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命題 11.1.1 の証明

第 9 章 置換の符号と転倒数 ( よりみち ) 69

12.5 命題 11.1.1 の証明

命題11.1.1は次の定理の特別な場合である(r = 1の場合).

定理 12.5.1. Ar次正方行列,Xs次正方行列とすれば,

A

Os,r X

=|A| · |X|=

A Or,s

X

.

Proof. 一方の等式を示せば,それを転置することで他方も得られる. ここでは右側の等式を示そう. は

じめに, Xが単位行列Esの場合を考える. そこで,Y = [

A Or,s

Es

]

= [aij]およびn= r+sと置く. Yn次正方行列である. 行列式の定義によれば

|Y|= ∑

σSn

sgn(σ)a1σ(1)· · ·a(r)ar+1σ(r+1)· · ·a(n). (12.5.1) ここで,上の総和に現れる各項

sgn(σ)a1σ(1)· · ·a(r)ar+1σ(r+1)· · ·a(n) (12.5.2) について,この値が0でないための必要条件を検討しよう. まず,Or,sの成分に着目すると, 1≤i≤rr+ 1 ≤j≤nならばaij = 0である. よって(1),· · · , σ(r)}の中にr+ 1以上の数が一つでもあれ ば式(12.5.2)の値は0である. したがって,式(12.5.1)の総和におけるσ∈Snの動く範囲は,

(1),· · ·, σ(r)}={1,· · · , r} を満たす部分のみを考えればよい. また,上の条件を満たすσにおいては

(r+ 1),· · ·, σ(n)}={r+ 1,· · ·, n}

となっている. ここでEsの成分に着目すると, もしσ(i) ̸=iを満たすi =r+ 1,· · ·, nがあればY (i, σ(i))-成分はEsの対角成分ではないからa(i) = 0である. つまり式(12.5.2)の値が0にならないた めには,i=r+ 1,· · · , nについてσ(i) =iとなる必要があり,したがってσは次の形に限られる:

σ= (

1 · · · r r+ 1 · · · n k1 · · · kr r+ 1 · · · n

)

, ただしk1,· · ·, krr以下の数による順列.

これはσSrの元とみなせることに他ならない. 以上より,(12.5.1)の総和におけるσの範囲はSr

としてよいから,

A Or,s

E

=|Y|= ∑

σSr

sgn(σ)a1σ(1)· · ·a(r)ar+1,r+1· · ·an,n

= ∑

σSr

sgn(σ)a1σ(1)· · ·a(r)·1· · ·1 =|A|.

さて,次にXが一般のs次正方行列の場合を考えよう. s次正方行列X = [x1,· · · ,xs]たち全体を定 義域とする関数F :Ms(R)R

F(x1,· · ·,xs) :=

A Or,s

X

と定める. すると, 行列式の列に関する多重線形性と歪対称性から, F の多重線形性と歪対称性を導 くことができる. また, 既に示したようにF(E) = |Y| = |A|である. したがって定理12.4.1より F(X) = detX·F(E) =|X| · |A|. 以上により求める等式が示された.

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12.5.2. A1,· · · , Anを正方行列とすると(各々のサイズは異なっていても構わない),

A1

A2

O

. .. An

=|A1| ·

A2

A3

O

. .. An

=· · ·=|A1| · |A2| · · · |An|.

12.6 | AB | = | A | · | B | の証明

n次正方行列AおよびXについて, X = [x1,· · ·,xn]とすればAX = [Ax1,· · ·, Axn]である(例

3.5.1). この事実に注意して次を示そう.

定理 12.6.1. n次正方行列AおよびXについて|AX|=|A| · |X|.

Proof. n次正方行列X= [x1,· · · ,xn]たち全体を定義域とする写像F :Mn(R)RF(x1,· · · ,xn) :=

|AX|と定める. このとき,

F(x1,· · ·,xn) =|A[x1,· · · ,xn]|=|Ax1,· · · , Axn| であるから,F が多重線形性と歪対称性を満たすことは明らかである. 実際,

F(x1,· · ·, rxi,· · ·,xn) =|Ax1,· · ·, A(rxi),· · ·, Axn|=|Ax1,· · · , r(Axi),· · · , Axn|

=r|Ax1,· · ·, Axi,· · ·, Axn|=rF(x1,· · ·,xi,· · ·,xn).

F(x1,· · ·,bi+ci,· · · ,xn) =|Ax1,· · · , A(bi+ci),· · · , Axn|=|Ax1,· · · , Abi+Aci,· · ·, Axn|

=|Ax1,· · · , Abi,· · · , Axn|+|Ax1,· · · , Aci,· · ·, Axn|

=F(x1,· · ·,bi,· · · ,xn) +F(x1,· · · ,ci,· · ·,xn).

また各i < jについて,

F(x1,· · · ,xi−1,xj,xi+1,· · · ,xj−1,xi,xj+1,· · · ,xn)

=|Ax1,· · · , Axi1, Axj, Axi+1,· · · , Axj1, Axi, Axj+1,· · ·, Axn|

=−|Ax1,· · · , Axi1, Axi, Axi+1,· · ·, Axj1, Axj, Axj+1,· · ·, Axn|=−F(x1,· · · ,xn).

したがって定理12.4.1よりF(X) = detX·F(E) =|X| · |AE|=|X| · |A|. 以上により|AX|=|A| · |X| が示された.

次は7.2節でも述べたが念のため再掲しよう.

命題 12.6.2. Aが可逆行列ならば|A| ̸= 0であり,とくに|A1|=|A|1.

Proof. |A| · |A1| = |AA1| = |E| = 1より, |A| ̸= 0. また|A| · |A1| = 1の両辺を|A|で割ると

|A1|=|A|1.

上の命題の逆「|A| ̸= 0ならばAは可逆である」もまた正しい. その証明は次章で与える(定理13.2.3).

13 章 余因子展開とクラメルの公式

行列式の計算例において,サイズが一回り小さい行列式の計算に帰着させる方法を繰り返し用いた. 一 般の行列に対してこの手法を巧みに適用すると余因子展開が得られる. また余因子展開を利用して逆行 列の公式が得られる. とくに2次の場合について

A= [

a b c d ]

とすれば, A1= 1 ad−bc

[

d −b

−c a

]

である.

断りがない限り,本章を通してA= [aij]n次正方行列する.

13.1 余因子展開

定義 13.1.1. n次正方行列A= [aij]の第i行と第j列を取り除いた残りの成分からなる(n−1)次正方 行列をAijと書く. すなわち,

A=









a1j

A

...

B

ai1 · · · aij · · · ain ...

C

anj

D









のとき Aij =





A B C D



.

13.1.2. A=



1 2 3 4 5 6 7 8 9

とすれば,A12= (

4 6 7 9

)

,A22= (

1 3 7 9

)

である.

A= [a1,· · ·,an]とすれば,式(12.4.1)と同様にして,各ajは次のように書ける:

aj =





a1j a2j ... anj





=a1je1+a2je2+· · ·+anjen.

したがって,多重線形性(補題12.3.1)により,|A|は次の和に分解できる:

|A|=|a1,· · · ,aj1, a1je1+a2je2+· · ·+anjen,aj+1,· · · ,an|

=a1j|a1,· · ·,e1,· · ·,an|+a2j|a1,· · ·,e2,· · ·,an|+· · ·+anj|a1,· · · ,en,· · ·,an|. (13.1.1)

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更に,上式のi番目の項を計算すると

aij

a11 · · · 0 · · · a1n

... ... ... ... ... ai1 · · · 1 · · · ain

... ... ... ... ... an1 · · · 0 · · · ann

=aij(1)i1

ai1 · · · 1 · · · ain

a11 · · · 0 · · · a1n ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... an1 · · · 0 · · · ann

(i行を1行へ移動させた)

=aij(1)i1(1)j1

1 ai1 · · · · ain

0 a11 · · · · a1n

... ... ... ... ... ... ... ... ... ... 0 an1 · · · · ann

(j列を1列へ移動させた)

=aij(1)i+j2

1 ai1 · · · ain 0

...

A ij

0

=aij(1)i+j|Aij|.

以上より,式(13.1.1)は次のように書き下される:

|A|=a1j(1)1+j|A1j|+a2j(1)2+j|A2j|+· · ·+anj(1)n+j|Anj|=

n i=1

aij(1)i+j|Aij|.

上の各項に現れる(1)i+j|Aij|A(i, j)-余因子(cofactor)と呼び,この展開式のことをj列に関す る余因子展開(cofactor expansion)という.

練習 13.1.3. j列の代わりにi行に関して同様の展開を行い,次の等式を示せ.

|A|=ai1(1)i+1|Ai1|+ai2(1)i+2|Ai2|+· · ·+ain(1)i+n|Ain|=

n j=1

aij(1)i+j|Aij|. 上式をi行に関する余因子展開という.

成分に0が多く現れる行列式の値を求める際に余因子展開は有効である. 例えば命題11.1.1における 左の等号は1列目に関する余因子展開に,右の等号は1行目に関する余因子展開に等しい.

13.1.4. 次のk次正方行列について,

t 1

t 1

O

. .. . ..

O

t 1 a0 a1 · · · ak2 t+ak1

=tk+ak−1tk1+· · ·+a1t+a0.

Proof. kに関する帰納法で示す. k= 2の場合は次の計算で確かめられる:

t 1 a0 t+a1

=t(t+a1)−a0·(1) =t2+a1t+a0.

サイズがk−1のときに等式が成立すると仮定して,サイズがkの場合を示そう. 1列目に関して左辺を 余因子展開すると,1項に帰納法の仮定が適用できる:

(左辺) =t

t 1 . .. . ..

t 1

a1 · · · ak2 t+ak1

+ (1)k+1a0

1 t 1

. .. ...

t 1

=t(tk1+ak1tk2+· · ·+a2t+a1) + (1)k+1a0·(1)k1= (右辺).

なお,2項の行列式の値は,転置して例11.1.2を適用することで分かる.