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周年記念に寄せて

Dalam dokumen 日本管理会計学会 30 年史 (Halaman 33-36)

26 思う次第です。

創立 30 周年記念に寄せて

原田 昇(東京理科大学名誉教授)

日本管理会計学会(The Japanese Association of Management Accounting: 以下 JAMA と略称)は,日本学術会議法に基づく学会として学会員 700 名以上を擁する大きな規模ま で発展している。これは所属学会員による長年にわたる多くの研究活動とその成果公表に 係る多大な努力の賜物であると深く感謝している。大いなる学会の発展を祝賀し 30 年間を 回顧する一言「学会創立の経過」をここに記して,お祝いのことばに代えることとする。

JAMA は,ご存じのように,故片岡洋一教授(東京理科大学)発起人代表の主導のもとで 東京理科大学の財政的支援を受けて,1991 年 7 月 27 日に東京芸術劇場で創立総会が行わ れ,高らかに JAMA の創立が宣言された。同時に第1回年次全国大会が開催され,興味深 い研究発表と活発な質疑応答が展開された。もともと JAMA は 1987 年創設の日本数理会 計学研究会(1989 年日本数理会計学会に改組)を母体として管理会計を主たる研究領域と する学会として創立された。私も発起人の1人に名を連ねることになった。発起人による

「創立趣意書」は研究者や実務家など多方面に郵送され,学会員を募った。大きな反響を呼 び,会長経験者から新しい学会のあり方に対して多大な祝意と激励をいただくとともに,多 くのご批判もいただいた。前途洋々であるが前途多難なスタートでもあった。

もとより学術学会は当該分野における研究者による学術情報の交換,研究の促進,および 研究活動を多面的に支援し,その研究結果や知見を発表する場を提供するとともに,その研 究成果を学術的な観点から中立的かつ客観的に評価し,このことを通じてその品質を保証 する組織として存在する。この品質保証は学術情報の流通に信頼性を付与するという重要 な任務を果たすことになる。ところが日本における文系の学会のあり方や理念は,他の理工 系の分野や欧米のそれと比して,少なからず相違が見られた。この相違は私達の所属する東 京理科大学における教育や研究の経験を契機として認識されることになった。

東京理科大学において教員の業績は,研究4,教育3,行政3の割合で評価されていた。

研究業績の評価は主として学会誌掲載の「査読付き英文論文」に限定され,査読なしの論文 は非常に低く評価された。この評価にあたって,学部・研究科や研究所などの各組織単位か ら選出された委員からなる委員会を構成し,それらの委員を同質性の高いグループに振り 分け,そのグループごとに担当委員が当該グループ教員の研究業績をスコア化して評価し た。またその他の教育や行政の業績もスコア化して評価された。このスコアの合計は教員の 金銭的報酬や非金銭的報酬(プロモーションなど)の決定にも利用され反映された。この業 績評価システムは文系の教員にとって極めて厳しいもので,理系に準じた研究環境を整備 することが急務であった。これが JAMA 創立の1つの契機であった。

創立当時,日本における文系の学会では,学会誌への論文掲載の採否を判定するための

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「査読制度」が定着しておらず,査読付きのジャーナルがほとんど刊行されていなかった。

そこで学会誌掲載論文でも理工学の分野から見ると「学術論文」と認められ難いものであっ た。そこで,科学一般に通用する学会活動を意図して JAMA が創立され,査読付き学会誌 を刊行することになった。もとより学術論文は研究の本質とのかかわりで「新規性」

(originality)が重視されるが,結果の追跡可能性を示す「透明性」 (transparency),結果の有 用性や方法の妥当性を示す「有効性」 (availability)または「妥当性」 (validity),信頼できる 方法の採用を示す「信頼性」(reliability)などの科学的な要件(scientific requirements)とば かりでなく,学術論文としての文体上の体裁の要件(stylistic requirements)も要諦される。

これらの要件を具備して受理され学会誌に掲載されたものが「学術論文」として認められ る。論文採否の判定は「査読制度」によることになる。もちろん要件の適用には学会や当該 学問分野によってその適用に軽重が異なる。査読は「編集委員による査読」 (editorial review) と「同僚専門家による査読」 (peer review)に大別されるが,査読の基本は後者にあり前者は その前段階として査読に値するか否かが問われる。また査読制度には,執筆者と査読者や担 当編集委員とが互いに匿名である「ダブルブラインド制」と,査読者に執筆者名を知らせる

「シングルブラインド制」とがある。JAMA はダブルブラインドによる査読制度を採用し た。査読制度にはそれぞれ長所ばかりでなく短所や問題点が潜んでおり,研究の状況に応じ て柔軟にその組合せやオープン化の工夫を絶えず再構築する必要があろう。

JAMA では,創立以来,新しい学会のあり方を模索し,さまざまな事業を試行してきた。

主な事業内容は,①研究の促進のための共同研究(スタディ・グループ,産学共同研究グル ープ,企業研究会などの開催) ,②研究成果の発表(年次全国大会,フォーラム,リサーチ・

セミナー) ,③研究成果の発刊(査読付き学会誌の刊行) ,④記念事業(英文学会誌の刊行,

管理会計学大辞典や企業調査研究プロジェクトの出版)などである。もちろん新しいアイデ アや絶えざる再構築が重要になる。学会誌の改革は緊急性を要するレター論文(letter

paper) ,特定分野に係る研究状況とその展望を示すレビュー論文 (review paper) などの取り

扱い,グローバルな意味で「新規性」の主張が可能となる「英語論文」の刊行や年次全国大 会の「プロシーディング」への査読の導入なども必要となる。要するに,将来における研究 環境の変化に対して柔軟に適応して,それに有効な戦略を主体的に組織に浸透させ実行し,

絶えず学会のあり方を根本から「再構築」することが肝要である。

最後に, JAMA の学術的研究支援の総括的成果に深く感謝して創立 30 周年をお祝いする

とともに,さらなる学会の発展を祈念しつつ,ここに筆を擱く。

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原田昇先生(2015 年度全国大会(近畿大学))

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