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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 小髙お だ かEA A EじゅんE 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 747号

学 位 授 与 年 月 日 平成 30年 2月 15日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 小児特発性ステロイド感受性ネフローゼ症候群の病態に影響を与える外 的・内的要因の検討 ―発症の季節変動と、病勢関連因子の同定―

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教授 長 田 太 助

(委 員) 教授 市 橋 光 教授 森 下 義 幸

論文内容の要旨

1 研究目的

小児期の特発性ネフローゼ症候群の約80%はステロイド治療に反応するが、ステロイドの減量 や中止に伴い約80%が再発し、その半数は頻回に再発する。長期間のステロイド治療は多くの合 併症を引き起こす危険性がある。本症の原因はいまだ不明で、根治療法はなく、その病態解明に 寄与する知見を得ることは、発症予防および新たな治療薬の開発のためには非常に重要である。

小児特発性ステロイド感受性ネフローゼ症候群(ISSNS)の発症や再発の要因として、アレル ギー性疾患の関与を示唆する報告は多いが、アレルギー性疾患の発症・再発と関連の深い季節要

因とISSNS発症との関係に関する報告は少ない。このため、小児ISSNS発症の季節変動とアレ

ルギー性疾患との関連を検討する目的で、小児ISSNS患者の季節別の発症数とアレルギー性疾患 の罹患率を調査した(研究1)。

小児ISSNSの本態は糸球体濾過障壁の透過性亢進に伴い大量の蛋白質が漏出することであり、

多くの研究が糸球体透過性因子の存在を示唆しているが、これらの因子はいまだ同定されていな

い。小児ISSNSの病態に関与する糸球体透過性因子を特定する目的で、我々がプロテオミクスを

用いて行った先行研究において、小児ISSNSの急性期に特異的に上昇している4つのペプチドイ オンを特定した。研究2では、そのうちの1つのペプチドイオンの精製・同定を行った。

2 研究方法

(研究1)

対象は当科と栃木県内の3つの病院小児科のISSNS患者とし、対象者の①季節別発症数、②ア レルギー性疾患の合併率、③季節間のアレルギー性疾患の合併率、④季節間の発症時治療前の血 清IgE値を調査し、統計学的有意差を解析した。

(研究2) 研究2-1

先行研究で小児ISSNS患者の急性期に特異的に上昇していたペプチドイオンの一つ、m/z 6626 を、陰イオン交換カラム、陽イオン交換カラム、逆相高速液体クロマトグラフィー、順相高速液

(2)

体クロマトグラフィーを用いて分離・精製した。精製したペプチドイオンをタンデムマス分析に 供し、そのデータをデータベースで検索し、候補蛋白を同定した。

研究2-2

小児ISSNSの急性期の患児11名、二次性ネフローゼ症候群の患児7名を対象とし、ELISA法

(サンドイッチ法)を用いて血中のApolipoprotein C1 (Apo C1)値を定量的に測定し比較検討を 行った。

3 研究成果

(研究1)

小児ISSNS群の季節別発症数の内訳は、春15人、夏10人、秋21人、冬6人で、P< 0.05 有意な季節変動がみられた。各季節間の比較では、秋と冬の発症数に有意差があった(P< 0.008 アレルギー性疾患は46.2%で合併していたが、一般幼児との間に有意差はなかった(P= 0.16 また、季節毎のアレルギー性疾患の合併率は、最も高い冬と最も低い秋の間で有意差はなかった

(P= 0.24

血清IgEの中央値は 740 IU/mLで、小児期の血清IgE基準値と比較して著明に高値であった。

最も高値である秋と最も低値である夏を比較したが、有意差はなかった(P= 0.19

(研究2)

研究2-1

小児ISSNSの急性期に特異的に上昇していたペプチドイオンである、m/z 6626を精製・同定 した結果、m/z 6626がApo C1であることを特定した。

研究2-2

小児ISSNSの急性期の血清Apo C1の平均値は、二次性ネフローゼ症候群のものと比較し、有

意に高値であった(87±18µg/mL vs 64±21 µg/mL、P<0.05)。また、小児ISSNSの急性期におけ るApo C1の平均値は、その基準範囲(40-70µg/mL)より高値であった。

4 考察

小児ISSNSの発症時の季節変動は、秋に多く冬に少なかった。既報との共通点は、冬に最も少

なく、春や秋に多い傾向があるという点である。春や秋は、花粉症や気管支喘息などのアレルギ ー性疾患の発症や増悪時期にあたるが、今回の調査では小児ISSNS患児のアレルギー性疾患の合 併率に有意差はなかった。これは、本研究が後方視的な検討に基づくもので、診療録の記載漏れ や、本来合併しているアレルギー性疾患の診断漏れが含まれていた可能性が考えられる。実際、

血清IgE値は測定した症例の79%で高値を示しており、このことは、アトピー型のアレルギー性 疾患との関連性を示唆するものであり、従来から報告されている小児ISSNSの病態とTh2優位 の免疫状態との関連性を支持するものである。また、季節間の血清IgEの中央値を比較したが、

季節間の有意差はなく、いずれの季節でも高値を示していた。このことは、小児ISSNSの発症に は季節変動があるものの、季節に関わらずその病態には血清IgEが関与している可能性を示して いる。

(3)

小児ISSNSの急性期において血清Apo C1値が特異的に上昇し、尿蛋白/尿Cr値と相関が確認 された。小児ISSNSにおける血清Apo C1値の上昇に関する報告はこれまでなく、以下の機序を 考察した。

小児期ISSNSの急性期に血清IL-18値や血清MIP-1β値が有意に上昇し、マクロファージが活 性化している可能性があることが報告されている。単球がマクロファージに分化する際にApo C1 のmRNAの転写が促進することから、小児期ISSNSの急性期における、Apo C1値の上昇はマ クロファージの活性化を反映している可能性がある。

第2の機序として、Th2優位な免疫状態への誘導作用が考えられる。小児期 ISSNS患児はア トピー性疾患を高率に合併するが、アトピー性疾患はTh2優位な免疫状態で特徴づけられ、Th2 細胞は小児期の ISSNS の病態形成において重要な役割を担っている可能性があることが報告さ れている。ヒトApo C1を過剰発現させたトランスジェニックマウスでアトピー性皮膚炎が誘導 されたという報告があり、Apo C1の過剰発現がTh2優位の免疫状態を誘導した結果ではないか と推定される。このように、Apo C1がTh2優位な免疫状態へ誘導することで、小児ISSNSの病 態形成に関与している可能性を考えた。

推定される第3のメカニズムとして、リポポリサッカライド(LPS)を介した作用を挙げる。

LPSを投与されたマウスでは、その足細胞上にCD80を発現し、足突起の融合を来して蛋白尿が 誘導されることが報告されている。一方で、Apo C1にはLPSと結合し、LPSが誘導する生体反 応を促進する。これらのことから、Apo C1がLPSの反応を介し足細胞上のCD80の発現を誘導

して小児 ISSNS の病態形成に関わっている可能性が考えられる。また、LPS はマクロファージ

を刺激してTh2サイトカインの産生を促進する作用がある。このLPSの作用をApo C1が促進し、

さらにTh2優位な免疫状態に誘導することで、小児 ISSNSの病態形成に関わっているのではな いかと考えた。

5 結論

今回の研究で確認された外的・内的要因には関連性が示唆される。今回得られた知見から、今

後は、Apo C1 の作用によるヘルパーT 細胞のプロファイルの変化の検証と、その変化が小児

ISSNSのネフローゼ期で確認され、寛解期に改善するのかを確認することが必要である。

論文審査の結果の要旨

小児特発性ステロイド感受性ネフローゼ症候群(ISSNS)発症の季節変動とアレルギー性疾患 との関連を検討する目的で、小児ISSNS患者の季節別の発症数とアレルギー性疾患の罹患率を調 査した。また小児ISSNSの本態は糸球体濾過障壁の透過性亢進に伴い大量の蛋白質が漏出するこ とであり、多くの研究が糸球体透過性因子の存在を示唆しているが、これらの因子はいまだ同定

(4)

されていない。小児ISSNSの病態に関与する糸球体透過性因子を特定する目的で、プロテオミク スを用いて行った先行研究が施行されたが、それにおいて小児ISSNSの急性期に特異的に上昇し ている4つのペプチドイオンを特定した。そのうちの1つのペプチドイオンの精製・同定を行い、

特性について検討してその役割を明らかにした。

(学問的意義、新規性、独創性)

小児ISSNSの急性期(Phase A1)に血中濃度が上昇する蛋白として、Apo C1を同定し、その ペプチドイオンのインテンシティレベルは尿蛋白/Cr 値と相関していることが示され、血中 Apo C1値の上昇は、ネフローゼ症候群で見られる高脂血症による二次的なものではないことが示唆さ れた。今回の報告は Apo C1 と小児ISSNS の病勢との関連を示した初めてのものである。また Apo C1は、57のアミノ酸からなる最も小さなアポリポ蛋白(6.6 kDa)であり、カイロミクロン やVLDL、HDLといったリポ蛋白を構成し、脂質の代謝に関与することが知られており、腎への 作用として、糖尿病患者の腎症進展に関わる因子であること、その多型性が糖尿病腎症発症のリ スクを増大させること、が報告されている。しかし小児の特発性ネフローゼ症候群の病態との関 連を示す報告はこれまでなかったので、今回この報告には新規性がある。

試問の結果の要旨

前半の臨床研究について、小児ISSNS群の季節別発症数の内訳は、春15人、夏10人、秋21 人、冬6人で、P< 0.05と有意な季節変動がみられた。各季節間の比較では、秋と冬の発症数に 有意差があった。アレルギー性疾患は46.2%で合併していたが、一般幼児との間に有意差はなか った。また、季節毎のアレルギー性疾患の合併率は、最も高い冬と最も低い秋の間で有意差はな かった。血清IgEの中央値は 740 IU/mLで、小児期の血清IgE基準値と比較して著明に高値で あった。最も高値である秋と最も低値である夏を比較したが、有意差はなかった。

後半の基礎的な検討では、小児ISSNSの急性期に特異的に上昇していたペプチドイオンである、

m/z 6626を製・同定した結果、m/z 6626がApo C1であることを特定した。また、小児ISSNS の急性期の血清Apo C1の平均値は、二次性ネフローゼ症候群のものと比較し有意に高値であっ た。また、小児ISSNSの急性期におけるApo C1の平均値は、その基準範囲より高値であった。

(審査員からの質疑の具体的内容)

1)臨床研究の対象患者、およびその方法が不明な点があるので明確化が必要。2)臨床研究に おいて、各季節の血清IgE値の範囲がはっきりせず、またグラフも有意差がないのにありそうに 見えるものについては、目立たないものにした方がよいのではないか。3)基礎的なメカニズム の検討の方で、先行研究のグループ分けについての明確な定義がされていないので、それについ ては明示すべき。4)グラフが縦並びで間延びした配置になっているところがあるので、他の部 分の表示と合わせた見やすい段組にすべきである。5)使った血清がどのような対象のものなの か明示するべきである。6)Apo C1のpolymorphismと腎への影響に関して、以前の報告につ いて言及すべきである。7)症例数が少ないことに対する限界について言及するべきである。

(5)

(申請者の応答)

1)臨床研究の対象患者について明確にし、方法論的に不明な部分を明確化した。2)血清 IgE 値の範囲が明確にし、結果を示すグラフも差がないものについては、そのように見えるよう改訂 した。3)基礎的なメカニズムの検討で、先行研究のグループ分けにつき明示した。4)結果を 示すグラフについては、全ての部分で基本的に同じ段組に変更した。5)先行研究の際に採取し た血清のうち、残りがある症例のものについて使用したことを明示した。6)Apo C1 の

polymorphism と腎への影響に関して、以前の報告についても言及し、その内容について吟味し

た。7)症例数が少ないことに対して、それによる統計学的な解析に対しての限界について言及 し、内容を整えた。

(合否の判断結果と理由)

申請者は、いずれの審査員質疑に対しても的確に応答し、かつ論文もそれに沿って訂正・改善 した。試問の前の段階と比較して、論文のクオリティーは格段に改善され、かつ科学的な正当性 も担保されたと考える。それゆえ、試問は合格とし、かつ論文についても内容は合格とした。

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