授業科目名:
現代社会と歴史
単位数:
2単位
担当教員名:
科目番号:
KOK201
担当形態:
単独
開講時期:
2年前期 オフィスアワー:
1.授業の到達目標・テーマ
日本が母性原理の強い社会であることを歴史的に探求し、日本人・日本社会を欧米・アジア諸 国と比較し、異なる行動原理をもつことを理解する。その上で、私たちの置かれた歴史的位置を客 観的に認識し、いかに生きるべきかを考察する
2.授業概要
日本における家族と社会の歴史を,他の民族の社会・歴史と比較しながら史料に基づいて講義形式で 考える。その際,歴史学のみならず人類学,考古学等の関連諸科学の研究成果を援用して,身近な事 例を取り上げて考察し,日本人・日本の社会では母性原理が優位である事実を検証し,我々の生き方を 考察することをめざす。授業形態は講義とする。
3.授業計画
第1回:オリエンテーション
講義計画 授業規律の確認。参考図書、評価の方法を確認 第2回:古モンゴロイドと新モンゴロイド
君は縄文人か渡来人(弥生人)か、新モンゴロイドの寒冷地適合、埴原和郎の日本人形成の 二重構造論を考える、土居ヶ浜遺跡の弥生人人骨が語るもの
第3回:日本人・日本文化の地域的違い
南九州・東日本地域対北九州・中国・関西地域の違い、画家・塩月桃甫の台湾の「縄文人」に 対する共感、作家・中村地平の霧社事件、中国江南の民の渡来、百済王伝説と日向国、エル ヴィンフォン・ヴェルツの日本人論
第4回:縄文人と渡来人の心(1)
日本人の美の原型 縄文的美と弥生的美のちがいとは (視覚的・聴覚的)、日本人の二つの 心、円空仏・木喰仏・岩岡保吉の仏像、なまはげ、ボゼなどの来訪神、宮沢賢治が描いたもの 第5回:縄文人と渡来人の心(2)
日本人の美の原型 縄文的美と弥生的美のちがいとは (視覚的・聴覚的)、阿修羅立像、
桂離宮、二つの浮世絵、千利休と豊臣秀吉の感性比較、我らの中の縄文人性と渡来人性 第6回:日本の基層文化
日本文化の根本にあるものはなにか、埴原和郎と梅原猛対談、河合隼雄と土居建郎の母性 社会論の共通点と違い、朝鮮半島と琉球列島の民謡を比較する
第7回:母性原理優位の日本
鈴木大拙の思想を考える、より掛かり合いたがる日本人、道元の正法眼蔵髄聞記、ウチとソトの 論理、文化審議会『敬語の指針』の論理、縄文人的平等観を考える
第8回:母系制社会発見
母系制社会モソ族をビデオで探検し、ビデオを観て気づいたことをワークシートに記入する 女の部屋、通い婚、性による役割分業、長老・家長、村長の役割
第9回:母系制社会発見
日本古代における母系制社会の発見、モソ族と日本古代文献による知見との比較、常陸国風 土記の妻問婚、古事記垂仁記の子供の名付け記事を読む、
第10回:照葉樹林文化論と日本
中尾佐助・佐々木高明の照葉樹林文化論、歌垣と馴れ鮨、発酵食品と照葉樹林文化、ミャオ 族ビデオを視て考えてまとめる、共通の生活文化を整理する
第11回:中世前期の女性1 御成敗式目からみた鎌倉時代の女性1
北条泰時と御成敗式目、御成敗式目に見える女子の所領所有権・相続権に関する条項を読 んで考え自分の言葉でまとめる、
第12回:中世前期の女性2 御成敗式目からみた鎌倉時代の女性2
文永4年の御成敗式目追加条項を読み、貞婦観念の法的強制の拡大を発見し、自分の言葉 でまとめる、
第13回:中世後期以後の女性
戦国大名分国法などにみえる武士階層の女性の地位、近世女子教訓書を読んで考え自分の 考えをまとめる
第14回:日本とアジア諸国の家族・女性の歴史を比較する
中国の纏足とその作り方、ソマリアのFGMなどの家父長制社会における歪んだ女性美文化と 日本との比較、アジア各国の女性観の比較
第15回:まとめ 日本人の形成と家族の歴史をまとめる
日本人の親が子供に求めるものは何か、日本の社会における母性的原理の歴史的形成と現 在の我々について考えて文章にまとめる
定期試験 4.テキスト
特になし(プリント配布)
5.参考書・参考資料等
・河合隼雄『母性社会日本の病理』(講談社プラスアルファ文庫)
・土居健郎『甘えの構造』(弘文堂、1971年)
・國分直一『北の道南の道』(第一書房、1992年)ほか適宜紹介
6.事前・事後学習(事前・事後学習として週4時間以上行うこと。)
・毎回の内容について、事前に講義資料をわたすので、しっかりと目を通し、不明な点等をあらか じめ調べておくこと。
・毎回の授業後に、講義内容について自分の言葉でまとめ、他者に説明できるようにする。
7.学生に対する評価:
定期試験 70% 課題レポート 30%で評価する。