5年- 1 -
第5学年1組 国語科学習指導案
指導者 K.D 1 単元名 広げよう、まんがの方法 『まんがの方法』
2 単元について
(1) 単元観および単元を貫く言語活動とその特徴 本単元は、学習指導要領の以下を受けて設定した。
この教材は、高度な発展を遂げた日本の漫画の表現方法から、代表的な7つを取り上げ、実際の漫画 を用いて読者にその効果をわかりやすく解説した文章である。社会では、漫画の文化的価値が認められ て久しいが、児童にとっての漫画は、まだ内容的な娯楽性が中心であると考えられる。文化的な面白さ を見いだすきっかけとなるのが、この教材だろう。漫画に対する自らの考えの変化を文章化するという 目的に応じて、教材文を読み進めていく単元でもある。
本単元を貫く言語活動として、「自分のお気に入りのまんがを紹介する」ことを位置づけた。そのた めに「まんがの方法」で紹介されている表現の方法や効果を的確に押さえたり、自分が選んだ漫画と比 較しながら読むことが大切になってくる。また、友達にお気に入りの漫画を紹介してもらうことで、様々 な表現方法や効果に気づくことができると考えた。したがって、本単元でねらう「目的に応じて、文章 の内容を的確に押さえて要旨をとらえたり、事実と感想、意見などとの関係を押さえ、自分の考えを明 確にしながら読むこと」(C読むことウ)、「目的に応じて、複数の本や文章などを選んで比べて読むこ と」(C読むことカ)を実現するのにふさわしい言語活動であると考えた。
第5学年及び第6学年
「C 読むこと」
(1)目標
目的に応じ、内容や要旨をとらえながら読む能力を身に付けさせるとともに、読書を通して 考えを広げたり深めたりしようとする態度を育てる。
(2)内容
ウ 目的に応じて、文章の内容を的確に押さえて要旨をとらえたり、事実と感想、意見など との関係を押さえ、自分の考えを明確にしながら読んだりすること。
カ 目的に応じて、複数の本や文章などを選んで比べて読むこと。
〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕
(1) イ 言葉の特徴やきまりに関する事項
(カ) 語感、言葉の使い方に対する感覚などについて関心をもつこと。
5年- 2 -
(2) 児童観(男子8名、女子7名、計15名)
本学級の児童は、普段の授業中の様子から、学習に対する意欲はあるが、進んで発表することに抵抗 を感じている児童が多い。実態調査からも自分の考えを発表することが苦手と答えた児童は3名いた。
また、漫画を一週間に何冊ぐらい読むかという調査に関しては、ほとんどの児童が2~4冊程度と答え たが、まったく読まない児童が3名いることが分かった。理由として、漫画ではなく、テレビアニメを 見ていることが分かった。漫画に対するイメージは、「面白い」や「絵が描いてあり読みやすい」程度 だった。
学級の取り組みとして、年間を通して読書を推進する声かけをし、廊下にも読んだ本を紹介するコー ナーを作っているが、進んで読書に取り組む児童は少ない。授業中に教科書の内容を読み取ったり、読 み取ったことを基に自分の考えを書いたりすることに苦手意識があるように感じる。
児童はこれまでに、「言葉と事実」で具体例と筆者の解説に気をつけて文章を読み、言葉と事実の関 係について考える学習をしてきた。しかし、具体例が分かっても筆者の言いたいことがなかなか理解で きない児童が多かった。それは、中学年までの説明文教材は「問い」が示され、それを「解明」して「答 え」に至る過程が一直線に展開されていたのに対し、「言葉と事実」では、「問い」に対して、同じ段落 内で、「そうではなさそうです。」と否定していた。文章の始まりで、すでに重要な解説がなされていた ために、児童は「問い」が見つけにくかったのだと思われる。このように「言葉と事実」では、中学年 までの教材に比べ、「問い」を解明する過程が複雑になって内容を理解することが難しかったと考えら れる。また、「白神山地からの提言」では、文章を中心に、図や表・グラフ・写真などの多様な資料の 中から内容を捉え、自分の考えを深めていき意見文を書くという学習をしてきた。自然保護のあり方に ついて課題意識をもたせ、意見と根拠の関係を押さえ、自分の考えを明確にさせたかったが、実際には 自分の意見を述べられても、なかなか意見の根拠をまとめることが難しい児童もいた。しかし、このよ うなことを学習してきた経験から、少しずつではあるが児童は内容を読み取る力が付いてきていると思 う。そこで本単元では、例としてあげられた絵と文とを、一つ一つ対応させて漫画の方法と効果を読み 取らせていく必要があると考える。
(3) 指導観
本単元を通して、児童に身に付けさせたい力は、「漫画の表現方法について的確に読むこと」、そして
「『まんがの方法』の解説と比較しながら、複数の漫画を読むことを通して、漫画の表現方法について 確認したり、新たな表現方法を発見したりすること」である。
児童の興味・関心が高い漫画をきっかけに、説明文を読む楽しさや、漫画の方法や効果を知る面白さ を味わわせられるようにしたい。しかし、実態調査からは、漫画を読まない児童が3名いることが分か った。そのために、導入の段階で児童に好きな漫画を持ってこさせ、漫画に対するイメージや、自分が 好きな漫画の面白いと思っている理由を発表させて、児童の学習意欲を高めたい。教材文の「まんがの 方法」を読む前に、漫画に対する考えをしっかりとワークシートに記録させて、学習の最後に自分の考 えの変化を振り返ることができるようにしていく。また、教師による漫画の紹介の仕方を見て、単元の ゴールで自分のお気に入りの漫画の紹介ができるようにしていく。このような活動をしてから、「まん がの方法」を読み、漫画の面白さを生み出している方法と効果について、自分達が気づかなかった筆者 の見方に注目させていきたい。また、本文には、「ひみつを探ってみましょう。」「物語の進行について はどうでしょうか。」「みなさんも、自分の好きなまんがから、いろいろな「まんがの方法」を見つけて
5年- 3 -
みましょう。」などから分かるように、読者に対して呼びかけたり、問いかけたりしている表現の仕方 にも触れて、筆者の紹介する手順や特徴について考えさせるようにしていく。このようなことを学習し た後には、自分が持ってきた漫画にも筆者が紹介している方法や効果があることを確認したり、新しい 漫画の方法や効果があるのか探したりする活動を通して自分の考えを深めていきたいと考えている。単 元のゴールでは、筆者の紹介の表現の仕方を活かして自分のお気に入りの漫画を紹介させていく。また 導入の段階で児童一人一人がもっていた漫画に対するイメージから、学習した上で、どのようにイメー ジが変化したのかを発表させていきたい。そして、友達と紹介しあうことで様々な発見が分かるような 授業を展開していきたい。
本単元では、単元のゴールを、「自分のお気に入りのまんがを紹介しよう」にした。お気に入りの漫 画を紹介しあうことにより自分で見つけた漫画の方法や効果を友達に教えたり、友達が発見した漫画の 方法と効果が自分の持ってきた漫画にも使われているのか確認したりすることができると考えた。この ような単元のゴールを設定すれば、学習意欲が高まり、自分から進んで読むことができ、確かな読みの 力が育つだろう。(仮説1)
教材文に「まんがの方法」が7つ紹介されている。また、7つの方法による効果も紹介されている。
まず、7つの方法について着目させて読ませていく。その際に説明・効果・具体例(漫画)という段落 内の構成に着目して読み取らせるようにしたい。このように読み取っていく中で、漫画の方法による様 々な効果があり、漫画を面白くさせているということに気づかせていく。また、7つの方法をキーワー ドとして着目させることで、自分が持ってきた漫画にも筆者が紹介した7つの方法があるのか、自分で 新たに、まんがの方法を発見することができたのかを分かりやすくしていきたい。このように、まんが の方法と効果について着目して学んでいけば、確かな読みの力が育つだろう。(仮説2)
3 目標
関心・意欲・態度 ・様々なまんがの方法とその効果、筆者の紹介の手順や表現の特徴を進んで 読もうとする。
読むこと ・事例として取り上げられたまんがとその解説、自身が感じる印象とを比べ ながら、「まんがの方法」を読むことができる。
・「まんがの方法」の解説と比較しながら、複数の漫画を読むことを通して、
漫画の表現方法について確認したり、新たな表現方法を発見したりするこ とができる。
伝統的な言語文化 ・語感、言葉の使い方に対する感覚などについて関心をもつことができる。
5年- 4 - 4 指導計画(7時間扱い)
過程 学習内容と学習活動 支援(〇)と評価(◎)(評価方法)
み と お す
(1
)
・単元のゴールとして、自分のお気に入り の漫画を紹介しあうことを確認する。
・「まんがの方法」を読む前に、漫画に対 するイメージや、自分が好きな漫画の面 白いと思っている理由をワークシート に書き、発表し合う。
・教師による、漫画の紹介を聞き、学習 の見通しをもつ。
・全文を読んで、まんがの方法が7つ紹介 されていることを確認する。
〇筆者が紹介していることや自分が見つけた漫 画の方法を紹介しあうということを意識でき るように言葉かけをする。
〇「漫画」と聞いてイメージすることや、漫画 がなぜ面白いのかなどに着目できるように働 きかける。
〇自分の好きな漫画を持ってこさせ、漫画に対す るイメージやどのような所が面白かったのか を自由に発表できるようにする。
〇教師の漫画の紹介を見ることで、ゴールとなる 漫画の紹介の仕方がイメージできるようにす る。
◎様々なまんがの方法とその効果、筆者の紹介の 手順や表現の特徴を進んで読もうとしている。
(態度)
〇「まんがの方法」による効果が書かれている所 に線を引くように働きかける。
ふ か め る
(3
)
・全文を読んで、まんがの方法と効果を読 み取る。
① コマ
〇説明・効果・具体例に着目させて読めるように する。
◎様々なまんがの方法とその効果、筆者の紹介の 手順や表現の特徴を進んで読もうとしている。
(態度)
◎事例として取り上げられた漫画とその解説、自 身が感じる印象とを比べながら、「まんがの方 法」を読んでいる。(ワークシート)
・残りのまんがの方法と効果をグループで 読み取る。
②フキダシ
③手書きの文字
④人物のえがき方
⑤物語の進行の仕方
⑥背景
⑦ナレーター
〇説明・効果・具体例に着目させて読めるように する。
◎様々なまんがの方法とその効果、筆者の紹介の 手順や表現の特徴を進んで読もうとしている。
(態度)
◎事例として取り上げられた漫画とその解説、自 身が感じる印象とを比べながら、「まんがの方 法」を読んでいる。(ワークシート)
自分のお気に入りのまんがを紹介しよう
5年- 5 -
・「まんがの方法」を紹介する筆者の手順 や表現の特徴をつかみ、グループで話し 合いをする。
・ひみつをさぐってみましょう。
・えがき方について考えてみましょう。
・物語の進行の仕方についてはどうでしょ うか。
・「まんがの方法」は、ほかにもあります。
・みなさんも、自分の好きなまんがから、
いろいろな「まんがの方法」を見つけて みましょう。
・筆者が紹介していた7つの方法と効果を 自分の持ってきた漫画で探して付箋を貼 る。
〇左のように、呼びかけたり、問いかけたりする 言葉が多く出てくることに着目させ、読者に興 味を喚起させる言葉になっていることに気づ かせるようにする。
◎様々なまんがの方法とその効果、筆者の紹介の 手順や表現の特徴を進んで読もうとしている。
(態度)
◎語感、言葉の使い方に対する感覚などについて 関心をもとうとしている。(話し合い)
〇7つの方法に着目して探すように声かけを行う。
◎「まんがの方法」の解説と比較しながら、複数 の漫画を読み、漫画の表現方法について確認し
たり、新たな表現方法を発見したりしている。
(態度)
まと め る
・ひ ろ げ る( 2
)
・自分が持ってきたまんがにも「まんがの 方法」で取り上げられていた方法や効果 があるか、自分で新しく漫画の方法と効 果があるのか読み取る。
(本時1/2)
〇筆者が紹介していた7つの方法や新しい方法 があるのか探すように言葉かけをする。
◎事例として取り上げられた漫画とその解説、自 身が感じる印象とを比べながら、「まんがの方 法」を読んでいる。(ワークシート)
◎「まんがの方法」の解説と比較しながら、複数 の漫画を読み、漫画の表現方法について確認し たり、新たな表現方法を発見したりしている。
(ワークシート)
・「まんがの方法」を読む前と読んだ後を 比べて、まんがに対する考えの変化をワ ークシートに書く。
・今までまとめたワークシートを基にお気 に入りの漫画を紹介しあう。
〇「まんがの方法」を読む前の漫画に対する考え から、「まんがの方法」を読み、実際に持って きた漫画ではどのようになっていたか、漫画に 対する考えがどのように変化していったかな どに着目させてワークシートに書けるように する。
〇友達の発表を聞いて、自分では気づかなかった 漫画の方法を、自分が持ってきた漫画にも使わ れているか確認できるようにする。
◎「まんがの方法」の解説と比較しながら、複数 の漫画を読み、漫画の表現方法について確認し たり、新たな表現方法を発見したりしている。
(発表)
5年- 6 - 5 本時の学習(6/7)
(1) 目標
関心・意欲・態度 ・筆者が紹介した「まんがの方法」が自分が持ってきた漫画でも使われてい るのか、新しい方法や効果があるのか進んで読もうとしている。
読むこと ・漫画の方法と効果を発見するために、自分のお気に入りの漫画と「まんが の方法」を比べて読むことができる。
伝統的な言語文化 ・語感、言葉の使い方に対する感覚などについて関心をもつことができる。
(2) 準備物
・ワークシート ・掲示物 ・付箋
(3) 展開
時配 学習活動と内容 指導・支援(〇)と個別対応の方法(☆)
評価(◎)
資料 2
2
6
25
1 「まんがの方法」には7つの方法があ ることを振り返る。
① コマ
② フキダシ
③ 手書きの文字
④ 人物の描き方
⑤ 物語の進行の仕方
⑥ 背景
⑦ ナレーター
2 本時のめあてを確認する。
3 漫画の方法と効果のまとめ方を確認 する。
4 自分が持ってきた漫画にも「まんがの 方法」があるのか読み取り、ワークシ ートにまとめる。
〇掲示物を使って、7つの「まんがの 方法」を確認する。
〇教師の手本を見て、まとめ方がイメ ージしやすいようにする。
〇方法や効果について本文の言葉を使 って表現すると分かりやすいという 言葉かけを行う。
〇方法が同じでも、違った効果があれ ば新しい発見であるということを伝 える。
☆自分で探した漫画の方法と効果が成 立しているか判断が難しい児童に は、隣の友達に相談して良いことを
掲示物
掲示物
ワーク シート 自分が持ってきたまんがで、「まんがの方法」を探そう。
5年- 7 - 8
2
6 グループで読み取ったことを発表す る。
7 次時の学習内容を確認する。
伝える。
☆自分で見つけた方法と効果をまとめ ることが難しい児童には、本文の7 つの方法と効果をまとめたワークシ ートを参考にして、まとめるように 伝える。
◎筆者が紹介した「まんがの方法」が 自分が持ってきた漫画でも使われて
いるのか、新しい方法や効果がある のか進んで読んでいる。(態度)
◎漫画の方法と効果を発見するため に、自分のお気に入りの漫画と「ま んがの方法」を比べて読んでいる。
(ワークシート)
◎語感、言葉の使い方に対する感覚な どについて関心をもっている。
(態度)
〇自分が持ってきた漫画を友達に見せ ながら発表させて、意見を交換する ように働きかける。
〇掲示物を使って次時の学習内容を確 認する。
(4)板書計画
(5)並行読書の本
・各自が持ってきた漫画
学
ま ん が の方 法 を 自分 が 持 って き たま ん が を使 っ て 探そ う
。 ま
んが の 7 つの 方 法 と効 果 の 掲示 物
学 ま んが の 方 法
石 田 佐 恵 子
方 法
効果 ハ
ン ター ハ ン ター 十 三 巻
④ 人物 の え が き方
目 が 強調 さ れ るこ と に よ って
、 く やし さ を 表 現し て い る。
ハ ン タ ー ハ ン タ ー の 漫 画 を 拡 大 し た 掲示 物
自 分 が 持 っ て き た ま ん が で
、
「ま ん が の方 法
」 を探 そ う
。