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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 佐と うまこと 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第632号

学 位 授 与 年 月 日 令和3年3月15日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当 学 位 論 文 名 脳神経外科における拡張現実

論 文 審 査 委 員 (委員長) 川 平 洋 教 授

(委 員) 西 野 宏 教 授 西 村 智 教 授

論文内容の要旨

1 研究目的

ニューロナビゲーションは、脳神経外科手術において重要な手術支援装置であるが、使用に際 して術野から目をそらし、離れた場所にあるモニターを見る必要がある点と、二次元の診断画像 によって示された情報を、三次元により構成される実際の術野に術者の頭の中で変換する必要が ある点が課題である。

近年Augmented reality(AR)を用いたARニューロナビゲーションが脳神経外科手術に導入 され、複数の研究においてその有用性が示唆されている。これは、タブレット型コンピュータ(タ ブレットPC)やhead mounted display (HMD)などを用いたニューロナビゲーションで、これら の機器で術野を観察すると、その上に解剖学的構造物の三次元画像がリアルタイムに重畳表示さ れるシステムである。

AR ニューロナビゲーションは、術野情報とナビゲーション情報を同一画面で視認でき、ナビ ゲーション情報は術野と同一の三次元画像によって表示されるため、AR ナビゲーションは既存 のニューロナビゲーションの欠点を解決しうるシステムと考えられる。

しかし、長年にわたる臨床経験を有する既存型のニューロナビゲーションに対し、AR ニュー ロナビゲーションの臨床経験は未だに乏しい。このため AR ニューロナビゲーションを多様な症 例に適用することで、AR ナビゲーションが有用な術式や手術手技等を明らかにする必要がある と考えられた。

今回の研究で我々は、TVN を定位脳手術と脳腫瘍手術に適用した。それぞれの術式において TVNの有用性を評価するとともに、臨床応用を通じてARニューロナビゲーションの臨床におけ る特性をより明らかにすることが、本研究の目的である。

2 研究方法

Trans-visible Navigator

TVNは、術者が専用のタブレットPCを把持し、その背面カメラで術野を撮影すると、画面上 に術野とその上に重畳された三次元画像が表示されるシステムである。三次元画像は、術前の診 断画像からイメージングソフトウェアを用いて作成し、システムを構成ずる機器には、光学マー カーを装着し、三次元計測カメラを用いてそれらの位置を光学的に把握した。

(2)

定位脳手術に対する適用

非連続 5 例の駒井式定位脳フレーム(駒井式)を用いたCT ガイド下定位腫瘍生検手術症例に 対してTVNを適用した。手術手法としては、まず術者が示した穿頭予定部位をTVNで観察し、

穿刺予定軸上に障害となる構造物がないことを確認して穿頭予定部位の妥当性を検討した。続い て穿頭孔を穿ち、穿刺直前に再度TVNを導入し、穿刺軸上に病変が存在することと、穿刺軸上に 障害となる構造物がないことを改めて確認し、穿刺を施行した。手術終了直後全例で頭部 CT を 施行し、穿刺針による組織採取部位が病変内にあることを確認した。

脳腫瘍手術に対する適用

合計20例の脳腫瘍手術に対してTVNを適用し、有用性の評価を行った。脳腫瘍切除術におけ るTVNの有用性は、術者により評価が良好な順に「very useful」、「useful」、「somewhat useful」、「not

useful」の4段階で評価された。本研究では脳腫瘍手術を、TVN起動後から骨弁を外すまでのStage

Aと、硬膜が露出してから硬膜切開を終えるまでのStage Bと、硬膜内における手術操作のStage C の3段階に分割し、それぞれの段階で有用性の評価を行った。

前半の10例は様々な症例に対してTVNを適用することを目的とし、浅層の腫瘍と4つのアプ ローチで手術された深部の腫瘍が含まれた。

前半の10例に対する術者の評価は、浅層の腫瘍とInterhemispheric approach、Transcortical

approachで手術された深部の腫瘍に対しTVNが有用であることが示唆された。この結果の妥当

性をさらに検討するために、対象症例を浅層の腫瘍とInterhemispheric approach、Transcortical

approachで手術された深部の腫瘍の症例に限定して後半の10例に対してTVNを適用した。

TVNに搭載する三次元画像は、最初の10例では著者が任意に作成し、後半の10例では術者と 術前ディスカッションを行い、TVNに登録する三次元画像を選択した。

一部の症例に対して、脳表静脈を用いた精度検証を行った。術野の脳表静脈とTVNにより表示 される三次元画像の脳表静脈の代表点10点の距離を計測し、誤差を測定した。

3 研究成果

定位脳手術に対する適用

本法を適用した5例すべての術後で病変内から組織が採取され、合併症も認めなかった。術者 はTVNを使用することで、予定する穿刺軸が重要構造を回避して、その先に腫瘍が存在すること がわかるため、術者は安心して穿刺操作ができた。

脳腫瘍手術に対する適用

最初の10例では18の手術段階で評価され、very usefulと評価された段階は7段階(39%)、useful は2段階(11%)、 somewhat usefulは2段階(11%)、not usefulは7段階(39%)だった。

TVNの有用性は腫瘍の局在と関連しており、表層の腫瘍の症例はいずれも「very useful」と評 価された手術段階を有していた。半面、深部の腫瘍に対して TVN は有用と評価されにくいこと も明らかになった。しかし、深部の腫瘍の場合でも、Interhemispheric approach の症例と、

Transcortical approachの症例は、「very useful」と評価された手術段階を有していた。

後半の10例では17の手術段階で有用性の評価がなされ、very usefulと評価された段階は14段 階(82%)、usefulは2段階(12%)、 somewhat usefulは0段階(0%)、not usefulは1段階(6%)

だった。表層の腫瘍と、Interhemispheric approach及びTranscortical approachによって手術

(3)

される深部腫瘍によって構成される後半10例への良好な評価を通じて、これらのケースにおいて TVNが有用であることが確認された。

精度検証は、8例の脳表静脈の80点で計測され、平均誤差は2.31 ± 2.18 mm (mean ± standard deviation) で中間値は1.37 mmだった。症例ごとの誤差では症例7の0.56 ± 0.32 mmが最小で、症 例6の 6.10 ± 2.50 mmが最大だった。

4 考察

定位脳手術に対する適用

術者はTVNを用いることで、穿刺軸が障害物を回避していることを確認でき、手術の安全性が 向上した。また穿刺軸上の腫瘍の有無を確認でき、手術の確実性も向上したと考えられた。

定位脳フレームに代わる手法として既存型のニューロナビゲーションを用いたフレームレス法 が存在する。これは、既存型ニューロナビゲーションに穿刺針の針先を登録することで、針先が 病変上に存在することを確認する手法である。しかしこの手法は、術野から目を離して、離れた モニターを確認する必要がある。加えて、術野から目を離した不自然な姿勢で穿刺を行う必要が ある点も課題である。TVNは術野とナビゲーション情報を同時に取得可能であるため、常に術野 の監視が可能で、自然な姿勢での穿刺も可能だった。

脳腫瘍切除術に対する適用

Interhemispheric approachにおいて、TVNは定位脳手術に対する適用と同様に、障害物(主とし て架橋静脈)を避けて腫瘍へ向かう経路の決定を支援することで、手術の安全性改善に寄与した。

一方、表層の腫瘍とTranscortical approachに対するARナビゲーションの適用では、開頭野や皮質 切開の範囲決定を支援することで、手術の確実性向上に寄与した。

TVNは腫瘍摘出において、運用面からも有用な手術支援といえた。他のARナビゲーションに は術野から目を離して、専用モニターを参照するシステムもあるが、TVN にはその必要がなく、

自然な姿勢で術野の観察ができた。また、HMDの様に着脱の手間もないため、複数回の使用に適 する点もTVNの利点だった。

TVNの課題と今後

今回の研究では、TVN の技術的課題も見いだされた。AR ナビゲーションのカメラの倍率機能 と光源が無いことにより、深部の術野が有効に撮影できなかったことである。しかし今回の研究 で明らかにしたように、多くの状況においてTVNは脳神経外科手術を支援することができた。

今後は今回試みることができなかった血管手術や脊椎手術、また頭頚部外科手術に対する適用も 検討したい。また、TVNによる解剖理解の改善が、術者や助手、医学生のラーニングカーブに与 える影響も今後検討すべき課題である。

5 結論

定位脳手術に対する適用では、AR ナビゲーションが定位脳手術において有用であることを示 した。脳腫瘍手術に対する適用では、AR ナビゲーションが表層の腫瘍と、Interhemispheric approach及びTranscortical approachによって手術される深部腫瘍に有用であることを示した。

(4)

論文審査の結果の要旨

本 学 医 論 文 は 脳 外 科 手 術(定 位 脳 手 術 、 脳 腫 瘍 手 術)に お け る 拡 張 現 実 Trans-visible

Navigator(TVN)の有効性と限界の検証を目的とした研究である。本研究の結果から、TVN は表

層腫瘍の手術、Interhemispheric approach及びTranscortical approachによる深部腫瘍の手術 で有用であることを示した。同時に本研究では TVN の技術的課題も指摘しつつ、今後の展望に ついても示した。

本研究は TVN を脳外科手術において臨床応用し検証した点に新規性がある。術者視点による 主観的評価(「安全性」「確実性」「術者の安心感」など)と、脳表静脈の位置情報の誤差評価による 客観的評価を用い、TVNの有効性評価を行った点が従来の研究との相違である。しかしながらエ ンドポイント設定が術者(ユーザー)評価であるにも関わらず、本研究では術者の主観的評価の詳細 な記述が不足していると思われた。質疑応答において、佐藤氏から「手術時間」、「出血量」、「合 併症」などのテクニカルスキルによる評価は困難であったと報告があった。全般として本研究に おいては、エンドポイントである「有用性」をOpen Question形式で明確化し、結果を理解し易 くすることが望ましい。結論として、脳外科手術における TVN の拡張性、発展性を示すことが 可能となり、将来への継続的研究につながると考えられる。

最終試験の結果の要旨

最終試験に際しては、論文の内容についてわかり易く適切にプレゼンテーションがなされた。

審査委員からの質問にも概ね適切に答え、結果の考察の困難さについても真摯に報告した。「有用 性」というエンドポイントの明確にする改訂を求められたが、可能な範囲で適切に対応し、独立 した研究者としての資質と能力を示したと考えられる。

以上の観点から修正論文を審査し、佐藤氏は学位に値する学識と研究統括能力が備わっている と審査員全員が判断し、最終試験に合格とした。

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