第6学年○組 国語科学習指導案
指導者 I.N
<単元名> 新しい世界を求めながら読もう『ぼくの世界,きみの世界』
<育てたい力>
○筆者の考えと自分の考えを比べながら読むことができる。<関心・意欲・態度>
○書かれている内容について事象と感想,意見を押さえ,自分の考えを明確にしながら,筆者の考えと 自分の考えを比べながら読むことができる。 <読むこと>
○自分の問題意識に応じてさまざまな分野の本を読み,自分の考えを広げたり深めたりする。
<読むこと>
○接続語や指示語に注意して文章を読むことができる。<言語事項>
<指導要領との関連>
<児童の実態>
調査6月3日(水)本学級の児童は,男子19名,女子15名である。授業中の発言が活発で,誰かの意見に賛成したり,
反論したりしながら議論をする様子も見られるようになってきた。以下,アンケート調査の結果等によ る実態である。
1 国語科に関する実態
①国語の学習の中でどの学習が好きですか。好きなもの全てに○をつけましょう。
音読→12人 読み取り→9人 作文→8人 詩→9人 漢字→17人 スピーチ→11人 ノートに書くこと→9人 話し合い→18人
②説明文と物語文とでは,どちらが好きですか。また,その理由も書きましょう。
物語文→31 説明文→3人 理由
<物語文>
・続きが楽しみだから
・主人公の気持ちが想像できて楽しいから。
・現実ではあり得ないようなことなど,いろいろ 想像できるから。
・物語に入っているような気になれるから。
<説明文>
・いろいろなことを知ることができるから。
・人に説明するのが好きだから。
③読書は好きですか。
好き→31人 嫌い→3人
④どんなジャンルの本が好きですか。
伝記→11人 ファンタジー→21人 物語→21人 昔話→9人 歴史→12人 スポーツ→12人 科学→6人 図鑑→11人
C 読むこと (1)
ア 自分の考えを広げたり深めたりするために,必要な図書資料を選んで読むこと。
エ 書かれている内容について事象と感想,意見の関係を押さえ,自分の考えを明確に しながら読むこと。
2 教材に関する実態
①あなたは「自分」について考えたことがありますか。
ある→16人 ない→18人
②どんな内容か(①で「ある」と答えた児童)
・将来の自分 ・前世について ・みんなはなぜ自分とちがうのか。・なぜ人間は生きているのか。
・人と比べて自分はどうなのか。 ・自分が死んだあとはどうなるのか。
③文章中の筆者の意見と意見の根拠となる段落がどこかを問う問題を出題した。
(正答者数) ・筆者の意見→17人 ・意見の根拠→18人 3 考察
1の結果から,本学級の児童は,「漢字」や「話し合い」には5割程度の児童が好きと答えているが その他は3分の1程度にとどまった。一人一人の回答をみると,国語に関心が高い児童は,○をつける 数が多く,そうでない児童は少なかった。学級全体としては,国語に対する関心の個人差が大きいと考 えられる。
2の結果から,「自分」について考えたことのある児童は約半数だった。「人と比べて自分はどうなの か。」や「自分が死んだあとはどうなるのか」「なぜ,人間は生きているのか」など本教材の主題でもあ る「個としての自分への気づき」と関連している内容が挙げられた。残りの半数は,考えたことがない と答えており,これらの児童が筆者の言う「自分には,自分だけの心の世界がある」という言葉の意味 にどれだけ迫れるかが,重要であると考える。また,どのような根拠に基づいて筆者が主張をしている のかをていねいに読みとることも必要である。
読書は,物語の要素を含む本に偏っているのが実態である。
<単元について>
本教材は,「個としての自分への気づき」について,筆者の体験談を交えて書かれた論説文である。
本文は平易で,体験談も身近な例え話が使われているため,表面上の理解はしやすい文章になっている。
しかしながら,筆者が初めに感じた「自分には自分だけの心の世界がある」を「一人きりの自分」つま り孤独感と結びつけられなければ,人と人とは感じ方が違うので心を伝え合う努力が必要だという表面 上の理解に留まってしまいかねない。指導書の「筆者の言葉」に書かれているように,本文全体を「『孤 独』が自覚される瞬間」としてとらえ,他者が持っている「自分だけの心の世界」を全て知ることはで きないからこそ「心を伝え合う努力」を続ける必要があるという視点で主題に迫る必要があると考える。
本単元「新しい世界を求めながら読もう」は,筆者の考え方を筋道を立てて述べた論説文教材と,そ こから喚起された問題意識を発展させ,読書活動につなげる教材を組み合わせた読書単元である。『ぼ くの世界,きみの世界』では,筆者の考え方を読解した上で,筆者に対して,共感・反論・どちらでも ない,の立場をはっきりとさせて意見文を書き,文章と対話しながら読むことの楽しさを味わわせたい。
その体験をもとに,「新しい世界と出会おう」で,テーマ読書をして,物語文に偏っている読書傾向か ら今までにあまり触れる機会のなかったジャンルに目を向けさせていきたい。
本教材では,筆者に対して共感できるかできないかが,はっきりと分かれることが予想される。筆者 が問題にしている「孤独感」は,人によってはまったく問題にする必要がないものかもしれない。二極 化するであろう立場を利用し,あくまで筆者の議論をよく理解した上での意見文を書くことで,筆者の 世界観だけでなく自分の世界観にもせまれるようにしたい。
筆者の考えに対して意見文を書こ
「楽しく力のつく国語学習」
自分から本に手をのばす ア 読んだことを豊かに表現する(仮説2)
・筆者と対話するつもりで,賛成したり,考え込 んだり反論しながら読み進めさせる。具体的に は,共感,反対,どちらでのないの立場をはっ きりさせて意見文を書かせたい。
イ 声に出して楽しく読
む・繰り返し音読することで,筆者の考え(キーワ ード,キーセンテンス)を明確につかむ。
ア読んだことを豊かに表現する イ声に出して楽しく読む ウ言葉に関わって読む
新出漢字が書ける 難語句の意味が分かる エ 指導に生かす評価をする
一人読みができる子
ウ 言葉にかかわって読む
・特に文と文や段落同士をつなぐ接続の関係に注 目させて読ませたい。
(例 「もちろん」「例えば」「結局」等)
・「~理解し合えないのだろうか。」
→「そうではない…」の部分に注目させたい。
エ 指導に生かす評価をする。
・ノートやワークシートにより,児童のつまずき を把握する。
読書の日常化 ぼくの世界、きみの世界
西研
(一)別々の心
うす暗い電球
・ほかの人にも同じように見えている保証はどこにもない。
例えば甘みや痛みについて
・ 「
程 度
」 が ち が っ て い る
・まったくちがった感覚
結局…つまり
☆人と人は、永遠に理解し合えないのだろうか。
(二)☆言葉のキャッチボール
そうではない,とぼくは思う。
・同じように感じているところ
・感じ方のちがい
☆言葉や表情をやりとりすること
(三)「ぼくの世界、きみの世界」
☆「自分には、自分だけの心の世界がある」
「一人きりの自分」
だからこそ人は
☆心を伝え合うための努力を始める さびしい 不安 心細い感じ不思議
独りぼっち置き去り
=
<指導計画>
(9時間扱い)時 主 な 学 習 活 動 留 意 点 (◇) 評 価 (☆)
〈1〉 ○「学習のとびら」を参考にして,単元全 体の内容を確かめる。
○教師の範読を聞き,初発の感想を書く。
○難語句について押さえる。
◇「新しい世界を求めながら読もう」という単 元名から,自分たちの考え方を広げたり深め たりするための読書をすることをつかませ,
学習の見通しを持たせる。
☆自分の感想持つことができたか。
〈2〉
本時
○文章の姿をつかむ。
○筆者の考えをつかみ,自分意見を持つ。
◇全文を大きく3つに分けて大きな段落ごとに 内容をつかんでいくことを知らせる。
◇段落ごとにタイトルを決めることで,文章の 全体の大まかな流れをつかませる。(仮説1)
☆筆者が言いたいことを大まかにとらえること ができたか。
〈3〉 ○「うす暗い電球事件」「あまみ,痛み」の 例を通して,筆者が伝えたいことをつか み,自分の考えを持ち意見文を書く。
・自分が感じていることを,他の人が同じ ように感じている保証はどこにもない。
(不思議・心細い感じ・不安・
一人ぼっち・置き去り)
・人と人とは,永遠に分かり合えないのだ ろうか。
◇キーワード・キーセンテンスに線を引かせて から話し合う。
☆筆者の伝えたいところに線が引けたか。
◇筆者の意見に対して,共感・反論・どちらで もないのいずれかの立場をはっきりとさせて 意見文を書かせる。(仮説2)
☆筆者の意見に対する,自分の意見を文章に書 くことができたか。
◇小黒板に,ネームプレートを貼り筆者対して 共感・反対・どちらとも言えないの立場をは っきりとさせる。また,学習の進展に伴い立 場が修正できるようにしておく。(仮説2)
☆主題をとらえることができたか。
〈4〉 ○「言葉のキャッチボール」について,「好 きなアニメの例」などを通して理解して,
自分の意見を書く。
・「言葉のキャッチボール」をすることで,
同じように感じているところや,感じ方 の違いに気づく。
・言葉や表情のやりとりで,心を伝え合っ ている。
〈5〉 ○「自分だけの心の世界」「一人きりの自分」
「心を伝え合うための努力」 これらの 言葉に注意して筆者の意見をつかみ,意 見文を書く。
〈6〉~〈8〉
〈9〉
○自分の問題意識に応じて,様々な分野の 本を読み,自分の考えを深める。
○読んだ本の紹介や,テーマについて考え たことを書き紹介し合う。
◇各自のテーマを決めてから,本探しをする。
(仮説3)
☆読みとったことを短くまとめて,紹介するこ とができたか。
<本時の展開>(2/9)
(1)育てたい力
○自分の考えを持ち,進んで話し合いに参加しようとする。 <関心・意欲・態度>
○筆者の考えを知るために文章全体の姿をとらえることができる。 <読むこと>
○接続語や指示語に注意して文章を読むことができる。 <言語事項>
(2)展 開
時配 学 習 活 動 と 内 容 留意点(◇) 評価(☆)
10
2
25
3
3
2
○本文を音読する。
○本時のめあてを確認する
ぼくの世界,きみの世界の文章全体の姿 をつかもう。
○全体の構成を確認しながら,筆者の考えを おさえていく。
①「うす暗い電球事件」や「あまみ,痛み」
の例で筆者が伝えたいことをつかむ。
・人と人とは永遠に
理解し合えないのだろうか。
(心細い感じ ひとりぼっち)
②「好きなアニメ」の例で筆者が伝えたいこ とをつかむ。
・言葉のキャッチボール
・言葉や表情のやりとりで心を伝え合う。
③主題
・「一人きりの自分」
↓だからこそ!
・心を伝え合うための努力を始める。
○文章全体の姿をつかんだ上での,筆者の考 えに対して自分の立場を確認する
○これからの読みのめあてをつかむ。
○今後の読みのポイントに触れる。
・「心を伝え合うための努力」をすれば「一 人きりの自分」ではなくなるのか。
○次時の予告をする。
◇段落ごとに指名し音読をさせる。
◇音読を聞きながら,キーワード,キーセンテ ンスに線を引かせる。
◇全体を大きく3つに分けて読んでいくことを 確認する。
◇象徴的な言葉や事件に着目させ,小見出しを 考えられるようにする。
◇想像する手助けになるように挿絵を使う。
◇本文中の感情を想像させる言葉に注目する。
(不思議,心細い感じ,ひとりぼっち,置き去 り,不安)
◇キーセンテンスの絞り込みを行い,考えを明 確にさせる。
◇文と文との接続や,文末表現に注意して読ま せる。
☆筆者の考えをつかみ,進んで発表することが できたか。
☆文章全体の姿をつかむことができたか
◇小黒板にネームプレートを張らせ共感・反 論・どちらともいえないの立場をはっきりさ せる。
◇疑問点を持たせることで,次時からの読み取 りに関心をもたせ,より深い主題に迫ること ができるようにする。
筆者の考えを読み取り,自分の考えを意見文に書こう。
「ぼくの世界,きみの世界」 ~学習を振り返ろう~
氏名( )
(◎ ○ △で書きましょう。 )
1/9 自分の感想をもつことができましたか。
2/9
筆者の言いたいことを大まかにとらえることができましたか
※今日の自分の立場( 共感 ・ 反論 ・ どちらともいえない )
3/9
筆者の意見に対して,自分の意見を書くことができましたか。
※今日の自分の立場( 共感 ・ 反論 ・ どちらともいえない )
4/9
筆者の意見に対して,自分の意見を書くことができましたか。
※今日の自分の立場( 共感 ・ 反論 ・ どちらともいえない )
5/9
筆者の意見に対して,自分の意見を書くことができましたか。
※今日の自分の立場( 共感 ・ 反論 ・ どちらともいえない )
6/9
自分の興味にしたがって読書をすることができましたか。
読みとったことを短くまとめて友だちに紹介することができましたか。
7/9
自分の興味にしたがって読書をすることができましたか。
読みとったことを短くまとめて友だちに紹介することができましたか。
8/9
自分の興味にしたがって読書をすることができましたか。
読みとったことを短くまとめて友だちに紹介することができましたか。
9/9
自分の興味にしたがって読書をすることができましたか。
読みとったことを短くまとめて友だちに紹介することができましたか。
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自分は自分,他人じゃない 吉本由美 ポプラ社
「自分の木」の下で 大江健三郎 朝日新聞社
ぼくを探しに
シェル・シルヴェスタイン 倉本由美子 訳
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ひとりじゃないよ 一緒だよ
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自立ってなんだろう 北沢杏子 岩崎書店
TN君の日記 なだ いなだ 福音館書店
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