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2019 年度 独創的研究助成費 実績報告書

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別記様式第4号

2019 年度 独創的研究助成費 実績報告書

2020年3月31日 報 告 者 学科名 栄養学科 職 名 教授 氏 名 山本 登志子

研 究 課 題 乳汁中の脂質の質と栄養学的意義

研 究 組 織

氏 名 所 属 ・ 職 専 門 分 野 役 割 分 担 代 表 山本 登志子 栄養学科・教授 生化学 研究総括,実施全般

分 担 者

岡﨑 愉加 看護学科・准教授 助産学 助産診断,統計処理

研究実績 の概要

近年,胎児期や乳児期などの早期ライフステージの栄養や環境要因が,成人期の健康や,

高血圧,糖尿病,心血管疾患などの疾病発症に大きく影響することなどが注目されている.

早期ライフステージの栄養や環境と,体質や将来の疾病罹患リスクとの関連を含めた概念 が,DOHaD (Developmental Origin of Health and Desiease)学説である.この概念をも とに,乳児期の主要な栄養源である乳汁の質が個人の体質変化や健康状態を決定すると考 えられる.離乳前の乳児の主たる栄養源は乳汁であり,具体的には,ヒト母乳(人乳)か 牛乳由来人工粉乳がほとんどである.人乳には,生体防御に関わるタンパク質由来成分が 豊富であることや,利用効率の良い糖質が多く含まれることが知られているが,脂質は,

水分を除く人乳中成分のうち約3割を占めているにもかかわらず,エネルギー源以外での 関心が少なく,脂質成分の生体への意義については未解明な部分が多く残されている.脂 質成分の中には,機能性を有するω6系脂肪酸のアラキドン酸や,ω3系脂肪酸のイコサ ペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)と,それらの代謝産物が含まれる.ア ラキドン酸代謝産物は,恒常性の維持にも重要な反面,プロスタグランジンやロイコトリ エンと呼ばれるω6系脂肪酸由来の炎症誘導性脂質メディエーターは,様々な炎症性疾患 や免疫系への関与が知られている.一方,最近, EPAやDHA由来のレゾルビンやプロテク チンと呼ばれるω3系脂肪酸由来の炎症収束性脂質メディエーターが同定され,慢性炎症 を回避する役割が明らかとなってきた.早期ライフステージにおけるこのような機能性を 有する脂質成分のバランス,すなわち「脂質の質」が,個人の体質やその後の健康に影響 することは間違いない.

次ページに続く

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研究実績 の概要

本研究において,ヒトとウシなど種間の乳汁中脂質成分プロファイル比較と,機能性脂 質含有比を分析し,それを調節する機構解明を目的とした.特に人乳中に炎症収束性脂質 メディエーターの存在を明らかにし,牛乳に比べても高い含有量を見出した.加えて,牛 乳にはみられない炎症収束性の脂質メディエーターが人乳には非常に高く含有されてい ることを発見した.この炎症収束性脂質メディエーターが,食品中に存在することが報告 された例はなく,この意味でも新しい発見である.また,ω6系とω3系脂肪酸代謝産物 比は,食事内容によっても変化する事が示唆された.さらに,マウスの妊娠期から授乳期 における乳腺を採取し,脂質成分プロファイルに加え,生化学的,組織化学的解析を行っ たところ,脂肪酸の供給に関わるホスホリパーゼや脂質メディエーター合成に関連する酵 素群の中で,乳腺の発達と相関する酵素を見出した.今後は,これら酵素の乳汁産生・分 泌,そして乳汁中脂質の質における役割の解明を目指す.これにより,乳汁中脂質の質の 制御に重要な因子を明らかにし,早期ライフステージにおける脂質の栄養学的意義の解明 に寄与したいと考える.

成果資料目録

1. 山本登志子.エイコサノイドの生合成系とその役割.ビタミン,93(4), 164-5, 2019.

2. 山本登志子,長崎祐樹,白岡咲,戸田圭祐,津嘉山泉,川上祐生,高橋吉孝,岡﨑愉 加.乳汁中生理活性脂質と乳腺炎との関係.OPUフォーラム2019,岡山県立大学,

岡山,2019年5月29日.

3. 山本登志子.エイコサノイドの生合成系とその役割.日本ビタミン学会第71回大会.

シンポジウム,とりぎん文化会館,鳥取,2019年6月7-8日.

4. Toshiko Suzuki-Yamamoto. Food Function Targeting Arachidonate Cascade for Prevention of Chronic Inflammation. Kasetsart University & Okayama Prefectural University Joint Workshop 2019, , Okayama, Japan, 14 June 2019.

5. 長崎祐樹,白岡咲,戸田圭祐,津嘉山泉,山本登志子.人乳と牛乳の脂質プロファイ ル比較.第55回おかやまバイオアクティブ研究会シンポジウム第21回学生プレゼ ンテーション, 岡山大学,岡山,令和元年7月9日.(学生プレゼンテーション賞受 賞)

6. 長祐祐樹, 川井 恵梨佳, 田中充樹, 戸田圭祐, 津嘉山泉,川上祐生, 高橋吉孝, 岡﨑 愉加, 三木 寿美,山本 圭, 村上 誠, 山本 登志子.ヒトとウシの乳汁中脂質プロファ イル解析.第92回日本生化学会大会,パシフィコ横浜,横浜,2019年9月18-20 日,2019.(口頭発表採択)

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