第 5 学年○組 国語科学習指導案
指導者 K・T 1 つけたい力
・書かれている内容について事象と感想,意見の関係を押さえ,自分の考えを明確にしながら 読むこと。
・目的や意図に応じて,自分の考えを効果的に書くこと。
・記号のはたらきを理解すること。
2 教材名 まんがの方法 3 教材について
(1)教材観
本単元は,学習指導要領の「C 読むこと」の内容「ウ 目的に応じて,文章の内容を的確 に押さえて要旨をとらえたり,事実と感想,意見などとの関係を押さえ,自分の考えを明確 にしながら読んだりすること」や,「B 書くこと」の内容「(1)ア 考えたことなどから書 くことを決め,目的や意図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通して事柄を整理するこ と」,「〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕」の内容「イ (オ)文章の中での語 句と語句との関係を理解すること」に重点を置いている。
「まんがの方法」はストーリー漫画を例に,多角的な観点からその「おもしろさ」を生み 出す方法を説明した文章である。解説型の文章ではあるが,単なる仕組みの提示に留まらず,
読者なりの思考を要求するしかけをもつ。多くの児童が日常的に親しんでいる漫画について,
その表現の方法の解明の数例を示すことで,単に読後感や印象のみに終わらせずに,読者な りに自分の好みの漫画の方法を探り,「おもしろさ」の仕組みを解明していくことが求められ るようになっている。また国際的な事例があげられていることから,漫画の「おもしろさ」
が世界的な広がりをもつものであることも認識できるようになっている。
漫画のおもしろさの秘密は,漫画特有の共通した表現方法にある。その表現方法をここで は「まんがの方法」と位置づけている。数ある漫画の方法の中から代表的なものとして,「コ マ」「せりふ」「人物の描き方」「物語の進行方法」「背景」「ナレーターの語り」を取り上げ,
方法および効果と「おもしろさ」を結びつけて分かり易く解説されている。子どもたちは,
その方法の効果を理解した上で,親しんでいる漫画の中に,この作品の中で述べられている 方法を検証していく。さらに新しい方法を自分で見つけ出すという活動へと繋がっていく。
このようなことから,おもしろさ探求の意欲も高められ,次の教材における積極的,主体 的な学習活動へ発展していくことが予想される。
(2)児童の実態
本学級は,男子○名,女子○名,計○名で構成されている。明るく元気で,意欲的に学習 に取り組める児童が多い。自信のない問題にはなかなか手が挙がらず,いつも同じ児童が発 表しているが,簡単で自信のある問題には積極的に手を挙げることができる。読書や漢字な ど,黙々と課題を行うときは高い集中力を発揮するが,思考を問われるような問題では,集 中が続かないことが多い。
本教材を指導するに当たり,国語科の学習に対してのアンケート調査を行った。
平成22年6月22日(火)実施 1 国語の説明文は好きですか?
好き (1) まあまあ好き(5) あまり好きではない(5) きらい(6)
2 その理由はなんですか?(自由記述)
<好き> <嫌い>
知らなかったことがわかる。 (2) 難しい,意味がわからない(5)
仕組みがわかる。 (1) 読むのが大変 (3)
実験が楽しい。 (1) 読んでもおもしろくない (3)
3 説明文を読んで,内容はわかりますか?
わかる (3)だいたいわかる(6) あまりわからない(8) 全然わからない(0)
4 まんがは好きですか?
好き (16) あまり好きではない(1)
5 その理由を教えてください。(自由記述)
おもしろい,楽しい(11) 内容がわかりやすい (3)
絵がある (1) 読みやすい (1)
ドキドキする (1) いろんな感情がある (1)
6 まんがのおもしろさは何だと思いますか?
絵があること (10) 話のストーリーがおもしろい(6)
笑える (3) 主人公が好き (2)
感動する (1)
7 国語の学習で,どんなことをしているときが楽しいと思いますか?(自由記述)
読書 (13) 自分で何かを書くとき (9)
漢字の学習 (4) 何かを調べる作業 (1)
説明文の学習に対しては,児童の興味・関心は低いことがわかる。その理由としては,意 味がわからないが多かった。内容理解の面でも,約半数の児童があまりわからないと答えて いる。まんがについては,ほぼ全ての児童が好きと答えた。多かった理由は,おもしろい,
楽しい,内容がわかりやすいであった。まんがのおもしろさをどこに感じているかという問 いでは,絵がある,ストーリーがおもしろいが多かった。国語の学習で楽しいと感じるとき は,読書,自分で何かを書くときが半数以上であった。
さらに,本教材を学習するに当たって,2枚のレディネステストを行った。
1枚目の説明されている事柄を書き出す問題では,8割近くの児童が正解することができ た。しかし2枚目の,説明されていることを整理して表にまとめる問題では,ほとんどの児 童が正答を出すことができなかった。
(3)指導観
実態にも書いたが,児童は説明文に対して半数以上が否定的な考えを持っている。その理 由として挙げられている主な理由が「難しい,意味がわからない」であった。内容がよくわ からないと答えた児童も多かった。そこで,本教材ではまず,しっかりと書かれている内容 を押さえていくようにしていきたい。そのために,段落の関係をはっきりととらえさせるこ とや文中のキーワードに着目させて,筆者の言いたいことを理解させていきたい。まんがに 関しては,児童は高い関心を持っている。内容も理解できれば,さらに意欲的に学習に取り 組めると考える。
また,国語の学習では,読書,自分で書くときに楽しいと感じている。そこで,まんがの 攻略本を書くという児童の好きな作業を通して,レディネステストでできなかった整理して 書くという力をつけていきたい。
仮説1
① 段落の関係をとらえる。
実態調査から内容の理解ができていない児童が多い。段落の関係(文章構成)を確 実にとらえさせることで文章の姿をより立体的にとらえることができ,また内容も 理解できる。以下のような構成図をワークシートを活用して書かせたい。
<文章構成> おもしろさのひみつはどんなところにあるのでしょうか。(問題提起)
コマ フキダシ 手書き文字 人物のえがき方 物語の進行の仕方 背景 ナレーター
まんがが世界でも親しまれている理由 筆者の言いたいこと
仮説2
① キーワード,記号に着目する。
本教材では「コマ」「フキダシ」などのキーワードが多く使われている。それに着目 させ,筆者の言いたいことを理解する足掛かりにしていきたい。また( )や「 」 といった記号も多く使われており,内容を理解する上で重要な役割を担っている。
それらにも着目させ,文章を読み取らせていきたい。
仮説3
① 読み取ったことを整理して簡単にまとめた「まんが攻略本」を作る。
自分で何かを書くときに,国語の学習が楽しいと感じている児童が多い。そこで,
読み取ったことを攻略本にまとめるという作業をすることで,児童が意欲的に取り 組めると考える。また,レディネステストで正答率の低かった整理してまとめる力 も,この作業で育てていきたい。
4 教材の目標
関心・意欲・態度 ○題材に興味をもち,意欲的に読もうとすることができる。
読む ○段落の要点や相互関係を考えながら,筆者の言いたいことを読み取る ことができる。
言語活動 ○本文の言葉を利用しながら,言いたいことをまとめることができる。
文章の姿をとらえ,課題を持つことができれば,主体的に読むことができるだろう。
文章の読み取り方の基礎,基本が身につけば,意欲的に楽しく読むことができるだ ろう。
読み取ったことを表現していく場を工夫すれば,意欲的に読むことができるだろう。
5 指導計画(7時間)
過程 つけたい力 学習活動(◆評価方法,評価基準) 形態
(1)
(1)
・文章の姿をとらえ,読みの 課題をつかむことができる ようにする。
・記号のはたらきについて理 解することができる。
○教師の範読を聞く。
○段落の関係を読み取る。
◆文章の姿をとらえることができたか。
◆記号のはたらきについて理解することが できたか。
段落の関係をとらえよう 一斉
(4)
(本時) 3/7
・段落の要点を読み取ること ができる。
・要点をまとめて,まんがの 攻 略 本 を 書 く こ と が で き る。
○それぞれの方法と効果を読み取る。
○読み取ったことをまんがの攻略本にまと める。
◆まんがの方法とその効果を読み取ること ができたか。
◆読み取ったことをまとめ,まんがの攻略 本を書くことができたか。
「コマ」「フキダシ」「手書き文字」の方 法と効果を読み取ろう
一斉
・段落の要点を読み取ること ができる。
・要点をまとめて,まんがの 攻 略 本 を 書 く こ と が で き る。
○それぞれの方法と効果を読み取る。
○読み取ったことをまんがの攻略本にまと める。
◆まんがの方法とその効果を読み取ること ができたか。
◆読み取ったことをまとめ,まんがの攻略 本を書くことができたか。
「人物のえがき方」「物語の進行の仕方」
の方法と効果を読み取ろう
一斉
・段落の要点を読み取ること ができる。
・要点をまとめて,まんがの 攻 略 本 を 書 く こ と が で き る。
○それぞれの方法と効果を読み取る。
○読み取ったことをまんがの攻略本にまと める。
◆まんがの方法とその効果を読み取ること ができたか。
◆読み取ったことをまとめ,まんがの攻略 本を書くことができたか。
「背景」「ナレーター」の方法と効果を読 み取ろう
一斉
・文章を読んで自分なりに感 じたことや考えを書くこと
ができる。 ○海外でも親しまれているわけを考えてあ とがきとして攻略本に書く。
○考えたことを発表し合う。
◆自分なりの考えを書くことができたか。
日本のまんがが海外でも親しまれている わけを考えよう
一斉
課題を持つ追求する
まんがのおもしろさをまとめたまんが攻略本を作ろう!
(2)
・筆者の言いたいことを読み 取ることができる。
○筆者の言いたいことはなにかを掴む。
◆筆者の言いたいことを読み取ることがで きたか。
筆者の考えを読み取り,新しい「まんが の方法」を考えよう。
一斉
・まんがの表現方法に興味を 持つことができる。
○持ってきたまんがから「まんがの方法」
を探す。
○7つのまんがの方法以外にまんがの方法 がないか探す。
◆意欲的にまんがの表現方法を探すことが できたか。
持ち寄ったまんがから,新しい「まんが の方法」を探そう。
一斉
6 本時の指導(3/7)
(1)目標
関心・意欲・態度 ○意欲的に作業に取り組むことができる。
読む ○まんがの方法とその効果を読み取ることができる。
言語活動 ○読み取ったことをまとめ,まんがの攻略本を書くことができる。
(2)展開
時配 学習活動 教師のかかわり(・指導☆評価◆評価基準・方法) 資料 1
3
3
15
1 前時の学習を想起する。
2 形式段落8から10を 聞き本時の学習問題を 確認する。
3 形式段落8から10を 音読する。
4 「人物のえがき方」「物 語の進行の仕方」の役割 を読み取る。
④人物のえがき方 ・感情を表す
・ほんの少しの変化で感情 が変わる。
⑤物語の進行の仕方 ・省略表現
・コマとコマとの間の展開
・前時に学習した3つの方法を想起さ せる。
・4 つ目と 5 つ目のまんがの方法の役割 を読み取る意欲を持たせる。
・「 」の言葉は強調して読むように させる。
・なるべく短い文でまとめさせる。
☆まんがの方法とその効果を読み取る ことができたか。
◆まんがの方法とその効果を短い文に まとめることができたか。
・読み取ることが困難な児童にはキー ワードを助言する。
「人物のえがき方」「物語の進行の仕方」の方法と効果を読 み取ろう
まとめる
5
15
3
を想像できる。
5 読み取ったことを確認す る。
6 読み取ったことをまんが の攻略本に書いてまとめ る。
7 次時の予告を聞く。
・方法と効果を確実におさえる。
☆読み取ったことをまとめ,まんがの 攻略本を作ることができたか。
◆「人物のえがき方」「物語の進行の仕 方」の効果がまんがの攻略本に書け ているか。
・書けていない児童には黒板にヒント が出ていることを助言する。
☆意欲的に作業に取り組むことができ たか。
◆進んで作業を行っているか。
・できていない児童には,進んで作業 するよう声を掛ける。
(3)板書計画
(4)ワークシート
まんがの方法
④人物のえがき方
・感情を表す
・ほ ん の 少し の 変 化で 感 情
が変わる
⑤物語の進行の仕方
・省略表現・コマとコマとの間の感覚を想像できる
「人物のえがき方」「物語の進行の仕方」の方法と効果を読み取ろう
挿 絵 挿 絵