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ベトナムにおける台湾系企業 SYM(三陽工業)の進出プロセス

第 5 章 ホンダベトナムの競合企業の分析 ―台湾系・日系企業の現地化との比較分析を踏まえて

5.1 ベトナムにおける台湾系企業の参入動向と現地化 ―SYM ベトナムを中心に

5.1.1 ベトナムにおける台湾系企業 SYM(三陽工業)の進出プロセス

(1)SYM(三陽工業)の概要

図表5.1 三陽工業二輪車事業の発展プロセスの概要

1954 三陽工業の設立

1962 年 ホンダ技研工業との技術提携による二輪車生産開始 1982 年 二輪車の海外輸出開始

1992 年 ベトナムへの参入

1994 二輪車生産台数500万台突破 1995 年 中国への参入

2000 年 ベトナムに合弁工場設立、中国に 2 工場設立 2002 年 ホンダ技研工業との提携解消

2005 年 イタリア子会社の設立、インドネシアの生産開始の許可、

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2007 年 インドの Mahindra&Mahindra Limited との技術協力 2010 年 ベトナムの VMEP R&D センターの発足

2019 年 二輪車輸出台数40万台超に達す

出所:三陽工業グローバルのホームページ、motorcyclesdata により筆者作成

台湾は世界トップ10 に入る二輪車市場規模であり、2018 年の時点で登録台数1300万台という状 況である。台湾の二輪車市場は 1980 年に入り、飽和状態となった。製品面では日本式のプラスチッ ク・カウリングに包まれた小型スクーターが流行し、その後の台湾の主流製品になった107。現在、

台湾はスクーター王国と言われている。そのうち、三陽工業のスクーターは国内市場ばかりでな く、世界的に知られている。台湾の二輪車産業において三陽、光陽、台湾ヤマハの生産は国内生産 の 90%を占める。

三陽工業は 1954 年に自転車用発電式ライトメーカーとして創業した。現在、同社の主な事業内容 は四輪車と二輪車の生産及び販売である。本節では、三陽工業の二輪車事業のベトナム進出に焦点 を当てて、考察していく。三陽工業(SYM)は 1962 年に日系ホンダ技研工業との技術提携による二 輪車組立を開始した。SYM は優れた性能と高いコストパフォーマンスのスクーターの生産、販売、

輸出の活動を展開している。SYM は現在の時点で約 2300名の従業員がおり、イタリア、ドイツ、中 国に子会社を持ち、台湾、中国、インドネシアとベトナムに生産工場を設立している108。同社はベ ルギー、フランス、イタリア、ナイジェリア、モロッコ、アメリカ、カナダなど90カ国に輸出して おり、2019 年には、40万台以上を輸出している。

(2)SYM ベトナムの進出動向

朝本(2016)によると、台湾政府は 1984 年「自由化、国際化」の地政方針を提示した。その背景 には台湾の輸出志向工業化により自由化と国際化への要請が高まっていたことがあるという。佐藤

(1999)によれば、1988 年頃台湾の二輪車産業は国内販売の伸びが鈍化したため、海外への進出が 必然な戦略であると考えられた。また、佐藤、他(2005)によると、台湾の地場系二輪車企業は 1990 年海外展開に活路を求め、それが企業全体の将来を決定する時代に入っていた。その当時台湾 系二輪車企業では国内市場の縮小による利益率の悪化が問題となっており、SYM 二輪車事業がグロ ーバル化を進める要因となったと考えられる。

図表5.2 SYM ベトナム発展プロセスの概要

1992 年 投資許可(VMEP)

1993 年 生産開始(ドンナイ工場、SKD方式)

2000 年 VMEP がCHINFON 社から SANGYANG社への転換

107 佐藤百合、大原盛樹(2005)『アジアの二輪車産業―地場企業の勃興と産業発展ダイナミズムー』アジア経済研 究所 p.46

108 三陽工業グローバルのホームページ(https://www.sym-global.com/about)2020 年8月 1 日アクセス

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2001 年 エンジン生産工場操業の開始

2002 年 スクーターAttila 開発(ベトナム女性向け製品)

2003 年 熱処理・ギア加工工場設立 2005 年 ASEAN 部品センター設立 2006 年 研究所建設

2010 年 スクーターAttila が高品質ベトナム製賞取得 2013 年 トップ 10有名なブランド

2016 年 ベトナムにて世界知的所有権機関からの有名なブランド賞

2017 年 ベトナム知的所有権機関からの一流ブランド・ベトナムのゴルド製品、ゴルドブランド賞 出所:SYM ベトナムのホームページより筆者作成

台湾系二輪車企業にとって既に日系企業がリードする市場に後発で割り込むことは困難である。

日系企業はアジア市場を中心にグローバル化を進めてきたが、そのうち、二輪車の有望市場である 中国とベトナム市場には遅れて進出した。SYM にとっては中国に次ぐ市場規模を持つベトナム市場 への進出はチャンスであったと考えられる。

SYM は日系企業に比べると、かなり早くベトナム二輪車市場に参入したことになる。SYM ベトナム はVMEP109の二輪車ブランドを持つ現地の合弁会社である。SYM はベトナム二輪車市場に進出する 前、1〜2 年をかけて現地市場の調査を行った。図表5.2 を見ると、SYM はベトナム二輪車市場の潜 在成長性を認め、1992 年ベトナムに参入し、1 年後に SKD 方式で生産を開始した。同社は完成車組 立以外にも 2001 年にエンジン生産を開始し、2001 年にエンジン生産工場を操業し、2003年に熱処 理・ギア加工工場を設立したことが分かる。

SYM ベトナムは現地交通事情や、女性消費者の要望などに対し、スクーターAttilaを開発し、

2002 年に投入した。Attilaは廉価であり、女性が乗りやすく、デザインが女性らしいという強みを 持ち、現地女性消費者に好まれた。SYM ベトナムは、Attilaの投入により、販売台数が上がり、現 地消費者に自社のブランド認知を向上させていた。その後、同社は日系企業の廉価なスクータの発 売のため、Attilaが売れなくなっている。2004 年以降日系ヤマハベトナムに上回られ、市場シェア が第2 位から第 3位となった。

(3)SYM ベトナムの現状と問題点

(ⅰ)現状

SYM は 2000 年台湾二輪車市場において利益率が落ち込んだ。一方、同社は 2003年 SYM ベトナム が好調に転じ、収益が好転した。

109 VMEP の主な事業内容は二輪車の生産・販売、二輪車の部品の生産・販売、電気自転車・二輪車と農業機械の生 産・販売である。

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