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FT-ICR 質量分析装置による Si クラスターと NO および C2

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Academic year: 2025

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FT-ICR 質量分析装置による Si クラスターと NO および C

2

H

4

の 化学反応

(1.東大工・2.東大院工)○河野正道1・井上修平2・丸山茂夫1,2

Chemical reaction of Silicon clusters with NO or C

2

H

4

by FT-ICR mass spectrometer.

(The Univ. of Tokyo) ○M. Kohno, S. Inoue and S. Maruyama  

【はじめにはじめにはじめにはじめに】Siクラスターの幾何構造に関する研究は、理論,実験両面からの多くのアプロ ーチが進められているが、比較的サイズが大きなSiクラスターではクラスターの生成自体が 容易でないうえ、分光学的手法の適用は困難であり、化学反応性の測定が有用な手法となる。

またSiクラスターの化学反応性に関する研究においては、過去にエチレンとの反応実験がイ オンドリフトチューブ(1)およびFT-ICR質量分析装置(2)を用いて行われたが、両者の結果の間 に違いが生じていたため、再検討の必要があった。今回はFT-ICR質量分析を用いてSiクラ スターとNOおよびC2H4の化学反応実験やレーザーアニーリング実験・光解離実験等を行い、

Siクラスターの構造や反応ガスの種類による反応機構の違い等を検討したので報告する。

【実験実験実験実験】FT-ICR質量分析は強磁場中でのイオンのサイクロトロン運動に着目した質量分析で

ある.Si クラスターイオンは,レーザー蒸発超音速膨張クラスター源によって生成され,

6Teslaの超伝導磁石内のICRセルに直接導入される.この際にヘリウムとともに超音速で飛

行するクラスターイオン群を減速し,電場を用いることによってICRセル内にトラップする。

セ ル に ト ラ ッ プ さ れ た ク ラ ス タ ー に 対 し SWIFT (Stored Waveform Inversed Fourier Transform)という手法を用い,目的とするサイズ以外のクラスターをセルから追い出した後 にクラスターの内部温度を下げるためArガス(1×10-5Torr 室温)を導入した。その後、反応実 験を行う場合は反応ガスを導入し、また光解離実験を行う場合は355nmのレーザー光を照射 した。

【結果と考察結果と考察結果と考察結果と考察】Si クラスターとエチレンの反応では既に報告(3)したように,生成物のできか たにはいわゆるマジックナンバー的なものがあることが分かり,水素原子が吸着することに より反応性の高いサイトが埋められてしまうと反応がそれ以上進まないことが確認された.

また本研究で反応実験を行った範囲(11~30量体)において,その反応定数の傾向が過去に行わ れたイオンドリフト実験(1)と定性的にほぼ一致した結果が得られた.エチレンガスとSiクラ スターの反応は概ねエチレン分子が単純に化学吸着していくものであったため、Si クラスタ ーとエチレンガスの反応では,エチレン分子が自らのダブルボンドを切ってクラスターに存 在する反応活性なサイト(ダングリングボンドをもつSi原子)と結びつくことにより安定な 状態に落ち着くという反応機構が考えられる.

Fig.1にサイズ選択後に10-5 TorrのNOと10s反応させた場合の結果を示す.Si21+

と24量 体以上では Si原子が一つとれて N 原子に置き換わっているが,20,22,23 量体の場合は、よ り小さなサイズに壊れた.Si21と24 量体以上の場合には,式(1)のようなSi原子の引き抜き 反応が起きると考えられる.

Sin+ + NO →→→→ Sin-1N+ + SiO (1)

さらに 20,22,23 量体についても,生成物は常に N原子を持つことから初期的には式(1)の引

き抜き反応が起きていると考えられる.その後、サイズの大きなクラスターは反応による発 熱エネルギーを自分の振動モードで吸収することで構造を保つことができるが,サイズの小 さなクラスターでは,反応熱を自分の振動で吸収しきれないため,そのエネルギーを逃がす ために解離に至ってしまうとも考えられる.しかし,20,22,23量体の場合と21量体及び24 量体以上のサイズで反応の様相が極めて顕著に変わることや、JarroldらがSiクラスターのイ オンドリフト実験(4)において25量体前後で構造が変化すると報告していることを考慮すると,

もともとの幾何学構造が異なっているということも十分考えられる.

  Fig.2 に紫外レーザーによる解離実験の結果を示す。反応実験と同じく,SWIFT によりあ

(2)

るサイズを残し、解離レーザー(Nd:YAG, 3rd harmonic)を照射した.parent は壊れなかった 親イオンであり,それより小さなサイズのク ラスターが解離により生成されている.この 結果は過去に行われたレーザーによる解離実 験(5)や,希ガス分子との衝突による解離実験(6) の結果とほぼ完全に一致しており,この結果 から 21量体や24量体以上でも同程度の割合 で解離すること,また,22,23量体ではほぼ 同程度の量の二種類に壊れることが分かる.

さらに、レーザー解離と希ガスとの衝突解析 の結果が一致することから、Fig.2のプロセス は単純な熱的プロセスと考えられる。反応に よる解離パターンからはこのように二種類の 解離パターンを示すものは見られないこと、

レーザー解離においては、24 量体以上のサイ ズでも特別に解離しにくいこともないことか ら一見、反応による解離プロセスは熱的なプ ロセスでは説明できないかに見える。一方、

例えばSi22+が式(1)の反応でSi21N+となり、付 加した N 原子がクラスターの解離過程には影 響していないと考えると、Fig.2 の Si21+

→ Si11+ + Si10と良く対応していて Si11N+が残る と考えられる。同様にSi23+ + NOの場合のフ ラグメントSi12N+も一応説明できる。このよう に考えると、すべてのサイズのクラスターが 最初に式(1)の反応を経て、この反応熱を吸収 できるか否かが解離するか否かを決めている と考えられる。さらに、20~24 量体程度のサ イズがこの解離のしきい値近くにあり、極め て敏感に解離するか否かが決まり、例えばレ ーザー解離ではSi22+の子イオンとしてSi12+と Si15+

の両者が選択されるが、反応後の解離に おいては、より活性化エネルギーの小さい Si12N+のみが選択されると考えられる。

【参考文献】

(1) M.F. Jarrold and J.E. Bower, J.Chem.Phys., 96, 9180 (1992). (2) S. Maruyama, L.R. Anderson and R.E. Smalley, J.Chem.Phys., 93, 5394 (1990).

(3) S. Maruyama, M. Kohno and S. Inoue, Therm.Sci.Eng., 7-6, 69 (1999). (4) R.R. Hudgins, M.Imai, M.F. Jarrold, Philippe Dugourd, J.Chem.Phys., 111, 7865 (1999). (5) Q.L. Zhang, Y.Liu, R.F. Curl, F.K. Tittel, and R.E. Smalley, J.Chem.Phys., 88, 1670 (1988).(6) A.A.

Shvartsburg, M.F. Jarrold, B.Liu, Z.-Y. Lu, C.-Z.

Wang, and K.-M. Ho, Phys.Rev.Lett., 81, 4616 (1988).

300 400 500 600 700

8 12 16 20 24

Number of Silicon Atoms

Intensity (arbitrary)

(b) Si20+

(c) Si21+

(d) Si22+

(e) Si23+

(f) Si24+ Si11+

Si12+

Si13+

Si14+ Si15+

parent

parent

parent

parent

parent Si16+

Si10+

Cluster ion mass (amu) (a) Si19+

parent Si9+ Si12+

Si10+

Fig. 2 Laser dissociation of Si clusters.

400 600 800

10 20 30

Number of Silicon Atoms

Intensity (arbitrary)

(a) Si20+

(b) Si21+

(c) Si22+

(d) Si23+

(e) Si24+

(f) Si25+

(g) Si26+

(h) Si27+

(i) Si28+

(j) Si29+ Si12N+

Si20N+

Si12N+ Si11N+

Si23N+

Si24N+

Si25N+

Si26N+

Si27N+

Si28N+

Cluster ion mass (amu)

Fig.1 Chemical reaction of Si clusters with NO.

Referensi

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