第4学年2組 国語科学習指導案
1 単元名 まとまりやつながりに気をつける
「花をみつける手がかり」 「資料をもとに説明しよう」
2 単元について
(1)単元観
本単元は,学習指導要領第3学年及び第4学年の,「C 読むこと」の内容(1)「イ目的 に応じて,中心となる語や文をとらえて段落相互の関係や事実と意見との関係を考え,
文章を読むこと」「エ目的や必要に応じて,文章の要点や細かい点に注意しながら読み,
文章などを引用したり要約したりすること」,「B書くこと」の内容(1)「イ文章全体にお ける段落の役割を理解し,自分の考えが明確になるように,段落相互の関係などに注意 して文章を構成すること」,「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」の,「(1)イ (ク)指示語や接続語が文と文との意味のつながりに果たす役割を理解し,使うこと」を受 けて設定されている。
本単元は,まず,「花をみつける手がかり」という説明文の学習を通して,問題を設 定し実験をするということを繰り返しながら結論を導き出す過程を,段落ごとのまとま りや段落相互の関係に気をつけながら読み取る。そして,筆者の科学的な思考過程にふ れることで自然科学の追究について,筆者の考えを読み取っていく。次に「資料をもと に説明しよう」で自然科学についてテーマを決め,自ら調べて,説明文にまとめる学習 へとつなげていく単元構成になっている。
説明文「花をみつける手がかり」は,「もんしろちょうは何を手がかりにして花を見 つけるのか」という問題に対して,問いと実験を繰り返し消去法的に疑問を解決してい く過程を説明した文章である。3つの実験の目的,準備や方法,結果,結論や新たな課 題が論理的な思考の流れで書かれているので,要点をおさえ,要約文にまとめて正しく 読み取ることで,科学的に疑問が解き明かされていくおもしろさを感じることができる 教材である。しかし,説明文に抵抗感をもつ児童もいるため,目的をもって読むことが できるよう,科学博士になって疑問不思議の実験レポートをつくるという活動を入れる ことで,意欲をもって学習に取り組むことができると考える。
児童はこれまでに,読み取ったことをよりよく相手に伝えるために,文章を大段落ご とに要約して書くことをしてきている。本単元でも,事実(実験の準備,方法,結果)
と意見(結論)を読み分けて,実験ごとに要約文にまとめることで,正確に内容を読み 取ることができるようにしていきたい。そして,書いた要約文を実験レポートとして,
まとめられるようにしていきたい。
また,理科の実験に関する興味関心は高いので,自然科学に関する本を用意し,単元 はじめから読書できるようにしていく。そして説明文の学習後さらに自然科学に関心を もち,もっと知りたいという意欲をもって「資料をもとに説明しよう」に取り組めるよ うにする。そして,自分たちの調べたことを進んで説明文にまとめ,事典にしていける ようにしていきたい。
(2)児童の実態
これまでの説明文の学習で大段落ごとに要約文を書いたので,要旨をまとめる際,文 章中の言葉を使ってまとめることはできるようになってきている。また,それによって,
正確な読みとりができるようになってきている。しかし,本を使っての調べ学習では,
要旨をまとめる際,要点が定まらずだらだらと書いてしまう児童はまだいる。
意識調査 (調査人数 28名 平成24年7月9日)
〈教材に関する実態〉
1 課題の文章はいくつの段落にわけられるでしょうか。
正答 15名 誤答 13名
2 私たちの頭にはどんな働きがあると書いてありますか。(要約)
正答 15名 誤答 13名
3 文中の「あ」は,どの接続語(やはり そこで つまり)が入りますか。
正答 21名 誤答 7名
4 文中の「い」は,どの接続語(つまり けれども そして)が入りますか。
正答 24名 誤答 4名
5 文中の「う」は,どの接続語(しかし それでは さらに)が入りますか。
正答 20名 誤答 8名
〈国語の意識に対する調査〉
1 調べてわかったことをまとめるときに,あなたはどんな方法を使いますか。
新聞 13名 作文 7名 ポスター 5名 ノート 2名 わからない 1名
2 文章でまとめるのは好きですか。苦手ですか。
好き 10名 苦手 18名 好きな理由は?
・相手によく伝えられるから。
・まとめるとすっきりする。
・(まとめたものを)読むと思い出せるから。
苦手な理由は?
・文を書くのが好きでない。面倒くさい。
・何を書いていいのかわからない。
・まとめられない。
(3)支援・指導
上記実態調査より,形式段落については,約5割の児童がきちんと段落を把握してい ない。しかし,教科書の文章で一マス下がっているところに数字をうっての段落分けは できている。このことから,日頃から機械的に段落分けをしている児童が多いことがう かがえ,それは,作文で段落を分けて書くことができない実態にもあてはまる。内容を とらえながら段落分けをしていく必要があることがわかる。文を要約する問題は,やは り約5割の児童が要約して読み取ることができていない。キーとなる文章を的確に押さ えて見つけることができる児童は5割弱とみられる。要点にとどまらずだらだらと長文 に線を引いてしまう子が多い実態である。そこで,説明文の学習の基本的な方法として 引き続き,キーワード,キーセンテンスを見つけることをしていく。見つけ方は,文章 の内容を文末表現に注意しながら事実と意見に分けて読んでいく。また,段落と段落を
つなぐ接続語は,8割近くの児童が理解できていたが,それは問題文のつながりが逆接 なのでわかりやすかったと考えられる。文中の接続語の正答率が落ちることからも,接 続語を丁寧に押さえて学習していく必要がある。
説明文を書くことに関しては,資料をまとめる方法で,文章を書く方法を選んだ児童 が約3割,文章を書くことが苦手という児童が6割以上いることからも,説明文の読み 書きに対しての抵抗感がうかがえる。
理科の実験の様子からも自然科学に対する興味関心,実験に対する興味関心は高いの で,まず,「資料をもとに説明しよう」で自分なりに実験をして,科学博士のレポート として説明文を書き,クラスの「疑問不思議大事典」にまとめていくという目標をもつ。
それにより,「花をみつける手がかり」を目的をもって楽しみながら主体的に読み取っ ていけるようにしていきたい。また,読み取った要約文が不思議を解明した実験レポー トになるように,実験ごとに目的,準備,結果,わかったことにサイドラインを引かせ,
それをもとにクラス全体で話し合いながらキーセンテンスを確認してまとめていくよう にする。書くときには,文章構成のヒントカードを用意し学習の支援をしていきたい。
最後の筆者の考えを読み取った後,自分の考えや感想を入れさせることで,筆者の取り 組みに対して自分なりの考えをもつことができるようにしていきたい。また,レポート の完成の達成感をもって,「資料をもとに説明しよう」で自分の興味をもった自然科学 について,調べたことを主体的に説明文として書いてまとめ,「疑問不思議大事典」を つくっていけるようにしていきたい。
<つけたい力>
○中心となる語や文をとらえて,段落相互の関係や事実と意見との関係を考え読み取る力
○文章の要点に注意して読み,要約する力
3 仮説との関連
<仮説①>
子どもたちに目的を明確にもたせて読ませれば,自分の考えをもつことができるだろ う。
学習の導入で,子どもたちに科学的な実験を演示し,みんなで体験する場を設ける。そ して体験した実験について説明した,教師が作成による「4年1組 疑問・不思議大事典」
のページを提示し,学習活動の目的を知らせる。そうすることで,児童の「やってみたい」
という気持ちを喚起し,事典のページを書くことの意欲につなげていく。完成した事典は,
友だちや家の人に読んでもらうことを伝えることで,さらに意欲を高めさせる。わかりや すく書くという目的意識をもたせることができれば,「疑問を解決していく説明の仕方を 学ぼう」というめあてをもって「花を見つける手がかり」を読むことができると考える。
「花を見つける手がかり」の説明文は3つ実験の問題,方法,結果,結論,課題の大段 落で成り立っていて,繰り返して結論に至る科学的思考に迫るために,まず,文章の全体 の姿をとらえる学習をする。そうすることで,この思考法のおもしろさに気づくと考える。
そして,もんしろちょうのこの実験で,筆者が何を言いたかったのかという学習課題をも つことで,自然科学の実験に対する考えをもてるだろう。
「花を見つける手がかり」で読み取った内容は,自分が博士になったつもりで実験レポ ートに書き表す。実験レポートとは,「実験や調査などの研究成果を,他の人に知らせる
ために書く」ものであり,他の人に知らせるためには,正確で分かりやすいことが最も重 要である。読み取った内容を要約することに必要感をもって取り組むことができるように する。このようにして,筆者の研究を追体験する形で文章を読んでいくことで,筆者の考 えに迫り,自分の言葉で考えを書き表すことができると考える。
<仮説②>
表現活動の場を工夫すれば,目的応じた表現をすることができるであろう。
本単元は目的を達成するために2つの表現活動を設定した。一つは本単元の学習活動の 最終目的である身近な疑問・不思議について調べたことを「疑問・不思議大事典」にする という活動である。友だちと読み合ったり家の人に読んでもらったりすることを伝え,疑 問を解決する過程を正確に,わかりやすく説明する文章を書くという目的意識をもたせる。
この目的に応じた表現を達成するために,「花を見つける手がかり」からわかりやすい説明 の仕方を読み取っていく。そこで,もう一つの表現活動では,読み取ったことを実験レポ ートに書き表す。文章の構造に沿って読み取っていくように工夫し,要約文の文型を指導 し活用できるようにする。実験レポートを書くことで身につけた力が事典を書く際に活用 できるように構成のつながり等を工夫したい。
4 単元の目標
○説明文を読むことに関心を持ち,実験の結論にいたる過程について考えながらがら読み,
自然科学について進んで調べようとしている。 (関心・意欲・態度)
○事実と意見をとの関係を考え,内容を正しく読み取り要約している。 (読むこと)
○読みとったことについて要約文に書き,自分の考えを書いている。 (書くこと)
○指示語や接続語に注意し,段落相互の関係やまとまりを区別して読んでいる。
(伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項)
5 指導計画(21時間扱い)
過 程 時 配 学 習 活 動 ○ 支援 ◇ 評価
○単元全体の内容を確かめ,学習の見通 ○レポートを書く活動につながること
つ しを持つ。 を意識させる。
か (仮説1) ○自然科学に関する課題意識をもたせ
む ・説明文の学習の後で自然科学に関し る。
て調べ発表していくことを知る。 ◇博士になってレポートを書き,クラ
(2) 1 ・演示実験を見て,実験レポートとな スの「疑問不思議大事典」を作るた る説明文を読み,学習への見通しと めにために調べていくことに興味を
意欲をもつ。 持とうとしている。
「4年2組疑問不思議大事典」を 作って友だちと読み合おう。
○全文を通読し,初発の感想を書く。 ○読むときに,感想や考えをもった箇
・意味調べを行う。 所に線を引かせる。
○感想を書く視点を与えて書かせる。
◇初めて知ったこと,疑問に思ったこ と,心に残ったことを書いている。
○感想をもとに課題を出し合い,文章全 ○図を用意し,文章全体の姿をとらえ 1 体の姿をとらえ,学習計画を立てる。 られるようにする。
(仮説1) ○問題,3つの実験,まとめによって 構成されていることをとらえる。
・段落分けを行う。
・文章構成を考える。 ◇問題,3つの実験,まとめで構成さ れていることをとらえようとしてい る。
○ ①~④を読み,問題提示文と3つの ○問題提示文の文末表現や接続語を確 表 手がかりや実験の準備について読み取 認する。
り要約をする。 ○キーワードに線を引かせる。
す (仮説1・2) ○話し合いの中で,キーセンテンスを
1 絞り込ませ,皆で見つけたキーワー
ドを赤青鉛筆で囲ませながら確認し ていく。
・ ◇話し合いの中で,キーセンテンスを
しぼりこんでいる。
深 ○要約の仕方を確認する。
○キーワードを使って要約をする。
め ◇読みとったことをもとにキーセンテ
ンスを使って要約している。
る
(4) ○⑤~⑧を読み,花だんでの実験の目的,○キーワードに線を引かせる。
準備,結果などを読み取り要約をする。○文末表現に着目させることでキーセ
(仮説1・2) ンテンスを探す手がかりにさせる。
○話し合いの中で,キーセンテンスを
1 絞り込ませ,皆で見つけたキーワー
(本時) ドを赤青鉛筆で囲ませながら確認し
ていく。
○目的,方法,結果など観点にそった 要約の仕方を確認する。
○キーワードを使って要約をする。
○要約文の書き方を知る。
◇話し合いの中で,キーセンテンスを しぼりこんでいる。
◇読み取ったことをもとにキーセンテ ンスを使って要約している。
○⑨~⑩を読み,造花の実験の目的,準 ○キーワードに線を引かせる。
備,結果などを読み取り要約文に書く。○文末表現に着目させることでキーセ ンテンスを探す手がかりにさせる。
(仮説1・2) ○話し合いの中で,キーセンテンスを 絞り込ませ,皆で見つけたキーワー ドを赤青鉛筆で囲ませながら確認し ていく。
1 ○目的,方法,結果など観点にそった
要約文を書く。
◇目的,方法,結果など観点にそった 要約文を書いている。
○⑪~⑬を読み,色紙の実験の目的,準 ○実験場面を図示し,実験の様子を捉 備,結果などを読み取り要約文に書く。 えやすくする。
○キーワードに線を引かせる。
(仮説1・2) ○文末表現に着目させることでキーセ ンテンスを探す手がかりにさせる。
○話し合いの中で,キーセンテンスを 絞り込ませ,皆で見つけたキーワー
1 ドを赤青鉛筆で囲ませながら確認し
ていく。
○目的,方法,結果など観点にそった 要約文を書く。
◇目的,方法,結果など観点にそった 要約文を書いている。
○⑭⑮を読み,3つの実験の結論と筆者 ○掲示物をもとに今までの学習を振り の考えを読み取り,要約文にまとめ 返り科学的思考の文章構成の工夫を
ま 1 る。 確認する。
と (仮説1・2) ○これまで書いた要約文をもとに,段
め 落ごとの結論を確認させ要旨をまと
る める手がかりにする。
○筆者の意見に対し,自分の考えを要
(1) 約文の最後に書くようにさせる。
◇文章全体をふり返り,筆者考えをま
とめ,自分の考えもいれて要約文を レポートとして書いている。
○「資料をもとに説明しよう」を読み, ○学習の手順と内容がイメージできる 学習の見通しを立てる。 ように,写真や絵を活用させる。
2 ・調べていくテーマを話し合い,決定 ◇興味関心を示しながら,学習の見通
する。 しを進んで立てている。
広
○「じょうほうカード」を使いながら, ○テーマに沿った本やインターネット げ グループのテーマにそって必要な資料 資料を用意し,実験する。
を集めや実験をして,説明文の組み立 ○実験方法の手順や結果の記録を明確 る 4 てを考える。 にすることで,わかりやすくまとめ
させる。
◇自然科学の不思議を見つけるために
(14) 資料を選び実験している。
◇説明文を書くために,わかりやすく まとめている。
○作品例を読み,説明文の書き方を知る。○「疑問,答え」の順に筋道を立てて 書かれていることを確認する。
1 ◇作品例を読み,説明文の書き方をと
らえている。
○組み立てをもとに説明文を書き,推敲 ○書き方のポイントをもとに伝えたい して清書する。 ことをはっきりさせ,構成や書き方
を確認し書かせる。
5 ◇組み立てをもとに説明文を下書き
し,推敲,清書している。
○みんなで読み合い感想を伝えあうとと ○読み合い後,メッセージカードを書 もに,学習を振り返り自己評価する。 いて 交換しあい,自分の表現した
○クラスの「疑問不思議大事典」を完成 ものが受けとめられる喜びを味わえ
させる。 るようにする。
2 ◇感想や意見を,相手に伝わるように
書いている。
6 本時の指導 (4/21)
(1)目標
○文章の要点に注意して進んで読み取ったり,読み取ったことを箇条書きに書いたり しようとしている。
(関心・意欲・態度)
○花だんでの実験(一つ目の実験)の様子や結果について読み取っている。
(読むこと)
(2)展開
時配 学 習 活 動 と 内 容 ○指導上の留意点 ◇評価
2 1 前時を振り返り本時の学習課題を確 ○課題提示文と3つの手がかりを確認
認する。 する。
・②段落を読む。(一斉読み)
1 2 本時の学習課題を確認する。
花だんの実験の様子や結果について読み取ろう。
5 3 大段落(三)を音読する。 ○事実と意見を区別できるように文末
・一斉読み 表現に気をつけて読んだり,言葉の
・一人読み 使われ方やその意味を探しながら読
・指名読み むように指示する。
22 4 実験のねらい,準備,結果,結論, ○実験の観点のそれぞれについて,要 次の課題について,キーワードにラ 点をしぼって大事な言葉にラインを インをひき,発表する。 ひかせる。
・話し合いの中で,キーセンテンス
を絞り込んでいき,修正する。 ◇実験の観点にそって,要点に注意し
・観点ごとにメモをする。 てサイドラインをひいている。
(仮説1)
○発表し,話し合いの中で,キーセン もんしろちょうは何を手がかりに花 テンスを絞り込んでいき,修正し,
を見つけるのか。 メモさせる。
花だんの花(赤・黄・紫・青) ◇自分でキーセンテンスを見つけよう 生まれてから花を見たことのないも としている。
んしろちょう(たくさん) ◇花だんでの実験について要点を読み 取っている。
いっせいに花だんに向かって飛んで いく。
紫の花には集まっているが赤い花に はあまりきていない。
色かにおいか。
5.読みとったことを『レポート』にす ○絞り込んだキーセンテンスをもとに 13 るための要約文の書き方を知る。 書いた要約文のプリントを読む。
もんしろちょうが花を見つける手がかりは何か調べるために,花だんの花(赤・黄・紫
・青)と生まれてから花を見たことのないもんしろちょうを使った実験をした。
もんしろちょうは,いっせいに花だんに向かって跳んでいった。むらさきの花には集ま っているが,赤い花にはあまり来ていなかった。
もんしろちょうは生まれながらに花を見つける力を身につけていることがわかった。
6.本時の学習の振り返りをする。 ○今日の学習で,3つの手がかりをも 2 ・ 次への課題を確認する。 とに,次への課題がでてきたことを
確認する。