• Tidak ada hasil yang ditemukan

ベトナムにおける地場系企業の現地市場適応能力構築の評価

第 6 章 ベトナムにおけるホンダ、SYM、ヤマハ、地場系企業の現地市場適応の能力構築

6.4 地場系企業の現地市場適応の能力構築

6.4.3 ベトナムにおける地場系企業の現地市場適応能力構築の評価

部品調達においては、DETECH MOTOR は設立初期に主に中国系部品を採用した。ベトナム市場で は、1990 年代前半、地場系組立企業が少なかったため、地場系サプライヤーも少なかった。DETECH MOTOR は、中国からの輸入部品を中心に完成車を組み立てた。その後、同社は SUFAT と同様な理由 で部品調達現地化率を向上させ、現在の時点で、部品調達現地化率が 100%に達している。地場系 サプライヤーの取引も 6 社あり、SUFAT(3社)より多い(図表6.4)。

開発活動においては、2020 年の市場投入の車種数12、新エンジン累計 15 であるが、外資系企業 に比べると、DETECH MOTOR は研究開発力が弱い。この課題は DETECH MOTORだけではなく、地場系 企業の全体的な問題である。また地場系企業のもデザインやエンジン開発は、外資系の摸倣が多 く、開発力の向上も課題である。

2000 年代前半までベトナム消費者にとって、DETECH MOTOR のブランドの二輪車は好まれた。

DETECH MOTOR は中国車をベースにしているため低価格車であり、SUFAT と同様に、外資系企業の好 まれている二輪車のデザインを模倣しており、低所得層に評価されていた。但し、外資系企業も低 価格車を投入し、低所得層の市場に入ると、DETECH MOTOR の二輪車が中国車バブル期のように売れ なくなっている。

現在でも DETECH MOTOR の二輪車ラインナップから見ると、ホンダベトナムのWave ライン、Super Cubラインやヤマハベトナムの Siriusライン、ピアジオベトナムのVespa ラインなどのデザインと 似ていることが見られ、独自車の投入が課題である。

6.4.3 ベトナムにおける地場系企業の現地市場適応能力構築の評価

(1)4 つの活動と能力構築のまとめ

図表6.5 地場系企業の能力構築とQCD 進化の関係

会社の概要 ・SUFAT: 民営企業、販売会社から組み立て会社への転換、中国部品 KD方式生産→SKD方式生産→

内製化、エンジン開発研究所設立

・DETECH:国営企業、中国部品 SKD方式生産→内製化、

販売 ・専用代理店、併売店

・SUFAT:専用代理店数133 DETECH MOTOR:専用代理店数389 生産 ・多数企業がコア部品の内製化を実施できない

・少数の大手企業の内製化の進度は比較的遅い

・SUFAT: SE-2009エンジンの研究開発 部品

調達

・初期に主にモジュール型で輸入中国部品組立→地場系サプライヤーとの取引

・SUFAT: 地場サプライヤー数:3、部品調達現地化率:100%

・DETECH MOTOR:地場サプライヤー数:6、部品調達現地化率:100%

開発 ・開発力が弱い、外資系企業の製品のデザインの模倣

・SUFAT:デザイン研究開発センター、車種数10、新エンジン累計11

・DETECH MOTOR:車種数12、新エンジン累計15

品質(Q) コスト(C) 顧客ニーズ対応(D)

123

販売 ・なし ・低価格車 ・主に併売店網

・少数大手企業が代理店網の構築 生産 ・コア部品内製化ができない

・少数大手企業がコア部品内製 の実施

・生産能力が低い ・納期時間が長い

部品 調達

・主にモジュール型

・大手企業はCKD方式の採用

・中国輸入部品や地場系 サプライヤーとの取引

・部品工場の建設

・部品交換体制

・部品の品質が悪い 開発 ・品質が悪い

・燃費効率が悪い

・低所得層顧客ターゲッ トの設定

・外資系企業の二輪車を所有したい 消費者向けデザインのコピー車が多

結果

・低い競争優位、ASEANへの輸出

・主に専用販売体制がない

・大手企業の自社専用の販売体制の構築 出所:各資料より筆者作成

ベトナムの地場系企業の市場適応の能力構築を求めると、図表6.5 のようにまとめることができ る。本節は、前節で分析した地場系の SUFAT と DETECH MOTOR の 4 つの活動の分析を通じ、ベトナム における地場系企業の 4 つの活動の特徴及び能力構築の評価を行う。

地場系二輪車企業は、外資系企業、主として中国系企業との技術提携、合弁生産から誕生した企 業が多い。特に 2000 年前後の中国車バブル期に中国車の輸入販売からスタートし、その後国産化政 策に対応して中国部品の KD生産に転換し成長した企業が中心で、ものづくり能力の構築は、中国の モジュール型の組立生産であり、日系、台湾系とは異なる。

また能力構築の水準は、上位 2 社(SUFAT、DETECH MOTOR)では日系企業(ホンダベトナム)に比 べ、遅れている。4 つの活動を数値で比較すると、能力格差は極めて大きい。販売活動において は、日系では専売店方式(ホンダベトナム 801店)対地場系では専用代理店方式(SUFAT 133店、

DETECH MOTOR 389店)である。生産においては、日系の生産能力はホンダベトナムが 83 万台/1 工 場、ヤマハベトナムが 50万台である、地場系の生産能力は SUFAT が 15万台であり、DETECH MOTOR が 20万台である。部品調達においては、日系の地場系取引先数はホンダベトナムが 10 社、ヤマハ ベトナム 6 社である。対地場系の取引先数は SUFAT が3社、DETECH MOTOR が 6 社である。開発にお いては、日系の開発能力はホンダベトナムが 2020 年の車種数28、新エンジン累計 61 であり、ヤマ ハベトナムが 2020 年の車種数18、新エンジン累計35 である。地場系の開発能力は SUFAT が 2020 年の車種数10、新エンジン累計 11 であり、DETECH MOTOR が 2020 年の車種数12、新エンジン累計 15 である。

上記の 2 社は、最上位の企業である。販売面では、専売店と代理店の差や店舗数での格差は大き い。生産では、日系企業は生産能力が年産 50万台を超え、規模の経済性を享受しているが、地場系 は組立会社としての規模はあるが、コア部品を内製化すると収支が難しい。部品調達面では中国部 品や購入部品が多く、自社独自のものづくり能力が構築されていない。開発面では、エンジンの内 製やデザイン開発は、自主的に進められているが、模倣開発の域にとどまっており、開発した機種 数やエンジン累計の格差は大きく、外資系企業と比べると能力構築は進んでいるとは言えない。

(2)能力構築がQCD へ与える効果

124

(ⅰ)品質

地場系企業は外資系企業に比べ、規模が小さく、能力構築も十分出来上がっていない。地場系企 業は中国車バブル期を中心に多数誕生した。また技術提携先は、中国完成車の輸入や中国部品セッ トを使ったモジュール型の完成車組立企業がほとんどである。地場系企業は、(Ⅰ)二輪車販売会 社から完成車企業への転換(Ⅱ)多角化した大手企業の子会社などが中心である。(Ⅱ)では二輪 車販売会社から操業した会社が多い。

(Ⅰ)のタイプは、SUFAT が代表企業であるが、同社のように本格的に生産工場を建設した企業 の事例は少なく、家族規模の会社が多い。(Ⅱ)のタイプは DETECH が代表的企業である。同社は大 手企業の支援の下に発展するが、(Ⅰ)と同じく、技術力・製品開発力の向上や生産工場の設立な どを本格的に行い、二輪車事業を成長させる会社が少ない。従って、(Ⅰ)と(Ⅱ)は 2000 年前後 の中国バブル期以降、資本力や技術力がないため、廃業した会社の方が多かった。

地場系企業は品質が悪い。地場系企業は中国系企業を学び、多くの市販部品、標準部品を購入し モジュール型開発、生産方式により二輪車を生産している。そのため日系企業のように顧客情報を フィードバックし、機能と部品を擦り合わせて改善する PDCA サイクルが働かない。大手企業でも初 期にはエンジン等の内製化を行わず、主なサプライヤーが中国系を中心に、一部地場系からの購入 部品が大部分である。従って、地場系企業の二輪車は主要部品の品質が悪いだけでなく、製品差別 化に向けての新機種開発、エンジン開発への好循環が難しく、品質が悪いと考えられる。

また地場系部品サプライヤーは技術力が弱い。日系企業では、地場系サプライヤーに対する教育 研修を重視しており、メーカー、サプライヤーが連携して能力構築をはかる。一方で地場系企業 は、日系企業のような教育研修も弱く、またサプライヤー側も手作業で加工する家族経営、会社と しても小さな規模の会社が中心である。

(ⅱ)コスト

地場系企業は 2000 年前後の低価格車による販売拡大の戦略が一時的に成功した。地場系企業の製 品は主として中国部品を使ったモジュール型により組み立てられるためコストが非常に安い。地場 系企業の製品は当時のベトナム所得水準が低い国民にマッチし、低価格品として大量に売れた。し かし外資系もホンダベトナムのWaveαの開発に代表されるように低価格製品の投入で対抗し、中国 車バブルは、一時的で終わってしまった。

その後は、日系企業のコスト改善能力は、地場系を圧倒している。その理由は、生産能力の格差 が大きく、地場系企業は規模の経済性を追求する生産規模に達していない。またコストの大部分を 占める部品材料費は、日系企業ではメーカーとサプライヤーが連携して毎年QCD 能力を改善、進化 するが、地場系のモジュール型の取引関係では、一時的には安いコストで調達するが、改善効果が 持続的に働かない。

(ⅲ)デリバリー(顧客ニーズ対応)

地場系企業は、Porter(1986)の戦略を参照すれば、ホンダベトナムのコストリーダーシップ、

ヤマハベトナムの製品差別化に対して、特定の地域、顧客層に絞った集中戦略がとられていると言

Garis besar

Dokumen terkait