第 6 学年 1 組 算数科学習指導案
指導者 T1(コースA)
T2(コースB)
1 単元名 量の単位のしくみを調べよう
2 単元について
(1)単元観
本単元は,学習指導要領の以下に該当する。
児童は,第5学年までに,「長さ」「重さ」「面積」「体積」などの量の意味を理解し,その測定もできるよう になっている。本単元では,小学校における「量と測定」の学習の総括として,メートル法を中核とする計量 一般について学習することを意図している。
量の概念や測定の基礎については,第1学年から「長さ」「体積(かさ)」「面積(広さ)」を扱ってきている。
また,量の単位に関して,「長さ」は第2学年,第3学年において,「体積(かさ)」は第2学年で扱っている。
また,「重さ」は第3学年で,「面積」は第4学年で,「体積」は第5学年で学習した。そして,それぞれの学 習の中で,単位相互の関係についても学習しており,第3学年ではそれまでに学習したいろいろな単位につい て,統合的な視点でまとめを行った。このまとめを引き継ぎ,本単元では,量の単位を振り返って整理し,「メ ートル法」として統合的にとらえさせる。
本単元の学習でまず重視したいのは,これまでに学習してきたいろいろな単位を「メートル法」としてとら え直してその仕組みを理解させ,有用性に気づかせることである。また,適切な単位を選択すること,一般的 な単位の用いられ方を理解することを重視したい。
中学数学には「量と測定」の領域はないので,「量と測定」の学習の仕上げは小学校ですることになる。本 単元のみでそれを行うわけではないが,総括するという意図から考えて,既習の知識を組織的に再生したり,
単位を系列化したりするなど,指導法を工夫していきたい。
B 量と測定
(5)メートル法の単位の仕組みについて理解できるようにする。
〔算数的活動〕(1)
イ 身の回りで使われている量の単位を見付けたり,それがこれまでに学習した単位とどのような 関係にあるのかを調べたりする活動
≪単元の系統≫
2年
(2)児童の実態
本学級の児童は活発で,自ら考えて問題を解こうとする児童が多い。しかし,積極的に発表したり,自主的 に課題に取り組んだりといった算数科の学習に対して前向きな児童は少なく,限られた少数の児童を中心に学 習が進んでいるのが現状である。
算数科の学習について実態調査を行った結果は,以下の通りである。
【調査日12月3日】 調査人数27名(男子12名 女子15名)
観 点 問 題
反応 正当○
誤答×
人数
(名)
意 識 調 査
◆情意面・態度面調査 ◇算数の学習は好きですか。
① 好き
② どちらかといえば好き
③ どちらかといえば嫌い
④ 嫌い
①
②
③
④
6 13
5 3
◇算数の授業で楽しいのはどんなときですか。(自由回答)
①算数の問題を解いているとき・解けたとき ① 17 量と単位のしくみ
・長さの単位とその仕組み
・メートル法の仕組み
・重さの単位とその仕組み
・面積の単位とその仕組み
・体積の単位とその仕組み 5年
水のかさのたんい
・体積の単位とその関係
(dL,L,mL)
長いものの長さのはかり方
・長さの単位とその関係
(km)
2年
3年
面積のはかり方と表し方
・面積の単位とその関係
(㎠,㎡,a,ha,㎢)
長さのたんい
長いものの長さのたんい
・長さの単位とその関係
(㎝,㎜,m)
重さのたんいとはかり方
・重さの単位とその関係
(g,kg,t)
4年
直方体や立方体の体積
・体積の単位とその関係
(㎤,㎥)
6年
②少人数学習のとき
③グループで話し合いを行っているとき
④図形・グラフをかいているとき
⑤得意な学習のとき
②
③
④
⑤
4 3 3 2
◇問題を自分で考えて解こうとしていますか。
① そうしている
② できるだけそうしている
③ あまりそうしていない
④ そうしていない
①
②
③
④
8 19
0 0
◇考えをみんなの前で話すのは好きですか。
① 好き
② どちらかといえば好き
③ どちらかといえば嫌い
④ 嫌い
①
②
③
④
1 9 12
5
◇ノートをどのように書いていますか。
① 自分なりの言葉や図を使ってわかりやすく書いている。
② 黒板をていねいに写している。
③ 黒板をだいたい写している。
④ あまり書いていない。
①
②
③
④
9 9 8 1 前
提 テ ス ト
◆面積や体積の単位 の意味を分かってい るか。
( )にあてはまる単位を書きましょう。
①1辺が1㎝の正方形の面積は,1( )です。
②内のり縦,横,高さが10㎝の入れ物の容積は1( ) です。
③1辺が1mの立方体の体積は1( )です。
① ○
×
② ○
×
③ ○
×
21 6 4 23 15 12
◆身近な量について,
適切な単位を選ぶこ とができるか。
次の量を表す単位を書きましょう。
①机の高さ 70( )
②国語辞典の重さ 800( )
③キャラメルの箱の体積 140( )
④算数の教科書の厚さ 5( )
⑤はがきの面積 150( )
⑥家の浴そうの容積 120( )
① ○
×
② ○
×
③ ○
×
④ ○
×
⑤ ○
×
⑥ ○
×
25 2 25
2 15 12 13 14 10 17 7 20
◆基本的な単位の関 ( )にあてはまる数を書きましょう ① ○ 16
係が分かっているか。 ①125㎝=( )m
②3㎏80g=( )㎏
③1㎡=( )㎤
④1㎥=( )㎤
⑤1L=( )㎤
⑥1㎤=( )mL
⑦1a=( )㎡
⑧1㏊=( )㎡
×
② ○
×
③ ○
×
④ ○
×
⑤ ○
×
⑥ ○
×
⑦ ○
×
⑧ ○
×
11 2 25
6 21
6 21
6 21
4 23
8 19
6 21 事
前 テ ス ト
◆補助単位のk(キ ロ)の意味が分かって いるか。
( )にあてはまる数を書きましょう。
①㎞や㎏などkは,mやgと組み合わせて,mやgの( ) 倍の大きさの単位を表しています。
① ○
×
6 21
(考察)
本学級の児童の7割が「算数が好き・どちらかといえば好き」と回答した。一方,「算数が嫌い・どちらか といえば嫌い」と回答した児童の理由としては,「計算が苦手」「図形が苦手」「算数に苦手意識があり,理解 が進まない」という意見が見受けられた。児童は算数の授業においては,「計算をしているとき」「問題を解い ているとき」が楽しいという意見が多かった。授業で算数の問題に取り組むことに楽しみを見出している児童 が多く,またそれらを解決できることに達成感を感じているようである。算数の問題に対してはすべての児童 が自力解決を目指すと回答しており,前向きな学習態度であると考えられる。他方で,問題解決に至る考えを みんなの前で話すことに対しては苦手意識を持っている児童が多く,その理由のほとんどが「うまく話せない」
「間違っていると恥ずかしい」というものであった。ノート活用については,算数科の学習に自分なりに工夫 してノートを活用できている児童は3割程度であり,ほとんどの児童は黒板を写すだけに留まっている。ノー ト指導もこれからの課題となる。
前提テストの結果を見ると,設問2のような量感を確かめる問題については,身近なものを取り上げた問題 であったのでほぼ半数以上の児童が正しい単位を選択することができた。しかしながら,設問1・3・4のよ うな面積や体積の単位の意味や単位相互の関係に関する問題の理解が低く,本単元の学習においては,既習事 項から丁寧に指導をしていく必要がある。
(3)指導観
本単元の内容は,ほとんどが既習事項であり,新たな内容の獲得はなく,問題解決のために思考する場面も 少ない。そこで,無味乾燥な学習にならないように,指導の方法には特に工夫をしたい。
まず,いろいろな単位についての理解があいまいな児童には,個々の単位の読み方,書き方,その大きさ,
単位相互の関係を思い出させ,しっかりとおさえさせる。その際,単位相互の関係については,くれぐれも知 識の詰め込みや記憶一辺倒な指導に陥らないように注意する。具体的な操作活動を取り入れるなどして,それ ぞれの単位の量感を身につけられるように注意をはらい,個々の理解度に応じた丁寧な指導を心がけるように する。
また,それぞれの単位を理解し,単位相互の関係を理解した上で,適切な単位を選択したり,一般的にどの ようなときにどのような単位が使われているかを知る学習も大切である。具体物や身近なものを取り上げ,児 童の意欲や算数科学習に対しての興味が高まるような授業にしていきたい。
そして,これまでばらばらに学習してきた長さと重さの単位を,メートル法としてまとめてとらえ,さらに,
長さの単位を基に面積や体積の単位が構成されていることをまとめる。このように単位の仕組みを統合的に理 解し,「量と測定」の学習の総仕上げとするようにしたい。
量を感覚的に把握する力の弱さ,数の概念の未熟さなどが見受けられる児童には,1㎠,1㎡の正方形の紙 や,1㎤,1㎥の立方体の形のものに触れたり,1辺に1㎠の正方形や1㎤の立方体が何個並んでいるかを数 えたりする操作活動を取り入れ,より丁寧な指導を行いたい。
3 単元の目標
◎メートル法とその単位の仕組みについて統合的に理解し,測定においてこれらの単位を有効に用いること ができる。
・メートル法の仕組みのよさに気づき,身の回りで使われている量の単位について調べようとする。
(関心・意欲・態度)
・メートル法の単位の仕組みを基に,新しい単位に対して類推して,その大きさを考えることができる。
(数 学 的 な 考 え 方)
・いろいろな量の測定値を適切な単位を用いて表すことができる。 (技 能)
・メートル法の仕組みについて理解する。 (知 識 ・ 理 解)
4 指導計画 6時間扱い(本時 4/6)
時 目 標 学 習 活 動 評 価 規 準
一 次 四
次 五 次 六
次 1
プロローグ ○既習の単位や計器を振り返る活動を通して,単元の課題をとらえる。
○長さの単位とそ の仕組みについて 理解する。
・長さの単位とその仕組みを調べる。
・基本単位と補助単位の関係を知り,メー トル法の単位が十進法の仕組みになってい ることをまとめる。
・「「算数のおはなし」を読み,長さの単位 の歴史とメートル法の誕生について知る。
・接頭語と基本単位に着目して メートル法の仕組みをとらえ て考えている。(考)
・長さの単位とその仕組みを理 解している。(知)
1
○重さの単位とそ の仕組みについて 理解する。
・重さの単位とその仕組みを調べる。
・前時の長さの単位と仕組みが共通である ことをおさえ,メートル法の単位の仕組み をまとめる。
・適切な単位を用いて重さを表 すことができる。(技)
・重さの単位とその仕組みを理 解している。(知)
1
○面積の単位とそ の仕組みについて 理解する。
・面積の単位とその仕組みを調べる。
・面積の単位は,長さの単位を基に構成さ れていることをまとめる。
・適切な単位を用いて面積を表 すことができる。(技)
・面積の単位とその仕組みを理 解している。(知)
1
( 本 時
)
○体積の単位とそ の仕組みについて 理解する。
・体積の単位とその仕組みを調べる。
・体積の単位「cL」「kL」を知る。
・水 1000㎤の重さが 1㎏であることを知 り,体積の単位と重さの単位の関係を調べ る。
・「算数のおはなし」を読み,Mやμなどの 接頭語について知る。
・メートル法の単位の仕組みの よさに気づいている。(関)
・適切な単位を用いて体積を表 すことができる。(技)
・体積の単位とその仕組みを理 解している。(知)
2
○外的な活動を通 して学習内容の理 解を深め,量の単 位についての興味 を広げる。
・〔やってみよう〕単位計算尺を作り,それ を使って,単位換算をする。
・学習内容を適切に活用して,
活動に取り組もうとしている。
(関)
5 本時の指導(4/6)
(1)目標
・メートル法の単位の仕組みのよさに気づく。 (関心・意欲・態度)
・適切な単位を用いて体積を表すことができる。 (技 能)
・体積の単位とその仕組みについて理解する。 (知 識 ・ 理 解)
(2)授業観
既習の体積の仕組みをまとめていく。そして,単位の関係から,接頭語c,kは体積についてではなく,基 にする長さに対してのものであることをとらえ,体積は長さを基にした組立単位であることをおさえる。また,
これまで学習してきた接頭語の意味を基に,cL,kLなどが表す大きさについて考える。さらに,歴史的に は水1000㎤の重さを1㎏と決めたことを知らせ,水の重さと体積の関係についておさえる。
1m=100㎝は分かっていても,1㎥=1000000㎤となると,イメージをつかめず間違いが多くな る。1㎤と1㎥の立方体の箱を用意し,1㎥の立方体の1辺に1㎥の立方体が100個並んでいることを示す などして,大きさの関係を視覚的に印象づけたい。
本時の課題を自力解決するためには,既習内容を活用することが必要となる。前提テストで面積や体積の単 位の意味や関係に関する問題に苦戦している児童が見られた。そのために事前に面積や体積の単位の意味や関 係についての既習内容を復習させ,双方に深い関わりがあることを意識させたい。
学び合いの活動として,隣同士などグループでの活動を取り入れ,児童同士での交流を積極的に行わせる。
考えを伝え合うだけではなく,一緒に考えさせたりすることで,お互いの理解を深めさせたい。さらに,児童 の発表の機会を多く設ける。その際も,一人の児童にすべての発表を行わせるのではなく,グループでの活動 を全体に伝える機会として複数で考えを伝える発表の場としたい。児童一人一人の活躍の場を増やし,全員が 授業に能動的に参加することを目指したい。
さらに「算数のおはなし」を読み,単位の前につく様々な接頭語についても理解させたい。科学技術の進歩 に伴い,より広範な大きさを表す接頭語が必要となったことを知らせる。M(メガ),G(ギガ)などは,コ ンピュータ関連器機の容量やデータの大きさを表す際に用いられ,児童にも身近であると思われる。これらの 礼を用いてメートル法における接頭語としてとらえられる助けとしたい。
(3)展開
時配(分) 学習内容と学習活動 指導・支援 ○評価(方法) 資料
5
1
5
2
【見出す】
1 課題を確認する。
2 学習問題を設定する。
【調べる】
3 これまでに学習した体積の単位について,関 係をまとめる。
・1㎤を基準として10倍,その10倍,その1 0倍,その10倍,その1000倍の関係になっ ている。
・体積の単位も,長さの単位が基になっている。
・立法体の1辺の長さが10倍になると,体積は 1000倍になる。
4 立方体の1辺の長さと体積の関係を整理す る。
・1Lのペットボトルと1mLの計量 スプーンを提示し,体積の単位とその 仕組みについて身近なものを扱って イメージさせる。
・1000mLが1Lであることを知 らせる。
・1㎤と1㎥の立方体を提示し,体積 の関係を視覚的にとらえられるよう にする。(コースA)
1 L の ペ ッ ト ボトル 計 量 ス プーン 水
1㎤と 1㎥の 立方体
掲 示 用 体 積 の 単 位 の し く み の図
児 童 用 体 積 の 単 位 の し く み の図
体積や容積の単位とそのしくみについて調べよう。
1Lは1mLの何倍になっているのだろうか。
10
5
5
体積や容積の単位についてまとめたものを活用 して,立方体の1辺の長さが10倍になると,体 積は何倍になるかを考える。
【深める】
5 体積の単位の仕組みをまとめる。
6 cL,kLの大きさを考える。
7 水の重さと体積の関係について調べる。
重さの単位と体積の単位の間には,どんな関係が あるか調べる。
水1000㎤の重さは1㎏であることを基に,表 の空欄にあてはまる数を書き込む。
・体積の単位のしくみの表の空欄を埋 めさせて,立方体の1辺の長さが10 倍になると,体積は1000倍になる ことを確認する。
・「立方米」「立米」についてふれさせ る。
○メートル法の単位のしくみのよさ に気づいている。(発言・観察)
○体積の単位とその仕組みを理解し ている。(観察・発表)
・体積の単位のしくみの表で埋められ なかった容積の空欄を取り上げ,cL とkLという単位を知らせる。
・メートル法の仕組みの基に,cLは Lの 1
100倍,kLはLの1000倍の 大きさであることをとらえさせる。
・cLは,日本では使われていないが,
ヨーロッパでは使われていることを 知らせる。
○適切な単位を用いて体積を表すこ とができる。(発表・発言)
・歴史的に,水1000㎤の重さを1
㎏と決めたことを知らせる。
・実際に計測させ,量感をつかませる ようにする。(コースA)
掲 示 用 体 積 の 単 位 の し く み の表
児 童 用 体 積 の 単 位 の し く み の表
c L 標 記 の ペ ッ ト ボ トル
1 L の 水 の 入 っ た ペ ッ ト ボ トル 計量器
掲 示 用 容 積 の 単 位 の し く み の表
配 布 用 容 積 の 単 位 の し く み の表
5
2
5
8 体積や容積の単位とそのしくみについての 練習問題に取り組む。
【まとめあげる】
9 本時の学習のまとめをする。
10 「算数のおはなし」を読み,単位の前につ く,大きさを表すことばを考える。
・コースAとコースBでは,それぞれ のコースに相応しい難易度の問題を 用意し,取り組ませる。
・科学技術の進歩に伴い,より広範な 大きさを表す接頭語が必要になった ことを知らせる。
・M(メガ),G(ギガ)などは,コ ンピュータ関連機器の容量やデータ の大きさを表す際に用いられ,児童に も身近であると思われる。これらの例 を用いてメートル法における接頭語 としてとらえられるようにしたい。
練 習 問 題 用 プ リント
C D - R
U S B メ モ リ ー
(4)板書計画
学習問題
体積や容積の単位とそのしくみについて調べよう。
水の重さと体積の関係について調べよう。
単位の前につく,大きさを表すことば
体積の単位も,長さの単位のしくみ(メートル法)をもとにしてつくられている。
まとめ
体積の単位も,長さの単位のしくみ(メートル法)を もとにしてつくられている。