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次元から分かること

Dalam dokumen 線形代数学講義ノート(2022/04/04ver) (Halaman 171-174)

第 9 章 置換の符号と転倒数 ( よりみち ) 69

22.4 次元から分かること

次元を用いて部分空間の分類や,線形単射や線形全射の存在性について考察しよう.

命題 22.4.1. 有限次元線形空間V の部分空間W は有限次元であり, dimW dimV. また,等号成立は W =V のときに限る.

Proof. dimV = nとおく. V における線形独立な最大個数はnであったから, W における線形独立な

最大個数はnを越えることはない. そこでこの数をmとし,線形独立な組w1, . . . ,wm ∈W を取ろう. A=Wについて命題22.3.2(2)を適用すればw1, . . . ,wmW の基底であり, dimW =m≤n= dimV. また, 等号n = mが成立する場合, 命題22.3.3(2)よりw1, . . . ,wmV の基底となり, W = V を得 る.

22.4.2. R3の部分空間W の次元は前命題により3以下であり,次のように分類される.

dimW = 0なる部分空間は{0}のみである.

dimW = 1なる部分空間の基底は一つのベクトルu̸=0からなり, W ={ru|r R}u0 を通る直線に一致する.

dimW = 2なる部分空間は, 基底u1,u2 ∈W を持つ. W ={ru1+su2 |r, s∈R}であり, これu1,u2,0を通る平面に一致する.

dimW = 3なる部分空間は前命題によりW =R3のみに限る.

練習 22.4.3 (発展). (1) t1, . . . , tn+1を相異なる実数とする. 任意の実数r1, . . . , rn+1に対して,p(ti) = ri (i= 1, . . . , n+ 1)を満たすn次多項式p∈R[x]nが存在することを示せ.

解答例: I := {t1, . . . , tn+1} ⊂ Rとおけば, 命題15.2.6よりR[x]n C(I)とみなせる. 写像 p:I Rp(ti) :=ri (i= 1, . . . , n+ 1)と定めればp∈C(I)である. pR[x]nの元でもあるこ とを示せば主張を得る. C(I) =RI Rn+1ゆえdimC(I) =n+1である2. また, dimR[x]n=n+1 であるから命題22.4.1よりC(I) =R[x]nであり,p∈R[x]n.

(2) 上の証明の脚注で触れたfiを多項式で表せ. すなわち,fi(ti) = 1,fi(tj) = 0 (=i)を満たすn次 多項式を求めよ(この答えを通して, (1)で存在を示した多項式pの具体的な式を書き下せることが 分かる).

解答例: i= 1のみ記す.

f1(x) := 1

(t1−t2)(t1−t3)· · ·(t1−tn+1)(x−t2)(x−t3)· · ·(x−tn+1).

線形写像と次元の関係について,まずは次の明らかな事実をおさえておこう:

命題 22.4.4. 有限次元線形空間を定義域とする線形写像の像は有限次元である.

Proof. 像が有限個のベクトルで生成されること(命題20.2.3), および命題22.1.3による. 線形単射や線形全射の存在は,次元の大小によって特徴づけられる.

命題 22.4.5. 有限次元線形空間U, V について次が成り立つ. (1) dimU dimV ならば線形単射f :U →V が存在する. (2) dimU dimV ならば線形全射f :U →V が存在する.

2具体的に次のような基底があることからも分かる: fi :I Rfi(ti) := 1,fi(tj) := 0 (ただしj ̸= i)と定めれば, f1, . . . , fn+1C(I)の基底である. 実際,n+1

i=1 aifi(x) =0とすれば両辺にtiを代入することでai= 0を得るゆえ線形独 立である.また,gC(I)g(x) =n+1

i=1 g(ti)fi(x)と書けるゆえC(I)を生成している.

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Proof. (1): dimU = nとおき, u1, . . . ,unU の基底とする. dimV nより, n個のベクトルから なる線形独立な組v1, . . . ,vn ∈V が取れる. このとき,21.2.5(1)よりf(ui) =viを満たす線形同型 f :U → ⟨v1, . . . ,vnがあり, とくにf は単射である. f の終域をV と解釈し, 線形単射f :U V 得る.

(2): dimV = mおよびdimU = m+k (ただしk 0)とおく. また, v1, . . . ,vmV の基底とし, u1, . . . ,um,um+1, . . . ,um+kU の基底とする. 命題20.1.11により

f(ui) =vi (i= 1, . . . , m), f(um+j) =0V (j = 1, . . . , k)

を満たす線形写像f :U V を取れば, Imf =⟨f(u1), . . . , f(um+k)=v1, . . . ,vm,0V, . . . ,0V =V ゆえfは全射である.

命題 22.4.6. 有限次元線形空間の間の線形写像f :U →V について次が成り立つ.

(1) f が単射ならばdimU dimV. (2) fが全射ならばdimU dimV.

Proof. (1): Uの基底をu1, . . . ,unとすれば命題20.3.6(3)よりf(u1), . . . , f(un)∈V は線形独立である. dimV ,V における線形独立な最大個数に等しいゆえdimV ≥n= dimU.

(2): V の基底をv1, . . . ,vmとすれば, f の全射性よりf(ui) =viを満たすui ∈U (i= 1, . . . , m)が 存在する. 命題20.1.7(3)よりu1, . . . ,umは線形独立である. dimUは,Uにおける線形独立な最大個数 に等しいゆえdimU ≥m= dimV.

上の命題の対偶をとると,命題21.2.7の後に述べたことが得られる. 系 22.4.7. 有限次元線形空間U およびV について次が成り立つ.

(1) dimU >dimV ならば線形単射f :U →V は存在しない. (2) dimU <dimV ならば線形全射f :U →V は存在しない.

単射性や全射性は次元からも判断できる.

練習 22.4.8. 有限次元線形空間U, V の間の線形写像f :U →V について,次を示せ. (1) fは単射である ⇐⇒dimU = dim Imf.

解答例. (): u1,· · ·,unU の基底とすれば, Imf =⟨f(u1),· · ·, f(un)である. f の単射性よf(u1),· · · , f(un)は線形独立であり,したがってこれはImfの基底である. ゆえにdim Imf = n= dimU.

(): f(u1),· · · , f(un)Imfの基底とすれば,fの線形性よりu1,· · ·,unは線形独立である. 定よりdimU = dim Imf =nである. これと命題22.3.3(2)を合わせれば, u1,· · · ,unU の基 底であることが分かる. したがって, 命題21.1.6 よりf :U Imf は全単射である. とくにf は 単射である.

(2) fは全射である ⇐⇒dimV = dim Imf.

解答例. (): fが全射ならばImf =V よりdim Imf = dimV である.

(): Imf ⊂V ゆえW = Imfについて命題22.4.1 を適用すればImf =V. すなわちfは全射 である.

有限集合X上の写像f :X →Xについてfの単射性と全射性は同値であった(命題19.5.1). この類 似として,有限次元線形空間について次が成り立つ:

命題 22.4.9. 有限次元線形空間UV の次元が等しいとき,線形写像f :U →V に関する次の3条件 は同値である:

(1) fは単射である, (2)f は全射である, (3)fは線形同型である. Proof. (1)と(2)の同値性のみを示せば十分である.

(1)(2): fを単射とすれば練習22.4.8(1)よりdimU = dim Imfである. 仮定よりdimU = dimV ゆ えdimV = dim Imf であり,したがって練習22.4.8(2)よりf は全射である.

(2)(1): fを全射とすれば練習22.4.8(2)よりdimV = dim Imfである. 仮定よりdimU = dimV えdimU = dim Imfであり,したがって練習22.4.8(1)よりfは単射である.

U が無限次元の場合,上の(1)(2)の同値性は成り立たない(26.1.5).

命題 22.4.10 (発展). 有限次元線形空間における線形写像T :U →V について次が成り立つ. (1) Tは単射である ⇐⇒ S◦T = idUを満たす線形写像S:V →U が存在する.

(2) Tは全射である ⇐⇒ T ◦S= idV を満たす線形写像S :V →U が存在する.

Proof. (1): (): u1,· · ·,unU の基底とし, vi := T(ui) (i = 1,· · ·, n)とおけば, T の単射性より

v1,· · · ,vnは線形独立な組である(命題20.3.6). そこで,これらにいくつかのベクトルを加えてV の基

v1,· · · ,vmを取る. このとき,

S(vi) =



ui i≤nのとき, 0 i > nのとき

を満たす線形写像S :V U が存在し(命題20.1.11), これが求めるものである. 実際,i= 1,· · ·, n についてS(T(ui)) =S(vi) =uiであり,基底u1,· · ·,unの行き先はS◦T idUにおいて等しい. えにS◦T = idUである(命題20.1.10(2)).

(): S◦T = idUの単射性および命題19.4.2による.

(2): (): v1,· · ·,vmV の基底とすれば, 各i= 1,· · · , mについてT の全射性よりT(ui) =viを 満たすui ∈U が存在する. このときS(vi) =ui (i= 1,· · · , m)を満たす線形写像S :V →U が存在し (命題20.1.11), これが求めるものである. T◦S= idV は上と同様にして示せるゆえ略す.

(): T ◦S= idV の全射性および命題19.4.2による. 系 22.4.11. (m, n)-行列Aについて次が成り立つ.

(1) rankA=n ⇐⇒ BA=Enを満たす(n, m)-行列Bが存在する. (2) rankA=m ⇐⇒ AC =Emを満たす(n, m)-行列Cが存在する. Proof. TA:RnRmについてdim ImTA= rankAに注意する(例22.1.4(2)).

(1): (): 仮定および練習22.4.8(1)よりTAは単射であり, 前命題(1)よりS ◦TA = idRn を満た す線形写像S : Rm Rnが存在する. 定理21.3.4で与えた同型T : Mn,m(R) Hom(Rm,Rn)を用 いてB := T1(S)とすれば. これが求めるものである. 実際, TB = T(B) = T(T1(S)) = Sゆえ, TBA=TB◦TA=S◦TA= idRn. ゆえにBAは単位行列である.

(): T = TA, S = TB として前命題(1)を適用すれば, TAの単射性を得る. 練習22.4.8(1)より dim ImTA= dimRn=n.

(2): (): 仮定および練習22.4.8(2)よりTAは全射であり,前命題(2)よりTA◦S = idRmを満たす線 形写像S :Rm Rnが存在する. 上の同型T を用いてC :=T1(S)とすれば, これが求めるものであ ることは上と同様にして分かる.

(): T = TA, S = TC として前命題(2)を適用すれば, TAの全射性を得る. 練習22.4.8(2)より dim ImTA= dimRm =m.

上の命題におけるBAの左逆行列,CAの右逆行列と呼ぶ. Aが正方行列でない場合, その右逆 行列や左逆行列が存在するならば,それらは無数にある. 上の行列B, Cの具体的な求め方は次の通りで ある. これは標準基底について,命題22.4.10の証明の通りに構成したものである.

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(1) Aの列の数nと階数が等しいからA の各列は線形独立であり, また m nである. ここで k := m n 0, A = [v1,· · · ,vn]とおく. Rm の標準基底をe1,· · · ,em とし, [A|Em] = [v1,· · · ,vn|e1,· · ·,em]の簡約化を[e1,· · · ,en|b1,· · · ,bm]とする. このとき(m, m)-行列Q :=

[b1,· · · ,bm]のn+ 1行目以降を消し去った(n, m)-行列B が求めるものである. その理由は次の 通り:

上の簡約化を言い換えれば,m次可逆行列Xを用いてX[A|Em] = [e1,· · · ,en|b1,· · · ,bm]と表せ る. このときXEm = [b1,· · ·,bm] = Q, つまりX = Qである. またQA =XA = [e1,· · ·,en] より, TQ : Rm Rmv1,· · ·,vne1,· · · ,enに写す. さてe1,· · · ,en RmRnの標準基 底に写す線形写像の一つに, (n, m)-行列P := [En|On,k]によるTP :Rm Rnがある. このとき, B:=P Qとすれば,

BA=P Q[v1,· · ·,vn] = [P Qv1,· · ·, P Qvn] = [Pe1,· · ·, Pen] =En.

このBQn+ 1行目以降を消し去った行列に一致することは,行列の積の各成分を計算すれ ばすぐに分かる. 実際,Q=

[ Qn,m Qk,m

]

とおくと,

P Q= [

En On,k

] [ Qn,m

Qk,m

]

=EnQn,m+On,kQk,m=Qn,m.

【補足】b1,· · ·,bmのうち, e1,· · · ,en⟩ ⊂ Rm に属さないものを順にとって, これをbn1,· · ·,bnk とす れば, [e1,· · ·,en|b1,· · · ,bm]が簡約行列であることから, bnj = en+j (j = 1,· · · , k)である. このと き, X[v1,· · ·,vn|en1,· · · ,enk] = [e1,· · · ,en|bn1,· · ·,bnk] =Emであるから, 線形変換TX =TQは基底 v1,· · ·,vn,en1,· · ·,enkを標準基底e1,· · ·,emに写す. さらにTPは,標準基底をe1,· · · ,en,0,· · ·,0Rn に写す. したがって, S=TP TQ=TB,命題22.4.10の証明で与えたSと同じものである.

(2) 【方法1 i= 1,· · · , mについて連立1次方程式Ax=eiの解の一つを取り,これをui Rn とする(仮定より解は存在する). このとき,C := [u1,· · ·,um]が求める行列である. ここで,連立 1次方程式をn回解く必要があり,これは[A|e1|e2| · · · |en]を簡約化することで同時に計算できる. また,各方程式の解は一つ取ればよいので,任意定数が0のものを取ると計算が楽になる.

【方法2】 実はrankA= ranktAであることが知られている(系27.4.3). そこで, (n, m)-行列tA の左逆行列B(1)の方法で取れば,C:= tBAの右逆行列である. 実際,BtA=Emの両辺の 転置を取れば,AtB =Emを得る.

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