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第 1 章 文献レビュー

第 4 節 組織サポートの先行研究

1. 組織サポート概念の提起

人類社会が誕生して以来、人間同士は互いに支え合いながらここまで発展してきた。人 間はひとつの独立的な存在ではなく、「社会的動物」として複数の人々と関係を持っている。

そうすると、人がストレスに面するときに、このような人間同士の相互関係を利用し、ス トレスのもたらす悪い情緒的体験を低減させ、身心的健康状態を向上させるのか否かにつ いて、学者の関心が寄せてきた。

ソーシャルサポート(social support)はこのような背景で生み出された概念である。

Caplan(1974)は個人の発達的・状況的危機に対して重要な影響を及ぼす社会的環境とし て、ソーシャルサポート・システムという概念を提唱した。これは、「個人に対してフィー ドバックをもたらし、また個人が他者に対して抱く期待を充足してくれる、継続的な社会 的紐帯(集合体)のうちに存在する」と概念化された149。Cobb(1976)はソーシャルサポー トの効果を始めて明確に理論化した。彼はソーシャルサポートを「個人に、当該個人がケ アされ、愛され、尊重され、そして相互に責務を持ったネットワークのメンバーであると 信じさせるような情報である」と定義している150。ソーシャルサポートはそのサポート源に よって、一般的に組織からのサポート、家族からのサポート、友人からのサポートなどに 分けられる。

(1) 組織サポートの概念

組織サポート(perceived organizational support、POS)は Eisenberger 等(1986)によ って提唱された概念である。組織サポートとは、組織が従業員の貢献をどの程度評価して いるのか、従業員の満足できる生活状態(Well-bing)に対してどの程度配慮しているのか に関して、従業員が抱える全般的な信念のことである151。この概念から明確にされるように、

組織サポートは、従業員が自覚する自分自身の貢献に対する組織からの肯定的な評価と、

組織による従業員の Well-being に対する配慮という 2 つの側面を含んでいる。

組織サポートという概念の提出は重要な意義を持つ。それまでの従業員と組織との関係

に関する研究の多くは、従業員による組織へのコミットメントという側面に焦点を当てて おり、組織の従業員に対するコミットメントを軽視する傾向が見られる。しかし、就業ニ ーズや就業形態の進展に伴い、個人と組織の関係に変化が現れている。組織が持続的に発 展するためには、その中で働く個々の人との間に良好な関係を築き、更に維持・向上のた めの努力が必要となる。そのため、個々の人のニーズや考え方を理解すると同時に、組織 の施策や対応に対する従業員の認識や、受け入れ程度について把握することが、組織にと って必要とされる。組織サポートは働く人々の組織の HR 施策やサポートへの評価を重視し、

組織の従業員に対するコミットメントに焦点を当てる。従業員は、組織から積極的にサポ ートしてくれていることを知覚すると、それに対する返礼として、組織への高いコミット メントや組織市民行動を促進させ、結果として、従業員と組織の業績がともに向上する。

Millin(1997)は Eisenberger 等が提唱した組織サポートの概念には、福祉的サポートと 尊重的サポートの 2 側面しか含まれておらず、サポートの他の側面、例えば手段的サポー トが見落とされたと指摘した。従業員が職務遂行に必要とされる手段的サポート(例えば、

情報、資源、設備など)が欠けると、職務のプロセスや成果に悪い影響を与えるに違いな い。従って、組織からの手段的サポートも欠かせないものとされる152

中国の学者凌文辁(2006)は組織サポートを「組織が従業員の仕事に対するサポート、生 活・福祉への気遣い、及び価値に対する承認である」と定義した153

(2) 組織サポートの基礎理論

組織サポートを生み出す基礎理論として社会的交換理論と組織擬人化思想が挙げられる。

社会的交換理論の中心的な概念は社会的交換と互恵規範である。社会的交換理論により、

人と人との関係は実質上社会的交換であり、物質的交換と非物質的交換を含む。人は相手 に親切に扱われる時に、一般的にお返しとして相手に気をかけるようになる。これを組織 環境に応用する場合、組織から関心を寄せられ、褒められ、認められたことを知覚する時 に、従業員は組織に対して積極的に貢献しようと動機付けられる。

社会的交換は信頼と互恵を基にして築かれた相互間の権利と義務関係であり、明確にし た役割契約に規定された範囲を超えるまでに至る。社会的交換の観点により、従業員は仕 事に対する努力及び組織に対するコミットメント、忠誠心を通じて物質的と精神的奨励、

例えば報酬、福祉、承認、表彰などと引き換える。一方、従業員が組織からのサポートを 知覚するときに、組織に対する義務感を生じ、更に自己の義務を履行するために、組織コ ミットメントを向上させ、組織の目標を達成しようとする行動が示される。このように、

従業員の交換意欲は組織の従業員に対するサポート及びその度合いによって決められる。

従業員が組織に留まりたい且つ組織の目標のために努力しようとする根本的な原因は、自 分の組織に対する貢献と組織から得られる報いとは対等的又は公平的であると知覚するか らである。

組織サポート理論の発展は更に組織の擬人化思想から影響を受けた。Levinson (1965)

が提唱した組織の擬人化思想により、従業員は組織エージェントの行動を個人的行動だけ ではなく、組織全体の意図として受入れる傾向があると思われる154。この観点を踏まえ、従 業員はしばしば組織エージェントから受ける良い又は悪い扱いを組織が彼らを好きか否か の合図とみなす。従業員は一般的に上級管理職を組織エージェントとみなすため、上級管 理職から良好な扱いを受けられた時に、その知覚する組織サポートも強くなる。

2. 組織サポートの実証研究 (1) 組織サポートの先行要因

Eisenberger 等(1986)の研究により組織サポートには、3 つの重要な先行要因があるとさ れる。即ち、給与と仕事の条件、上司からのサポート及び手続きの公平さである。給与・

福祉と仕事の条件には、従業員のキャリアアップに有利な職務経験、仕事における自主権、

上司からの承認や賞賛などが含まれる。上司からのサポートは上司が自分の貢献を重視且 つ承認し、自分の生活・福祉へ関心を寄せることに対する確信を指す。手続きの公平は公 式な組織施策と資源分配プロセスを含み、主に組織の具体的な施策、例えば昇給、昇進な どによって形成され、具現化される。更に Eisenberger ら(2002)のメタ分析により、上司 からのサポートは従業員の知覚する組織サポートに影響を与える 3 つの要素の中で、二番 目の重要な要素であると示された155。Allen 等(2003)の研究により、意思決定への関与、

公平的扱いと昇進チャンスは組織サポートの重要な先行要因であると指摘された156。 L.Shore と T.Shore(1995)は手続きの公平さによって組織資源の数量と分配が決められ、

手続きの公平さは組織サポートの最も重要で決定的要素であると指摘した157。日常の管理実 務において、組織の規範、方針などが通常、従業員の直属の 上司-スーパーバイザー

(supervisor)によって実行されるため、Kottke ら(1988)は「スーパーバイザーサポー ト」(Perceived Supervisor Support)という概念を提唱し、スーパーバイザによる従業員 の貢献への重視、従業員の well-being への気遣いについて従業員が抱く全般的な信念であ ると定義した158

(2) 組織サポートの結果要因

組織サポートの結果要因には組織コミットメント、職務満足感、職務成果、組織市民行 動、離職意思などが含まれる。

組織コミットメントとは従業員が「特定の組織に対する同一化(idendificaton)と関与

(involvement)」というものであり、①組織の目標や価値に対する信頼と容認、②組織の ために努力しようとする意欲、③組織の一員として留まりたいとする願望、という 3 要素 から構成される(Mowday,1979)。この概念は、組織に所属する個人の組織に対する情緒的 な側面を強調している。

Eisenberger 等 (2001)は、互恵規範により、組織サポートは従業員の組織に対する義務 感、帰属感、感情的な満足を生じさせ、それによって組織に対する情動的コミットメント を強めると指摘した。Bishop 等(2005)の研究により、組織からのサポートは同等程度の 組織コミットメントを喚起することができることが示された。同時に組織サポートは従業 員の帰属感や感情的サポート等に対する欲求を満たすことで、従業員の感情的なコミット メントを向上させ、更に従業員の組織に対する社会的依存を強めると指摘された159。Meyer と Smith は、知覚された手続きの公平さと組織サポートを媒介要因として、組織の人的資 源実践と従業員の組織コミットメントとの関連を検討した。結果により、従業員の知覚す る組織サポートが高いほど組織コミットメントが向上することを示した160。中国学者凌文辁 等(2006)の研究により、知覚された組織サポートが高いほど、従業員の感情的コミットメ ントが上昇し、利他的行動をとる傾向が強いことが確認された。更に研究では、中国企業 従業員の組織サポート 3 次元モデルが提唱され、仕事サポート、価値への承認及び生活・

福祉への気遣いから構成されるとされた161

職務成果との関係について、Eisenberger 等(1986,2002)は組織サポートが従業員の社会