令和 3 年度 卒業論文
シラカンバ複合 LVL の強度性能評価
北海道大学 農学部 森林科学科 木材工学
古井戸 宥樹
1.
緒言広葉樹材輸入量が減少している中,今後も広葉樹資 源を確保していくために国産広葉樹の利用促進は必要不 可欠である。広葉樹の用途は建築材料から家具材まで多 岐にわたるが,日本における広葉樹の素材(製材・合 板・チップ用材)生産量は長期的に減少傾向にある 1)。 とくに北海道は全都道府県で最も広葉樹蓄積量が多いに も関わらず,蓄積量に対する素材生産量の割合はわずか
0.14
%(令和2
年)となっている1)。したがって北海道に おける広葉樹の素材生産を上向かせることは重要な課題 である。道産広葉樹の代表例としてはシラカンバが挙げられ るが、道内のシラカンバは中小径木が多く,原木の
8~9
割がパルプ用材として流通しているとされる2)。この現 状を問題視し,シラカンバの新用途開発による高付加価 値化を目指す動きが盛んになっている3)。こういった用 途開発の一例としてシラカンバ原木の単板化が挙げられ る。単板は原木を薄く桂剥きまたはスライスすることで 得られる木質エレメントで,合板やLVL
などの木質材 料の原料となる。単板化することによって木材の乾燥や 防腐処理が容易となる4)。また広葉樹の単板を用いるこ とで化粧性や強度面で製品の付加価値を高めることがで きる 5)。とくにロータリーレースによる単板加工は製材 やラミナと比較して歩留まりの高い加工方法であり,中 小径木を無駄なく利用するのにより適した方法と考えら れる。近年ではスピンドルレス方式ロータリーレースが 開発され,より小径の原木から単板を製造できるように なっている。実際にシラカンバ単板を利用した製品開発 の例としては,シラカンバLVL
によるフローリングの 実用化が進められている6)。このようなシラカンバ中小径木から得られるロータ
リー単板の有効的な活用方法として,シラカンバ単板と 針葉樹単板を複合した異樹種複合
LVL
(以下,シラカン バ複合LVL
)の製造を試みた。比較的安価な針葉樹単板 を用いることでLVL
製造コストを抑えるとともに,シ ラカンバ単板を用いることで既存の針葉樹合板およびLVL
の強度性能を向上させることが狙いである。本研究 ではフローリング材のような面材としての利用を想定し てシラカンバ複合LVL
の曲げ性能及びせん断性能を調 べた。また単板構成がシラカンバ複合LVL
の強度性能 に及ぼす影響について検討を行った。2.
実験(1)供試単板
使用した単板は樹種ごとに伐採地・伐採年が異なる ものの,全て北海道立総合研究機構林産試験場(旭川)
で製造されたロータリー単板で,面寸法は全て
300mm
× 300mm
である。単板の詳細は以下の表-1
に示す。全ての単板において超音波伝搬時間を測定し繊維方 向の動的ヤング率を算出した。シラカンバ,トドマツ単 板に関しては,
Dr.Wood
(秋田エスケイケイ製)を使用 し,単板端部の表面側からセンサー(周波数70kHz
)を表-1 単板詳細
伐採年 伐採地 シラカンバ
2.3 132 2016
雨龍研究林カラマツ
3.2 54 2017
十勝 トドマツ3.2 54 2015
むかわ町厚さ[
mm ]
丸太樹種 枚数
押し当て,超音波伝播時間を測定した(写真
-1
)。カラ マツ単板に関しては,Pundit Lab
(Proceq
製)を使用し,単板木口面
3
か所の超音波伝播時間(周波数54kHz
)を 測定した。測定後(1
)式を用いて単板ヤング率を算出 した。E
V=ρV
2 (1
) ここで,E
Vは単板ヤング率,ρ
は単板密度,V
は超音 波伝搬速度である。得られた各樹種の単板ヤング率分布 を図-1
に示す。樹種別のヤング率はシラカンバ単板で10.0~17.1GPa
( 平 均13.6GPa
) , カ ラ マ ツ 単 板 で9.40~16.6GPa
( 平 均13.0GPa
) , ト ド マ ツ 単 板 で8.49~13.5GPa
(平均10.9GPa
)となった。(2)LVL
の製造a)単板構成
製造した
LVL
は全て5
層5
プライで,本稿では外層か ら順に第1
層,第2
層,…第5
層と称する。本研究では,シラカンバおよび針葉樹単板の配置と直交層の有無にし たがい
8
タイプ(A~D, a~d
)のLVL
を製造した(表-2
)。なお,
B~D, b~d
についてはカラマツを用いる場合とトドマツを用いる場合とで表記を区別した。
A~D
は全層の 繊維方向が平行となっているLVL
(以下,平行タイプ),a~d
は最外層と繊維方向を直交させた層(第2, 4
層)を 含むLVL
(以下,直交タイプ)となっている。b)製造工程
塗布量が
200g/m
2となるように単板両面に100g/m
2ずつ 接着剤を塗布した。接着剤は水性高分子イソシアネート 系接着剤(オーシカ製,主剤TP-111
,架橋剤H-3M
,重 量比:100
(主):15
(架))を使用した。その後プレ ス機(写真-2
)を用いて20
℃前後・圧締圧力0.98MPa
の 条件下で60
分間圧締を行った。解圧後1
週間以上室内 で養生し,完成したLVL
をLVL
原板(写真-3
)とした。写真-1 超音波伝搬時間の測定(
Dr.Wood
)図-1 各樹種単板ヤング率(
GPa
)の分布表-2 製造した
LVL
の単板構成注)
S
はシラカンバ,K
はカラマツ,T
はトドマツ,太字は 直交層を示す。2
つの表においてA, a
の情報は重複して 示したものである。A B-K C-K D-K a b-K c-K d-K
1 S K S S S K S S
2 S K K S S K K S
3 S K K K S K K K
4 S K K S S K K S
5 S K S S S K S S
11.5 16 14.2 12.4 11.5 16 14.2 12.4
6 3 3 3 6 3 3 3
公称厚さ[mm]
製造枚数 タイプ 単 板 構 成
A B-T C-T D-T a b-T c-T d-T
1 S T S S S T S S
2 S T T S S T T S
3 S T T T S T T T
4 S T T S S T T S
5 S T S S S T S S
11.5 16 14.2 12.4 11.5 16 14.2 12.4
6 3 3 3 6 3 3 3
タイプ 単 板 構 成 公称厚さ[mm]
製造枚数
写真-2 プレス機
写真-3
LVL
原板(3)試験方法 a)試験体
試験体は
LVL
原板1
枚から4
体ずつ切り出し,うち2
体を動的ヤング率測定および曲げ試験用,もう一方の2
体 を せん断試験用とした。前者の試験体は厚さ11.5~16mm
,幅70mm
,長さ280mm
とした。この寸法は 基本的に単板積層材の日本農林規格に従ったものである が,試験体長さについては製造の都合上とりうる限界である
280mm
を全試験体共通の長さとした。後者のせん断試験用試験体は厚さ
11.5~16mm
,幅40mm
,長さ96mm
とした。この寸法も単板積層材の日本農林規格に従った ものである。b)
非破壊試験法による動的ヤング率測定曲げ試験に先だって
LVL
の動的ヤング率を測定する ために,曲げ試験用試験体を用いて2
種類の非破壊試験 法を実施した。縦振動法では図-2
のように試験体の材長 中央を支持し,曲げたわみ振動法では図-3
のように1
次 振動モードの節となる位置を支持して測定を行った。縦 振動法によって得られた動的ヤング率をE
L,曲げたわ み振動法によって得られた動的ヤング率をE
Fとした。E
LおよびE
Fは次式によって算出した。E
L= 4lf
r2W
bh
(2
)E
F=� 2πf
rl
2im
2�
2
∙ρ
(3
)(
2
)および(3
)式において,E
Lは縦振動法による動 的ヤング率,l
は試験体長さ,f
rは固有振動数,W
は質量,b
は試験体幅,h
は試験体厚さ,E
Fは曲げたわみ振動法 による動的ヤング率,i
は断面2
次半径(h /
√12
),m
は1次振動モード時の定数(4.730
),ρ
は密度である。c) 曲げ試験
動的ヤング率を測定した試験体を用いて中央集中荷 重の
3
点曲げ試験を行い,荷重およびスパン中央のたわ みを測定した。試験にはオルゼン型万能試験機を用いた。床材としての利用を想定し,図
-4
のように積層方向に加 力した。このとき第5
層が引張側の単板となっている。単板積層材の日本農林規格によれば,曲げ試験のスパン は試験体厚さの
21
倍とされているが,本研究において は試験体長さが最大280mm
前後となるため,一部の試 験体において規格に準じたスパンを設定できなかった。したがって厚さの約
16~23
倍である260mm
を本試験にお ける全試験体共通のスパンとした。試験後,せん断たわみを含む見かけの曲げヤング率
E
・せん断たわみを含まない真の曲げヤング率E
b・曲げ 強さMOR
をそれぞれ次式によって算出した。なお(5
) 式において,E /G
は15
と仮定した。これは木質構造設計 規準・同解説7)において規定されている基準せん断弾性 係数/基準曲げヤング率比を参考にしている。E= PL
34bh
3δ
L (4
)E
b=E∙ �1+ 6 5 � E
G � � h L �
2
�
(5
)MOR= 3P
maxL
2bh
2 (6
)(
4
),
(5
),
(6
)式において,E
は見かけの曲げヤ ング率,P
は比例限度における荷重(N
),L
はスパン(
mm
),b
は試験体幅(mm
),h
は試験体厚さ(mm
),δ
Lは比例限度におけるたわみ(mm
),E
bは真の曲げヤ ング率,G
はせん断弾性係数(N/mm
2),MOR
は曲げ強 さ,P
maxは最大荷重(N
)である。図-2 縦振動試験 試験体
FFT
マイクロフォン図-3 曲げたわみ振動試験
FFT
試験体クッション材
L
0.224L 0.224L
e) LVL
ヤング率の推定一般的に集成材を始めとする積層材料のヤング率は 構成エレメントのヤング率から計算によって求めること ができる。そこで,各単板の動的ヤング率を用いて
LVL
ヤング率の計算値を算出し,非破壊試験法および曲げ試 験から算出した実験値との相関関係について検討を行っ た。縦振動法ではLVL
断面の平均的なヤング率が測定 される。一方で,曲げたわみ振動法ではLVL
断面の厚 さ方向の材質の違いが反映されたヤング率が測定され,曲げ試験で得られる曲げヤング率に本質的に近いヤング 率を示す。したがって,縦振動法による動的ヤング率
E
Lに対しては平均的なヤング率のE
CLを,真の曲げヤン グ率E
bおよびたわみ振動法による動的ヤング率E
Fに対 しては厚さ方向に重み付けをして算出されるE
Cを用い てそれぞれ比較した。なおE
Cの算出には(7
)式を,E
CLの算出には(
8
)式を用いた。またLVL
中立軸位置の算 出には(9
)式を用いた。合板の平行層理論 8)に基づき,直交タイプにおいて直交層のヤング率は考慮しないもの とした。
E
C= ∑ E
iI
iI = 4
h
3�E
i{(h
i− λ)
35
i=1
− (h
i−1− λ)
3}
(
7
)E
CL= ∑ E
Vt
Vt
L (8
)λ = λ =
�E
i�h
i2− h
i−12�
5
i=1
2 � E
it
i5 i=1
(
9
)(
7
),
(8
),
(9
)式において,E
CはLVL
ヤング率,E
iは第i
層の単板ヤング率,I
iは第i
層のLVL
中立軸に対 する断面2
次モーメント,I
はLVL
全体の中立軸に対す る断面2
次モーメント,h
はLVL
厚さ,h
iは第1
層から 第i
層までの単板厚さの合計,E
CLはLVL
ヤング率,E
Vは単板ヤング率,
t
Vは各層単板厚さ,t
LはLVL
厚さ,λ
はLVL
の中立軸位置,t
iは第i
層の単板厚さである。d)せん断試験
3
点曲げ方式の水平せん断試験を行い,最大荷重を測 定した。試験にはオルゼン型万能試験機を用い,曲げ試 験と同様に積層方向に加力した(図-5
)。単板積層材の 日本農林規格では水平せん断試験のスパンは試験体厚さ の4
倍と定められているため,試験体の厚さに応じて4
種類(46, 49.6, 56.8, 64mm
)のスパンを設定し試験を実施 した。荷重点の治具の曲率半径については日本農林規格 によれば厚さの1.5
倍とされているが,試験に大きな影 響を与えないものと考え最大厚さ16mm
を基に曲率半径24mm
として治具を作成した。試験後,せん断強さ
τ
を(10
)式によって算出した。なお観察された破壊形態から,せん断破壊のみの試験体 およびせん断破壊と曲げ破壊が複合して発生した試験体 についてはともにせん断破壊に関わったものとしてせん 断強さを算出した。一方曲げ破壊のみの試験体について
(
10
)式を用いてせん断強さを算出した場合,本来の強 さより低い値をとる可能性が考えられる。しかし本研究 では試験体数の母数減少を避けるため,公称せん断強さ9)として(
10
)式を用いる形でせん断強さを算出した。τ= 3P
max4bh
(10
)(
10
)式において,τ
はせん断強さ,P
maxは最大荷重(
N
),b
は試験体幅(mm
),h
は試験体厚さ(mm
)で ある。写真-4 曲げ試験の様子
写真-5 せん断試験の様子
3.
結果と考察(1)
動的ヤング率E
L, E
F各タイプの試験体に対して縦振動法および曲げたわ み振動法から固有振動数を測定した。得られた結果から 算出した動的ヤング率
E
L, E
Fのタイプ別平均値をそれぞ れ表-3
に示す。なお,含水率は曲げ試験後に試験体から 採取した小試験片を乾燥機に入れて十分乾燥させた後測 定した。平行タイプの複合LVL
であるC-T, D-T
はB-T
と 比較してE
Lで1.10, 1.15
倍,E
Fで1.12, 1.18
倍程度向上し,t
検定を行ったところ5
%水準で有意差が認められた。一方で
C-K, D-K
はB-K
と比較して大きな向上は得られず,有意差は認められなかった。合板タイプの複合
LVL
で あるc-K, d-K
はb-K
と比較してE
Lで1.07, 1.24
倍程度向上 し,E
Fで1.24, 1.56
倍程度向上した。E
Lについてはd-K, b- K
間のみ有意差が認められた。E
Fについてはc-K, b-K
間,d-K, b-K
間ともに有意差が認められた。またc-T, d-T
はb- T
と比較してE
Lで1.03, 1.14
倍,E
Fで1.11, 1.51
倍程度向上 した。E
Lについてはd-T, b-T
間のみ有意差が認められた。E
Fについてはc-T, b-T
間,d-T, b-T
間ともに有意差が認め られた。(2)曲げ試験 a)破壊性状
平行タイプに関しては,引張側単板(第
5
層)におけ る引張破壊が見られ,第4
層,第3
層にまで破壊が移行 する場合もあった。しかしトドマツを用いた平行タイプ の複合LVL
(C-T
)では6
試験体中2
体においてせん断 破壊が見られた。曲げ破壊に対してせん断破壊が先行し た要因としては,外層と内層の強度差が考えられる。す なわち最外層単板が曲げに対して抵抗するとともに,せ ん断応力が最大となる内層のせん断強さが小さいため,せん断破壊が発生したと考えられる。一方で直交タイプ では第
5
層における引張破壊から第4
層におけるローリ ングシアー破壊に移行するような破壊形態がよく見られ た。b)真の曲げヤング率 E
bと曲げ強さMOR
曲げ試験によって求めた真の曲げヤング率
E
bおよび 曲げ強さMOR
を表-4
に示す。C-K, D-K
はB-K
と比較す ると,E
bで1.06, 1.12
倍程度向上したが有意差は認められ なかった。一方MOR
では1.23, 1.28
倍程度向上し,D-K, B-K
間には有意差が認められた。c-K, d-K
はb-K
と比較す ると,E
bで1.25, 1.56
倍,MOR
で1.57, 1.74
倍程度向上し有意差が認められた。
C-T, D-T
はB-T
と比較すると,E
bで1.13, 1.18
倍,MOR
で1.48, 1.54
倍程度向上し有意差が認め られた。c-T, d-T
はb-T
と比較すると,E
bで1.16, 1.63
倍,MOR
で1.58, 1.70
倍程度向上し有意差が認められた。次に
E
bとMOR
との関係を図-6
に示す。その結果E
bとMOR
との間に高い相関が見られた。したがってLVL
の 真の曲げヤング率から曲げ強さを推定できることが示さ れた。表-3 各タイプ
LVL
の動的ヤング率と計算値1 2 3 4 5
A S S S S S 12 7.1 (0.43) 607 (36.4) 15.3 (1.86) 13.6 (1.77) 14.5 14.4 B-K K K K K K 6 7.5 (0.073) 520 (21.2) 13.2 (1.71) 11.8 (1.69) 14.2 14.1 C-K S K K K S 6 7.4 (0.20) 543 (26.8) 13.0 (1.37) 12.2 (1.58) 13.9 13.6 D-K S S K S S 6 7.4 (0.10) 593 (14.3) 13.1 (1.95) 12.5 (1.30) 13.8 13.2 a S S S S S 12 6.8 (0.082) 612 (16.4) 8.80 (0.809) 10.3 (0.923) 10.9 8.15 b-K K K K K K 6 7.3 (0.10) 518 (8.48) 7.08 (1.00) 6.48 (1.08) 10.8 8.14 c-K S K K K S 6 5.7 (0.15) 546 (20.4) 7.57 (0.569) 8.03 (0.524) 9.51 7.25 d-K S S K S S 6 5.5 (0.12) 589 (23.0) 8.76 (0.666) 10.1 (0.645) 10.3 8.17 A S S S S S 12 7.1 (0.43) 607 (36.4) 15.3 (1.86) 13.6 (1.77) 14.5 14.4 B-T T T T T T 6 6.9 (0.070) 426 (29.3) 11.9 (1.05) 11.0 (0.518) 12.1 11.9 C-T S T T T S 6 7.1 (0.14) 467 (10.9) 13.2 (0.623) 12.4 (0.943) 13.2 12.0 D-T S S T S S 6 7.0 (0.084) 563 (16.7) 13.7 (1.09) 13.0 (1.54) 13.7 12.6 a S S S S S 12 6.8 (0.082) 612 (16.4) 8.80 (0.809) 10.3 (0.923) 10.9 8.15 b-T T T T T T 6 7.0 (0.11) 411 (25.2) 7.16 (0.582) 6.22 (0.395) 9.24 6.94 c-T S T T T S 6 6.8 (0.11) 475 (13.9) 7.40 (0.306) 6.89 (0.482) 9.43 6.63 d-T S S T S S 6 6.7 (0.22) 550 (16.8) 8.18 (0.597) 9.37 (1.18) 10.2 7.49 注)数値は平均値を,()内は標準偏差を示す.A, aについては重複して数値を示す.
EF
(GPa)
単板構成 含水率
(%)
密度 (kg/m3)
EL
(GPa)
タイプ 試験体数 EC
(GPa) ECL
(GPa)
図-6 真の曲げヤング率
E
bと曲げ強さMOR
の関係y = 8.302 x + 7.400
R² = 0.783 0
40 80 120 160
0 5 10 15 20
MO R (M Pa )
E
b(GPa)
A B-K
C-K D-K
B-T C-T
D-T a
b-K c-K
d-K b-T
c-T d-T
(3)せん断試験 a)破壊性状
平行タイプ(
A~D
)ではせん断破壊の発生率(複合 破壊を含む)は81.3
%であるのに対し,曲げ破壊の発生 率(複合破壊を含む)は52.1
%にとどまった。単一樹種 のLVL
(A, B
)では曲げ破壊のみの試験体も一部見られ たが,複合LVL
(C, D
)では曲げ破壊のみの試験体はほ とんど見られず,ほぼすべての試験体でせん断破壊が発 生した。直交タイプ(
a~d
)ではせん断破壊のみの試験体はほ とんど見られなかった。直交タイプのうちシラカンバ単 板枚数の多いタイプ(a, d
)ではせん断破壊がほとんど 見られなかったが,針葉樹単板枚数の多いタイプ(b, c
) ではせん断破壊の発生率(複合破壊を含む)が37.5
%と なった。せん断破壊を起こした直交タイプでは直交層で ローリングシアー破壊が発生するケースが多く,とくにトドマツ単板を用いる場合に顕著に見られた。
a, d
は直 交層にシラカンバ単板が配置される一方でb, c
は直交層 に針葉樹単板が配置されており,直交層に強度・材質の 異なる樹種を用いたことがせん断破壊の発生率に影響し たと考えられる。b)せん断強さ τ
せん断試験の結果から求めたせん断強さを表
-5
に示 す。なお,含水率はせん断試験後の試験体を乾燥機に入 れて十分乾燥させた後測定した。含まれるシラカンバ単 板の枚数を増やすことでLVL
のせん断強さが向上した。C-K, D-K
はB-K
と比較すると1.32, 1.55
倍程度向上した。c-K, d-K
はb-K
と比較すると1.27, 2.27
倍程度向上した。C- T, D-T
はB-T
と比較すると1.26, 1.66
倍程度向上した。c-T, d-T
はb-T
と比較すると1.36, 2.76
倍程度向上した。これら すべての比較において有意差が認められた。表-4 各タイプ
LVL
の真の曲げヤング率と曲げ強さ1 2 3 4 5
A S S S S S 12 7.1 (0.43) 607 (36.4) 12.6 (1.51) 125 (13.9) 14.5 B-K K K K K K 6 7.5 (0.073) 520 (21.2) 10.3 (1.37) 86.4 (15.3) 14.2 C-K S K K K S 6 7.4 (0.20) 543 (26.8) 11.0 (1.28) 106 (12.5) 13.9 D-K S S K S S 6 7.4 (0.10) 593 (14.3) 11.5 (1.31) 111 (13.7) 13.8 a S S S S S 12 6.8 (0.082) 612 (16.4) 9.26 (1.04) 89.9 (10.2) 10.9 b-K K K K K K 6 7.3 (0.10) 518 (8.48) 5.62 (0.859) 49.7 (8.81) 10.8 c-K S K K K S 6 5.7 (0.15) 546 (20.4) 7.00 (0.483) 78.0 (3.87) 9.51 d-K S S K S S 6 5.5 (0.12) 589 (23.0) 8.79 (0.629) 86.4 (12.2) 10.3 A S S S S S 12 7.1 (0.43) 607 (36.4) 12.6 (1.51) 125 (13.9) 14.5 B-T T T T T T 6 6.9 (0.070) 426 (29.3) 9.93 (0.460) 69.5 (3.69) 12.1 C-T S T T T S 6 7.1 (0.14) 467 (10.9) 11.3 (0.936) 103 (5.16) 13.2 D-T S S T S S 6 7.0 (0.084) 563 (16.7) 11.7 (1.14) 107 (8.59) 13.7 a S S S S S 12 6.8 (0.082) 612 (16.4) 9.26 (1.04) 89.9 (10.2) 10.9 b-T T T T T T 6 7.0 (0.11) 411 (25.2) 5.29 (0.515) 47.1 (8.67) 9.24 c-T S T T T S 6 6.8 (0.11) 475 (13.9) 6.15 (0.595) 74.3 (5.63) 9.43 d-T S S T S S 6 6.7 (0.22) 550 (16.8) 8.61 (1.20) 80.1 (9.07) 10.2 注)数値は平均値を,()内は標準偏差を示す.A, aについては重複して数値を示す.
タイプ 単板構成
試験体数 含水率 (%)
密度 (kg/m3)
Eb
(GPa)
MOR (MPa)
EC
(GPa)
表-5 各タイプ
LVL
の破壊形態とせん断強さ1 2 3 4 5
A S S S S S 12 7.0 (0.14) 620 (26.5) 20.3 (1.82) B-K K K K K K 6 7.4 (0.046) 513 (13.9) 9.36 (1.30) C-K S K K K S 6 7.3 (0.078) 549 (25.0) 12.4 (0.475) D-K S S K S S 6 7.2 (0.025) 599 (13.7) 14.5 (1.45)
a S S S S S 12 7.0 (0.11) 613 (16.6) 12.4 (1.41) b-K K K K K K 6 7.4 (0.044) 531 (18.1) 5.06 (0.356) c-K S K K K S 6 7.2 (0.028) 541 (28.5) 6.43 (0.765) d-K S S K S S 6 7.1 (0.035) 593 (21.4) 11.5 (2.88)
A S S S S S 12 7.0 (0.14) 620 (26.5) 20.3 (1.82) B-T T T T T T 6 7.1 (0.10) 418 (38.6) 7.34 (0.528) C-T S T T T S 6 7.3 (0.074) 484 (15.8) 9.28 (0.801) D-T S S T S S 6 7.0 (0.065) 568 (12.6) 12.2 (0.924) a S S S S S 12 7.0 (0.11) 613 (16.6) 12.4 (1.41) b-T T T T T T 6 7.0 (0.050) 402 (27.5) 4.02 (0.283) c-T S T T T S 6 7.2 (0.049) 486 (27.2) 5.45 (0.782) d-T S S T S S 6 6.9 (0.059) 554 (15.6) 11.1 (0.821) 注)数値は平均値を,()内は標準偏差を示す.A, aについては重複して数値を示す.
τ
(MPa)
タイプ 単板構成
試験体数 含水率 (%)
密度 (kg/m3)
(4)各物性値と単板構成の関係
各物性値とシラカンバ単板含有割合の関係を基に,
単板構成が平行タイプあるいは直交タイプの
LVL
の強 度性能に与える影響について考察した。a)平行タイプ LVL
平行タイプの各物性値とシラカンバ単板含有割合の 関係を図
-7
に示す。各ヤング率および曲げ強さに関して は,B
からC
への数値増加と比較してC
からD
への数値 増加はやや落ち着いた。この傾向はとくにトドマツ単板 を用いる場合に顕著であることが示された。LVL
を始め とする積層材料は面外からの外力に対して最外層の曲げ 応力が最大となる。複合LVL
(C, D
)の曲げ性能は最外 層に配置されたシラカンバ単板の影響を強く受けるため,C
からD
への単板構成の変更(第2, 4
層を針葉樹からシ ラカンバへ)によるLVL
曲げ性能への影響が小さかっ たと考えられる。またせん断強さに関しては,D
からA
への増加が顕著に見られた。すなわち第3
層を針葉樹単 板からシラカンバ単板へ変更したことでせん断強さが大 きく向上した。これはLVL
層内のせん断応力が中心層 で最大となることにより中心層単板の強度性能による影 響を強く受けた結果であると考えられる。b)直交タイプ LVL
直交タイプの各物性値とシラカンバ単板含有割合の 関係を図
-8
に示す。各ヤング率に関しては,針葉樹樹種 に関係なく同等の割合で向上した。また曲げ強さMOR
についてはb
からc
への数値増加がやや顕著である一方,c
からd
への数値増加はほぼ見られず有意差は認められ なかった。平行タイプにおいてもB
からC
へのMOR
の 増加が顕著であったことも含めて考察すると,直交層の 有無に関わらずシラカンバ単板を外層に配置することに よりLVL
のMOR
向上が期待できると考えられる。また せん断強さに関しては,平行タイプと同様の傾向が見らA
B C D
4 6 8 10 12 14 16
0 20 40 60 80 100
E
bおよびE
C(GP a
)Eb(-K) Eb(-T) Eb(A)
Ec(-K) Ec(-T) Ec(A)
E
bE
bE
bE
CE
CE
CA
B C D
4 6 8 10 12 14 16
0 20 40 60 80 100
E
LおよびE
CL(GP a
)シラカンバ単板の含有割合(%)
EL(-K) EL(-T) EL(A)
EcL(-K) EcL(-T) EcL(A)
E
LE
CLE
LE
LE
CLE
CL図-7 平行タイプ
LVL
の各物性値とシラカンバ含有 割合の関係A
B C D
4 6 8 10 12 14 16
0 20 40 60 80 100
E
FおよびE
C(GP a
)Eb(-K) Eb(-T) EL(A)
Ec(-K) Ec(-T) Ec(A)
E
CE
CE
CE
FE
FE
FA B
C D
40 60 80 100 120 140 160
0 20 40 60 80 100
M OR
(M Pa
)MOR(-K) MOR MOR(-T) MOR MOR(A) MOR
A
B
C D
0 6 12 18 24
0 20 40 60 80 100
τ
(M Pa
)シラカンバ単板の含有割合(%)
τ(-K) τ τ(-T) τ τ(A) τ
れず,
c
からd
への増加が顕著に見られた。一般的に合 板ではスパン/厚さ比がある程度小さくなると厚さ方向 のせん断応力によって裏割れを起点とする層内せん断破 壊が容易に発生する11)。本研究においても一部の試験体 において裏割れを起点としたローリングシアー破壊が発 生し,とくに直交層がカラマツまたはトドマツ単板であ る場合によく見られた。したがってb, c
は直交層で発生 したローリングシアー破壊による影響を強く受け,せん 断性能を著しく低下させたと考えられる。(5)LVLヤング率の推定精度
単板ヤング率から算出した計算値
E
CL, E
Cと動的ヤン グ率E
L, E
Fとの関係を図-9,
図-10
に示す。比較の結果,計 算値と各種動的ヤング率との間に高い相関関係が見られ たが,図-10
の散布図および回帰式からE
FはE
Cと比較し てやや低い値をとることが示された。また単板ヤング率 から算出した計算値E
CとE
bとの関係を図-11
に示す。比 較の結果,E
CとE
bとの間に高い相関が見られたが,図- 11
に示した散布図および回帰式からE
bはE
Cと比較して やや低い値をとった。前述したように真の曲げヤング率
E
bおよび曲げたわ み振動法による動的ヤング率E
Fは計算値E
Cと比較して2.0GPa
程度低い値を示した(図-10,
図-11
)。E
Cを求める 際、各層の厚さが元の単板の厚さと等しいと仮定して算 出したため、圧締によって押しつぶされた分を考慮しな かった。また『ティンバーメカニクス』(海青社)によ れば、LVL
において単板の裏割れ等に接着剤が侵入する ことを考慮し、接着層を含む単板をエレメントとして仮 定するべきとしている12)。したがって単板厚さの変化,単板ヤング率の測定精度,接着層の扱い方を考慮して計 算値をより正確に求めることで,
LVL
曲げヤング率の推 定精度を向上できると考えられる。a b
c
d 4
6 8 10 12 14 16
0 20 40 60 80 100
E
bおよびE
C(GP a
)Eb(-K) Eb(-T) Eb(a)
Ec(-K) Ec(-T) Ec(a)
E
bE
bE
bE
CE
CE
Cb a
c d
4 6 8 10 12 14 16
0 20 40 60 80 100
E
LおよびE
CL(GP a
)EL(-K) EL(-T) EL(a)
EcL(-K) E
CLEcL(-T) E
CLEcL(a) E
CLE
LE
LE
La
b c
d 4
6 8 10 12 14 16
0 20 40 60 80 100
E
FおよびE
C(GP a
)シラカンバ単板の含有割合(%)
Eb(-K) Eb(-T) Eb(a)
Ec(-K) E
CEc(-T) E
CEc(a) E
CE
FE
FE
F図-8 直交タイプ
LVL
の各物性値とシラカンバ含有 割合の関係a b
c d
40 60 80 100 120 140 160
0 20 40 60 80 100
M OR
(M Pa
)MOR(-K) MOR MOR(-T) MOR MOR(a) MOR
a
b c
d
0 4 8 12 16
0 20 40 60 80 100
τ
(M Pa
)シラカンバ単板の含有割合(%)
τ(-K) τ τ(-T) τ τ(a) τ
タイプごとの傾向に着目すると,図
-10
図-11
からb-K
において6
試験体の半数以上で真の曲げヤング率E
bおよ び動的ヤング率E
Fが計算値E
Cに対して著しく低い値を とった。E
bの場合,38.4~60.8
%(平均48.0
%),E
Fの場 合,29.7~55.7
%(平均40.1
%)低い値となった。この要因として最外層のカラマツ単板に見られた欠 点による影響があることが考えられた。本研究では単板 選別時に節の有無を考慮しなかったため,写真
-6
のよう に加重位置の引張側付近に節がある試験体が複数存在した。最外層単板の節(生き節,死に節,抜け節)による 影響で
LVL
の曲げ性能にバラつきが生じた可能性が考 えられる。またカラマツ単板に限っては,切削時に使用 されたバックアップロール(写真-7
)によって生じた傷(写真
-8
)が木表側に見られた。この傷も曲げ性能低下 の要因の一つとして考えられたが,その影響は小さいと 考えられる。一般的に木質材料の製造において単板表面 の粗さは接着剤が浸透するため強度的に問題とならない とされている13)。とくに裏割れや図-8
のような長軸方向(繊維方向)に伸びる傷は曲げ性能への影響が小さいと 考えられる。
図-9 計算値
E
CLと縦振動法による動的ヤング率E
Lの関係y = 0.974 x + 0.612
R² = 0.889 0
5 10 15 20
0 5 10 15 20
E
L(G Pa )
E
CL(GPa)
A B-K C-K D-K B-T C-T D-T a b-K c-K d-K b-T c-T d-T
図-10 計算値
E
Cと曲げたわみ振動法による動的ヤング率E
Fの関係y = 1.032 x - 1.836 R² = 0.748
0 5 10 15 20
0 5 10 15 20
E
F(G Pa )
E
C(GPa)
A B-K C-K D-K B-T C-T D-T a b-K c-K d-K b-T c-T d-T
図-11 計算値
E
Cと真の曲げヤング率E
bの関係y = 1.019 x - 2.322
R² = 0.772
0 5 10 15 20
0 5 10 15 20
E
b(G Pa )
E
C(GPa)
A B-K C-K D-K B-T C-T D-T a b-K c-K d-K b-T c-T d-T
写真-6 試験体破壊直後の様子
写真-7 バックアップロール
写真-8 カラマツ単板表面(木表側)の傷
4.
結言本研究ではシラカンバ単板の利用量を抑えた高強度
LVL
を製造するため,外層にシラカンバ単板,内層に針 葉樹単板を配置した複合LVL
を製造した。その後,面 材としての各強度性能を調べ,単板構成がLVL
の強度 性能に及ぼす影響について検討を行った。その結果,以 下のことが明らかとなった。(1)
第1, 5
層にシラカンバ単板,第2~4
層にトドマツ単 板を配置したシラカンバ複合LVL
(全層平行)に おいて,トドマツ単板のみのLVL
と比較し十分な 曲げ性能の向上が得られた。ただし,せん断破壊 が先行して発生する試験体も一部存在したため,短いスパンでの使用には注意を要すると考えられ る。
(2)
直交層を含むLVL
では,シラカンバ単板を外層に 配置することによる曲げ強さの向上が顕著であっ た。全層平行LVL
においても曲げ強さに関して同 様の結果が得られたことから,直交層の有無に関 わらず外層にシラカンバ単板を配置することでLVL
曲げ強さを向上させることができた。(3)
真の曲げヤング率E
bおよび曲げたわみ振動法によ る動的ヤング率E
Fは計算値E
Cと比較して2.0GPa
程 度低い値を示した。より正確な計算値の算出方法 を適用する必要があると考えられる。(4)
全層平行LVL
の場合,シラカンバ単板を外層に配 置することによるせん断強さ向上への効果は小さ かった。(5)
直交層に針葉樹単板を配置したシラカンバ複合LVL
は,直交層で発生したローリングシアー破壊 によってせん断性能が大きく低下したと考えられ る。本研究ではシラカンバ複合
LVL
の機械的特性の一部 を調べるにとどまっており,接着性能や寸法安定性(反 り,収縮膨張率)についても調べる必要がある。また構 造用としての用途開発を想定し,縦使いでの強度性能や 寸法安定性についても調査が必要である。また本研究では
LVL
の曲げ強さおよびせん断強さを 材料が均質であると仮定した上で算出した。しかし,LVL
を始めとする積層材料に曲げ負荷を加えた場合の応 力分布は構成単板のヤング率に大きく依存するため,よ り正確な曲げ強さおよびせん断強さの評価には単板ヤン グ率を考慮した評価方法を用いる必要がある。また本研 究のせん断試験ではスパン/厚さ比が4
となっていたが,吉原(
2006
)によれば同様のショートビームシア試験で はスパン/厚さ比が極端に小さくなると荷重点や支点が 相対的に近くなり,試験体全体に荷重点近傍の異常な応 力状態が拡がることによって曲げ挙動がはり理論から逸 脱するため,せん断強さが大きく評価されやすくなると される14)。したがってより定量的な評価が可能な試験方 法をとる必要がある。吉原(2014
)は逆対象4
点曲げシ ョートビームシア試験を適切なスパン/厚さ比の範囲で 実施することで安定した層内せん断強さを得られるとし ている15)。謝辞
本研究の実施に際し,多くの方々に温かいご指導,ご 協力を賜りました。佐々木貴信教授には研究計画から論 文作成に至るまで手取り足取りご教授いただきました。
澤田圭准教授,小泉章夫先生には試験方法やデータの扱 い方,発表方法等に関しましてご指導いただきました。
佐々木義久氏には試験体の作成や試験の実施にあたり 度々ご助言,ご協力いただきました。道総研林産試験場 技術部古田直之氏には具体的な実験計画の立案や試験材 料の調達にあたってご助言,ご協力いただきました。道 総研林産試験場性能部秋津裕志氏にはシラカンバ中小径 木の単板利用の意義や実験計画についてご助言をいただ きました。
付録
(1)
シラカンバ原木詳細(2)
カラマツ原木詳細林分 北海道大学雨龍研究林 伐採日 2016/6/29~6/30 単板切削日 2016/7/13~7/19
切削速度 8m/min 歩出し厚さ 2.3mm
煮沸温度 50℃または生剥き 裁断 50cm
絞り量 厚さの95%
振動 100回/min 原木長さ 40~50cm
その他 刃物HSZ1本で25本分を切削、刃の欠けはほとんどない
全体平均 剥き芯径 偏心 長径 短径 平均 長径 短径 平均 (cm) (cm) (mm)
S2 27.5 25.0 26.3 25.0 24.5 24.8 25.7 6.2 22.0
50℃S5 33.0 29.0 31.0 29.5 28.0 28.8 30.1 6.2 25.0
50℃S7 27.0 24.0 25.5 25.5 24.0 24.8 25.2 6.2 43.0
50℃S9 31.0 28.0 29.5 27.5 26.0 26.8 28.4 6.2 32.0
50℃S18 42.0 38.0 40.0 35.0 32.0 33.5 37.4 6.2 15.0
生むきS19 35.0 28.0 31.5 29.0 26.0 27.5 29.9 6.2 15.0
50℃S21 36.0 31.0 33.5 32.0 29.0 30.5 32.3 6.2 35.0
生むき元口径(cm) 末口径(cm)
No.
前処理末 元
キーテック用 北海道北三用 林産試用 200cm
100cm
45cm林分 十勝 伐採日 2017/10 単板切削日 2017/10 切削速度 8m/min 歩出し厚さ 3.2mm
煮沸温度 60℃
裁断 50cm 絞り量 厚さの95%
振動 100回/min 原木長さ 45cm
その他 図のように末側から45cm長さの原木を採取し、小型ベニヤレースにより単板切削
(3)
トドマツ原木詳細REFERENCES
1)
林 野 庁 : 令 和3
年 度 森 林 ・ 林 業 白 書 ,https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r3ha- kusyo_h/all/tokusyu2_3_1.html 2023
年3
月10
日閲覧. 2)
地方独立行政法人北海道立総合研究機構森林研究本部 林産試験場
,
林業試験場,
国立研究開発法人森林研 究・整備機構森林総合研究所北海道支所,
旭川市工芸 センター:道産カンバ類の高付加価値用途への技術開 発.
平成29
年度重点研究報告書, 2018, pp. 40.
3)
一般社団法人白樺プロジェクト:白樺プロジェクト, https://shirakaba-project.jp/pg153.html 2022
年4
月1
日閲 覧.
4)
後藤崇志,
池渕 隆,
古野 毅,
中山茂生:島根県産コ ナラ材とスギ材の異樹種複合LVL
への適用性の検討.
木材工業59 (2), 61-66 (2004).
5)
小柳正彦:新潟県産スギ・広葉樹による複合合板の製 造.
新潟県森林研究所研究報告53, 39-42 (2012).
6)
地方独立行政法人北海道立総合研究機構森林研究本 部 林産試験場,
林業試験場,
国立研究開発法人森林研 究・整備機構森林総合研究所北海道支所,
旭川市工芸 センター:道産カンバ類の高付加価値用途への技術開 発.
平成29
年度重点研究報告書, 2018, pp. 70-71.
7)
日本建築学会:“木質構造設計基準・同解説-許容応 力度・許容耐力設計法-”,
丸善,
東京, 2002, p.346-347.
8)
森林総合研究所:合板の強度性能. “
改訂4
版木材工業 ハンドブック”,
丸善株式会社,
東京, 2004, pp. 606-609.
9)
公益財団法人日本住宅・木材技術センター:曲げ型試 験法. “
構造用木材の強度試験マニュアル”, 2011, pp. 23- 10) 25.
古田直之,
秋津裕志,
高谷典良:単板乾燥からの経過時 間と針葉樹合板の接着性.
林産試験場報18 (4), 23-29 (2005).
11)
金田 弘,
佐々木光,
満久崇麿:合板の力学的性質に関 する基礎的研究(
Ⅰ)
:合板の強度と弾性におよぼす単 板の裏割れの影響.
木材研究, 45, 9-22 (1968).
12)
中村昇・山崎真理子・村田功二:ティンバーメカニク ス,
木材の力学理論と応用.
海青社. 2015.
13)
作野友康,
高谷政広,
梅村研二,
藤井一郎:木材接着の 科学.
海青社. 2010.
14)
吉原 浩:木材および木質材料のせん断特性の評価法.
材料55 (4), 349-355 (2006).
15)
吉原 浩,
吉延匡弘:3
点曲げおよび逆対称4
点曲げシ ョートビームシア試験による5
プライ合板の層内せん 断強さの測定.
木材工業69 (5), 204-207 (2014).
むき芯 密度
Efr
長径 短径 平均 長径 短径 平均 元口 末口 平均 (mm) (kg/cm3) (GPa)
T3 39.5 38.0 38.8 37.0 37.0 37.0 30 30 30 129 653 10.6
T7 39.0 37.0 38.0 39.0 37.0 38.0 22 22 22 126 580 9.7
T12 38.0 36.0 37.0 37.5 35.0 36.3 23 21 22 130 607 9.3
T14 35.0 32.5 33.8 34.5 34.5 34.5 30 18 24 127 670 10.8
T20 33.5 32.0 32.8 33.0 31.5 32.3 30 20 25 130 593 9.5
元口径(cm) 末口径(cm) 偏芯(mm)
No.
林分 むかわ町穂別栄5 伐採日
2015/8
単板切削日
2015/8
切削速度 8m/min 歩出し厚さ 3.2mm煮沸温度 60℃
絞り量 厚さの95%
振動 100回/min 原木長さ 45cm
年輪幅 元側髄中心距離 末側髄中心距離 剥き芯径 Efr
長径 短径 平均 長径 短径 平均 (mm) (mm) (mm) (cm) (GPa)
ST4 28.0 27.0 27.5 29.0 28.0 28.5 46 3.3 15 14 6.0 9.1
ST7 25.0 23.5 24.3 25.0 23.0 24.0 46 3.8 5 5 12.5 9.4
ST8 28.5 26.5 27.5 28.0 27.5 27.8 47 3.4 14 12 6.0 7.7
ST11 29.5 25.0 27.3 28.5 26.0 27.3 42 3.1 27 7 6.0 9.0
ST12 28.5 28.5 28.5 29.0 27.5 28.3 45 3.2 4 3 6.0 8.6
ST16 25.0 24.5 24.8 27.0 26.5 26.8 30 2.4 12 15 6.0 8.4
No. 元口径(cm) 末口径(cm) 年輪数
(元側)