国語科 3学年 -1-
第3学年 国語科学習指導案
1 単元名 物語のおもしろいところをしょうかいしよう『モチモチの木』
~心のブックツリーを育てよう~
2 目標
3 学習指導要領との関連
4 児童の実態 調査 11月11日(水) 調査人数 2組 30人 4組 30人
これまで児童は,3学年で『白い花びら』や『のらねこ』,『わすれられないおくりもの』の学習教材 を通して,登場人物の性格や心の動きを捉えながら心情の変化を読み取ってきた。特に『わすれられな いおくりもの』では,場面ごとにあなぐまに対する動物たちの気持ちを考えさせながら読み進め学習を 行ってきた。また読書活動では,朝自習の時間や休み時間に意欲的に読書をしている。全校で取り組ん でいる「読書手帳」や学年で取り組んでいる「おすすめカード」にも積極的に読書の足跡を残し,読書 の幅も少しずつ広がっている。家庭学習でも毎日音読をさせ,習慣化してきている。
1 読書に関する実態 (2組)[4組]
(1) 1カ月でどれぐらいの本を読みますか。
(およそ)さつ
0~10冊・・・(15)[10]
11~20冊・・・(7) [14]
21~30冊・・・(4) [3]
31~40冊・・・(2) [2]
41~50冊・・・(0) [0]
51~60冊・・・(1) [1]
(2) どんな種類しゅるいの本が好きですか。いくつでもいいので,○をつけてください。
○みんなが楽しめる本の紹介会をするために,進んで音読や読書に取り組もうとする。
〈関心・意欲・態度〉
○『モチモチの木』の内容や場面の様子が分かるように音読することができる。
〈読むこと〉
○「おすすめブックリーフ」を書くために,いろいろな本を選んで読むことができる。
〈読むこと〉
○本の紹介を,自分の感想や本のあらすじなどを表す語句を使って表現することができる。
〈伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〉
C読むこと(3)「目的に応じ,内容の中心をとらえたり段落相互の関係を考えたりしながら読む 能力を身に付けさせるとともに,幅広く読書しようとする態度を育てる。」 「ア 文章の内容や構成を理解し,自分の思いや考えと合わせながらよく分かる
ように音読すること。」
「ウ 場面の移り変わりに注意しながら,登場人物の性格や気持ちの変化,情景 などについて,叙述を基に想像して読むこと。」
「カ 目的に応じて,いろいろな本や文章を選んで読むこと。」
国語科 3学年 -2-
ぼうけん(16)[11] 家族(7)[1] いのち(9)[1] 友じょう(5)[1]
昔の話(9)[5] こわい話(15)[17]わらえる話(18)[9]楽しい話(18)[12]
感動(2)[1] 悲しい(1)[0] 不思議な話(3)[0] ミステリー(3)[1]
海賊の話(1)[0] 食べ物の話(1)[0] スポーツの話(0)[2]動物(0)[2]
(3)友だちにしょうかいしてもらったら,読んでみたいと思いますか。
思う(29)[23] 思わない(1)[7]
(4)どんなところで本を選びますか。
題名(13)[11] ためし読み(13)[7] 表紙・挿絵(10)[10]
好きなジャンル(3)[0] ページ数(1)[0] 作者(0)[1]
2 考察(2組)
多くの児童が1ヶ月に読む冊数が10冊程度であった。月に4回程しか授業時間内に図書室に行く ことができていないので,自主的に図書室や図書館へ足を運んだり家庭で読んだりと,多くの児童が 積極的に本に手を伸ばしていることが分かった。交流や紹介など,楽しんで行えるだろう。好きな物 語のジャンルを問う質問では,例で示した種類のほとんどに丸をつける児童が少数,その他大勢の児 童が1つ,2つに丸をつけていた。たくさんの種類を読んでいる児童は少ないようである。また選書 の仕方では,題名や挿絵を見て直感で選ぶ児童がほとんどのようだ。好きなシリーズやジャンルをと りあえず手に取ってみるという声も多かった。さらには,友達に紹介してもらうと読んでみたいと思 うと答えた児童が大多数であった。
3 考察[4組]
本学級の児童は,読書に意欲的に取り組んでいる。1カ月の読書冊数は平均17冊と比較的多い。
週1回図書室での図書の貸し出し以外にも,休み時間に進んで図書を借りに行く児童が見られる。大 小タイムの読書タイムや給食の支度の時間などを利用し,黙々と読書に取り組んでいる。実態調査の アンケート設問2から,児童が選書する種類は「怖い話」や「楽しい話」「笑える話」といったもの が多かった。反面,本単元で読書してほしい「友情」「家族・命」といった種類の本はあまり興味が ないことが分かった。また,設問3から友だちから紹介してもらって読んでみたいと思う児童が23 人(77%)いたが,思わないと答えた児童が7人(23%)いることが分かった。また,設問4から表 紙や題名から興味をもって選書している児童が多いことが分かった。
以上のことから,児童の読書の幅をさらに広めるためには,幅広いジャンルの本を児童が積極的に 手に取れるようにする手立てが必要である。
5 指導観
心のブックツリーを育てよう
国語科 3学年 -3-
本単元では,普段自分の好みに合った本を選び読んでいる児童が,まだ読んだことのない物語のジャ ンルに触れ,読書の幅を広げたいと考える。そこで,本単元の学習のゴールは,『心のブックツリーを育 てよう』と設定した。
単元導入では,自分のおすすめ本を友だちに紹介することを伝える。そうすることで,その本のクラ イマックスシーンや魅力はどこか考え,友だちに本のよさを伝えるという目的意識をもって読むことが できると考える。
紹介する方法として,読んだ本の記録を「おすすめブックリーフ」という読書カードに書き,掲示を する。「おすすめブックリーフ」(学年用)には,本の題名・作者名・おすすめした人の氏名が書かれて いる。読んだ本が,「冒険」(青色)・「友情」(黄色)・「家族・命」(赤色)のどのジャンルに当てはまる か考え,ジャンルに合った色の「おすすめブックリーフ」に記録する。「おすすめブックリーフ」を学年 掲示板に掲示することで,次に読んでみたいジャンルにどんな本があるか,児童が選書する時の手助け になると考える。
教材文『モチモチの木』は,初めは臆病で夜中1人でしょうべんにも行けなかった豆太が,大好きな じさまを助けたいという一心で医者様を呼びに一人山を駆け下り,大切な人のために行動できる勇気あ る子どもへと成長を遂げる物語である。場面と場面を比べて読んだりモチモチの木の叙述の変化に気付 かせたりすることで,豆太の性格や心情の変化を捉えていく。このような学習を通し,物語の魅力や盛 り上がりのある場面を読み取る力をつけさせ,本の紹介に活かしたい。『モチモチの木』の学習の最後に は,友達に紹介したい場面を選び「おすすめブックリーフ」(学級用)に書く。この「おすすめブックリ ーフ」には,本の題名・作者名・おすすめ情報・友達からのおすすめ度と一言感想が書かれている。『モ チモチの木』のおすすめ場面を紹介し友達から感想をもらうことで,意見を交流することの楽しさや喜 びを感じ,これからの活動への意欲を高めていきたい。
学級内でもさらに,読んだ本の「おすすめブックリーフ」を書き,掲示をする。友達が書いた「おす すめブックリーフ」を見て興味をもった本を読み,読んだ感想を書きおすすめ度を評価する。このよう な活動を様々な本で行うことによって,今まで読んだことのないジャンルの本にも挑戦し,新たなおも しろい本と出会わせたい。学習の最後には,今まで書き溜めた「おすすめブックリーフ」の中から最も おすすめの本を選び,友達に紹介する。紹介の後には,「読んだことのない本を読んでみてどのような感 想をもったか」「今までの選書の仕方とどう変わったのか」など,振り返りを行う。学習を始める前と終 えた時の読書活動の変化を振り返らせることで,読書の幅の広がりを実感させたい。
6 仮説とのかかわり
仮説1 つけたい力に応じた単元を貫く言語活動の工夫
・物語の魅力を読み取り,「おすすめブックリーフ」に書き表す。
・色々な本を「おすすめブックリーフ」で紹介し,友達と交流する。
仮説2 音読を効果的に取り入れる工夫
・「おすすめブックリーフ」で紹介したい場面の魅力を伝えるために,抑揚をつけて音読する。
仮説3 評価の工夫
・友達同士で「おすすめブックリーフ」を読み,感想を伝え合うことで,相互評価をする。
文章の姿
― 文 章 の すが た ー モ チ モ チの 木
斎 藤 隆介 お くび ょ う 豆太
・ 一 人じ ゃ し ょ ん べん も 行け な い
。
・ 夜 にな る と, も う だめ な んだ
。 体
を 丸め て う な っ て いる じ さま
「 医 者 様を よ ばな く っ ちゃ
・ は だし で
・ 血 が出 た 勇気 あ る 豆太
国語科 3学年 -4-
7 指導計画(17時間扱い)
過程 学習内容と学習活動 評 価 時配
み と お す (1)
○学習の見通しをもち,単元の終末を示す。
○おすすめする図書は3つのテーマ「ぼうけん」
「友じょう」「家族・命」のどれに合うのかを考 え,色分けしてブックリーフに書くことを知る。
○物語の本を並行読書する。
○読書活動推進補助教員から様々な本の紹介を聞 く。
○単元の終末までの見通しをも ち,意欲的に本を紹介しようと する。
◯並行読書をしたり,「おすすめ ブックリーフ」を書いたりして いる。
1
ふ か め る (7)
○文章の姿を提示し,物語のあらましを捉える。
○教材文『モチモチの木』を読み,初発の感想を 書く。
○物語のあらましをつかみ,初発 の感想を書いている。
1
○登場人物の豆太の性格やモチモチの木に対する 気持ちを読み取る。
◯豆太の性格やモチモチの木に対する気持ちが表 れるように音読する。
○豆太とじさまの心情やモチモ チの木に対する気持ちを読み 取っている。
◯豆太の気持ちを想像して,抑揚 をつけて音読している。
4
○豆太の心情を想像し,役割を決めて音読する。
◯『モチモチの木』のおすすめの場面をノートに
◯豆太の気持ちを想像して,抑揚 をつけて音読している。
◯『モチモチの木』のおすすめの 場面をノートに書き,話し合っ ている。
1 4組 (本時)
<単元を貫く言語活動>
心のブックツリーを育てよう
『モチモチの木』の文章のあらましをつかも う。
豆太の性格を読み取ったり,モチモチの木に対 しての気持ちを考えたりしよう。
『モチモチの木』のおすすめの場面を見つけ よう。
国語科 3学年 -5-
8 本時の学習(7/17) 指導者 4組 柏谷 俊光
(1) 本時の目標
○ 登場人物の豆太の心情が変わった場面を想像しようとしている。 〈関心・意欲・態度〉
○ 豆太の心情が変わった場面を読み取り,音読することができる。 〈読むこと〉
○ 豆太の人柄や様子を表現したり理解したりするために,必要な語句を増やし使うことが できる。 〈伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〉
(2) 展開
時配 学習内容と学習活動 指導・支援 ○評価 3 1 前時の学習を振り返る。 ・豆太の性格やモチモチの木に対する
気持ちを確認する。
2 2 本時の学習問題を確認する。
6 3 四と五の場面を音読する。
・指名読み
・豆太の心情が変わった文章を考えさ せながら音読をする。
書き,話し合う。
○「おすすめブックリーフ」を書く。
○「おすすめブックリーフ」を紹介する。
○豆太の心情の変化を読み取り,
「おすすめブックリーフ」を書 いている。
○書いた「おすすめブックリー フ」を紹介している。
1
ま と め る
・ ひ ろ げ る (9)
○自分の読んだ図書から「おすすめブックリーフ」
を書く。
○友達の「おすすめブックリーフ」を読み,おす すめの本を読む。
○「おすすめブックリーフ」に一言感想を書く。
○読書活動推進補助教員から様々な本の紹介を聞 く。
○3つのテーマごとに色分けさ れた用紙を選び,「おすすめブ ックリーフ」を書いている。
◯自分の選んだ本のテーマがど れなのか考えて用紙を選んで いる。
◯友達や読書活動推進補助教員 から紹介された本を積極的に 読んでいる。
4
4
○自分が書いた「おすすめブックリーフ」から1 冊を友だちに紹介する。
○単元を通しての自分の振り返りを書く。
◯おすすめの場面を友だちに分 かりやすく伝えている。
1 2組 (本時)
『モチモチの木』のおすすめの場面を見つけよう。
『モチモチの木』の「おすすめブックリーフ」
を書こう。
今まで読んだ本の中から,友達に紹介したい 本を選び,「おすすめブックリーフ」を書こう。
「おすすめブックリーフ」で紹介された本を 読もう。
おすすめ本をしょうかいする会を開いて,学 習のまとめをしよう。
国語科 3学年 -6-
8 4 豆太の心情が変わった文章を読み取る。
・まくらもとで,くまみたいに体を丸めてう なっていたのは,じさまだった。
・「医者様を,よばなくっちゃ」
・それでも,豆太は,じさまが元気になると,
そのばんから
「じさまあ。」と,しょんべんにじさまを 起こしたとさ。
○じさまを思い,豆太の心情が変わっ た文章を読み取っている。
・弱虫の豆太が勇気をもって行動した 文章を読み取り,ノートに書いてい るか確認する。書けていない児童に は,豆太がじさまのためにどのよう な行動をとったのかを考えるよう支 援する。
18
5
5 豆太やじさま,語り手の役割を決め,抑揚を つけて音読する。
・豆太
・じさま,医者 ・語り手
6 『モチモチの木』のおすすめの場面を紹介す る。
○豆太の気持ちを考えて,抑揚をつけ て音読している。
・豆太と語り手に分かれ,読む速さや 声の大きさを変えて音読し合う。
・音読をしてみて『モチモチの木』の おすすめの場面を見つける。
3 7 本時の振り返りをし,次時の予告をする。 ・『モチモチの木』の「おすすめブック リーフ」を書く活動を知る。
(3) 板書計画
8 本時の学習(17/17) 指導者 2組 遠藤 美菜
(1)本時の目標
○ 自分のおすすめ本の魅力を紹介しようとしている。 〈関心・意欲・態度〉
○ 選んだ本の内容や構成全体をよく理解し,本を提示しながら紹介を効果的に行うことができ る。 〈読むこと〉
○ 自分のおすすめの本の魅力を適切な言葉によって表すことができる。
〈伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〉
(2)展開
時配 学習内容と学習活動 指導・支援 ○評価 モ チモ チ の 木
斎 藤 隆 介
・ まく ら も とで
、 くま み たい に 体 を 丸 め て う な っ て い た の は
、 じさ ま だ った
。
・「 医 者 様を
、 よ ばな く っち ゃ
」
・ そ れで も
、 豆 太は
、 じ さま が 元 気 に なる と
、 その ば ん から
「 じ さ まあ
。」 と
、 し ょん べ ん にじ さ ま を 起 こ し たと さ
。
○ 役 を 決め て
、 読ん で み よう
。
・読 む は や さを 変 え る。
( 早く
… あわ て て いる
)
・ 声 の大 き さ を変 え る
。( 大 き く
…お ど ろき
) A… 豆太 B… じさ ま 医者 C… 語り 手
『 モ チ モ チ の木
』の お す す め の 場 面 を見 つ け よう
。
国語科 3学年 -7-
5
15
15
8
2
1 発表の仕方の確認をする。
2 おすすめ本の紹介を行う。(グループで) ・1人3分以内を目安に行う。
・本の表紙を見せながら,「題名」「作 者」「おすすめ情報」「どこに置いて あるか」を紹介する。
・発表後は1人,感想を述べる。
3 おすすめ本の紹介を行う。(全体で) ・ぜひ全体にも紹介してほしい児童を
推薦し合い,紹介する。
4 今までの学習活動を振り返り,ワーク シートに感想を書く。
5 全体シェアリングをし,学習のまとめ をする。
・前時に説明した発表の仕方を想起させ,
質問等あれば学級全体で話し合い,おす すめ本を紹介する会がスムーズに流れる ように確認させる。
・表紙だけでなく,おすすめの場面を一部 分だけ音読したり,挿絵を見せたりして,
友だちに「読んでみたい」と思わせるよ うな工夫をしながら紹介するとよいこと を助言する。
・上手な話し方・聴き方をしている児童を 紹介し,目標となる姿を具体的に提示す ることで,より良い発表会とさせる。
○自分のおすすめ本の魅力を紹介しようと している。
○選んだ本の内容や構成全体をよく理解 し,本を提示しながら効果的に紹介して いる。
○自分のおすすめの本の魅力を適切な言葉 によって表している。
・友だちに紹介してもらう良さや,紹介し たり感想を交流し合ったりしてたくさん の本を読むことができたことなどに触 れ,自分の本の世界が広がった実感をも たせる。
(3)板書計画
おすすめ本をしょうかいする会を開いて,学習のまとめをしよう。
・読 ん だ こ と の ない 本 を読 め て
、 う れし か っ た。
・ 友 だち に し ょ う かい し て も ら う と、 読 み た い なと い う 気 持 ち にな っ た
。
ふ り かえ っ て・・・
学 お す す め 本 しょ う か い 会 を し て
、 学 習 のま と めを し よ う。 発
表 会 の進 め 方