第4学年○組 体育科学習指導案
指導者 T・T
1 単元名 鉄棒運動 2 単元について
(1)運動の特性
①一般的特性
鉄棒運動は,「上がる」「回る」「ぶら下がる」などの動きを連続したり,組み合わせたりして 楽しむ運動である。自分の能力に適した課題に挑戦し,克服したときに達成感を味わえる運動で ある。
②児童から見た特性
今までできなかった技ができるようになった時に喜びを感じることができる運動である。また,
逆さになったり,回ったりすることが楽しい運動と言える。しかし,体の痛みや恐怖心から,苦 手意識をもちやすい運動である。
(2)児童の実態(男子13名,女子25名,計38名)
事前にアンケート調査を行った。結果は以下の通りである。
□情意面□
質 問 事 項 はい ふつう いいえ
1 体育の授業は好きですか。 32人 5人 1人
(85%) (14%) (1%)
2 鉄棒運動は好きですか。 31人 4人 3人
(84%) (13%) (3%) 好き (理由)・技ができるとうれしいから19人 ・いろいろな技に挑戦できるから 8人
・たくさん回れて楽しい 3人 ・前まわりが楽しい 1人 ふつう(理由)・あまり技ができないから 4人
嫌い (理由)・難しいから 2人 ・苦手だから 1人 3 鉄棒の技を上達するためにはどうしたらよいですか。
・何回も続ける 8人 ・いっぱい練習する 10人 ・毎日練習する 11人
・あきらめずに練習する 4人 ・腕の力をつける 1人 ・一生懸命にがんばる 3人 4 鉄棒運動の学習でどんなことができるようになりたいですか。
・逆上がり 5人 ・天国回り 18人 ・地獄回り 19人
・膝かけ回り(前)9人 ・膝かけ回り(後)10人
・たまご回り14人 ・後方支持回転 11人 ・前方支持回転 14人
・こうもりふりおり 4人 ・ひこうきとび 1人 ・懸垂逆上がり 1人
□技能面□(実技調査)
できる できない
・逆上がり 29人(76%) 9人(24%)
・前方支持回転 9人(24%) 29人(76%)
・後方支持回転 11人(29%) 27人(71%)
・たまご回り(前) 13人(34%) 25人(66%)
・たまご回り(後) 13人(34%) 25人(66%)
・膝かけ回り(前) 7人(18%) 31人(82%)
・膝かけ回り(後) 8人(21%) 30人(79%)
・天国回り 5人(13%) 33人(87%)
・地獄回り 7人(18%) 31人(82%)
・ふみこしおり 34人(89%) 4人(11%)
〈考察〉
クラスの約8割の児童は,鉄棒運動を好きと答えており,学習に関心を示している。休み時間 等に,鉄棒で遊ぶ姿もよく見かける。練習を重ね,技ができるようになった経験のある子は,楽 しみながら練習に取り組んでいる。また,そうした児童には回転感覚や逆さ感覚といった基礎的 な感覚がきちんと身についており,ちょっとしたこつを体得することで技ができるようになると 考えられる。
反面,体育の学習は好きだけど,鉄棒運動は苦手としている子も数名いる。逆上がりができな い児童の中で,できるようになりたいと強く思っている児童も数名おり,できるようになったと いう達成感を味わわせたいと思う。そのために,鉄棒運動に必要な基礎的な感覚づくりを継続し て行うとともに,児童が楽しめるような工夫をしていきたい。
また,本学級には,個別支援学級の(なの花学級)の児童が交流で参加している。技能は低い が,同学年の児童と共に学ぶよさや楽しさを味わうことをねらっているので,特別なルールを設 けたり,同系統の下位運動をめあてに持たせたりして,互いに学ぶよさを体験させたい。
(以下,☆印は,なの花学級の児童に関する事柄を示す。)
アンケート結果から児童は,天国・地獄回り(両膝かけ回り)や膝かけ回りをできるようにし たいという希望が多くあった。膝かけ回りは,発展性のある技なので児童もいろいろな技に挑戦 しながら意欲を高めていくと考えられる。補助具等の準備を行い,練習をしやすい環境・場(痛 みや恐怖心をできるだけ取り除いてやる)をつくって取り組ませたい。
ま た ,「 鉄 棒 の 技 を 上 達 さ せ る た め に は ど う し た ら よ い で す か 。」 と い う 質 問 に は , 毎 日 練 習 する,何回も続ける等の内容が多く,練習の大切さを感じているものの,技のポイントを教え合 ったり,補助し合ったりして友達と協力してできるようにしていくという意識はあまりないこと がわかる。互いの動きをよく見合い,教え合って仲間と共に伸びていけるような学習の雰囲気づ くりをしていきたい。そして,改めて友達のよさやみんなと一緒に学習するよさを感じさせたい。
(3)仮説との関わり
児童が楽しみながら基礎的な運動感覚を身につけられるようにしたい。そのために,こうもり じゃんけんゲームやだんご虫リレー,トントン逆上がりリレー,足抜き回りリレー,ペダルこぎ ゲーム等のゲーム化を図り,グループで励まし合いながら,逆さ感覚や回転感覚,腕支持感覚,
身体をしめる感覚を養っていきたいと考える。
3 学習のねらい
<関心・意欲・態度>
・自分の力に合っためあてを持ち,意欲的に学習に取り組むことができる。
・友達と協力して練習することができる。
<技能>
・膝かけ上がり・回りを習得することができる。
・膝かけ回りの連続技や技の組み合わせ,発展技に挑戦し,技能を伸ばすことができる。
☆「こうもり」を楽しむことができる。
<学び方>
・自分のめあてに合った場,補助具,資料等を使って練習することができる。
・友達の動きをよく見て,互いに教え合い,励まし合って取り組むことができる。
<安全>
・学習の場や運動の安全に気をつけて学習に取り組むことができる。
4 単元計画〈鉄棒運動〉 時間配分(総時数315分 45分×7回)
段階 時配 学 習 内 容 と 活 動 指導(○)支援(◎)評価(◆) 資料等
○オリエンテーション 学 習 計 画
つ 45 ・学習のねらいや進め方を知り,学 ○ 学 習 時 間 の 計 画 を 示 し , 見 通 し を 持 の掲示
習の見通しを持つ。 たせる。
・めあての持ち方を理解する。 ○ め あ て の 持 ち 方 に つ い て , 具 体 例 を か × ・鉄棒運動での約束事や安全面の 示して説明する。
確認をする。 ○ 安 全 に 運 動 に 取 り 組 ん で い く た め の
・準備運動や整理運動の仕方を理解 約束を確認する。
む 1 する。
○ドリル運動を行い,自分の動きの ○ 運 動 の ポ イ ン ト を 説 明 し , お 互 い に
課題を知る。 協力して行うようにする。
○よくできている子の動きを紹介しな が ら , 正 し い 動 き の ポ イ ン ト を 教 え る。
◆ 自 分 の め あ て や 学 習 の 見 通 し を 持 つ ことができる。
掲示物 ねらい1:ひざかけ上がり・回りに挑戦しよう。 学習カード な 45
○ドリル運動をする。 ○ 腕 支 持 感 覚 ・ 逆 さ 感 覚 ・ 振 り 感 覚 ・
・足ぬき回りリレー 回 転 感 覚 等 が 身 に つ く よ う な 動 き を か × ・こうもりじゃんけん 楽しく,くり返し行うようにする。
・だんごむしリレー
・トントン逆上がりリレー等
1 3 ○いろいろな逆上がりに挑戦する。 ○ ク ラ ス で 共 通 の 課 題 を 練 習 す る 時 間
・両足踏み切りから を 確 保 し , 互 い に 教 え 合 い , 励 ま し
・片逆手で 合いながら取り組めるようにする。
・両足を前に出して ○ い ろ い ろ な 逆 上 が り や 変 化 技 を 紹 介
・腕を伸ばして逆上がり等 し,意欲をもたせる。
本時 ☆トントン逆上がり ☆ ◎ 補 助 を し て , 逆 上 が り の 動 き を 経
(3/7) 験させる。
○膝かけ上がり・回りに挑戦する。 ○ 技 の ポ イ ン ト や 系 統 を 確 認 し , 互 い に 教 え 合 っ て 練 習 す る よ う に 指 導 す る。
◎ 補 助 の 仕 方 を 教 え , 互 い に 協 力 し て 練習できるように助言する。
○ マ ッ ト の 配 置 , 補 助 具 の 設 置 等 , 安 全 を 確 か め な が ら 練 習 す る よ う に 指 導する。
◎ 片 膝 か け の 振 動 や 手 首 の 返 し の ポ イ ントについて必要に応じて助言する。
☆こうもりに挑戦する。 ☆ ◎ 前 か ら 足 を か け た り , 背 面 か ら 鉄 棒 に ジ ャ ン プ し た り し て ひ と り で こ う も り が で き る よ う な 支 援 を す る。
◆ 自 分 の め あ て を も ち , 意 欲 的 に 練 習 することができる。
◆ 友 達 の 動 き を 見 て , 技 の ポ イ ン ト を 教えることができる。
◆ 膝 か け 上 が り ・ 回 り の 技 を 上 達 さ せ ることができる。
掲示物 ねらい2:膝かけ回りの発展技に挑戦しよう。 学習カード
○ドリル運動をする。 ◎ 練 習 の 方 法 や 場 が 安 全 で あ る か を 観
○自分のめあてを確認する。 察し,必要に応じて助言する。
○自分のできそうな膝かけ上がり・ ○ 技 の ポ イ ン ト を 理 解 し て 練 習 し て い 回りの発展技に挑戦する。 るかを確認する。
な 45 ・天国回り→地獄回り ◎教え合って練習できるようにする。
・地獄回り→こうもりふりおり ○ 技 を 連 続 さ せ た り , 組 み 合 わ せ て 練 か × ・膝かけ回りの連続等 習するようにする。
☆こうもりふりやこうもり逆立ち ☆ ◎ こ う も り の 体 勢 で , た い こ を た た 2 2 おり い た り , ボ ー ル を 投 げ た り し て 楽
しめるように工夫する。
◎ 補 助 を し て 技 の 感 覚 を 身 に つ け ら れ るようにする。
◎個々のめあてに応じて助言する。
◆ 自 分 の 力 に 合 っ た め あ て を も ち , 意 欲的に練習することができる。
◆ 友 達 と 教 え 合 い な が ら 練 習 す る こ と ができる。
◆自分の技を高めることができる。
ま 45 ○練習の成果を発表する。 ○ 自 分 の 技 能 の 伸 び や 学 び 方 を 振 り 返 と × ・膝かけ上がり,回り えるようにする。
め 1 ・天国,地獄回り ○ 互 い の 演 技 を 見 て , 練 習 の 成 果 を 認
・こうもりふりおり め合うようにする。
◆互いの演技を見て,上達したところ や個々の努力を認め合うことができ る。
5 本時の指導(3/7)
(1)ねらい
<関心・意欲・態度>
・自分のめあてを持ち,意欲的に学習に取り組むことができる。
・友達と協力して練習することができる。
<技能>
・膝かけ上がり・回りを習得することができる。
☆こうもりを習得することができる。
<学び方>
・技のポイントを理解し,友達に教えたり,補助したりすることができる。
<安全>
・学習の場や用具の安全に気をつけて学習に取り組むことができる。
(2)展開
時配 学 習 内 容 と 活 動 指導(○)支援(◎)評価(◆) 資料等 3 ○準備運動をする。 ○一つの動きをていねいに行うようにす
・手首,肩等を中心とした柔軟運動を行 る。
う。
○鉄棒を使った準備運動をする。 ○腕支持,回転,逆さ感覚を養う動きを
・つばめ→前回り→ぶらさがり 行うようにする。
7 ・後ろまわりおり
○ドリル運動をする。 ○グループ対抗で行い,協力して楽しく
・足ぬきまわりリレー できるようにする。
・トントン逆上がりリレー ○互いに励まし合って取り組めるように
5 する。
○いろいろな逆上がりに挑戦する。 ◎さか上がりのできない児童には,補助
・両足踏み切りから や助言をする。
・片逆手で ・連続逆上がり ○さか上がりのこつを友達どうしで教え
・両足を前に出して 合って練習できるようにする。
・腕を伸ばして逆上がり等
☆トントン逆上がり ☆◎補助をして逆上がりの動きを体験さ せる。
膝かけ上がり・回りに挑戦し
よう。
20 ○本時のめあてをつかむ。 ○膝かけ上がり,回りのポイントを確認 掲示物 し,互いに教え合うことができるよう 学習
にする。 カード
○自分のめあてをもち,練習の手順や場 について把握できるようにする。
○膝かけ上がり・回りの練習をする。 ◎膝が痛くならないように,膝当てを使 用するように助言する。
☆こうもりの練習をする。 ☆◎前から足をかけたり,背面から鉄棒 にジャンプしたりしてひとりでこうも りができるような支援をする。
◎個々の伸びを認めたり,助言をしたり して児童の意欲,技能が高まるように する。
○場の安全に気をつけて練習するように する。
◆自分のめあてを持ち,意欲的に学習す ることができる。
◆膝かけ上がり・回りを習得することが できる。
◆技のポイントを友達に教えたり,補助 したりすることができる。
10 ○本時のまとめをする。 ○伸びの見られた児童や協力し合って練 習していた児童を全体で認め合うよう にする。
○整理運動をする。 ○肩,手首などをほぐすように指導する。
○後片付けをする。 ○安全に気をつけて協力して後片付けが できるようにする。
(3)場の設定
ス テ ー ジ
鉄棒運動学習カード
名前( )
めあて1 ひざかけ上がり・回り挑戦しよう!
今日のめあて(挑戦する技・回数・ポイント)
2 3
めあて2 ひざかけ回りの発展技に挑戦しよう!
時間 挑戦する技 技のポイント
4 5 6
<学習の反省>
よくできた◎ ふつう○ できなかった△ / / / / / / / めあてをもち,いしょうけんめい練習でき
ましたか。
教えたり,励ましたりしましたか。
準備・後始末がきちんとできましたか。
安全に気をつけて学習できましたか。