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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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Academic year: 2025

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氏 名 中な かEA AEむ らEA AEさ ちEA AE E 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 甲第522号

学 位 授 与 年 月 日 平成29年3月21日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第2項該当

学 位 論 文 名 グルコーストランスポーター1欠損症に対するアデノ随伴ウィルスベク ターを用いた遺伝子治療法の開発

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教 授 花 園 豊

(委 員) 教 授 市 橋 光 講 師 卜 部 匡 司

論文内容の要旨

1 研究目的

グルコーストランスポーター1欠損症 (GLUT1DS) は、脳組織への糖輸送障害が原因で、難治 性痙攣や知的障害、小脳失調や複合型運動機能障害をきたす疾患であり、GLUT1 をコードする SLC2A1遺伝子のヘテロ接合性の変異に起因する。本研究では、GLUT1DS患者に対するSLC2A1 遺伝子変異検出時の機能評価系の確立を第一主題とし、更に、根治治療のないGLUT1DSに対す る新規治療を開発することを目的とした、アデノ随伴ウィルス (adeno-associated virus; AAV) ベ クターを用いたGLUT1DSモデルマウス (GLUT1+/マウス) 治療を第二主題とした。

2 研究方法

①新規GLUT1DS患者リンパ芽球から抽出したDNAを用いてSLC2A1遺伝子変異検索を行っ た。②3種類のSLC2A1遺伝子変異 (軽症; A405D, 中等症; R333W, 重症; V303fs) はヒト培養細 胞 (HEK293 細胞) に遺伝子導入し、細胞免疫染色による外因性 GLUT1 蛋白発現評価および 2-deoxyglucose (2DG) 取込試験による糖取込機能評価を行った。③GLUT1DSの治療用ベクター として、神経細胞特異的プロモーターであるシナプシン I プロモーター下流に human SLC2A1 cDNAを組み込んだ、チロシン変異型AAV9/3ベクター (AAV-hSLC2A1) を作成した。全身投与 群として新生児GLUT1+/マウス (日齢7) にAAV-hSLC2A1 (1.85 x 1011 vg) を腹腔内投与し、

中枢神経系投与群として若年GLUT1+/マウス (6週齢) にAAV-hSLC2A1 (合計1.85 x 1010 vg) を脳室内投与した。投与後、大脳における外因性GLUT1 mRNA発現評価、脳組織免疫染色によ る外因性GLUT1蛋白発現評価、およびrota-rod testを用いた運動機能評価、一晩絶食後に採取 した髄液糖・血糖測定を行った。

3 研究成果

① 重症GLUT1DS患者1名から、新規のフレームシフト変異 (c. 906_907insG, p. V303fs) を 同定した。このフレームシフト変異をHEK293細胞に遺伝子導入すると、本来発現するはずの細 胞膜にGLUT1蛋白発現を認めなかった。② 3種類のSLC2A1遺伝子変異 (軽症; A405D, 中等 症; R333W, 重症; V303fs) をHEK293細胞に遺伝子導入後、酵素サイクリング法による2DG取 込試験を行うと、重症度に相関した結果が得られた。③GLUT1+/マウスに AAV-hSLC2A1 を投 与すると、腹腔内投与・脳室内投与群で大脳に外因性GLUT1 mRNA発現を認めた。脳組織免疫

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染色では、外因性 GLUT1蛋白は主として神経細胞に、一部は血管内皮細胞およびオリゴデンド ロサイトに発現していた。AAV-hSLC2A1投与後の外因性GLUT1蛋白の脳組織における発現分 布は、脳室内投与群は、側脳室周辺の大脳皮質や海馬に強発現していたが、穿刺部から離れた位 置の大脳皮質や小脳には発現していなかった。腹腔内投与群は、脳室内投与群と比較し外因性

GLUT1 の発現率は低いが、大脳皮質全体および海馬の神経細胞、小脳プルキンエ細胞にも発現

し、より広範囲での外因性 GLUT1 発現を認めた。AAV-hSLC2A1 投与後の運動機能検査 (rota-rod test) では、脳室内投与群・腹腔内投与群ともに運動機能改善傾向がみられた。特に AAV-hSLC2A1脳室内投与では、治療後4週・8週ともに有意な運動機能改善を認め (n=9, P<0.05)、 髄液糖・血糖比についても無治療GLUT1+/マウスと比較し有意差をもって改善が見られた。

4 考察

GLUT1DSの糖輸送機能評価としては、3H-2DG, 14C-2DGといった放射性同位元素を用いて測 定する報告があり、薬物動態検査には有用であるものの、細胞外液に留まる核種を除外し、細胞 内に取り込まれた糖代謝産物のみを評価することは難しい。酵素サイクリング法による2DG取込 試験は簡便で、かつ少数例ではあるが、SLC2A1変異と臨床症状の重症度に相関した結果が得ら れたことから、GLUT1DSの機能評価や重症度予測に役立つことが推測される。

GLUT1DS に対する新規治療法として、シナプシン I プロモーター下流に human SLC2A1 cDNA配列を組み込んだAAVベクターを作成し、GLUT1DSモデルマウス (GLUT1+/マウス) に

投与しGLUT1蛋白発現および運動機能、髄液糖値について検討した。今回、治療用ベクターと

して、血液脳関門を透過し脳内への組織分布が良好で、かつ成マウスでも神経細胞を含む脳組織 や脊髄に広範囲に分布することが報告されている、チロシン変異型 AAV9/3を採用し、かつ神経 細胞特異的プロモーターである、シナプシン I プロモーターを組込み、中枢神経系への発現効率 を良好にし、治療効果を上げられるか検討した。この治療用ベクターを 6週齢の若年マウスに脳 室内投与することにより、脳組織の主に神経細胞や一部の血管内皮細胞、オリゴデンドロサイト において外因性GLUT1発現を確認し、かつ運動機能の有意な改善や髄液糖値の改善を認めた。

この結果は、GLUT1DSの診断時期である、乳児期から学童期以降に治療しても機能改善が得ら れる可能性を示し、新規治療法として画期的な結果と言える。しかしながら、臨床応用を想定す ると、プロモーターおよび投与経路について、より治療効果を上げるために更なる検討が必要と なる。

第一に、プロモーターについては、シナプシンI プロモーターでは、主としてGLUT1が発現 する血管内皮細胞やアストロサイトの発現効率は悪いことが問題点として挙げられる。そのため、

ヒト内在性GLUT1 プロモーターの最重要領域の塩基配列を推定し、AAVに組み込んだ新規治療 用ベクターを開発した上で、GLUT1 蛋白発現について研究を進めている。第二に、投与経路に ついては、全身投与より、中枢神経系局所への治療、すなわち脳室内投与で有効な結果が得られ たが、より低侵襲である髄腔内投与の検討や、髄腔内投与と全身投与の併用等も比較する必要が あり、今後の課題と考える。

5 結論

重症GLUT1DS患者から、新規のフレームシフト変異を同定した。また、酵素サイクリング法

による2DG取込試験は、GLUT1DSにおけるグルコーストランスポーターの機能評価や重症度

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予測に有用となる可能性を示唆した。

GLUT1DSの新規治療法として、シナプシンIプロモーター下流にhuman SLC2A1 cDNAを 組み込んだチロシン変異型 AAV9/3 ベクター (AAV-hSLC2A1) を、GLUT1DS モデルマウス (GLUT1+/マウス) に腹腔内および脳室内投与を行った。AAV-hSLC2A1 治療後に GLUT1+/マ ウス脳組織において外因性GLUT1蛋白の発現を確認した。特にAAV-hSLC2A1脳室内投与群で は、有意な運動機能改善および髄液糖値の上昇を認めた。AAV ベクターを用いた遺伝子治療は、

GLUT1DSに対し、有効な新規治療法となる可能性を示した。

論文審査の結果の要旨

「グルコーストランスポーター1欠損症に対するアデノ随伴ウイルスベクターを用いた遺伝子 治療法の開発」と題される本論文は、二部構成となっている。前半は、同疾患(GLUT1DS)の重症 度を予測するためのin vitro検査法の開発、後半は同疾患モデルマウスを用いた遺伝子治療モデ ルの提示である。前半を要約すれば、重症GLUT1DS患者の原因変異遺伝子をHEK293細胞に 導入し、2DG取込み試験を行うと、その結果は重症度に相関する、ということであった。後半を 要約すれば、GLUT1DS の新規治療として、当該正常遺伝子をアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクタ ーに搭載し、同疾患のモデルマウスの脳室内に投与すると運動機能の改善および髄液糖質値の改 善を認めた、ということであった。

前半、後半とも新規の知見である。前半は、すでに論文化された(Molecular Genetics and Metabolism 2015; 116: 157-162)。申請者は、分子生物学的、組織学的、機能生理学的な種々の手 法を駆使しながら、in vitroからマウスin vivoへと実験を進めた。各実験はしっかりした計画の もと実施され、得られたデータは適切に処理され、論文はわかりやすく明快に記載されている。

GLUT1DSモデルマウスの遺伝子治療では有意な効果が得られており、本研究成果の臨床応用が

期待される。

最終試験の結果の要旨

学位審査会では、審査委員から数々の質問やコメントが出され、活発な討議が行われた。

主たる論点を上げると、まず、遺伝形式について。本疾患は常染色体優性遺伝だから基本的に 軽症例が多くなる。モデルマウスは、ホモ(-/-)が胎生致死のためヘテロ(+/-)を使わざるを得ず、ヘ テロマウスは一見正常で表現型の指標があまりない点、苦労したと思われる。しかし、ヘテロマ ウスの運動機能や髄液中の糖値などで治療改善データを出せたのはよかった。もっとも臨床例で は、ヘテロでも重篤な神経症状を呈することがあるそうである。

また、AAVベクターが神経細胞に感染したことを示しているが、治療効果が本当に神経細胞 における正常遺伝子発現を介して得られているのかどうかは、今回の研究では明らかになってい ない。といって、これが本論文の意義を損なうものではない。本来、本遺伝子は血管内皮細胞に おける発現を介して作用すると考えられている。したがって、今回の治療効果もAAVベクターの 内皮細胞への感染を介して効いている可能性は否定できない。これに関して、申請者は当該遺伝 子の内因性プロモーターを使うことによってより生理的な作用機序に近づけたい、とのことであ った。

(4)

本研究では、9型AAVベクターを利用しているが、これは経静脈投与によって血液脳関門を通 過するベクターである。モデルマウスへの経静脈投与実験から確かに本ベクターの中枢神経細胞 への感染が認められており、興味深い。

発表および質疑応答から、申請者が研究者として充分な資質・能力を有することは明らかで、

学位を受けるに値すると審査員全員が判断、最終試験に合格とした。

Referensi

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断し、どのような治療戦略とすべきかが今後の課題である。一方、同一組織内での遺伝子増幅の重複の存在は、 DISH 法による明視野での詳細な観察が可能にしたものである。腫瘍内における部分的および不均一な蛋白発現 が改めて明らかとなり、その中でも不均一な強い蛋白発現を有する領域の多くで遺伝子増幅を伴っていたことは

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