2017. 5. 25
有機バイオ材料化 学
5. カルボニルの反応
5-1 アルデヒド・ケトン
カルボニルとは
カルボニル
−C(=O)− と表される 2 価の官能基の総称
カルボニル化合物の種類
アルデヒド (ホルミル 基)
•求核付加反応
•α 水素での反応
•その他の反応
カルボン酸 ケトン
エステル アミ
ド 酸塩化物 酸無水物
R H O
R R O
R OR O
R OH O
R NR2 O
R X O
R O O
R O
アルデヒド・ケトンの求核付加反応
アルデヒド
ケトン
R H O
R R O
エステル アミ ド
R OR O
R NR2 O
カルボン酸
R OH O
> > > >
求核剤に対する反応性
カルボニル基の求電子性が高い = カルボニル基の δ+ 性が高い
求核剤
塩基性が高いものがカルボキシル基と反応しやすい傾向にある 例) OH, CN, RLi, RMgX….
アルデヒド・ケトンの求核付加反応 そ の1
Grignard 反応(エーテル溶剤などが使用される)
アルキルリチウム試薬( R-Li )との反応 1.強い求核剤との反応(水を極力除去すること)
R O
R
R' Li
R O
R Li R'
H
R HO
R R'
シアン化水素の付加反応
アルデヒド・ケトンの求核付加反応 そ の2
シアノヒドリン ヒドリド還元( LiAlH4 や NaBH4 との
反応)
・ 基質がアルデヒドやケトンであれば、どちらもヒドリド還元が 起こる。・ 基質がカルボン酸やエステル、アミドだと、 LiAlH4 なら反応 するが、 NaBH4 では反応が起こらない。
2.中程度の求核剤(弱酸条件下)
アルデヒド・ケトンの求核付加反応 そ
第一級アミンの付加反応 (酸触媒)
の3
第二級アミンの付加反応 (酸触媒)
R
O HN R'
R'
R N
R' H2O R'
R R
R
N R' R'
R
H -H3O+
-H2O R
N R' R'
R H
H2O
アルデヒド・ケトンの求核付加反応 そ の4
・水和反応(基本的に反応しない。強酸または強塩基条件のときのみ反応。
しかも、可逆反応。)
酸性条件下
塩基性条件下 3.弱い求核剤との反応
アルデヒド・ケトンの求核付加反応 そ の5
・アルコールの付加反応(可逆反応)
酸性条件下
塩基性条件下
アルデヒド → ヘミアセタール ケトン → ヘミケタール
アルデヒド → アセタール ケトン → ケタール
Aldol(アルドール)反応
アルデヒド・ケトンの α 水素での反応 そ の1
・塩基性条件
・酸性条件
Michael付加(1.4-付加)反応
アルデヒド・ケトンの α 水素での反応 そ の2
O R
Nu Nu O H+ Nu O
R R
・ α,β- 不飽和カルボニル化合物に対してソフトな求核剤を用いた際に進行する
・ ハードな求核剤を用いた場合は 1,2- 付加が進行する 2 1
3 4
ソフト求核剤 ハード求核剤
原子半径が大きい
塩基性でない(中性、酸性)
高エネルギーの HOMO LiCuR2X, RS-, PR3
原子半径が小さい
塩基性低エネルギーの HOMO RMgX, LiR, NaNH2….
立体障害など反応性に優位差がある場合は必ずしも、 HSAB 則に従わない
α 位のハロゲン化置換反応(酸性条件下 ハロゲンと反応)
アルデヒド・ケトンの α 水素での反応 そ の3
ハロホルム反応
α 位のアルキル化反応(塩基性条件)
メチルケトンが脱離能高いヨードホルム( CHI3 )となり、カルボン酸 へ変換