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ASEAN におけるホンダ二輪車事業の進出動向

第 4 章 ホンダ二輪車事業のアジア進出と現地化動向の分析 ―先行アジアの経験と資源能力のベトナム

4.2 ASEAN 主要国におけるホンダ二輪車事業の進出動向と現地化戦略の特徴

4.2.1 ASEAN におけるホンダ二輪車事業の進出動向

70 https://www.honda.co.jp/sustainability/report/pdf/2018/Honda-SR-2018-jp-012-022.pdf 2020 年4月 22 日 アクセス

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(1)ASEAN 二輪車事業の概要

二輪車事業の歴史を概観すれば、二輪車事業は 1890 年から 1910 年が勃興期である。1920 年代に アメリカとイギリスが先行し、1930 年代にドイツが追随し、世界市場でライバル関係として対峙し た。第2 次世界大戦後は日本が台頭し、1960 年代に入ると欧、米、日の競争となり、1970 年代以降 は、日本が競争優位を持ち、日本企業同士が世界の市場で競争するという状況が続いた71

日本の二輪車企業は、1985 年のプラザ合意以降、急激な円高に見舞われ、輸出競争力が低下し た。多くの日本企業は輸出先である ASEAN に直接投資を行い、日本と ASEAN との関係が急激に深ま った。投資や貿易など様々な経済分野において、ASEAN における日本の地位は高まった。さらに、

途上国では経済成長と共に中間層が台頭し、潜在的な市場規模が拡大し成長性も高まっている。し かし、途上国は製品や技術、ブランドの認知度、ロイヤルティ、チャネル、アフターサービスなど が未開発であり、消費者の購買経験は圧倒的に少ない(Enderwick、2009)。1990 年に入ると、中 国の二輪車生産台数は急激に増加した。中国の二輪車生産台数は世界の半数に達し、これと共に多 くの中国系二輪車企業が ASEAN 市場に参入した。しかし現時点では中国車のシェアは中国国内を除 くと少なく、世界の二輪車市場において、日本の 4 企業(ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ)が 高品質、良いアフターサービス、車種が多いことなどにより販売、生産シェアをリードしている。

1970 年代に入ると、世界の生産台数は急激な伸びを見せ、1974 年に年産 1000万台の大台を突破 した。その後 1980 年代はやや停滞していたが、1990 年代に入って再び拡大の様相を呈し、1995 年 には 2000万台に到達した72。日本の二輪車産業の中では、ホンダが首位であり、日本国内市場の約 50%、世界市場の33%のシェアを占めている(トラン、他、2007)。

ホンダ二輪車事業は ASEAN 市場に向け生産面、販売面で、急速に発展してきた。中国やASEAN で は中間所得層が台頭し、市場も魅力のある地域が出現してきた。ホンダは、それら新興国に対して先 行参入しリーダー企業となる必要があると考え、ASEAN のタイに最初に進出した73。1964 年、同国に 二輪車の販売拠点としてアジアホンダモーター社を設立し、1967 年には二輪車の生産合弁会社とし てホンダタイを設立、生産を開始した。その後、1969 年にマレーシア、1971 年にインドネシア、

1973年にフィリピンに生産拠点を設立した 。ASEAN諸国は、二輪車の関連産業基盤が外資主導で形 成されており、外資系企業の戦略に大きく依存している(佐藤、他、2006)。1960 年代から、日系 二輪車企業は台湾企業への技術供与を行い、合弁方式で組立生産をスタートしている。ホンダは、

台湾に次いで、ASEANや中南米の市場に進出した(佐藤、他、2005)。

(2)ASEAN 二輪車市場の現状

高橋(1997)によれば、ホンダの二輪車は国内より海外でブランドのイメージが高いと言われて いる。ホンダはグローバルな視野にたち、高効率での現地製品開発、コスト削減、販売網構築など により消費者を満足させることを目指している。本節は、雁行形態論やキャッチアップ理論などの 発展途上国工業化のフレームワークを活用し、ASEAN におけるホンダ二輪車事業の現状と問題点を 中心に考察する。

71 太田原準(2016)「二輪車産業の歴史、発展、日系企業の行方」『JMAGAZINE』日本自動車工業会 p.3

72 片山三男(2003)「日本二輪車産業の現況と歴史的外観」『国民経済雑誌』Vol.188,6号 p.89

73 ファンティテュイチャン(2019)「ASEAN におけるホンダの二輪車事業の製品市場戦略の分析―ベトナム市場を中 心にして」桜美林大学大学院経営学研究科修士論文 p.69

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先進国では移動手段として自動車を見ることが多く、インドネシアやベトナムやタイなど発展途 上国では二輪車を移動手段として見ることが多い。所得水準が上がると共に発展途上国の自動車ニ ーズも拡大しつつあるが、消費者の所得水準と自動車の価格の差が大きく、交通システムも未整備 なため、二輪車が発展途上国の重要な移動手段であると考えられる。

ASEAN の二輪車市場はインドネシア、ベトナム、タイが代表な市場である。図表4.3を見ると、

2009 年から 2018 年にかけて ASEAN 二輪車市場においては、インドネシアの生産台数が第1 位であ り、特に 2011 年と 2014 年には約 700~800万台の非常に高い水準である。ベトナムの生産台数は ASEAN 中第2 位であり、2011 年にはベトナム政府の二輪車市場強化政策を背景にして約 400万台と 最も高い水準となっている。次にタイ、フィリピン、マレーシアの順である。

図表4.3 ASEAN の上位 5カ国の二輪車生産台数(千台)

出所:ベトナム統計局、各国二輪車協会、ASEAN 二輪車協会のデータより筆者作成

タイ二輪車市場の生産と販売の動向は、ベトナム二輪車市場と似ており、フィリピンとマレーシ アの二輪車市場の生産と販売の動向はインドネシア二輪車市場と似ている。2016 年以降フィリピン 二輪車市場は生産台数より販売台数が多い(図表4.3と図表4.4 を参照)。フィリピンの二輪車企 業は生産不足であり、在庫車が不足する場合は輸入車で補うという戦略であると考えられる。

図表4.4 は、2009 年から 2018 年にかけての ASEAN 二輪車市場における上位 5カ国の販売台数の 推移を示したものである。インドネシア二輪車市場の販売台数は、ASEAN 5カ国の中で最大であ る。同国の二輪車市場は生産台数と販売台数がほぼ同じ傾向にある。

ベトナム二輪車市場は需給動向を見れば、生産台数より販売台数は少ない。ベトナムの二輪車企 業は国内市場規模をやや上回る二輪車台数を生産している。しかし、2017 年をピークに、ベトナム の二輪車生産台数は減少している。販売台数の推移と比較すると、2014 年の販売台数は一旦減り、

それから増加している。

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図表4.4 ASEAN の上位 5カ国の二輪車販売台数(千台)

出所:ベトナム統計局、各国二輪車協会、ASEAN 二輪車協会データより筆者作成

Motocycledataによると、2018 年世界二輪車市場の販売台数の上位 7カ国の中には、ASEAN の 4 カ国が入っており、それらはインドネシア(第 3位)、ベトナム(第4 位)、タイ(第6 位)、フ ィリピン(第7 位)である。2018 年現在、ASEAN の二輪車販売シェアは世界の31%を占めており、

ASEAN 市場で競争優位を獲得することは二輪車企業にとって重要である。

日系二輪車企業は ASEAN の二輪車産業に大きな影響を与えている。日本二輪車企業は他の国の二 輪車企業と比べ、資本、技術、販売能力などが圧倒的に強い。特にホンダの二輪車事業は ASEAN 市 場に先行参入し、市場競争を大きくリードしている。

ホンダの二輪車事業は世界の成長市場である中国、インド、ASEAN などの「新興国」に対し、さ らにグローバル経営を加速させていくことが長期経営を持続する道である。ASEAN 二輪車市場は世 界二輪車市場の中で特に大きなシェアを持っており、ホンダ二輪車事業は ASEAN の二輪車市場では 大きなシェアを獲得し、国別にみても生産、販売、輸出などの活動で先行している。

(3)ホンダ二輪車事業の ASEAN 進出プロセス

ホンダの創業者本田宗一郎は、創業当初は、二輪車の開発、生産からスタートした。本田宗一郎 は、戦後日本で最初に独自設計のエンジンを装備した原動付自転車を開発したことで知られてい る。また創業後わずか 4 年目にして、世界一を目指す夢を語り、製品を世界的水準にまで高めるこ と、世界市場で勝利を得ることを全従業員に求めたのである74

74 ホンダのホームページより筆者がまとめた(https://www.honda.co.jp/guide/history-digest/)2019 年 12 月 20 日アクセス

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ホンダの海外展開は、日本からの輸入車から始まった。1959 年から北米、中南米に展開し、ホン ダ二輪車事業の海外への参入は多くの成功があった75。ホンダは現地消費者のニーズや現地の賃金 水準、資材費などを取り込み、海外市場に進出した。ホンダはまずアメリカや欧州市場で先行的に 成功し、その後、ASEAN 市場が地理的にも潜在需要の拡大でも有利なため、輸出から現地生産へ切 り替えていった。ASEAN 市場が大きく伸びるのは 1960 年代後半からであるが、各国の国産化政策の 要請もあり、輸出から現地生産に切り替えていく時期であった(出水、2002)。ホンダは各国の拠 点で生産体制を構築し、各国における販売、生産、部品調達、開発の現地化を重視し、特に生産面 では内製化の向上や現地部品調達率の向上に取り組み、コスト競争力を促進している(天野、他、

2010)。

高橋(1997)によれば、日本企業はグローバル戦略において輸出、現地販売から現地生産、現地 販売へと転換していったという。ホンダも、二輪車市場が拡大する ASEAN において、各国のニーズ に応え、環境・安全性に優れた二輪車の開発や普及を進めると共に環境問題への取り組みや安全運 転普及活動などにも積極的に対応した。

1963年には、ホンダは ASEAN における企業活動の足がかりを築くため、シンガポールに事務所を 設立して市場参入準備を進めた。1964 年 10 月には ASEAN における活動拠点として、タイのバンコ クに、二輪・汎用製品の販売会社、アジア・ホンダ・モーター(ASH)を設立した。1965 年 4 月に は、2 輪車・汎用エンジンの生産拠点としてタイホンダ・マニュファクチャリング(TH)を設立 し、ASEAN における本格的な現地生産を開始した。

1973年には、フィリピンに Honda Philippines Inc.を設立した。マレーシア市場には 1983年 Hicom-Honda Mfg. Malaysia Sdn.Bhd.を設立し、二輪車エンジンの製造を中心に経営がスタート し、2009 年にはBoon Siew Honda Sdn.Bhdを設立し、二輪車製造を開始している。ベトナムには 1996 年 Honda Vietnam Co, Ltd.を設立し、現在3 生産工場がある。2001 年にはインドネシアに P.T. Astra Honda Motorを設立した76

ホンダのサステナビリティレポート(2018)77によれば、自社の重要な課題として、発展途上国 の経済発展への貢献を挙げている。ホンダは発展途上国の二輪車の市場ニーズに応じること以外に も各国の経済発展に貢献するため、ローカルの消費者の要望に対する販売、製品開発を重視した現 地化戦略を推進している。販売体制においては専売店網を構築している。製品開発において現地の 交通事情や消費者の好みなどと合わせ、デザインやエンジンなどを開発している。

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