2月3日 神戸市兵庫区有野町下唐櫃 山王神社 トテコロ
下唐櫃には「オトウ」と呼んでいる宮座がある。下唐櫃は58戸、4組に分れていて、上組、上中組、下中組、下 組の4組。夫々13~15戸で、年番に一年神主を勤める。これを宮守りという。各組3人づゝ1月元日に宮守の交替 がある。これを「かきたて」という。神主になるものは20~40才の男子に限られ、元旦に寄合をして神主が次の組 のもののうち20~40才の男子で、まだ宮守に当ったことのないものの名前を白紙に書いて、丸めて、幣串で3人を 吊上げて、当ったものが、その年の宮守となる。勤めないで終るものも居る。元旦にはこの籤曳のあと山王神社の 境内で弓打式をやって、籤に当ったものがそのときの弓と矢を1年預る。
節分の夜7時頃からトテコロがある。3人の宮守りは早くから神社へ行って節分祭の用意をする。石段下の長床の 前に薪木を焚き、神饌の用意をする。神饌は小餅、蜜柑、榧の実、干柿、栗で何れも12ヶ(閏年は13ヶ)2組。祭 典には2人の子供(男、20才までであるが、大ていは6~7才)をその組から出す。子供は4年毎に1回出るので適 令者であれば2度出てもよいがないときは隣の組から借りて来る。
神主が神前に、2人の子供がその後、左右に円座を敷いて座る。神主が答辞を読むように現代語で祝詞をあげ、済 むと子供2人を、向い合せに座り直させて、お願いしますというと、雄鶏に当った方の子供(年の上の方)がまづ、
「トテコロ」と叫ぶと、雌鶏の方の子供が「クークー」という。これを 3 度繰返すとご苦労さんと神主がいう。こ れで行事は終る。子供は2人ともおひねり(銭12枚=現在は120円-閏年は130円)と、お下り1組とを鶏になっ た子供に与へて、持って帰らせる。これで祭儀は終る。この間10分もかからない祭である。