歯科矯正学講座
プロフィール
1. 教室員と主研究テーマ
教授 西井 康 安定性の高い歯科矯正用アンカースクリューの開発 外科的矯正治療患者の咀嚼筋と後戻りの関係 頭蓋顎顔面の軟骨の発生メカニズムの解明
細胞レベルでのメカニカルストレスへの応答の解明 矯正による歯の移動時の痛み発生機序の解明 矯正による歯の移動時の歯根膜の組織学的解明
歯槽骨骨質をコントロールすることによる歯の移動促進 AIの矯正歯科診断への応用
准教授 石井 武展 下顎頭の成長制御と病的破壊に関与する分子レベルでのメカニズムの 解明
矯正学的歯の移動に関する歯周組織における分子メカニズムの解明 遺伝子疾患における原因遺伝子の表現系への関与メカニズムの解明 頭蓋顎顔面形態を決定する因子の解明
講師 宮崎 晴代 非症候性部分無歯症の歯科矯正学的研究 先天性疾患と矯正治療
保定後の来院に関する調査
野嶋 邦彦 歯列弓形態の決定、維持に関する三次元的研究
下顎骨咬筋付着部位のミクロ/ナノ構造特性の変化
坂本 輝雄 矯正歯科への骨延長法の応用(A94-0590-1)
立木 千恵 開咬における外科的矯正治療と矯正治療単独の診断基準の検討 外科的矯正治療患者の各治療段階の心理変化
骨格性上顎前突症患者における外科的矯正治療 開咬の外科的矯正治療における長期経過 助教 安村 敏彦 デジタルデンティストリーの矯正臨床応用
睡眠時無呼吸患者に対する外科的矯正治療へのアプローチ
森川 泰紀 口唇裂・口蓋裂患者の歯科矯正治療による形態変化とその安定性の検討
頭蓋変形と顔面非対称の関連性の検討
海老澤 朋宏 歯科矯正用アンカースクリューを用いた上顎前方牽引における生体力学
的検討:三次元有限要素解析
飯島 由貴 外科的矯正治療での下顎結合部における下顎前歯部歯根の移動様相の検
討
骨格性上顎前突症における外科的矯正治療の安定性
大学院生 佐竹 奎亮 TCDD誘発性口蓋裂におけるケルセチンの効果
西村 達郎 成長期の骨に植立した歯科矯正用アンカースクリュー周囲骨の成長およ び安定性の検討
水野 周平 咬筋機能回復にともなう腱−骨付着部と周囲骨の力学特性
戸村 拓真 エストロゲン合成におけるアロマターゼが変形性顎関節炎に与える影響 について
大川 敬介 プラズマ処理を行なった歯科矯正用アンカースクリューに側方応力を加 えた際の骨反応の解析
岡林 宏樹 歯科矯正用アンカースクリュー周囲における骨反応の検討 戒田 直紀 矯正治療へのRidge preservationの応用
島村 唯 側貌写真から計測点を自動認識するAIシステムの開発 下山 圭太 矯正学的歯の移動時における歯根膜血管新生の実際
原 瑞紗 矯正力応用下、矯正力除去後における歯根膜線維組織の変化の検討 専攻生 永井 航平 関節リウマチモデルマウスにおける機械的刺激が顎関節に及ぼす影響 について
2. 成果の概要
1)本研究は、歯科矯正用アンカースクリューを固定源として上顎歯列を遠心移動させる際に生じる応力 を光弾性モデルにて解析したものである。メカニクスはスライディングメカニクスを使用し、上顎第一 大臼歯近心に植立されたアンカースクリューの高さと前歯遠心移動のためのアームの長さを変化させ た。その組み合わせにより、歯列に加わる応力の変化が解析できた。(Appl.Sci.12(4),1949)
2)本研究の目的は、過度のメカニカルストレス(MS)と性ホルモンの減少が顎関節症に及ぼす影響を観 察・解析し、分子生物学的解析により顎関節症発症機序の一端を解明し、顎関節症感受性遺伝子を探索 することにある。実験群は、性成熟した8週齢のマウスに睾丸摘出術(ORX)または卵巣摘出術(OVX)
を施した。上顎切歯の後面に金属板を装着し、下顎顆に過剰な MS を作用させた。雄マウスは対照群,
ORX群,MS群,ORX+MS群に,雌マウスは対照群,OVX群,MS群,OVX+MS群に分けた.性 ホルモンの減少した雌雄マウスの下顎顆に過剰なMSを作用させることにより、軟骨層が最も薄く、破 骨細胞の数が有意に増加した。また、実験群から疾患感受性遺伝子Angptl7とCar1が新たに発見され、
顎関節症の発症機序への関与が示唆された。(
Osteoarthritis and Cartilage, 29:1575-1589,2021.)
3)本研究では、関節リウマチモデルマウスにおいて、顎関節に機械的負荷を与えた場合と与えない場合 の末梢および顎関節の形態学的・組織学的特性を検討した。9-12週齢の雄DBA/1JNCrljマウスにコラ ーゲンII型抗体とリポ多糖を投与してコラーゲン抗体誘発関節炎(CAIA)を誘発し、下顎骨顆に機械 的ストレス(MS)を加えた。マイクロCT画像による三次元解析から下顎頭の表面に粗造面が認められ た.組織学的検査では,下顎頭の軟骨層幅の減少や破骨細胞の増加など,骨・軟骨の破壊が認められた.
そして、免疫組織学的染色により、軟骨下骨にT細胞やγδT細胞が集積していることがわかった。顎 関節はRA発症の影響を受けにくいが、機械的刺激により増悪することが示唆されている。さらに、関 節 リ ウ マ チ の 病 因 と し て 、 γ δT 細 胞 の 関 与 が 示 唆 さ れ た 。(
Front. Immunol. 12:753754. doi:
10.3389/fimmu.2021.753754)
4)開咬の治療は従前、顎間ゴムによる前歯の挺出か顎矯正手術による骨格の上下的な改善という選択 肢があった。しかし近年、歯科矯正用アンカースクリューの矯正治療への適用が承認され、大臼歯の圧 下による開咬の矯正治療単独という選択肢がでてきた。しかし、大臼歯の圧下の適用症例の基準を調査 した研究報告はない。本研究では開咬の治療の診断基準をROC曲線による解析を行い、それぞれの治療 における基準を設定した。(Appl. Sci. 2021, 11(18), 8736)
5)
上顎骨の劣成長患者に対して上顎前方牽引療法が行われています。近年歯科矯正用アンカース クリューを用いた治療法が報告されているが、力学的な検討をしている研究は少なく治療法が確立 しているとは言い難い。本論文は、歯科矯正用アンカースクリューを用いた骨固定の上顎前方牽引 治療の力学的検討を行うため、三次元有限要素解析を用いて顎整形力を荷重した時の顎骨および歯 の変位量および応力、応力分布を明らかにし、従来型の歯固定の上顎前方牽引療法と比較を行った。
結果から、歯科矯正用アンカースクリューを用いた上顎前方牽引治療はより高い骨格的な効果およ び、より少ない歯へのサイドエフェクト、上顎骨の反時計回りの回転の抑制が認められ、また牽引 角度
20度で上顎骨の回転を抑えられ、歯科矯正用アンカースクリューを用いた上顎前方牽引治療 の有用性を示唆した。
(Orthodontic Waves,80:149-160,2021.)3. 学外共同研究
担当者 研究課題
学外研究施設
研究施設 所在地 責任者
西井 康 アンカースクリューの開発
University of Southern California Department of
Orthodontics
LA、
USA
Glenn T.
Sameshima
石井武展 破骨細胞分化制御に関する研究
Department of Oral Science and
Translational Research, College of Dental
Medicine, Nova Southeastern University
Florida
、USA
Toshihisa Kawai
石井武展
破骨細胞前駆細胞の骨組織への遊走 を制御するγδT細胞の機能解明と 分子標的薬の検討
東北大学大学院
歯学研究科 東北大学病院
顎口腔機能治療 部
仙台市 西村壽晃
石井武展
変形性顎関節症の軟骨破壊に対す る性ホルモンと機械的刺激の作用 機序の解明
大阪大学大学院 歯学研究科顎口 腔病因病態制御 学講座顎口腔疾 患制御学
大阪府 天野克比古
石井武展
変形性顎関節症の軟骨破壊に対す る性ホルモンと機械的刺激の作用 機序の解明
順天堂大学 革新的医療技術開 発研究センター
東京都 長尾雅史
4. 科学研究費補助金・各種補助金
研究代表者 研究課題 研究費 科研費の場合は種別も記載
西井 康 歯槽骨骨量・骨質コントロールによる歯の移動促進法の 確立
2021年度 大学間連携等 による共同研究 1,500 千円
石井武展 性ホルモンと機械的刺激による変形性顎関節症の病態発 生機序の解明とその治療戦略
基盤C:2021年度: 780千 円 (直接経費: 600千円、
間接経費: 180千円) 立木千恵 教育用3D画像の作成 学長奨励教育助成 800千
円
受賞
受賞者名 年月日 賞 名 テーマ 学会・団体名
佐竹奎亮 2021.11.3—
5 優秀演題賞 TCDD誘発性口蓋裂におけるケ ルセチンの効果
第80回日本矯正 歯科学会学術大会
&第5回国際会議
特許取得
取得者名 年月日 番 号 名 称
学会・研究会の主催
主催者名 開催年月日 学会・研究会名 会 場 開催地
シンポジウム
シンポジスト 年月日 演 題 学会名 開催地
学会招待講演・特別講演・教育講演
講演者 年月日 演 題 学会名 開催地
西井 康 2021.7.4- 5
歯科矯正アンカースクリュー時 代における外科的矯正治療にお ける選択基準と安定性
第64回中・四国矯正歯科 学会大会 特別講演 Web
学術学会に相当しない団体が開催するセミナー・研究会・カンファレンス等における発表・講演
講演者 年月日 演 題 会合の名称 開催地
西井 康 2021.7.21 II級外科症例 診断から最新の
トピックス
口唇口蓋裂のチームアプ ローチと治療方針に関す る第39回研究会
Web
西井 康 2021.9.5
次世代のMTM
ー歯科矯正用アンカースクリュ ーの応用ー
東京都歯科医師会卒後研
修 東京都
立木千恵 2021.9.5
次世代のMTM
―歯科矯正用アンカースクリュ ーの応用―MTMの臨床の実際
東京都歯科医師会卒後研
修 東京都
西井 康 2021.9.30 骨格性上顎前突の外科的矯正治
療について
日本大学歯学部 歯科矯 正学講座
同門会学術講演会、大学 院特別講義
Web
西井 康 2021.10.1
5 MTMとアンカースクリュー 東京都江戸川区歯科医師 会 学術講演会 Web
立木千恵 2021.10.3 1
歯科矯正用アンカースクリュー のメカニクス
インプラント矯正セミナ ーアンドンスコース Web
西井 康 2021.11.1 9
矯正医から見たマウスピース型 矯正装置
(アライナー矯正装置)
東京歯科大学同窓会東京 地域支部連合会
令和三年度学術講演会
Web
立木千恵 2022.3.26 外科的矯正治療について 第5回日本頭蓋健診治療
研究会 東京都
森川 泰紀 2022.3.26 頭蓋変形と顔面非対称の関連性 について
第5回日本頭蓋健診治療
研究会 東京都
6. 教育に関する業績、活動
教育に関する講演(医学・歯学における教育をテーマとするものに限る)
講演者 年月日 演 題 学会・研究会・会議名 開催地
教育ワークショップ・FD研修
氏 名 年月日 ワークショップ名 役 割 開催地 石井武展 2021.12.4 CPXワークショップ 受講者 東京都千
代田区 立木千恵 2021.12.4 臨床実地試験認定評価者養成ワ
ークショップ 受講者 東京都千
代田区
石井武展 2022.2.19 カリキュラムワークショップ 受講者 Web
西井 康 2022.3.19 第25回試験問題作成に関するワ
ークショップ タスクフォース 東京都千 代田区
共用試験
氏 名 年月日 種 別 役 割 開催地
石井武展 2022.1.17 Post-CCPX 評価者 東京都千 代田区
西井 康 2022.2.19 2021年度日本大学歯学部第4学
年OSCE 評価者 東京都千
代田区
西井 康 2022.2.27 2021年度東京歯科大学第4学年
OSCE 評価者 東京都千
代田区 石井武展 2022.2.27 2021年度東京歯科大学第4学年
OSCE 評価者 東京都千
代田区
立木千恵 2022.2.27 2021年度東京歯科大学第4学年
OSCE 評価者 東京都千
代田区 安村敏彦 2022.2.27 2021年度東京歯科大学第4学年
OSCE 評価者 東京都千
代田区 海老澤朋宏 2022.2.27 2021年度東京歯科大学第4学年
OSCE 機材係 東京都千
代田区
教育用ソフトウェア・ハードウェアの開発
制作者 年月日 種 別 名称・内容
他の大学・研究機関等における学生・大学院生を対象とする講義・実習
担当者名 年月日 テーマ・演題 大学・機関 所在地
西井 康 2021.6.3 歯科矯正学 埼玉県立大学 越谷市
石井 武展
2021.4.9 2021.4.23 2021.5.14
歯科矯正学 埼玉県立大学 越谷市
野嶋 邦彦 2021.6.10
-7.22 歯科矯正学
湘南歯科衛生士専門学
校 平塚市
立木千恵
2021.4.16 2021.5.07 2021.5.21
歯科矯正学 埼玉県立大学 越谷市
安村敏彦 2021.6.24 歯科矯正学 静岡県立大学短期大学
部歯科衛生士学科 静岡市 森川 泰紀 2021.4.20
-9.21 矯正歯科技工学 筑波大学附属聴覚支援
学校歯科技工科 市川市 飯島 由貴 2021.4.20
-7.9 歯科矯正学 高崎歯科衛生専門学校 高崎市
学術学会に相当しない団体が開催するセミナー・研究会・カンファレンス等における発表・講演
講演者 年月日 演 題 会合の名称 開催地
7. 社会的貢献・社会に対する活動 鑑定書
鑑定人 年月日 種別(鑑定書) 依頼者
医学の啓蒙を目的とする講演会(市民を対象とするもの)
講演者 年月日 演 題 講演会名 開催地
その他メディア等への掲載・出演
氏 名 年月日 タイトル 掲載誌・放送局番組名・URL
西井 康 2021.6.15 インタビュー 日本テレビ news every