V ={f ∈C2(R→R)|f′′(x) +f(x) = 0, x∈R}とする.V に和 (f+g)(x) = f(x) +g(x),スカラー倍(af)(x) = af(x),a ∈R,を導入することによってV は R 上のベクトル空間になる.
1. e1(x) = sinx,e2(x) = cosx とすると,これらは V の元であり,一次独立 であることを示せ.
2. 任意の a, b∈ R に対して f(0) =a,f′(0) = b を満たす f ∈V はただ一つ 存在することが知られている.このことを利用してf を e1, e2 の線形結合で 表せ.
3. 任意の y∈Rに対してsin(·+y)∈V である.この関数をe1, e2 の線形結合
で表せ(その式は通常何と呼ばれているか).
1
1. a1, a2, a3 ∈ R3 が基底をなすための必要十分条件は det(a1, a2, a3) ̸= 0 であ ることを示せ.
2
n 次実正方行列の全体を M(n,R) と書く.行列の和 (aij) + (bij) = (aij +bij),
スカラー倍 c(aij) = (caij),c∈R,によって M(n,R) は R 上のベクトル空間で ある.
1. M(n,R) の次元を求めよ.
2. GL(n,R) = {A∈ M(n,R)| detA ̸= 0} は M(n,R) の部分ベクトル空間で ないことを示せ.
3. V ={A = (aij)∈M(n,R)|trA =∑ni=1aii = 0} は M(n,R) の部分ベクト ル空間であることを示せ.またV の次元を求めよ.
3
行列 B =
( b11 b12 b13
b21 b22 b23
)
に対して線形写像 fB : R3 → R2 を fB(x) = Bx, x∈R3,で定義する.
1. B =
( 1 2 −1 2 4 −2
)
のとき,ImfB と KerfB の次元を求めよ.
2. B =
( 1 1 1 1 −1 1
)
のとき,ImfB と KerfB の次元を求めよ.
4
1. a1, a2, . . . , an ∈ Rn が一次独立のとき,任意の P ∈ GL(n,R) に対して P a1, P a2, . . . , P an も一次独立であることを証明せよ.
2. 線形写像 f : Rn → Rn の k 回の合成を fk と書く.もし任意のy ∈ Rn に対して fm(y) = 0 であり,x ∈ Rn がfm−1(x) ̸= 0 を満たせば,
x, f(x), f2(x), . . . , fm−1(x) は一次独立であることを示せ.
5
1. n次実対称行列全体を W1,n次実交代行列の全体を W2 とするとき,これ らは M(n,R)の部分ベクトル空間であり,M(n,R) =W1⊕W2 となること を示せ.
2. ベクトル空間 V = {f ∈ C2(R → R)|f′′(x) +f(x) = 0} において,W1 = {f ∈V |f は偶関数},W2 ={f ∈V |f は奇関数},とするとき,これらは V の部分ベクトル空間であり,V =W1⊕W2 となることを示せ.また W1, W2 の基底をそれぞれ求めよ.
6
1. R4 の3つのベクトル
a1 =
1 0 0 0
, a2 =
1 2 0 0
, a3 =
1 2 3 0
をシュミットの方法により正規直交化せよ.
2. 前問で得られた正規直交系を e1, e2, e3 とする.これらで張られたR4 の部分 ベクトル空間の直交補空間を求めよ.
7
M(n,C) をn次複素正方行列全体とする.これは C上のベクトル空間である.
X, Y ∈M(n,C) に対して,
〈X, Y〉 = tr(Y∗X)
を定義する.ここに Y∗ は Y の転置行列の各成分の共役をとってできる行列で ある.
1. 〈X, Y〉 は M(n,C)上の内積であることを示せ.
2. U を n 次ユニタリ行列とするとき,線形写像 f : M(n,C) → M(n,C),
f(X) =UX,X ∈M(n,C),はこの内積を保つこと,すなわち
〈f(X), f(Y)〉 = 〈X, Y〉 を示せ.
8
θ, ϕ∈R に対して,3次実正方行列 Uθ,ϕ を次で定める.
cosϕ cosθsinϕ sinθsinϕ
−sinϕ cosθcosϕ sinθcosϕ 0 −sinθ cosθ
1. Uθ,ϕ は直交行列であることを示せ.
2. Uθ,π/2 の不変部分空間を求めよ.
9
n次正方行列 A に対して固有多項式
fA(x) = det (xEn−A), En はn次の単位行列 を考える.
1. n = 2 のとき,fA(x) = x2−(tr A)x+ detA であることを示せ.
2. n = 3 のとき,fA(x) = x3−(tr A)x2+ (tr ˜A)x−detA であることを示せ.
ただし A˜ は A の余因子行列である.
10
1. 次の実対称行列を実直交行列で対角化せよ.
(i)
1 1 1 1 1 1 1 1 1
(ii)
−1 0 1 0 0 0 1 0 −1
11
a∈ R とする.変数 x1, x2, x3 ∈R に関する2次形式x21 +x22 +x23 + 2ax2x3 を 考える.このとき,ある3次実対称行列A が存在して
x21+x22+x23+ 2ax2x3 = txAx = (x, Ax), x=
x1
x2
x3
∈R3
が成り立つ.
1. A を求めよ.
2. A が正定値であるための a の条件を求めよ.
12