2年 美術科学習指導案
1 題材名 「色や形の深みを求めて~抽象画~」(絵画)
2 題材について (1)題材観
抽象絵画の価値は、色や形象などの表現がそれ自体に意味を持ち、見る人にとってメッセージを伝えることが できるものである。作品に向き合ったときに大切なことは「そこに何が描かれているのか」を判断することでは なく、それを「描くことで作者が何を表現しようとしているか」を感じ取ろうとすることである。
絵画作品の中には見たものを具体的に再現しようとする「具象的」な作品と、自分の表現したいものを形象に とらわれず表現しようとする「抽象的」なものがある。抽象画は「色や形」をもって十分に描き手の心情を表現 する手段を備えている。子ども達は、今まで自分の思いや願いを具象絵画で描いてきた。抽象という多様な表現 を学ぶことで、表現に幅をもたせ、制作することの喜びを味わわせ、自信と意欲をもたせたい。
(2)教科の努力点との関わり
努力点「生徒の自分らしさや可能性を追求する造形活動の工夫」―生き生き活動、わくわく活動、磨こう感性―
本題材では抽象画の魅力を感じ取らせ、絵具やマスキングテープの使い方、抽象形による平面構成の基本や、
色相環・色の三原色をはじめとする色彩表現法の基本を発展的に学習させたい。また、制作を通じて色や形のも つメッセージを考えることで、自分の思いを表す喜びや制作の充実感を感じさせたいと願っている。このことは、
本校美術科の教科の努力点「生徒の自分らしさや可能性を追求する造形活動」につながっていくと思われる。
本題材の制作方法としてはイラストボードにマスキングテープで形を作り、アクリル絵具で色を塗る。乾燥さ せてマスキングテープをはがすとテープを貼らなかったところだけ形が残る。再度、この上からマスキングテー プで形を作り、アクリル絵具を塗っていくと、色が重なる部分ができる。これを何回も繰り返していくと色や形 に深みがでてくることを学習させたい。描くことが苦手な生徒も楽しく活動できるように工夫した題材である。
3 生徒の実態
4 題材の目標
(1) 抽象表現の楽しさを味わうと共に、主題の魅力を引き出し効果的に表現させる。
(2) 各自が感じた対象の形や色の美しさを画面の組立て方や表し方を工夫して表現させる。
(3) アクリル絵具・マスキングテープの特性や使い方に慣れ、配色や筆触の表現を工夫させるとともに、
計画的に制作する態度を育てる。
題材
関心・意欲・態度 発想や構想の能力 創造的な技能 鑑 賞 (1)抽象画のとらえかた
① 抽象画に興味を持ち 意欲的に取り組むこ とができたか。
① 表現意図に合った画 面構成の工夫を行え たか。
① 色の重ね塗りを表現 意図に合わせて表現 することができた か。
① 画家や先輩の作品を 見てモチーフの置き 方や主題のあり方を 学び取ることが出来 たか。
(2)着彩表現
① 根気強く丁寧に表現 することが出来た か。
① 表現したい色を画面 に効果的に取り入れ ることが出来たか。
① マスキングテープを 使い、丁寧に塗るこ
とが出来たか。
① 他生徒の作品を見て その良さを認め合い、
発表することが出来
② 作品に愛着を持って 計画的に制作を進め
ることが出来たか。
② 色や形の美しさをテ ーマにあった色調で とらえることが出来 たか。
② アクリル絵具と水を バランスよく調合し ムラなく塗れたか。
たか。
② 作品からの形の魅力 や個性を見分け、その 良さを感じ取ること が出来たか。
5 指導計画(10 時間扱い)
①オリエンテーション(作品鑑賞)と色のイメージによる習作 1時間
②地塗りによる準備 2時間
③重ね塗りによる着彩 6時間(本時4/10)
④まとめと相互鑑賞 1時間
6 本時の指導
(1) 目標
・抽象画について興味・関心を持たせるとともに色や形のもつイメージについて主体的に制作に取り組むことが できる。 【関心・意欲・態度】
・主題のイメージを形や色でとらえ、表現意図に基づき、構想を深める。 【発想や構想の能力】
・アクリル絵具の特性を理解し、自分の表したい色や形のイメージを追求する。 【創造的な技能】
・抽象画に興味を持ち、画家や生徒作品の参考例などを見たり、造形表現の良さや美しさを味わうことができる 【鑑賞の能力】
(2) 展開 (4/10)
時配 学習活動と内容 教師の支援(○)と評価(☆) 資料
・地塗り済みのイラストボード、美術フ ァイル、アクリル絵具セットを用意 し、水入れに半分水を入れ、筆記用具 を机上に出す。
○チャイムが鳴ったら、まだ準備できてい なくても着席させ、号令・挨拶をして話 を聞く体制をとらせる。
☆話を聞き、指示を受け止められたか。
☆授業開始時と同時に挨拶ができたか。
導入 10分
・作品を鑑賞して抽象画とはどういうも のか感じ取る。
〈予想される反応〉
A「ブロードウエイ=ブギ=ウギ」
・明るい感じ
・黄色が多い
B「赤と青と黄色のコンポジション」
・コンポジションって何?
・よくわからない
○本時の学習問題を黒板に板書する。
○モンドリアンが何を表したかったのか 伝える。
○抽象画はどういうものか解説する。
○抽象形による平面構成の基本形を紹介 する。
☆説明を聞いて学習内容が理解できたか、
確認する。
モンドリアン の絵「ブロード ウエイ=ブギ
=ウギ」「赤と 青と黄色のコ ンポジション」
基本形の書か れている掲示 物
本時の学習問題
(自分だけの抽象画を描こう。)
展開 30 分
・マスキングテープを受け取り、形を決 め、マスキングテープで貼る。
・次に自分の好きな色を1色ていねいに 上から塗る。
・広い面積を塗るときは平筆を使用す る。
○学習内容が制作に適切に生かされてい るかを留意しながら机間支援を行う。
○表現がうまくいかない生徒には、簡単に 塗ってみせ、やり方を示す。
○色を間違って塗ってしまった生徒には、
上から重ねて塗ることで修正できるこ とを伝える。
○色を混色することをとまどっている生 徒には、形に合った色を考えた上で、混 色をするように伝える。
☆本時の目標にある程度到達している作 品を取り上げ、良くできた点を評価す る。
終末
10分
・制作についてのまとめと次回の内容に ついて知る。
・後片付けを行う。
・絵具セットや道具などもとの位置に片 付ける。
・マスキングテープやファイル、イラス トボードを回収し、乾燥させる。
○次回は再度この上からマスキングテー プで形を作り、絵具を塗って重ねて行 き、色や形に深みを出していくことを知 らせる。
マスキングテープを使い、縦と
横、斜めの線のみで、好きな色で 塗ってみよう。