと

u 1

u 2 = f 0 (z); c 2 = f(z); z = y Ä c 1 (6)

最初の等式の左辺は期間1の消費財の期間2の消費財に対する消費の限界代替率であり,右辺は 期間1の消費財の期間2の消費財に対する生産の限界代替率である.したがって

(6)

は,社会に とって最適な貯蓄は2期間の消費について消費の限界代替率と生産の限界代替率が等しくなるよ うに決めなければならないことを示している.

この最適条件を簡単に導き出すことも出来る.期間1の消費を1単位減らすと,期間1の効用 は

u 1

減りストックの蓄積は1単位増える.ストックの蓄積が1単位増えるために,期間2の消
(2)

費は

f 0

増え,したがって期間2の消費から得られる効用は

u 2 f 0

増える.もし最大化が実現して いれば,このような効用の増減は釣り合っていなければならない.したがって,最大化の必要条 件は

u 1 = u 2 f 0

となる.

限界代替率逓減の法則の下では,必要条件を満たす解があれば,それは最適解である.

1.2

多期間の問題

つぎに

T

期にわたる計画を考えよう.2期間の理論と同様,一財の世界を考える.この社会の

消費を

c,次期の生産のための財のストックを k,各期の効用関数を u(c),心理的割引因子を å

計画期間終了時に残っている財のストックの効用関数を

S(k)

とする.そのとき,1 期から

T

期 にわたる社会の効用の総和は

X T t=1

å t u(c t ) + S(k T ) (7)

となる.一方,t 期の生産関数を

y t = f (k tÄ1 ),ストックの増加を z t

とすると,y

t = c t + z t

で あることから,ストックの増加はつぎの条件に服することになる.

k t Ä k tÄ1 = f (k tÄ1 ) Ä c t ; t = 1; 2; ÅÅÅ ; T; k 0

は歴史与件

(8)

そこで問題は,

f c 1 ; c 2 ; ÅÅÅ ; c T g

を適当に定めて

(7)

を最大にすることである.

はじめに,この問題の解を図によって示そう.いま,T 期にわたる消費からの効用の総和を

w

とする.すなわち

w = X T t=1

å t u(c t ) (9)

である.図では,横軸に期間

T

,計画終了後の財のストック

k T

を,縦軸に期間

T

までの消費か らの効用の総和

w

を測ることとする.曲線

A

は,初期において財のストックが

k 0

であった経 済が,T 期間のうちに達し得る

k T

w

の組み合わせの最大限を表している.そして曲線

U

は,

計画終了時の社会の無差別曲線の一つを表している.最適貯蓄の問題は,曲線

A

およびその左下 方の領域に終点をもつ径路のうち,最も高い無差別曲線上に終点をもつ径路を見つけることであ る.この範囲に終点のある径路のうち,最も高い無差別曲線に達する径路の終点が曲線

A

上にな ければならないことは明らかであろう.したがって,最適径路の終点は,曲線

A

と無差別曲線の 接点

P

によって示すことが出来る.

つぎに,解の性質を詳しく調べるために,この問題の最大化条件を見よう.まずこの問題のラ グランジュ関数は

L = X T t=1

å t u(c t ) + S(k T ) + X T t=1

ï t [f (k tÄ1 ) Ä c t Ä k t + k tÄ1 ] (10)

したがって最大化の必要条件は,

å t u 0 (c t ) Ä ï t = 0; t = 1; 2; . . . ; T ï t+1 [f 0 (k t ) + 1] Ä ï t = 0; t = 1; 2; . . . ; T Ä 1 S 0 (k T ) Ä ï T = 0

k t Ä k tÄ1 = f (k tÄ1 ) Ä c t ; t = 1; 2; . . . ; T

(11)

(3)

...

...

...

...

...

...

...

...

...

...

...

.

U A

0 k T

w

k 0

P (k É ; w É )

q

q

ストック蓄積の速さはどのようであればよいであろか.その条件を分かりやすい形に書き換え るとつぎのようになる.

f 0 (k t ) = Ä å t+1 u 0 (c t+1 ) Ä å t u 0 (c t )

å t+1 u 0 (c t+1 ) (12)

左辺は

t

期の資本ストックの限界生産力,右辺は限界効用の減少率である.ストックの蓄積にと もなって消費水準は次第に高くなり,限界効用は低くなる.(12) は,限界効用の低下の速さがそ のときどきのストックの限界生産力に等しくなければならないことを示している.これは,連続 型分析のオイラー方程式に対応する条件である.経済学の文献では,この条件をケインズ=ラム ゼイ条件とも呼ぶ.

最適貯蓄の径路がその終点で満たさなければならない条件

å T u 0 (c T ) = ï T ; S k (k T ) = ï T (13)

を最適径路の横断性条件

transversality condition

という.この条件が図の曲線

A

と曲線

U

が接 するための条件であることが確かめられる.

2 最適貯蓄の理論 | 連続型

2.1

ラムゼイの問題

ラムゼイの原問題の概要を示しておく.ラムゼイは,労働が効用を減らし生産を増やす効果を 考え,効用関数を

u(c; l),生産関数を y = f(k; l)

としているが,ここでは省略する.ラムゼイ の原問題が最近の文献に見られる問題と異なる主要な点は(1)将来の効用を割り引かないこと

(2)効用の上限である至福点

bliss

の存在を前提としていることである.

いま,効用の上限を

B

とすると,ラムゼイの問題はつぎのように書かれる.

fcg;fkg min Z 1

0 [B Ä u(c)] dt (14)

k _ = f (k) Ä c (15)

この問題の最小化の目的関数を,変数変換によってつぎのように書き換えてみよう.

Z 1

0 [B Ä u(c)] dt = Z 1

0

B Ä u(c) k _ dk =

Z 1

0

B Ä u(c)

f(k) Ä c dk (16)

(4)

すると問題は,kを所与として

(B Ä u)=(f Ä c)

c

について最小化する問題に還元される.し たがって,つぎの最小化の条件が容易に得られる.

Ä [B Ä u(c)] + u 0 (c) _ k = 0 (17)

これを見やすい形に書き直せば

k _ = B Ä u(c)

u 0 (c) (18)

要するに,資本蓄積の速さと限界効用の積が,その時点の効用と至福水準との差に等しくなけれ ばならない.

ラムゼイは,この条件をケインズが示唆したという.確かに,問題をこのように作れば,最適 条件がどのようになるかは容易に見当がつく.ラムゼイが紹介するケインズの簡単な推論とはつ ぎのようなものである.経済が一つの蓄積径路上,ある段階で,1期間当り

c

の率で消費をし

z

の率で蓄積をしているとしよう.その段階で,いま,消費を1期間当り1単位増やすと,現在の 効用は

u 0 (c)

だけ増える.一方,至福点に達するのが約

1=z

期間遅れる.なぜなら,消費を1単 位増やさなければ1期間当り

z

の蓄積が出来たが,消費を増やしたために,1期間当りの蓄積は

z Ä 1

に減るからである.z だけの蓄積をするのに要する時間を

h

とすると

(z Ä 1)h = z

である から

h = z=(z Ä 1)

である.したがって至福点へ到達までの遅延は

h Ä 1 = 1 z Ä 1 ô 1

z

この段階で,至福点との効用の差は

B Ä u(c)

であるから,遅延による将来効用の損失は

B Ä u(c)

z

である.もし経済が最適蓄積径路上にあるならば,この変更による現在効用の増加と将来効用の 減少は等しくなっていなければならない.したがってつぎの最適条件を得る.

u 0 (c) = B Ä u(c) z 2.2

一般的な問題

最後に,参考までに,経済学によく出てくる動的計画の一般的な形式を示しておく.

max fvg

Z T

0 å (t)u[x(t); v(t); t]dt + S[x(T )] (19) _

x = f [x(t); v(t); t] (20)

ここで

x

は,貯蓄の問題における

k

に対応し,状態変数と呼ばれ,v は,貯蓄の問題における消 費に対応し制御変数と呼ばれる.問題は,v(t) の時間径路を決めることをとおして状態変数を制 御し,目的関数の値を最大化することである.

次式は,この問題を解くためのハミルトン関数またはハミルトン形式と呼ばれる.

H = å (t)u[x(t); v(t); t] + ïf[x(t); v(t); t] (21)

(5)

ハミルトン形式を用いると,最適解の必要条件はつぎのように表現される.

H v [x(t); v(t); ï (t); t] = 0 (22)

ï= _ Ä H x [x(t); v(t); ï; t] (23)

ï (T ) = S 0 [x(T )] (24)

現代マクロ経済学では,この形式の問題が,社会の最適を求める問題だけではなく,市場経済 における家計の消費行動および企業の投資行動の分析にもしばしば応用される.

参考文献

Frank P. Ramsey (1928) \A Mathematical Theory of Saving." Economic Journal 38: 543{549.

Richard Bellman (1957) Dynamic Programming. New Jersey: Princeton University Press.

Olivier J. Blanchard and Stanley Fischer (1989) Lectures on Macroeconomics. Cambridge, Massachusetts: MIT Press. Chapter 2.

Kenneth J. Arrow and Mordecai Kurz (1970) Public Investment, the Rate of Return and Optimal Fiscal Policy. Baltimore: Johns Hopkins Press.

鬼木  甫(1980)「数理経済学

II」

『経済学大辞典

III』東京: 東洋経済新報社

齋藤  誠(1996)『新しいマクロ経済学』東京: 有斐閣.第2章

資  料

rate of saving multiplied by marginal utility of consumption should always equal to

bliss minus actual rate of utility enjoyed. Ramsey (1928), p. 547.

(6)

付  録

労働と余暇の選択を考慮した場合の問題と最適条件

離散型2期間問題

最大化の目的:  

max

c

1

;c

2

;x u(c 1 ; c 2 ; x) (1)

制約条件:  

c 2 = f (ñ y Ä c 1 ; a Ä x) (2)

最適条件

1.

補助変数による表現

u 1 Ä ïf z = 0; u 2 Ä ï= 0; u x Ä ïf l = 0; f (ñ y Ä c 1 ; a Ä x) Ä c 2 = 0 (3) 2.

補助変数によらない表現

同時条件

u x u 2 = f l

通時条件

u 1

u 2 = f z

技術制約

f (ñ y Ä c 1 ; a Ä x) Ä c 2 = 0

(4)

離散型多期間問題

最大化の目的:

max

fc

t

g;fx

t

g

X T t=1

å t u(c t ; x t ) + S(k T ) (5)

制約条件:  

k t Ä k tÄ1 = f (k tÄ1 ; a Ä x t ) Ä c t ; t = 1; 2; . . . ; T (6)

最適条件

1.

補助変数による表現

å t u c (c t ; x t ) = ï t ; t = 1; 2; . . . ; T å t u x (c t ; x t ) = ï t f l (k tÄ1 ; a Ä x t ); t = 1; 2; . . . ; T ï t+1 [f k (k t ; a Ä x t ) + 1] Ä ï t = 0; t = 1; 2; . . . ; T Ä 1 S 0 (k T ) = ï T

f(k tÄ1 ; a Ä x t ) Ä c t Ä k t + k tÄ1 ; t = 1; 2; . . . ; T

(7)

2.

補助変数によらない表現 同時条件

u x (c t ; x t )

u c (c t ; x t ) = f l (k tÄ1 ; a Ä x t ); t = 1; 2; . . . ; T

通時条件

u c (c t ; x t )

åu c (c t+1 ; x t+1 ) Ä 1 = f k (k tÄ1 ; a Ä x t ); t = 1; 2; . . . ; T Ä 1

終端条件

å T u c (c T ; x T ) = S 0 (k T )

技術制約

f (k tÄ1 ; l t ) Ä c t Ä k t + k tÄ1 = 0; t = 1; 2; . . . ; T

(8)

Referensi

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