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線形変換と多項式

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第 9 章 置換の符号と転倒数 ( よりみち ) 69

21.5 線形変換と多項式

前節においてEnd(U)が多元環の構造を持つこと,すなわち,線形変換たちの間で正方行列と類似の演 算ができることを見た. ここで,写像あるいは行列による演算が複雑化したときに有効な記法を導入し よう.

以下,多元環Mの元A∈ Mについて,AnAn個の積と定める. また,計算に現れる式を簡略に するためA0Mの単位元と定める. とくに線形変換F :U →U について,F0=Iとする.

定義 21.5.1. 実数係数のn次多項式Φ(t) =antn+an−1tn1+· · ·+a1t+a0および線形変換F :U →U

に対して, Φ(t)における変数tF に置き換え,また定数項a0a0Iに置き換えると次のような線形変

換が得られる:

anFn+an1Fn1+· · ·+a1F +a0I.

これを略してΦ(F)と書く. また正方行列Aに対しても同様に, Φ(A)を次の正方行列として定める: anAn+an1An1+· · ·+a1A+a0E.

【補足】この記法はより一般に,多元環の元に対して適用してよい.

上の定義はあくまで形式的に新たな写像Φ(F)および行列Φ(A)を与えているのであって,多項式Φ(t) にFAを代入しているわけではない. 以下では,上の定義に現れた表現「tFに置き換え,また定数 項a0a0Iに置き換える」における後半部分を略し,単に「tFに置き換える」と書くことにする. 例 21.5.2. D:C(R) C(R)D= d

dx と定めれば,y ∈C(R)に関する条件としての次の四つ の式はすべて同値である.

3条件(i)を満たす線形写像を多元環準同型と呼び,更に(ii)も満たすものを単位的準同型(unital homomorphism) 呼ぶのが一般的な定義であるが,本書では単位的でない多元環準同型は扱わないことから上の定義を採用する.

y(k)(x) +ak−1y(k1)(x) +ak−2y(k2)(x) +· · ·+a1y(1)(x) +a0y(0)(x) = 0,

Dk(y) +ak1Dk−1(y) +ak2Dk−2(y) +· · ·+a1D(y) +a0I(y) =0,

(

Dk+ak1Dk1+ak2Dk2+· · ·+a1D+a0I )

(y) =0,

Φ(D)(y) =0 (ただし, Φ(t) :=tn+an1tn1+· · ·+a1t+a0とする).

最後の式に現れたΦ(t),上の常微分方程式の特性多項式と呼ばれる. また,Φ(D)(y) =0を解析学

ではΦ(D)y = 0と略記するのが慣例となっている.

練習 21.5.3 (ケーリー-ハミルトンの定理). A= [

a b c d ]

について, ΦA(t) =t2(a+d)t+ (ad−bc) おくとΦA(A) =Oとなることを確かめよ.

【補足】ΦA(A) =Oを変形することで次のような等式が得られる:

(1) A2= (a+d)A(adbc)E, (2) A(A(a+d)E) =(adbc)E.

(1)において,左辺よりも右辺の計算が容易な場合は,Aの冪を右辺を用いて計算するとよい. (2)において|A| ̸= 0 の場合は, この両辺を1/|A|倍することでad1bc(A(a+d)E)Aの逆行列であることが分かる. このよう

, Φ(A) =Oを満たす多項式Φ(t)を見つけることでAの冪やA1の公式を得ることができる. 一般の正方行列

に関するケーリー-ハミルトンの定理は30章で論ずる.

多項式は, Φ(t) = antn+an1tn1+· · ·+a1t+a0のように展開した形以外にも,一部の項を括弧で くくったり, 因数分解したりと無数の表示を持つ. すると, 多項式を変形してから変数tを線形変換F に置き換えても問題がないかという疑念が浮かぶかもしれない. 例えば, Φ(t) = (t−λ)nと因数分解さ

れる場合,定義21.5.1による線形変換Φ(F) (すなわち展開した式についてtF に置き換えたもの)

(F −λI)nは等しいだろうか. これは(t−λ)n(F−λI)nをそれぞれ二項定理を用いて実際に展開す ることで確かめられるだろう. より一般に,多項式がどのように括弧でくくられて表示されていても,そ の多項式の変数tF に置き換えた写像は定義21.5.1のそれと一致する. この事実を次の練習を通して 確認しよう.

練習 21.5.4. 線形変換F :U →Uおよび多項式Φ,Φ1,Φ2,Ψ,Ψkについて次を示せ. (1) 実数λについて, Φ(t) =λtkΨ(t) = Φ(F) =λFkΨ(F).

解答例: Ψ(t) =∑n

i=0aitiとおけば, Φ(t) =∑n

i=0aiλti+kであるから,

Φ(F) = “多項式anλtn+k+· · ·+a0λtktFに置き換えた写像”

=anλFn+k+· · ·+a0λFk=

n i=0

λFkaiFi =λFk

n i=0

aiFi=λFkΨ(F).

(2) Φ(t) =∑r

k=1Ψk(t) = Φ(F) =∑r

k=1Ψk(F).

解答例: Ψk(t) =∑n

i=0ak,iti (k= 1,· · · , r) とおけば,例3.2.4により Φ(t) =

r k=1

( n

i=0

ak,iti )

=

n i=0

( r

k=1

ak,iti )

=

n i=0

( r

k=1

ak,i

) ti

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となるから, Φ(F) = “多項式

( r

k=1

ak,n )

tn+· · ·+ ( r

k=1

ak,1 )

t+ ( r

k=1

ak,0 )

tF に置き換えた写像”

= ( r

k=1

ak,n

)

Fn+· · ·+ ( r

k=1

ak,1

) F+

( r

k=1

ak,0

) I

=

n i=0

( r

k=1

ak,i )

Fi =

n i=0

( r

k=1

ak,iFi )

=

r k=1

( n

i=0

ak,iFi )

=

r k=1

Ψk(F).

(3) Φ(t) = Φ1(t2(t) = Φ(F) = Φ1(F2(F).

解答例: Φ1(t) = ∑n

i=0aiti とおけば, Φ(t) = ∑n

i=0aitiΦ2(t)である. ここでΨi(t) = aitiΦ2(t) (i= 0,· · · , n) とおけば, (1)よりΨi(F) =aiFiΦ2(F)が成り立つ. また, Φ(t) =∑n

i=0Ψi(t)であ るから(2)よりΦ(F) =∑n

i=0Ψi(F)である. 以上より, Φ(F) =

n i=0

Ψi(F) =

n i=0

aiFiΦ2(F) = ( n

i=0

aiFi )

Φ2(F) = Φ1(F2(F).

【補足】上の練習は, End(U)の元F に関する等式であるが,一般の多元環の元についても同様の事実が成り立つ. 証明も上と全く同じである. とくにMn(R)の元である正方行列Aについても成り立つ.

上の性質を有限回適用することで,多項式Φ(t)の表し方によらず, Φ(t)におけるtFに置き換えた 写像は一致することが分かる. とくにΦ(t) = (t−λ1)n1(t−λ2)n2· · ·(t−λk)nk と因数分解されるとき,

Φ(F) = (F −λ1I)n1(F−λ2I)n2· · ·(F −λkI)nk である.

行列の積演算がそうであったように, 多元環における積演算は一般には可換ではない. しかしながら, 次の二つの形の元は可換になる:

命題 21.5.5. Φ(t)およびΨ(t)を多項式とする. 多元環Mの各元F ∈ MについてΦ(F)とΨ(F)は可 換である. すなわちΦ(F)Ψ(F) = Ψ(F)Φ(F).

Proof. Θ(t) = Φ(t)Ψ(t)とおく. すると練習21.5.4(3)によりΘ(F) = Φ(F)Ψ(F)である. 一方, Θ(t) = Ψ(t)Φ(t)であるからΘ(F) = Ψ(F)Φ(F)でもある. 以上より, Φ(F)Ψ(F) = Θ(F) = Ψ(F)Φ(F).

いまの命題を線形変換に対して適用すれば,

21.5.6. F :U →U を線形変換とし, Φ(t)とΨ(t)を多項式とすれば,

u∈Uについて, Φ(F)Ψ(F)(u) = Ψ(F)Φ(F)(u).

多項式を用いた表示と多元環準同型に関して,次が成り立つ.

命題 21.5.7. S :M → Lを多元環準同型とすれば,各多項式Ψ(t)およびF ∈ Mについて S(Ψ(F)) = Ψ(S(F)).

Proof. Ψ(t) =antn+an1tn1+· · ·+a1t+a0とおく. またMおよびLの単位元をそれぞれIM,IL とおく. Sが多元環準同型であることからS(F2) =S(F F) =S(F)S(F) = S(F)2である. 同様にして S(Fn) =S(F)nが得られ,したがって

S(Ψ(A)) =S(anFn+an1Fn1+· · ·+a1F+a0IM)

=anS(Fn) +an1S(Fn1) +· · ·+a1S(F) +a0S(IM)

=anS(F)n+an1S(F)n1+· · ·+a1S(F) +a0IL= Ψ(S(F)).

21.5.8. m=nとして定理21.3.4で与えたT :Mn(R)End(Rn)について前命題を適用すれば, 項式Ψ(t)およびn次正方行列AについてT(Ψ(A)) = Ψ(T(A)), すなわちTΨ(A)= Ψ(TA)である.

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22 章 線形空間の次元

前章において,線形空間を類別する手段,すなわち線形同型なる概念を与えた. 本章では線形空間が同 型であるかどうかをはかる指標として次元とよばれる量を導入する. これにより,線形空間の完全な分類 を得る.

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