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論文内容の要旨 - 自治医科大学機関リポジトリ

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氏 名 森本もりもと 光昭みつあき 学 位 の 種 類 博士 (医学) 学 位 記 番 号 乙第 721号

学 位 授 与 年 月 日 平成 28年 12月 12日

学 位 授 与 の 要 件 自治医科大学学位規定第4条第3項該当

学 位 論 文 名 消化器外科手術における術後感染症と血清total cholesterol 値の関連に ついて

論 文 審 査 委 員 (委員長) 教授 力 山 敏 樹

(委 員) 教授 崔 龍 洙 教授 早 田 邦 康

論文内容の要旨

1 研究目的

術前コレステロール値が院内感染・在院死亡、入院期間に逆相関し、総コレステロール値

208-238mg/dlが最も低い値を示すことをロドリゲス等は報告した。本邦では脂質管理は心血管系

疾患の分野のみから議論されており、冠動脈系疾患予防の目的にスタチンが処方されている。ス タチンは脂質を低下させる薬理効果だけでなくpleiotropic effectすなわち抗凝固作用、抗炎症作 用、免疫抑制作用を有することが知られており、敗血症、肺炎の発症を低下させることが報告さ れている 。

術前総コレステロール値、術前スタチン投与は消化器外科手術の感染症発症に影響を及ぼす可 能性があり、総コレステロール値の管理は外科的観点からも施行されるべきである。院内感染症 が最も少ないレベルを発見できれば、このレベルを目標に総コレステロール値を管理して、院内 感染を予防し、在院機関の短縮につながるかもしれない。この研究は2211人の消化器外科手術症 例を対象として術前総コレステロール値、術前スタチン投与が創感染、腹腔内膿瘍、肺炎の発症 に関連するか検討し、術前総コレステロールの至適値、術前スタチン投与の意義を検討するため に行った。欧州において同様の研究報告はみられるが、本邦においては術前コレステロール値と 術後感染症の関連を示す初の研究結果である。

2 研究方法

この後顧的研究は2006年12月から2008年11月迄に麻生飯塚病院において施行された消化器 外科手術1031例及び2010年1月から2012年3月迄に自治医科大学附属病院にて施行された消 化器外科手術1180例を対象としてした。麻生飯塚病院症例、自治医科大学附属病院症例を個別に 解析したのち、麻生飯塚病院・自治医科大学附属病院症例を統合して解析した。

手術前の感染症の罹患は血清総コレステロール値を低下させるので、腹膜炎症例や緊急手術症 例を除外し、待機的手術症例のみを対象とした。手術前30日以内に血液を採取し、血清総コレス テロール値、血清 Albumin(アルブミン)値を含む血液データを計測した。American Heart Association(アメリカ心臓協会)の提唱に従い血清総コレステロール値をコレステロール高値 群:240mg/dl 以上、コレステロール境界域群:200-239mg/dl、コレステロール正常域群:

(2)

160-199mg/dl、コレステロール低値群:159mg/dl 以下に4区分した。手術前1か月以内にスタ チンを投与されていた症例を「スタチン投与」と定義した。

手術関連感染症の交絡因子として年齢、性別、喫煙の有無、飲酒の有無、American Society of Anesthesiologists (ASA) preoperative assessment score(1-2、3-5)、肥満(BMI:30Kg/m2以上と 定義)、スタチン内服の有無、総コレステロール値(4区分に分割)、良性/悪性疾患、腹腔鏡手術、

手術術式、多臓器手術、手術時間(120分以下、121-300分、301分以上)、出血量(100ml以下、

101-500ml、501ml以上)、輸血使用の有無を使用した。血清アルブミン値を5分割(3.0 g/dl以

下、 3.1-3.5 g/dl、 3.6-4.0 g/dl、 4.1-4.5 g/dl、 4.6 g/dl以上)した。手術術式は上部消化管手 術(食道 胃 十二指腸)、下部消化管手術(小腸 結腸 直腸)、肝胆膵手術に分類した。上記 の因子を交絡因子とした。感染の診断はthe Centers for Disease Control and Prevntion (CDC)

criteriaの手術部位感染症、肺炎の定義に従い診断した。手術部位感染症は表層・深層創部感染症

(創感染症)と腹腔内膿瘍に2区分した。これらの観察期間は術後30日迄として、術後30日ま での全症例に関する情報は外来カルテ、入院カルテ、麻酔記録より転記した。

単変量モデルに基づきオッズ比と95%信頼区間(confidence interval; CI)をそれぞれの変数に対 して計算した。血清総コレステロール値、血清アルブミン値、上記変数に対する術後感染率はオ ッズ比を用いて観察した。ロジスティック回帰分析を用いて血清総コレステロール値4区分が術 後感染症に対し独立した危険因子となるかを解析した。その他の変数(交絡因子)に対しても同 様の手法を用いて解析した。

施設ごとにスタチンが感染症の発症を予防しうるかを検討するために、スタチンの単変量、多 変量解析を行った。また、総コレステロール値 200mg/dl 以下の患者におけるスタチン使用群、

非使用群の術後感染症発症率を比較した。

3 研究成果

結果1(麻生飯塚病院)

1031症例を対象とした。男性611例(59.3%)、女性420例(40.7%)、平均年齢は66.5±13.1 歳(平均年齢±標準偏差)。167例が192種の術後感染症を発症、16.2%の術後感染症罹患率であ った。創感染症は90症例(8.7%)に発症した。コレステロール低値群(159mg/dl以下)、肝胆膵 手術、手術時間(301分以上)が創感染症と有意な関係を示した。腹腔内感染症は68症例(6.6%)

に発症した。手術時間(301 分以上)は多変量解析にて唯一有意な関係を示した。肺炎は 34 症例

(3.3%)に見られた。ASA score (3-5)、術中輸血使用は肺炎の危険因子であった。術前総コレス テロール値を横軸、術後感染症罹患率を縦軸にとると図形上コレステロール境界域群を低値とす る逆J型の関係を示した。

結果2(自治医科大学附属病院)

1180症例を対象とした。男性761例(64%)、女性419例(36%)、平均年齢は64.2±15.5歳(28-92 歳)。149例が173種の術後感染症を発症し、13%の術後感染症罹患率であった。78例(7%)が 創感染症を発症した。術前アルブミン 値3mg/dl以下、 3.1-3.5mg/dl、3.6-4.0mg/dlと肝胆膵手 術が創感染症の危険因子であった。腹腔内感染症は56例(5%)に発症した。術前アルブミン値

3.1-3.5mg/dl と肝胆膵手術が有意な危険因子であった。肺炎に関連する危険因子は術中出血量

(501ml 以上)、上部消化管手術であった。有意差は無かったがコレステロール境界域群を低値と

(3)

する逆J型の関係は術前総コレステロール値と術後感染症罹患率の間で見られた。

結果3(麻生飯塚病院・自治医科大学附属病院)

2211例を対象とした。1372例(62%)が男性、839例(38%)が女性であった。

316例で365種の術後感染症が発症し、14%の術後感染症罹患率であった。創部感染症は168例 (7.6%)であった。術前アルブミン値(3mg/dl 以下)、 3.1-3.5mg/dl、3.6-4.0mg/dl、術前総コレス テロール値(159mg/dl以下)(コレステロール低値群)、手術時間(301分以上)が危険因子であった。

腹腔内感染症は124例(5.6%)に見られた。手術時間(301分以上)が唯一の危険因子であった。

肺炎の危険因子はアルブミン値(3mg/dl 以下)、上部消化管手術、術中輸血使用であった。コレ ステロール低値群(159mg/dl以下)は多変量解析にて創感染症と有意な関係を示し、逆J型の関係 は術前総コレステロール値と術後感染症罹患率の間で見られた

結果4:スタチンの使用結果

単変量解析、多変量解析で術前スタチン投与が術後感染症を予防しうる結果は得られなかった。

200mg/dl 以下の群においてスタチン使用は創感染症、腹腔内感染症の発症を減らさなかったが、

術後肺炎はスタチン使用していた群においては発症しなかった。また、スタチン内服有りの症例 では高侵襲手術、特に食道や膵臓手術では肺炎の発症は見られなかった。

4 考察

今回の研究は2つの施設で異なる時期に行われているが、両施設において術前総コレステロー ル値と術後感染症罹患率に逆J型の関係を示した。両施設においても消化器外科術前の症例に対 しては境界域とされる血清T-cho値200-239mg/dlが最も感染症リスクが少ないことが示された。

また、術前 statin投与に明らかな術後感染症予防効果を示すことはできなかったが、術前T-cho 値 200mg/dl 以下の群において術後肺炎の発症は見られず、膵臓、食道などの高侵襲手術におい ては術後肺炎の発症は見られなかった。ロドリゲス等が示した結果に差異が見られたが、これは 脂質代謝における日本人と欧米人の人種的差異と遺伝的多様性が影響したと思われる。欧米にお いて心血管疾患を予防するためのスタチンの推奨量は本邦の推奨量の 2-8倍の量が用いられ、欧 米の脂質代謝は日本人の脂質代謝と明らかに異なることを示唆する。

5 結論

動脈硬化性疾患診療ガイドラインが示す様に脂質を管理することで臨床的に心疾患発症を予防 できるように、術前総コレステロール値を境界域群に管理することによって術後感染症の発症を 予防し、さらには在院日数の短縮が期待される。

(4)

論文審査の結果の要旨

本研究は、2つの施設で行われた手術計2211例という多数の消化器外科手術症例を対象として 後顧的に行われ、術後感染症と血清コレステロール値との関連を検証しており、その結果と考察 が1本の主要論文(英文)と1本の参考論文(英文)として既にパブリッシュされている。これ らの内容を日本語論文としてまとめたものが本学位論文であり、その内容、結果、考察は、斬新 かつ独創的で、十分学位に値するものと三審査委員一致で評価された。

ただ、試問時に各審査委員から数カ所の疑問点や改善点が呈示され、修正後の論文審査は委員 長一任となった。速やかに修正論文が提出され、指摘された点は全て修正が行われていたため、

これをもって最終的に合格の判定となった。

試問の結果の要旨

学位論文、主要論文(英文)1本、参考論文(英文)1本を基に、内容をスライドで発表して頂 き、試問を行った。

研究は、2つの施設で行われた手術計2211例という多数の消化器外科手術症例を対象として後 顧的に行われ、術後感染症と血清コレステロール値との関連を検証しており、その内容、結果、

考察は、斬新性、独創性に富み、十分学位に値するものと考えられた。

試問における発表内容は、各論文内容をさらに詳細に説明するものであり、研究内容に対する 理解が一層深まる発表であった。さらに各審査委員から出された疑問や質問にも適格かつ速やか に返答し、本研究における苦労や理解、研究領域における深い見識が非常に良く伝わる試問であ った。

以上より、本試問では、三審査委員一致で合格の判定となった。

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