第6学年○組 体育科学習指導案
指導者 T・T
1 研究主題
~めあてを持ち,友達と豊かに関わり合いながら意欲的に取り組む体育学習のあり方~
2 単元名 器械運動「マット運動」
3 単元について
(1) 教材観
① 一般的特性
・技を身につけたり,新しい技に挑戦したりするときに楽しさや喜びを味わうことのできる運動である。
・バランスを必要とする運動であるため,筋力や柔軟性,巧緻性・平衡性などの調整力が身につき,
空間における身体能力が高められる運動である。
・補助し合ったり,教え合ったりして演技をつくり上げていくことで協調性が高められる運動である。
② 児童から見た特性
・今までできなかった技ができるようになったり,できる技がより上手にできるようになったときに喜 びを感じることができる運動である。
・自分に合った「めあて」で取り組み,技を自由に組み合わせたり,工夫したりできるので,受け身に ならず主体的に取り組める運動である。
・技の精度を上げるためには,友達との助け合いが必要になる運動である。
・仲間と一緒にひとつの演技をつくり上げたときに達成感が得られる運動である。
(2) 児童の実態
6学年2組(男子○名,女子○名,計○名)
アンケート集計
1 体育学習は好きですか。 好き 24人 嫌い 5人 2 マット運動についてどう
思いますか
大好き 5人 好き 19人
嫌い 5人
3 その理由 (複数回答可)
・運動が好き(6)
・回転が楽しい(7)
・技ができると楽しい(7)
・いろいろな技が楽しい(5)
・グループ活動が楽しい(2)
・得意だから(1)
・できない技がたくさんある(5)
・恐い(1)
・体育が好きでない(1)
4 マット運動でできる技 ・前転(25) ・壁倒立(14) ・側方倒立回転(3)
・後転(22) ・補助倒立(17)・倒立ブリッジ(3)
・開脚前転(13) ・頭倒立(3) ・ロンダート(1)
・開脚後転(9) ・ブリッジ(24)
・水平バランス(23) ・とび前転(14)
・V字バランス(23) ・倒立前転(3)
・ヘッドスプリング(1) ・ハンドスプリング(1)
運動に関する関心意欲を高め,すすんで運動に親しむとともに,自分の体や健康に 関心を持とうとする態度を育てる
本学級の児童は,体育学習が好きで,マット運動も比較的好きである。ただし,実態調査の結果を見ると習 得状況にかなり個人差が見られる。マット運動で楽しくないのは,いくら練習しても技ができないからである。
それは,目指す技の自分のつまずきをつかめていないことや,技のポイントについて理解できていないことが 要因だと考える。これについては,技のポイントをつかめる資料や工夫された場を活用していきたい。
(3)指導観
器械運動は,「できる,できない」がはっきりしやすく,技ができるようになった喜びが大きい半面,でき ない児童が嫌いになってしまうこともある運動である。
体育の授業では友達との関わりが「楽しい授業」になるための重要なポイントの1つである。しかし,マッ ト運動は個人的な運動であるため,友達と豊かに関わり合う場面があまりない。そこで今回(6年生)は,個 人が習熟してきた単元の後半にシンクロマットを設定し,個人の課題達成に加えて,集団的な課題達成を目指 すことでチームワークを高め,仲間との関わりが増えると考えた。演技を行っていくなかで,得意な児童もそ うでない児童も個人差を認め合い,励まし合い,教え合いながら学習していくことの大切さを学ばせていき,
協力的な態度を育てていきたい。また,シンクロタイムだけでなく,特訓タイムや修行タイムの時から友達を 認め,励まし合って学習を進めていくことができるように指導方法を工夫していく必要がある。
シンクロマットを取り入れることで,個人演技だけでは得られない集団ならではの喜びを味わい,今まで苦 手だったマットが自然と楽しいマット運動になっていくことを願う。
4 研究主題に関わる手立て
手立て 1 めあてを持たせるための工夫をする
① 場作りの工夫
・細マットやふみきり板,ゴムひもや跳び箱,舞台など技能の発達段階に応じた複数の場を用意し,
自分のめあてにあった場を選ぶようにする。
② 学習カードの工夫
・スモールステップの学習カードを用意し,自分の力に合っためあて持たせるようにする。
・誰でも「できた」「前回よりも記録が伸びた」などの達成感を味わわせることができるようにする。
③ 学習資料の工夫
・各技の動きや留意点を示した図を掲示・配布し,ポイント明確にすることにより,個人のめあてを はっきりさせるようにする。
手立て 2 友達と豊かに関わらせる工夫をする
① 学習形態の工夫
・修行タイムでは課題別のグループごとに,アドバイスや補助など協力して活動できるようにする。
・用具の準備や片づけ,特訓タイムなどシンクロマットのチームで協力し合い活動できるようにする。
○シンクロマット(5~8時間目)
・協力し合って互いに教え励まし合いながら活動することができるような場をつくる。
・兄弟チームをつくり,見合ったり教え合ったりするような場をつくる。
② 豊かな関わりへの支援・評価
・良い動きや友達と助け合っている児童は,その都度積極的にほめ,温かい雰囲気作りをする。
・ふりかえりの場では,がんばっていた児童や協力して活動していたチームなどを児童達から挙げ させ,認め合いの場をつくる。
5 単元の目標と評価規準
単元の目標 評価規準
運動への関心・意欲・態度 ・友達と協力して準備や後片付け をしたり,進んで運動すること ができる。
・自分に合った課題を見つけ,進ん で練習しようとしている。
・協力して準備・後片付けや運動を することができる。
・友達の良いところを進んで発表す ることができる。
運動についての思考・判断 ・自己の能力に合っためあてを設 定し,適切な場や段階を選び,
工夫して練習することができ る。
・演技がよりよくなるための適切 なアドバイスや補助をすること ができる。
・自分の力を知り,自分の能力に適 した課題を設定している。
・課題解決に向けて練習の仕方を工 夫している。
・技が美しくなるためのアドバイス やその技の補助をすることがで きる。
運動の技能 ・できる技をより上手にしたり,
できそうな技に挑戦したり,友 達とタイミングを合わせて演技 したりして技能を高めることが できる。
・自己の能力に適した技が安定し てできるようになり,繰り返し たり組み合わせたりすることが できる。
・今できる技をより上手にしたり,
新しい技に挑戦したりすること ができる。
・自分ができる技を生かして集団演 技ができる。
・技を組み合わせてなめらかな連続 技ができる。
安全 ・機械器具の使用を工夫し,安全
に運動しようとすることができ る。
・友達と協力して安全に活動するこ とができる。
8 時間配分
はじめ まとめ
1 2 3 4 5 6 7 8
時配 なか① なか②
後片付け・整理運動・振り返り・次時の予告
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
場の設定・集合・整列・健康観察・めあての確認 オリエン
テーション
技の習得状 況の確認
特訓タイム ①ゆりかご,ブリッジ ②大きなうさぎ跳び,大きな前転 ③かえるの足うち,補助倒立④前転・後転の連続
シンクロ タイム 修行タイム
めあて1
今できる技を組み合わせ,よりダイ ナミックに美しく表現しよう。
めあて2
練習の仕方を工夫して,できそうな 技に挑戦しよう。
シンクロタイム
シンクロ マット発表
会 シンクロタイム
めあて3
仲間と息を合わせ,集団マットに挑 戦して楽しむ。
シンクロマット ミニ発表会
9 指導計画
学習のねらい・活動 支援○ 評価●
はじめ(1時間目)
1 オリエンテーション
学習のねらいや進め方を知り,単元の見通 しを持つ。
・学習カード,資料の使い方を知る。
・学習のきまりやマナーを知る。
・用具の準備の仕方を知る。
2 特訓タイムの進め方を知る。
3 今できる技を確かめ,自分のめあてを決め る。
○学習のねらいと学び方について理解させる。
○毎時間行うことにより,基礎基本的な能力の 習得につながることを理解させる。
○学習カードをもとに,グループで今できる技を確認 させる。
特訓タイム
① ゆりかご(10回) ②ブリッジ(5秒)
③ 大きなうさぎ跳び(2セット) ④大きな前転(2セット)
⑤ かえるの足うち(3セット) ⑥補助倒立(3秒静止×2)
⑦ 前転・後転の連続
*毎時間のレベルアップを感じながら活動ができるように,学習カードを活用する。
例.大きなうさぎ跳び
マットの端まで何回でいけるかな? → より少ない回数できるとgood!!
(腰角を開かせるための手立て)
なか①(2~4時間目)
1 場の設定
2 集合・あいさつ・健康観察・めあての確認 をする。
3 ドリル運動をする。(特訓タイム)
4 めあて1,2を確認し,自分のめあてにそ って練習する。
・ジャンプ,回転,バランスの(技の分類表)
中から自分のできる技を組み合わせ,連続技 を磨く。
・自分のめあてに合った場で,技の質を高め たり,新しい技に挑戦したりする。
5 後片付け・整理運動・振り返りをする。
○みんなで協力して準備をさせる。
○事前に学習カードを確認し,自分の力に合った めあてが決められるように支援する。
●積極的に賞賛をし,児童の意欲を高める。
○様々な場を設定し,自分の力に合っためあてが 決められるように支援する。
●つなぎの技を取り入れさせ,なめらかな連続技 ができるように意識させる。
●意欲的なペア・グループを賞賛し,教え合い 励まし合いの雰囲気づくりをしていく。
●グループや全体で技のできばえを評価し合う。
○全員で片づけができるように声をかける。
●めあてについての自己評価,相互評価をさせ,
次時の学習に向けて意欲喚起を図る。
○がんばりが顕著だった児童を賞賛する。
○次時の予告をする。
修行タイム
めあて1 今できる技を組み合わせ,より「ダイナミックに美しく」表現しよう。
「ダイナミックに・美しく」とは
① 伸ばせるところをピンと伸ばす。
② 腰角が大きく開いている。
③ 動と静の部分がはっきりしている。
④ 技と技のつなぎがスムーズである。
⑤ 始まりと終わりのポーズが明確である。
めあて2 練習の仕方を工夫して,できそうな技に挑戦しよう。
① 自分に合った場を選んで(作って)練習する。
② 友達とアドバイスをし合ったり,補助をし合ったりして練習する。
なか②(5~7時間目)
1 場の設定
2 集合・あいさつ・健康観察・めあての確認 をする。
3 ドリル運動をする。(特訓タイム)
4 めあて1,2を確認し,自分のめあてにそ って練習する。
5 場の設定をする。(シンクロマット)
6 集団マットに挑戦する。
① 技の構成を考える。
② 練習 ⇔ 修正 する。
③ ミニ発表会をする。(各チーム1分程度)
5時間目 Aチーム と Bチーム Cチーム と Dチーム 6時間目 Aチーム と Cチーム Bチーム と Dチーム 7時間目 Aチーム と Dチーム Bチーム と Cチーム
*毎時間,兄弟チームを編成し,相互評価 をし合う。
7 後片付け・整理運動・振り返りをする。
○みんなで協力して準備をさせる。
○事前に学習カードを確認し,自分の力に合った めあてが決められるように支援する。
●積極的に賞賛をし,児童の意欲を高める。
○チームごとに協力させ,素早く安全に準備さ せる。(4チーム)
●資料を参考にさせ,フォーメーションや発表 の仕方を考えさせる。
○既習事項から演技構成のヒントを得られるよ うに支援する。「習得と活用」
○みんな(チーム)で演技をし,楽しみながら 最終的な演技構成をさせるように支援する。
●意欲的なチームを賞賛し,教え合い励まし合 いの雰囲気づくりをしていく。
○毎時間,発表の場をつくることにより,緊張 感を持たせ,意欲の喚起を図る。
○全員で片づけができるように声をかける。
●めあてについての自己評価,相互評価をさせ,
次時の学習に向けて意欲喚起を図る。
○がんばりが顕著だった児童を賞賛する。
○次時の予告をする。
修行タイム
めあて1 今できる技を組み合わせ,より「ダイナミックに美しく」表現しよう。
めあて2 練習の仕方を工夫して,できそうな技に挑戦しよう。
* (5~7時間目)後半段階では,できるようになった技を連続技として高めさせる。
シンクロタイム
めあて3 仲間と息を合わせ,集団マットに挑戦して楽しむ。
まとめ(8時間目)
1 場の設定
2 集合・あいさつ・健康観察・めあての確認 をする。
3 めあて3を確認し,チームごとに仕上げ の練習をする。
4 シンクロマット発表会をする。
・各チーム3分程度
① ( )チーム
② ( )チーム
③ ( )チーム
④ ( )チーム
5 まとめをする。
・技能面,意欲,態度などについて相互評価,
自己評価をする。
○みんなで協力して準備をさせる。
●積極的に賞賛をし,児童の意欲を高める。
○各チームを巡視し,励ましの言葉をたくさん かけ,発表会への意欲を喚起させる。
●お互いの成果について喜び合えるようにさせ,
クラスの絆を深めさせる。
10 本時の指導(6/8時)
(1) 目標
<関心・意欲・態度>
・友達と協力して準備や後片付けをしたり,進んで運動することができる。
<思考・判断>
・自分やチームのめあての達成を目指して,活動の仕方を工夫することができる。
・演技がよりよくなるための適切なアドバイスや補助をすることができる。
<技能>
・できる技をより上手にしたり,できそうな技に挑戦したり,友達とタイミングを合わせて演技したりして 技能を高めることができる。
<安全>
・機械器具の使用を工夫し,安全に運動しようとすることができる。
(2)準備
・マット ・セーフティーマット ・跳び箱 ・ふみきり板 ・ゴムひも ・ラジカセ ・手型足型シート ・学習資料
シンクロタイム
めあて3 仲間と息を合わせ,集団マットに挑戦して楽しむ。
(3)展開
時配 学習内容 ○支援 ●評価 資料等
5
5
10
5
10
1 修行タイムの場を設定する。
2 集合・あいさつ・健康観察・めあての確 をする。
3 ドリル運動をする。(特訓タイム)
4 めあて1,2を確認する。
5 自分のめあてに合った場,方法で練習 する。(修行タイム)
・ジャンプ,回転,バランスの(技の分類表)
中から自分のできる技を組み合わせ,連続 技を磨く。
・自分のめあてに合った場で,技の質を高め たり,新しい技に挑戦したりする。
6 シンクロマットの場を設定する。
・グループごとに協力して準備をする。
7 シンクロマットに挑戦する。
○みんなで協力して素早く安全にマットの準 備をさせる。
○元気にあいさつし,健康状態や服装を確認 する。
○本時の授業の流れを確認させ,自己のめあて 持たせる。
○一つ一つの運動のポイントを意識させるよ う
に声をかける。
○上手にできている児童は,積極的に賞賛し,
意欲喚起を図る。
○うさぎ跳び,大きな前転では,できるだけ 「少ない回数で,より大きく,遠くへ」を 意識させ腰角を大きく開かせるようにする。
○苦手な児童の支援を中心に行う。
○事前に学習カードを確認し,自分の力に合 っためあてが決められるように支援する。
○様々な場を設定し,自分の力に合っためあ てが決められるように支援する。
○つなぎの技を取り入れさせ,なめらかな連続 技ができるように意識させる。
○意欲的なペア・グループを称賛し,教え合い 励まし合いの雰囲気づくりをしていく。
●グループや全体で技のできばえを評価し合 わせる。
●協力して素早く準備しているグループを賞 賛する。
○参考資料を活用させたり,今まで習得した
マット
セーフ ティー マット
踏み切 り板
ゴム紐
手形足 形シー ト
学習 カード
学習 資料 めあて1 今できる技を組み合わせ,より「ダイナミックに美しく」表現しよう。
めあて2 練習の仕方を工夫して,できそうな技に挑戦しよう。
*できるようになった技を連続技として高めさせる。
特訓タイム
① ゆりかご(10回)
② ブリッジ(5秒)
③ 大きなうさぎ跳び(2セット)
④ 大きな前転(2セット)
⑤ かえるの足うち(3セット)
⑥ 補助倒立(3秒静止×2)
⑦ 前転・後転の連続
5
5
(シンクロタイム)
① 技の構成を考える。
② 練習 ⇔ 修正 する。
③ミニ発表会をする。(各チーム2分程度)
Aチーム と Cチーム Bチーム と Dチーム
*兄弟チームで相互評価をし合う。
8 後片付け・整理運動・振り返りをする。
技を取り入れるように声をかけ,難しく考 えすぎないように支援する。
○実際に体を動かしながら,シンクロマットを 完成させていくことを重視させる。
●意欲的な児童(グループ)や協力的な児童(
グループ)を賞賛し,教え合い,励まし合い の雰囲気作りをしていく。
○発表会本番を意識させ,真剣な態度で取り組 ませる。
●兄弟チームでお互いの良い点や修正した方 が
良い点などについて相互評価をさせる。
○全員で片づけができるように声をかける。
●めあてについての自己評価,相互評価をさ せ,
次時の学習に向けて意欲喚起を図る。
●がんばりが顕著だった児童を賞賛する。
○次時の予告をする。
ラジ カセ