- 5年 算数科 1 - 第5学年1組 算数科学習指導案
指導者 W.C
1 単元名 単位量あたりの大きさ
2 単元について
(1)単元観
本単元は,新学習指導要領 B 量と測定
を受けて設定したものである。
算数的活動
本単元は,二つの小単元で構成されており,「いくつかの数量があるとき,それらを同じ大きさの数量 にならす」という平均の意味とその求め方,及び平均の考えを前提として単位量当たりの大きさについ て理解し,それらを用いることができるようにすることをねらいとしている。
第3学年のわり算の学習では,「同じ数ずつ分ける」という等分除を学習し,均等配分の操作を行って きている。第一単元では平均の意味や求め方,活用の仕方などについて学習を進める。個体差があるも のや分離量などの実際にはならすことができないものもならせると考え,均等化して数でとらえられる ようにする。第二単元では,これまでに学習してきた長さや重さなどの量の他に,混み具合や収穫高の ような異なる2つの量の割合としてとらえる数量があることを知らせていく。そして,それらの比べ方 や表し方を理解し,用いることができるようにすることをねらいとしている。
<単元の系統>
3年 5年 6年
(3)量の大きさの測定値について理解できるようにする。
ア 測定値の平均について知ること。
(4)異種の二つの量の割合としてとらえられる数量について,その比べ方や表し方を理解で きるようにする。
ア 単位量当たりの大きさについて知ること。
具体物を用いたり,言葉,数,式,図を用いたりして考え,説明する活動
わり算
・除法の意味
(等分除,包含除)
単位量あたりの大きさ
・平均の意味とその求め方
・平均から全体量を求める方法
・単位量当たりの大きさの意味
・人口密度の意味とその求め方
百分率とグラフ
・割合の意味とその求め方
速さ
・速さの意味と表し方 (時速,分速,秒速)
・速さに関する公式とその適用
資料の調べ方
・代表値としての平均
- 5年 算数科 2 -
(2)児童の実態(男子4名,女子13名,計17名)
(学習意識に関する調査 9月13日 17名実施)
設問 回答 %
算数は好きですか。 好き
8 47.1まあまあ好き
6 35.3あまり好きではない
2 11.8きらい
1 5.9算数の勉強は わかりますか。
わかる
5 29.4まあまあわかる
10 58.8あまりわからない
2 11.8わからない
0 0どんな問題が 好きですか。
(複数回答可)
整数と小数
10 58.8面積・体積
10 58.8比例
8 47.1かけ算
11 64.7わり算
5 29.4合同な図形
11 64.7偶数と奇数,倍数と約数
11 64.7どんなときに
算数が好きですか。
(複数回答可)
問題が解けた
15 88.2答えが合っていた
13 76.5道具を使う
4 23.5ノートに書く
7 41.2発表する
3 17.6練習問題をする
7 41.2その他
0 0普段の生活でどんなと きに算数の勉強が役 に立ちますか。
役に立ったことがある
買い物 料理 差を考えるとき クイズ 物を運ぶとき 分けるとき
17 100
無回答
0 0算数で発表するとき は,次のどの場面が いいですか。
①クラスのみんなの前で
4 23.5②班の中で
6 35.3③2人組で
4 23.5④あまり発表が好きではない
3 17.6それは,なぜですか。 ①自分の意見を皆に知ってもらえる 3名 答えをあてるのが好き 1名
②大人数は緊張するし,2人は少なすぎる 3名
少し多いと話し合える 1名
- 5年 算数科 3 -
③緊張しない 3名 言いやすい 1名 時間内で何度も言い合える 1名
④恥ずかしくて声が小さくなってしまう 2名
間違えないか心配 1名 人前にでるのが苦手 1名
(前提学力に関する調査 9月13日 17名実施)
既 習 事 項
問 題 正答数
(人)
正答率
(%)
誤 答 例
次の2つの分け方で,1人分の長 さが長いのはどちらですか。
ア 9.6mのテープを4人で等分 する
イ 7.5mのテープを3人で等分 する
16 94.1
かけ算で立式している 1名
本を毎日5ページずつ読みます。
1週間では何ページ読むことが できますか。
16 94.1
計算間違い 1名
花だんに,1日50個の球根を植 えます。350個の球根を植える には何日かかりますか。
15 88.2
計算間違い 2名
(事前学力に関する調査 9月13日 17名実施)
問 題 正答数
(人)
正答率
(%)
誤 答 例
未 習 事 項
平均を求める
4 23.5全て足したものを回答としている 1名 大きい数-小さい数の後,
出た答えを足している 1名 計算間違い 1名 無答 10名
本学級の児童は,男子4名,女子13名の計17名で構成されている。算数科においては意欲的に取 り組む姿勢が見られる。計算スキルやプリント学習など,与えられた課題には積極的に取り組む児童が 多い。しかし新しい問題に挑戦する際には,前時までに行った学習の既習事項を活かして考えようとす る児童は少なく,全く新しいものを生み出そうと頭を悩ませている。そのせいか,考えることに手も足 も出ない児童も多い。
学習意識に関する調査の結果では,ほとんどの児童が,算数が好きと回答していた。「どんな問題が好 きか」という項目では,「整数と小数」「かけ算」を選ぶ児童が多かった。好きではないと答えた児童も
- 5年 算数科 4 -
選んだ項目は同様である。学級全体として,1問1答のような問題を好む傾向にあると考えられる。
また普段の学習では,文章問題に対して苦手意識をもつ児童の姿が多々ある。何を聞かれているのか 理解できず,問題に手がつけられない状態になってしまう。そんなときは再度ゆっくり読ませ,問題の 意味を確認してきた。今後も,問題の場面を容易に想像できる支援が必要と考える。発表などの意見交 流の場も設けている。ほとんどの児童が友達との交流をいいこととしてとらえているように,児童にと って自分の考えを深め,新たな考えの発見につながる場となっている。
前提学力に関する調査の結果から,大半の児童が等分除の考えを読み取り,正しく立式,計算ができ た。平均を求める上で必要な,等分するという意味を十分理解しているということになる。誤答として,
かけ算で立式していた児童もいた。普段から文章の理解が困難で支援を必要としている児童である。振 り返りを行った際に,問題を声に出して読むことで等分除として立式することができた。このことから,
文章の意味を正しく読みとることができていなかったことが考えられるため,今後も支援が必要である。
事前学力に関する調査では,平均を求められた児童は23.5%であった。中には,「平均って何ですか。」 という質問をしてきた児童もいた。平均という概念をまだ知らない児童もいることがわかった。
(3)指導観
平均を用いる場面として,①連続量を同じ大きさの数量にする場合に必ず伴う誤差を数値化すること で,妥当な数値が得られる平均と,②資料の分布において,その傾向をとらえるために統計的に処理す る手段としての平均の2つがある。本単元の第一単元である「平均」は,異なる量のものを等分したと きの1つ当たりの大きさを表すという意味の①について学習を進めていく。第二単元では,これまでに 学習してきた長さや重さなどの量の他に,混み具合や収穫高のような異なる2つの量の割合を扱ってい く。これらは加法性がなく,異なる2つの量の割合から1つの数量だけ取り出して比べることができな い。また,単位となる数量のいくつ分として数値化することもできない。そこで,この異種の2つの量 の割合をどのようにして比べていけばよいのか,どのように数値化していけばよいのか考えていくこと になる。そこで基になるのが第一単元で学習した「平均」の考え方である。2つの数量のどちらか一方 をそろえ,もう一方の量を比べる方法である。その際,公倍数でそろえることもできるが3つ以上を比 べる際には非効率的であることを実感する。別の考え方として,単位量当たりの大きさで比べるとよい ことを理解できることが重要である。
本単元,「単位量当たりの大きさ」を扱う際は,平均の考え方が伴ってくる。単位量当たりの大きさの 理解を確かなものにするには,第一単元の「平均」の意味や求め方をしっかりと理解することが重要で ある。そのため,平均を扱う導入にゲームを取り入れる工夫を行っていく。そうすることで「均す」の 意味を確実にし,今後の学習に興味を引きつけられるはずである。また,単元を通した素材提示の仕方 においてもよりイメージしやすい児童の身近な素材に代えて提示する工夫を行う。文章問題を苦手とす る児童に対する支援にもなり,進んで学習に取り組もうとするだろう。(仮説1)
平均の求め方を考えるときや,混み具合の比べ方を理解するときに用いる単位量当たりの大きさを求 める際に提示される問題について,数値を簡単にする工夫も行っていきたい。また,単位量当たりの大 きさを求めるときに数直線を用いることは数量関係をとらえることや立式させることに有効だと考える ので,学習の中に取り入れて困っている児童の手助けにしたい。(仮説2)
- 5年 算数科 5 - 3 単元の目標
・平均を計算で求める方法を考えようとする。
・単位量当たりの大きさを用いると,異種の2量の割合としてとらえられる数量を数値化して表せた り能率的に比べられたりすることのよさに気づき,生活や学習に生かそうとする。
(関心・意欲・態度)
・測定の場面などにおいて平均の意味をとらえ,妥当な数値として平均を用いることができる。
・異種の2量の割合としてとらえられる数量について,単位量当たりの大きさで比べることの有用性 をとらえ,用いることができる。 (数学的な考え方)
・平均を計算で求めることができる。
・異種の2量の割合としてとらえられる数量を単位量当たりの大きさを用いて比べることができる。
(技能)
・平均の意味や求め方について理解する。
・異種の2量の割合としてとらえられる数量を単位量当たりの大きさを用いて比べることの意味や比 べ方について理解する。 (知識・理解)
4 指導計画 13時間扱い(本時 1/13)
時 目標 学習活動 評価規準
平
均 1
・ 2
本 時
〔プロローグ〕 ・「ならす」ということの経験や意味について話し合う。
〇「平均」の意味と求め 方について理解する。
・異なる4つの水の量から,1つ当た りの量について考える。
・具体物を使い,凹凸をならして量を 求める。
・用語「平均」を知り,求め方をまと める。
関平均を計算で求める方 法 を 考 え よ う と し て い る。
技 平均を計算で求めるこ とができる。
・ならした量を計算で求める方法を考 える。
・平均を求める問題の解決を通して,
平均の意味や求め方を確かめる。
3 〇平均から全体量を求 める方法を理解する。
・1個のオレンジからとれたジュース の平均の量から,20個ではどれだ けの量になるか考える。
・平均を使って全体量を予想する。
考平均の意味や数直線を もとに,平均から全体の 量を予測する方法を考 え,説明している。
技平均から全体の量を求
めることができる。
- 5年 算数科 6 -
4 〇値に0がある場合の
平均の求め方や,分離 量でも平均値は小数 で表す場合があるこ とを理解する。
・サッカーの1試合当たりの平均得点 について考える。
・平均を求めるときは0を含めて考え ることや,分離量であっても平均が 小数になる場合があることが分か る。
・「算数新発見!」を読み,仮平均に ついて知る。
知平均を求める目的に応 じて0も含めて平均を求 めることや,分離量の場 合も平均の値を小数で表 してよいことを理解して いる。
5 〇算数的活動を通して 学習内容の理解を深 め,興味を広げる。
・〔やってみよう〕自分の1歩の歩幅 を,平均の考えを使って求め,それ を使って実際にいろいろな距離や 道のりを調べる。
・「算数新発見!」を読み,外れ値に ついて知る。
関学習内容を適切に活用 して,活動に取り組もう としている。
6 〇学習内容を適用して 問題を解決する。
・「力をつけるもんだい」に取り組む。 技学習内容を適用して,問 題を解決することができ る。
単
位
量
当
た
り
の
大
き
7 〔プロローグ〕・混み具合は平均を用いて考えることや,ウとエ,オとカはそれぞれ面積と 人数の一方が同じであるため混み具合を比較できることをおさえる。
〇面積,匹数が異なる場 合の混み具合の比べ 方を理解し,比べるこ とができる。
・面積とうさぎの数が違う3つの小屋 の混み具合の比べ方を考える。
・A と B,B と C を比べ,どちらかがそ ろっていると比べられることをお さえる。
・A と C の比較を通して,匹数か面積 のどちらかをそろえればよいこと を考える。
関混み具合は2量の割合 としてとらえられる量で
あることに気づき, 面積,
匹数が異なる場合の混み 具合の比べ方を考えよう としている。
考 混み具合を比べるとき に,単位量当たりの大き さを用いて比べるとよい ことを考え,説明してい る。
知 単位量当たりの大きさ を用いて比べることの意 味を理解している。
8 ・A,C,D の比較を行う。調べる数が多 くても,混み具合を一度に比べやす い方法を考える。
・面積をそろえて1㎡当たりの匹数で 比べたり,匹数をそろえて1匹当た りの面積で比べたりすればよいこ とをまとめる。
・前者の方がわかりやすいことをおさ
える。
- 5年 算数科 7 -
さ 9 〇「人口密度」の意味と
その求め方を理解す る。
・北海道と沖縄県の人口の混み具合を 比べる。
・「人口密度」を知り,人口密度を求 める。
技 人口密度を求めること ができる。
知 人口密度の意味を理解 している。
10 〇単位量当たりの大き さを用いて,問題を解 決できる。
・米のとれ具合を,単位量当たりの大 きさを用いて調べる。
技単位量当たりの大きさ を用いて,2つの資料を 比べることができる。
ま
と
め
11 〇学習内容を適用して 問題を解決する。
・「力をつけるもんだい」に取り組む。 技学習内容を適用して,問 題を解決することができ る。
12 〇算数的活動を通して 学習内容の理解を深 め,興味を広げる。
・身の周りから単位量当たりの考えを 使っている場面を探す。
関学習内容を適切に活用 して,活動に取り組もう としている。
13 〇学習内容の定着を確 認し,理解を確実にす る。
・「しあげ」に取り組む。 知基本的な学習内容を身 につけている。
5 本時の指導
(1)目標
・平均を計算で求める方法を考えようとしている。 (関心・意欲・態度)
・平均を計算で求めることができる。 (技能)
(2)授業観
本時の学習は「平均」の意味を知り,その求め方について児童自ら考え理解していく。導入では「均 す」という意味や「平均」の意味を確認するためのゲームを行う。「均す」というのはいろいろな大きさ を等しい大きさにするという感覚であることを理解させたい。その後も課題意識をもち,自力解決に入 れるようにゲームの終わりに「平らに均す」と漢字を表記することで,「平均」という言葉も同時におさ えていく。
導入で平均のイメージをもった後,計算で数値を出すにはどうすればよいか考えさせる。その際に数 値を簡単なものにして計算のしづらさを緩和させる。そうすることで,平均を求める計算式を出すこと に集中して取り組むことができ,「たし算」「わり算」「( )を使った式」の既習事項を使って,平均を 求める考えを出せるのではないかと考えている。
本時では友達との交流も取り入れ,自分の考え方を人に説明することで自分の考えをより深め,友達 の考えから新たな発見に気づけるような授業を展開したい。
- 5年 算数科 8 -
(3)展開
時配 学習内容と学習活動 指導・支援 〇評価(方法) 資料 7
3
3
10
【見出す】
1 素材(学習課題)をつかむ。
・素材を見て,気づいたことを発表し合う。
・先程は量を移せたが,次は移すことができな い。
2 学習問題を設定する。
○
学【調べる】
3 見通しを持ち,自力解決をする。
・「水均しゲーム」の経験から,考える。
・平らにして同じ量にしたね。
・数字だとどうすればよいか考える。
・平均水槽を見せ,均すという考え方 の確認をする。
・先程と同じ液体だが,具体的操作が できないことを確認する。
・ゲームの経験から,ジュースの平均 を求めるための計算式を考える。
・平らにして同じ量にしたことに気づ かせる。
・立式の際には理由も述べられるよ う,図を用いてもよいことを伝え る。
○関平均を計算で求める方法を考え ようとしているか。(発言・ノート)
透明容 器 はかり
平均水 槽
素材文 の書い てある プリン ト Aくんは1dL,Bさんは5dL,Cさん
は4dL,C さんは2dL のジュースを もらいました。全員のジュースをなら して同じ量にすると,一人分は何 dL ですか?
計算で同じ量を求めるにはどうすればよいだろう。
プロローグ
・「水均しゲーム」を行い,「ならす」ことの意味を理解させていく。
1 透明容器に各々が水を入れる。
2 容器の中が同じ量になるようにする。
3 それぞれの量を測る。
4 一番多いものと少ないものの差を出す。
5 差が1番少ない班の勝ち。
- 5年 算数科 9 - 15
5
2
【深める】
4 全体でそれぞれの考えを比較・検討する。
・グループで,図などをもとに自分達の考えを 比較する。
・全体で考えを共有し,全てを均してから分け ると平均が求められることに気づく。
【まとめあげる】
5 本時の学習のまとめをする。
○
ま・計算をして,答えを求める。
6 本時の振り返りをする。
〇技平均の意味や求め方について考 え,説明しているか。(ノート・
発言)
(4)板書計画
均すことを「平均する」といい,均された量を「平均」という。
平均=合計÷個数
計算で同じ量を求めるにはどうすれ ばよいだろう。
素材文
水均しゲームの結果
均すことを「平均する」といい,均され た量を「平均」という。
平均=合計÷個数 式 1+5+4+2=12 12÷4=3
3dL
↓
(1+5+4+2)÷4=3
平らに均す