第4学年○組 体育科学習指導案
指導者 Y・U 1 単元名 セストボール(ゴール型ゲーム)
2 単元について
(1)運動の特性
①一般的特性
ゴール型ゲームは,コート内に2つのチームが入り交じり,ボールを手や足で操作したり,空いている 場所に素早く動いたりする運動である。また,陣地を取り合って得点ゾーンに走り込み,ゴールにシュー トして得点を競い合うことが楽しい運動である。
②児童からみた特性
児童にとっては,手でボールを扱うことができるため,比較的親しみやすい運動と言える。また,作戦 やルールを工夫して楽しむことができ,作戦がうまくいったり,得点が入ったり,チームが勝ったりした ときに喜びが得られる運動である。しかし,攻守が入り交じるため,ボールを持ったときに状況を判断し たり,技能を発揮したりすることが難しい運動である。
(2)児童の実態(男子 7名,女子12名,計19名)
事前にアンケート調査を行った。結果は以下のとおりである。
□情意面□
質問事項 はい ふつう いいえ
1 体育の学習は好きですか。 15名(79%) 4名(21%) 0名(0%)
2 チームで運動するのは好きですか。 17名(89%) 2名(11%) 0名(0%)
3 バスケットボール(ポートボール)
は好きですか。
8名(42%) 11名(58%) 0名(0%)
4 バスケットボール(ポートボール)
をしていて「うれしかったと き・楽しかったとき」はどん なときですか。
・自分が点を入れたとき
・勝っているとき
・点(シュート)が入ったとき
・試合をたくさんしたとき
・練習したことが試合でできたとき
・ボールにたくさん触れたとき 5 バスケットボール(ポートボール)
をしていて「つまらなかった とき,楽しくなかったとき」
はどんなときですか。
・負けているとき
・ボールがこない(触れない)とき ・点が入らないとき
・思い通りに動けないとき
・ボールが当たったり,当ててしまったりしたとき ・ボールが遠くにいったとき
□技能面□
○ドリブルの技能 ジグザグドリブル
20mの直線上に2m間隔でカラーコーンを5つ置き,バスケットボールのドリブルをしてタイ ムを測る。また普通に走った場合と比較して,ドリブルだけの純粋な技能を見る。
●ドリブル 12秒~14秒 5名
14秒~17秒 7名 17秒~20秒 4名
20秒~ 3名
●走り
8秒台 9名 9秒台 6名
10秒台 3名
11秒台 1名
●差(ドリブル-走り)
3秒~5秒 5名 5秒~7秒 4名 7秒~9秒 6名
9秒~ 4名
○パスの技能
壁に向かってチェストパス
壁から3m離れた場所からチェストパスを行い,30秒間で何回パスできたかでパスをとって からパスをする動作までの速さや,パスの正確さなどの技能を見る。
17回~19回 3名 15回~16回 8名 12回~14回 6名 10回~11回 2名 ○シュートの技能
的に向かって10本シュート
高さ2m50cm,半径20cmの円に向かって10本中何本枠の中にシュートを当てること ができるかでシュート技能を見る。また,シュートは両手とし,自分のタイミングで打って良い とする。
9回~10回 6名 7回~ 8回 4名 5回~ 6回 6名 3回~ 4回 2名 0回~ 2回 1名
できる
できる
できる
できる
できる
<考察>
本学級の児童(男子7名 女子12名 計19名)は明るく活発で,何事にも一生懸命に取り組むこ とができる。また,「体育の学習は好きですか」の質問に対し,「好き」と答えた児童が約80%と高く,
体育の時間をとても楽しみにしている。しかし,ポートボールに関しては3年時に既習しているが,「好 き」と答えた児童は意外にも42%と低く,あまり関心が高くないということがわかった。実態調査の 結果から,普通に走ることと,ドリブルをしながら走ることとの時間差が多いことがわかった。本校の 校庭にはバスケットゴールが無く,外遊びの中で,バスケットボール型の遊びをしている児童はほとん どいない。そのため,絶対的な遊びでの経験が不足しており,興味・関心がもてなかったり,バスケッ トボールの技能であるドリブルやチェストパスといった技能の定着を妨げてしまったりしている。しか し,パスやシュートなどを集中して狙った場所に当てることは得意としている児童が多い。そういった 集中して技能を発揮する時間を与えたような環境を作っていくことが意欲につながるのではないかと 感じた。
バスケットボールではゴール型ゲームの特性である攻守が入り交じっていることで起こる,速い判断 が要求されることや狭い空間の中で技能を発揮しなければならないということにより,思い通りにゲー ムを行うことができない。そういった難しい状況をできる限り軽減し,仲間と協力してパスをつなぐこ との楽しさを味わったり,誰もがシュートを打って得点することの喜びを味わったりすることが大切だ と考える。
そこで,仲間とパスをつなぐことの喜びや得点を入れる楽しさなどを味わわせる(攻撃に重点を置い た学習を展開する)ために,ゴール型のゲームとしてセストボールを選択した。セストボールはアルゼ ンチンで考案され制度化されているスポーツであり,バスケットボールに似たゲームである。このゲー ムの主な特徴は,ドリブルを使わずにパスのみでボールを運び,双方のコートの中央部に置かれた運動 会の玉入れの籠のようなゴールにシュートし,得点を競うというものである。このゲームは技能の高い 特定の児童だけでなく,全員が動かなければパスがつながらないため,中学年段階の児童もゲーム中の 状況判断能力を身につけることができると考えられる。また,運動量やボールを触る回数も多く,パス やキャッチといった基本技能の向上につながると考える。さらに,3年時に学習したポートボールに比 べ,ゴールマンが不要であるとともに,シュートが360度可能であるためシュートチャンスが広がる と考えられる。よって従来扱われてきたゲームに比べ,楽しさはもちろん,基礎技能,状況判断能力の 向上が大いに期待できると考える。
(3)仮説とのかかわり
本校の研究仮説は「ドリル運動を効果的に取り入れ,運動の特性に応じた動きの基礎を身につけて いけば,意欲を持って運動に取り組む子が育つであろう。」である。児童の技能の向上をはかるために,
以下の運動を実践していきたい。
ドリル運動ではドリブル鬼ごっこ,ナンバリングパス,シュートゲームを行う。バスケットのドリ ブルの技能は本単元で行うセストボールの技能とは関係はないが,5年生時以降に行う,バスケット ボールの授業につなげるために必要と思い,ドリブルのドリル運動を取り入れることにした。ドリブ ル鬼ごっこの中で,ボールをつく技能を高めたり,ボールをつきながら顔をルックアップし,状況を 見ることができるようになったりすることをねらいとする。
ナンバリングパスはパスの技能を高めるドリル運動である。5つの指定されたエリアにチームで作 戦を立てて1番~5番の児童が入り,1番から順番にチェストパスでボールを回す。30秒間に何回 パスをすることができるかを数え,その数値で伸びをみる。ねらいとしてはチェストパスの技能を高
めることはもちろんであるが,自分たちで作戦を立て,誰がどの場所に立つと速くパスが回るかを考 える機会を増やすことが大切であると考えた。
シュートゲームでは狙った的に10本中何本当たるかを見る。時間で区切って焦らせるのではなく,
集中して丁寧にシュートを行い,正確性を高めるために行う。
以上のドリル運動を行うことで,ドリブル,パス,シュートの基礎技能をバランス良く高め,ゲーム 内でのパフォーマンスの向上に繋がり,興味・関心が高めると考える。
3 学習のねらい
<関心・意欲・態度>
・進んでゲームや試合に取り組み,セストボールを楽しむことができる。
・互いにルールやマナーを守って,安全に気をつけて運動することができる。
・チーム内で互いに協力し,励まし合いながら活動することができる。
<技能>
・パスやシュートなどの基本的な技能ができる。
・攻守の役割を理解し,場面に応じた動きができる。
・ルールを理解して,チームのめあてや作戦に応じた動きでゲームを行うことができる。
<学び方>
・チームの良さや課題に応じた作戦を立てたり,自分の役割を考えたりしてゲームに生かすことができる。
・作戦を成功させるための練習方法を選んだり,工夫したりして活動することができる。
・練習や試合を通して,チームの良さや課題,相手チームの特徴に気づき,次の計画に生かすことができる。
<安全>
・学習の場や運動の安全に気をつけて活動することができる。
4 単元計画<セストボール>時間配分(総時数360分 45分×8回)
段階 時配 学習内容 指導上の注意点(○)評価(◆) 資料等
つ
か
む
45
×
1
○オリエンテーション
・学習のねらいや進め方を知り,学習 の見通しを持つ。
・セストボールのルールを理解する。
・学習の約束事を確認する。
○ドリル運動をする。
・ドリブル鬼ごっこ
・ナンバリングパス
・シュートゲーム
○学習時間の計画を示し,見通しを持 たせる。
○セストボールのルールを確認する。
○安全に運動に取り組んでいくための 約束やマナーを確認する。
○ドリブル,パス,シュート等,ボー ルになれる運動をさせる。
◆学習のねらいや見通しを持つことが できる。
◆セストボールの簡易なルールを理解 することができる。
ドリル運動 の内容の掲 示
学習カード ヘッドビブ ス
○準備運動を行う。 ○指周りを中心に準備運動を行うよう にする。
学習カード 得点板 ヘッドビブ ス
ねらい1:パスをつないでシュートすることができる
な
か
1
45
×
3
○ドリル運動を行う。
4~5人×4グループに分かれる。
・ドリブル鬼ごっこ
・ナンバリングパス
・シュートゲーム
・ドリブル
・ボールハンドリング
○パスをつなぐことに着目した練習を 行う。
・3対1のおじゃま退治
・パス的当てゲーム
・パス&パス
・エイトマンパス
○セストボールのゲームを行う。
・4人制で行う。
・試合時間は5分間
・ドリブルは禁止
・ゴールは大きなネットを使用する
○ねらいとしている動作を確認し,正 しい基礎技能が身につくようにす る。
○ドリブル鬼ごっこでは顔をあげてド リブルができるように意識させる。
○ナンバリングパスでは相手の胸に向 かってチェストパスができるように する。
○シュートゲームでは,1本1本を集 中して行うようにする。また,はず れた場合は失敗の理由を考えること ができるようにする。
◆ねらいを意識して,ドリル運動に取 り組むことができる。
○チェストパスができる児童にはパス の三原則,スピード,距離,方向を 意識させる。
○ボールをよく見て,相手の胸をめが けてパスができるように指導する。
○おじゃまがいない場所をねらってパ スができるようにする。
◎友だちと教え合い,励まし合って学 習できるように声をかける。
◆パスが正確につなぐことができる。
○リーダーが中心となって活動できる ように支援する。
○話し合い活動を増やし,チームの良 いところや課題を出させ,フォーメ ーションを考えられるようにする。
◆ルールやマナーを守って,意欲的に 運動することができる。
◆お互いのよい動きに気づき,認め合 うことができる。
な
か
2
45
×
3
本時 (7/8)
○準備運動を行う。
○ドリル運動を行う
4~5人×4グループに分かれる。
・ドリブル鬼ごっこ
・ナンバリングパス
・シュートゲーム
・ボールハンドリング
○パスをつないでシュートをする練習 を行う。
・3対2のおじゃま退治
・3対2のシュートゲーム
○セストボールのゲームを行う。
・4人制のゲームを行う。
・ゴールをダンボールに変え,シュー ト時の迫力を高める。
・ダンボールをポートボール台に乗せ,
落ちたら1点とする。
・ドリブルは禁止
○肩周りを中心に準備運動を行うよう にする。
○ポイントをおさえてドリブル,パス,
シュート等の基本的な技能が身につ くようにする。
◆ねらいを意識して,ドリル運動に取 り組むことができる。
○パスの三原則が理解できるように場 面を設定する。
○パスを回して,おじゃまがいない場 所をみつけることができるようにす る。
◆パスの意図を理解してシュートする ことができる。
○リーダーが中心となって活動できる ように支援する。
○話し合い活動を増やし,チームの良 いところや課題を出させ,フォーメ ーションを考えられるようにする。
◆作戦を工夫して,パスを使って攻撃 することができる。
◆ルールやマナーを守って,意欲的に 運動することができる。
◆お互いのよい動きに気づき,認め合 うことができる。
学習カード 得点板 ヘッドビブ ス
ま と め
45
× 1
○リーグ戦のセストボール大会を行 う。
・4~5人×4チームに分かれる。
○励まし合い,教え合っているチーム を称賛する。
○チームでどのようにパスをつなぐか 作戦を立てられるようにする。
◆作戦や課題練習がゲームに生かすこ とができる。
◆協力してゲームをすることができ る。
学習カード 得点板 ヘッドビブ ス
ねらい2:チームでパスをつないで攻めることができる。
ねらい3:チームで作戦を工夫してゲームをすることができる。
5 本時の学習(7/8)
(1) ねらい
<関心・意欲・態度>
・ルールやマナーを守り,ゲームを楽しもうとすることができる。
・チームで協力し合い,安全に気をつけて活動することができる。
<技能>
・ドリブル,パス,シュートの基本的な動きができる。
・パスの三原則を意識してできる。
・ルールを理解し,人がいない場所をさがして攻めることができる。
<学び方>
・自分の立てた課題やめあてを達成しようとすることができる。
<安全>
・学習の場や運動の安全に気をつけて活動することができる。
(2) 展開
時配 学習内容 指導上の留意点(○)評価(◆) 資料等 3
12
○準備運動を行う。
・柔軟を行う。指や肩周りなど必要部位を重 点的に行う。
○ドリル運動を行う。
サークル内でドリブルやハンドリングを行 う。
・ドリブル背中タッチ
5~6人×3グループに分かれる。
・ナンバリングパス
○指や肩周りを重点的に師範しながら 行う。
○ねらいとしている動作を確認し,正 しい基礎技能が身につくようにす る。
○顔を上げてドリブルできるように意 識させる。
○曲に合わせてドリブルする。
○どのようなパスの順序にすると速く 回せるか考えさせる。
◆ねらいを意識して,ドリル運動に取 り組むことができる。
○パスをつないでボールをすすめるた めにはどうすればよいかなげかけ る。
○パスの距離や方向を意識させる。
○パスした後の動きを考えさせる。
○チームで作戦を立てて,パスの回る 順番を考えさせるようにする。
学習カード コーン ゴール ボール ラジカセ
3
10
12
・シュートゲーム
○本時のめあてをつかむ。
・パスの3原則を確認する
①速さ:パスの速さを考える。
②距離:自分と相手の距離感を考える。
③方向:パスをする場所を考える。
○タスクゲームを行う。
・パス的当てゲームを行う。
・4対2+2で行う。
○セストボールのゲームを行う。
・4人制で行う。
・試合時間は5分間
・ドリブルは禁止
・ゴールは大きなネットを使用する
(児童からルールの変更等を出させ,実際に 行ってみる。)
○一本一本を集中してシュートするよ うに意識させる。
○的にボールを当てるためにはどうし たら良いか考える。
○チームで作戦を立てたパスの道順に ついて確認する。
○コーンを的とするが,ねらうことが 難しい場合はダンボールなどの大き な的を用意し,当てやすくする。
◆パスの3原則を理解し,パスをする ことができる。
○攻守の切り替えを意識させる。
○作戦がうまくいったかの話し合いを 行い,チームとしての作戦が機能し ているか確認させる。
○チームでパスを回せるように意識さ せる。
○パスを出した後の動きを工夫させ る。
○スペースをついたパスを出した児童 を称賛する。
◆陣形を良く見てパスをすることがで きる。
○チームでどのように作戦を立てた か,またその作戦がうまくいったか 確認させる。
掲示物
コーン(的)
ヘ ッ ド ビ ブ ス
ボール
ゴール ヘ ッ ド ビ ブ ス
得点板 学習カード チームでパスをつないで攻撃しよう
3
2
○本時のまとめをする。
・学習カードを参考にし,記録の確認を行う。
○整理運動をする。
○後片付けをする。
○ゲームを振り返り,友だちの良かっ た所や,自分のめあての達成状況な どを確認させる。
○めあてを達成しようとした児童を称 賛する。
◆ルールやマナーを守り,意欲的に学 習することができる。
○指,肩周りを中心に行う。
○安全に気をつけて協力して後片付け ができるようにする。
学習カード
(3) 場の設定
1 2
4 3
ドリブル鬼ごっこ
シュートゲーム シュートゲーム
シュートゲーム シュートゲーム
ナ ン バ リ ン グパス
ナ ン バ リ ン グパス ナ ン バ リ ン
グパス
各班ごとに1~4でナンバリングパス,シュートゲームを行う。