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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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氏 名 じんのうち陣 内 博ひろゆき 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 842号

学 位 授 与 年 月 日 令和 5年 2月 9日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 冠動脈高度石灰化病変に対する血管内超音波補助下経皮的冠動脈形成術 後の治療合併症と予後予測に関する検討

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 木 村 直 行

(委 員) 教 授 相 澤 啓 准教授 船 山 大

論文内容の要旨

1 研究目的

経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention: PCI)は、虚血性心疾患における 血行再建として幅広く普及してきた。また、PCI の際に血管内超音波などの血管内イメージング を使用することは病変局在の把握、また使用デバイスのサイズの決定のために重要である。血管 内超音波を使用することは治療合併症と長期予後の予測が可能である。しかし、未だ血管内超音 波と合併症や長期予後との関係性において不明な点が多いのも事実である。本研究の目的は、高 度石灰化病変に対しロータブレーター(rotational atherectomy: RA)を使用した際に、合併症の 一つである冠動脈微小循環障害(slow flow)が発生することがあるが、slow flowと関係性の深 い血管内超音波所見について検討する(研究 1)。また、高度石灰化病変の石灰化結節(calcified

nodule: CN)の長期予後の評価と標的血管責任病変再血行再建の原因について検討する(研究2)

2 研究方法

研究1:2017年1月から2020年12月までに自治医科大学附属さいたま医療センターで施行さ れたRA を用いてPCI を施行した病変のうち、IVUS を使用した病変を対象とした。slow flow をRA直後に認めた病変をslow flow群とし、認めなかった病変を非slow flow群とした。ステン ト留置前の石灰化病変を伴う範囲をIVUSデータで解析し、slow flow群となる因子を多変量解析 にて検討した。

研究2:2017年1月から2020年12月までに自治医科大学附属さいたま医療センターで施行さ れたRAを用いてPCIを施行した病変のうち、IVUS を使用した病変を対象とした。CN認めた 病変を CN群とし、認めなかった病変を非CN群とした。主要評価項目は、clinically-driven標 的血管責任病変再血行再建である。clinically-driven 標的血管責任病変再血行再建に関して、二 つのグループ間におけるKaplan-Meyer生存解析を行い、log rank試験にて有意性の評価を行っ た。また、clinically-driven標的血管責任病変再血行再建について、多変量Coxハザード解析を 施行し、関連性の深い因子を特定した。また clinically-driven 標的血管責任病変再血行再建を来

(2)

した病変に関しては、再血行再建時の血管内イメージングから原因を評価した。

3 研究成果

研究1:自治医科大学附属さいたま医療センターにてRAを使用しIVUSガイドでPCIを施行

した病変を最終的に連続290例解析対象として選択された。さらに、slow flow群(n=43)と非 slow flow群(n=247)の2つの群に分けた。また、それぞれのグループのIVUS画像(5316フ レーム)を解析した。多変量解析による slow flowを起こす因子としては、病変長、多重エコー 像の数、最小血管面積における全周性石灰化であった。多重エコー像の数が増えるに連れてslow flowの発生する頻度は増加した。

研究2:自治医科大学附属さいたま医療センターにてRAを使用しIVUSガイドでPCIを施行

しステント留置がされた病変を最終的に連続 249例解析対象として選択された。さらに、CN群

(n=100)と非 CN 群(n=149)の 2 つの群に分けた。CN 群は非 CN 群と比較し、有意に clinically-driven標的血管責任病変再血行再建が高かった(p=0.008)。また多変量Cox解析によ り、CN の存在は有意に clinically-driven 標的血管責任病変再血行再建と関連する因子であった

(hazard ratio 1.41, 95% confidence interval 1.06-1.88, p=0.02)。また、CN 群において、

clinically-driven 標的血管責任病変再血行再建の主要な原因はステント内 CN であった(52%)。 そして、ステント内 CN の約 90%は 1 年以内に発生していた。一方、非 CN 群において

clinically-driven標的血管責任病変再血行再建の主要な原因は、新生内膜増殖であった(48%)。

4 考察

研究1と2を通して、血管内超音波所見が手技中の有害事象の予測や術後の予後予測に重要で あることが示された。研究1において、IVUSによりRA関連のslow flowの予測因子が示された ことにより、手技中のリスク層別化を可能とし、また IVUS後に手技合併症予防の準備を可能と した。また研究 2 において、CN が予後不良な因子であることが示され、また、ステント内 CN という固有の標的血管責任病変再血行再建の原因を認め、早期の再血行再建の原因となっている ことを示した。CN が予後不良因子であることを認識することは予後予測として重要であり、ま た早期のフォローアップが必要であることも示唆した。

一般臨床における血管内超音波使用時の所見の理解が重要であることを示し、かつ血管内超音 波の使用は手技中の合併症予測だけでなく治療後の予後予測可能であることを示している。

5 結論

研究1と2の結果から、血管内超音波所見において高度石灰化や多重エコー像などの所見の 重要性を改めて示し、またCNの存在は予後に影響する重要性を証明した。slow flowと関連する 所見の有無に PCI 術者は注意を払うことで RA使用時の安全性を向上させることが可能である。

また、CN を血管内超音波で認めた際には、その不良な予後から以後のフォローアッププログラ ムを再検討する必要性があるかもしれない。本研究は血管内超音波の理解とそれに基づいた判断 を行うことで、手技成績、また治療後長期成績の向上に繋がる可能性を示唆した。

(3)

論文審査の結果の要旨

陣内博行氏は、高度冠動脈石灰化病変に対する経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention: PCI)の治療法であるロータブレーター(rotational atherectomy: RA)に着目し、

RA施行時の合併症の一つである冠動脈微小循環障害(slow flow)と血管内超音波検査所見の関 連性を検討した(研究1)。また、PCI施行時の血管内超音波検査で検出される高度石灰化病変の 石灰化結節(calcified nodule: CN)の長期予後の評価と標的血管責任病変再血行再建の原因につ いての検討を行った(研究2)。本学位論文は、筆頭著者として既に国内外の英文査読学術誌に発 表された2つの論文を系統的にまとめ、検討・考察を加えたものであり、RAを用いたPCIにお ける血管内超音波検査の有用性を多角的に評価した。

冠動脈狭窄症の非薬物治療には、血管内治療であるPCIと外科的血行再建療法である冠動脈 バイパス手術(coronary arterial bypass grafting: CABG)がある。本学位論文の中で、陣内博 行氏は、PCI 発展の歴史やPCI 施行時の血管内超音波検査の有用性に関して、「はじめに」の部 分で詳細に記述した。研究1では、RAを用いたPCI症例の中で血管内超音波検査を実施した症 例を研究対象と定義し、slow flow群と非slow flow群の2群に分類した。その後、両群間の患者 特徴や冠動脈病変の相違点を調査するとともに、冠動脈ステント留置前の石灰化病変を伴う範囲 を血管内超音波検査データで解析し、slow flow群となる因子を多変量解析で調査した。本解析の 結果、病変長・多重エコー像の数・最小血管面積における全周性石灰化が slow flow関連因子と して同定された。また、多重エコー像の数が増加するにつれて slow flowの発生頻度が増加する ことも明らかになった。研究2も、RAを用いたPCI症例の中で血管内超音波検査を実施した症 例を研究対象と定義し、CN合併群(CN群)とCN非合併群(非CN群)の2群に分類した。

両 群 間 の 患 者 特 徴 や 冠 動 脈 病 変 の 相 違 点 を 調 査 す る と と も に 、 主 要 評 価 項 目 と し て clinically-driven 標的血管責任病変再血行再建を設定し、両群間でKaplan-Meyer 生存分析によ る評価を行った。本検討の結果、非 CN 群と比較しCN 群では、有意に clinically-driven 標的 血管責任病変再血行再建率が上昇することが判明した。また、比例ハザードモデルを使用した多 変量解析も行い、交絡因子調整後も、CN はclinically-driven 標的血管責任病変再血行再建の関 連因子であることを明らかにした。さらに、CN群と非CN群のclinically-driven 標的血管責任 病変再血行再建の発生要因に関する調査も行い、CN 群ではステント内 CN がその主要原因であ ることを示した。

本学位論文は、臨床的・社会的に重要性が高まっている虚血性心疾患の治療成績向上という課 題に関しての意義のある研究であり、血管内超音波検査の新しい知見を見出すとともに、新規治 療プロトコールに関する提言も行っており、今後の虚血性心疾患診療の改善・進歩に貢献しうる 内容と評価した。今回、本学位論文審査委員会では、各委員から出された修正意見に基づき、以 下の改定指導を行った。

1. はじめに(背景)について

PCIの発展の歴史やIVUSの臨床的意義に関しては、分かりやすく述べられていますが、今回 治療対象に含まれる複雑な冠動脈病変に対しての CABGとPCI の適応に関しては、述べられて

(4)

はいません。現在の冠動脈血行再建治療に関して、いくつか代表的なランダム化比較試験を例に 挙げて、これらの治験のlimitationを明示するとともに、PCIとCABGの適応に関して、「はじ めに」の部分で説明してください。

2. はじめに(背景)について

「はじめに」の部分で、RA で使用するデバイス・手技・原理に関する図を入れて説明してく ださい。

3. 研究1:PCIにおけるRAの適応、IVUS使用の適応に関して

PCI施行時のRAの適応とIVUS使用の適応に関して、研究1の方法の部分で述べてください。

4. 研究1: 血管内超音波検査の多重エコーとCNに関する分類

血管内超音波検査の多重エコーと CNに関する分類は記述のみでは分かりづらいため、これ らの分類を明示する図を新規に作成してください。

5. 研究1: 一過性slow flowの臨床的重要性と出現時の対応

一過性slow flowの臨床的重要性について説明を加えてください。また、表1-3でslow flow群

と非slow flow群の院内死亡率に関してデータが記述されていますが、血液検査(心筋逸脱酵素)

や術後の心臓エコー検査での左室駆出率などのデータも追加してください。また、予防的な薬物 治療との相違点を明らかにした上で、一過性 slow flow 出現時の対応(薬物治療/非薬物治療)

を記述してください。

6. 研究1: slow flow群の死亡症例

slow flow群で死亡した1例は、slow flowに対しどのような治療を行ったのでしょうか?slow flow群死亡症例

の死亡原因も含めて、結果の部分に記述してください。

7. 研究2: ステント内CNの発生機序に関して

文献的に報告されているステント内 CNの発生機序について、病理組織学的観点から説明して ください。

8. 研究2: CN症例の治療に関して

CN 群がclinically-driven 標的病変再血行再建の可能性が高いと判断される場合(あるいは発

生した場合)、論

文中では早期follow-up が必要との記載があります。早期follow-upに加えて、CABGや薬物 治療の強化など

PCI以外の代替治療の適応に関して、考察で述べてください。

9. 研究2:光干渉断層撮影(optical coherence tomography:OCT)に関する図

(5)

研究2は、研究1と異なり、clinically-driven 標的病変再血行再建の評価でOCTも使用して います。研究2で、OCTによるステント内CN評価の記載がありますが、OCT所見を理解しや すくする図を追加してください。

これらの指導内容に対し、臨床データに基づいた適切な改訂がなされたことが確認されたため、

審査委員全員一致で合格と判定した。

試問の結果の要旨

学位審査会は2022年10月26日にオンライン会議形式で行われた。

陣内博行氏は、本学位論文のテーマである虚血性心疾患について、現在の標準的な血管内治療:

経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention: PCI)の手技内容を明らかにしたう えで、本研究の目的を述べた。その後、学位論文を構成する2つの研究の内容を概説した。本発 表内容は、PCIにおけるclinical gapを明瞭に示しており、本研究の新規性に関しても分かりや すく解説した。それぞれの2つの研究は独立した研究内容であり、研究実施時期や統計方法の相 違も明示した。全体に円滑で纏まった発表内容であった。

試問においては、各審査委員から「論文審査の結果」に記した 9項目が質問された。質問事項 の中には一部、即答できないものもあったが、研究資料を再確認した上で学位論文を修正するよ う指導した。他の質問事項に関しては適切な回答がなされ、後日、学位論文への追記修正として も反映された。

研究発表・試問を通して申請者の本研究への熱意、疾患に対する学識とともに、高い発表能力、

質問・コメントへの応答能力を確認することができた。

以上を総合し、学位審査委員会は全員一致で合格と判定した。

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