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ベトナム二輪車市場における外資系企業の参入動向

第 2 章 ベトナムの二輪車市場の概況 ―ホンダの現地化の対象市場

2.3 ベトナム二輪車市場における外資系企業の参入動向

赤松要の雁行形態論によると、後発国の工業化過程は消費財を中心とした工業品の輸入に始ま り、次に国内生産、そして輸出という経路をたどり成長、発展していくという。ベトナムは、戦時

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期には欧米や日本などの輸入二輪車が主流であった。1990 年以降ベトナムのニーズに応じて外資系 二輪車企業がベトナム市場に参入し、国内生産の時期を迎えた。

台湾系 SYM は 1992 年ベトナム市場に進出した。また、台湾系のキムコは 2004 年ベトナムに二輪 車生産工場を設立した。日系企業は、1995 年スズキ、1996 年ホンダ、1998ヤマハがベトナム二輪 車市場に参入した。2002 年には中国系力帆ベトナムが設立された。イタリア系ピアジオは 2009 年 ベトナムに進出した。これらの企業は、潜在性があるベトナム二輪車市場を重視し、次々に進出 し、生産工場や部品工場を設立した。

キャッチアップ型工業化論によると、「後発が故に、先発工業国が既に開発し使用している様々 な技術や知識の体系を利用できる優位性をもち」、その優位性をいかに活用し、現地化させるか が、後発国の産業、企業の課題となる40。ベトナム二輪車市場は先進国の二輪車の輸入からスター トし、先進国の高度な技術や優秀な経営方式などを導入、後発国の優位を生かして発展し、世界二 輪車市場第4 位の市場規模に成長している。ベトナム二輪車市場は国内ニーズに対し、より高品質 の製品を提供する中で蓄積してきたものづくり能力を生かし、将来の目標としてはグローバル化に 向け、輸出量を上げることを目指している。

Vernon(1966)によれば、発展途上国は先進国で先行開発した技術を導入し、「技術の汎用化」

が進むと、発展途上国でも米国、日本などと同様の生産が可能になる。その際には労働、土地、資 材などコスト上の比較優位が生かせる。産業発展には3つの段階がある41。その諸段階を見ると、

べトナム二輪車産業は現在段階2 と段階3の交差領域に位置している。

段階1 の「新製品の導入期」では、日系や台湾系など外資系二輪車企業からの輸入が進むと共 に、外資系による輸入代替の工業化が徐々に進む段階である。外資の導入はベトナム二輪車市場の 発展ベースであると言われる。

段階2 の「成熟期」では、べトナムの二輪車需要が拡大するに伴い、各二輪車企業は市場競争で 製品開発の強化や部品調達力の向上と共に生産力を上げる。また国内ニーズを上回る生産が実現す る状況となり、生産が需要を上回れば、過剰生産は輸出に回すことも可能となる。

段階3は技術の「標準化期」である。べトナム二輪車市場における日系をはじめ、外資系企業は 競争力を上げるため、販売網の拡大やデザイン開発の強化、部品調達コストの削減を実施してい る。この段階では、現地生産の拡大、現地部品の調達、現地消費者向けデザイン開発は重要な事業 戦略である。例えば、ホンダベトナムは進出初期から現地生産、現地部品調達が進んでいた。同社 は参入 1 年後、生産工場を設立し、現地進出した日系サプライヤーが一体となり、部品調達の現地 化も促進した。巨大な二輪車ニーズを背景にベトナム市場は成長していくが、それと共に外資系企 業は生産・販売能力を向上させており、地場系サプライヤーとも連携し、共同でサプライチェーン (部品調達網)を構築している。

ベトナム二輪車市場は現在の時点で全体的に技術の汎用化が進んでいる。するとベトナムは労 賃、土地代、材料費にコスト上の比較優位を持ち、二輪車市場の競争優位は ASEAN、インドからベ トナムの二輪車企業に移行する可能性もある。具体的にはホンダベトナム(日系)はアジアの中で 最も遅れて参入したが、最も高い競争優位を獲得する可能性がある。但し、ホンダベトナムが輸出 拠点になるかは、外資系企業の本社の方針による。むしろ、ベトナムとしては現地サプライヤーの 部品競争力が進化し、周辺国に対し部品輸出が成長することは大いに期待できる。

40 末廣昭(2000)『キャッチアップ型工業化論』名古屋大学出版会 p.5

41 Vernon R.“Internal Investment and International Trade in the Product Cycle.”The Quarterly Journal of Economics.(1966) p.199

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2.3.1 日系企業の参入

日本はアジアで最初に工業化を実現した。その後、経済発展と労働コストの上昇、円高の進行な ど諸状況で国際競争力が低下し、日本の製造企業は生産工程を次第に労働コストが安い韓国、台 湾、中国、東南アジアなどに移転させた(金山、2019)。二輪車業界における日系企業も各国政府 の工業化政策の要請も加わり、同様に台湾や中国、ASEAN諸国に進出した。1995 年以降日系二輪車 企業はベトナム市場に進出した。スズキは 1995 年ベトナム政府の許可がおり、1996 年にドン・ナ イ(DONG NAI)省に二輪車生産工場を設立した。現在スズキベトナムの生産能力は約 10万である。

スズキベトナムの二輪車は現地で生産される製品以外に他国のスズキから輸入した二輪車も販売し ている42

ホンダは 1996 年ベトナム政府の許可を受け、1997 年ベトナムに工場進出した。ベトナム市場に 投入した Super Dreamが初の二輪車であり、1998 年ヴィン・フック(VINH PHUC)省に第1生産工 場を設立した。ホンダベトナムは二輪車、二輪車部品を生産、販売しており、現在3つの生産工場 を持ち、生産能力が 250万台である。ベトナム二輪車市場では第1位のシェアを獲得している43

ヤマハベトナムは 1998 年ベトナム政府の許可を受け、ハ・ノイ(HA NOI・)首都のソック・ソン

(SOC SON)区に生産工場を設立した。ヤマハベトナムは二輪車、二輪車部品を生産し、販売してお り、2 つの生産工場を持ち、ベトナム市場では第2 位のシェアを獲得している。ヤマハベトナムの 参入動向や現地化戦略などは 5 章で詳しく分析する。

日系企業は 1990 年代、円高の進行のもとで輸出に代わり現地生産化が必要となってきた。また国 内市場の成熟化によるグローバル成長は緊急課題であるが、その他の外部要因として現地政府の

「産業政策」、「現地調達方針」、「需要回復タイミング」の3 点も上げられている44。ベトナム 二輪車市場におけるホンダベトナムを始め、日系企業はベトナム政府のドイモイ政策を背景とした 国際加盟政策と合わせ、現地に参入し、政府の政策に対応しながら、現地化の向上を通じ、現地市 場適応の能力構築を行っている。

2.3.2 台湾系企業の参入

台湾系VMEP は 1992 年にベトナム政府の許可を得て、ベトナムに進出した。当初は台湾の CHINFON 社の資本でVMEP ベトナムが設立され、台湾の SAN YANG 社の技術とデザインを使用した。

1993年VMEP ベトナムはドン・ナイ(DONG NAI)工場で SKD 方式を基に二輪車を組み立てた。2000 年以降VMEP ベトナムはCHINFON 社の所有株を SAN YANG MOTOR VIET NAM(SYM ベトナム)に変更し た。SYM ベトナムはベトナム女性向け廉価なスクーターの投入により成功した。同社は完成車以外 にも二輪車部品を生産、販売している。SYM ベトナムの進出動向や現地化戦略などは 5 章で詳しく 考察する。

また、台湾系キムコは 2004 年ベトナム政府の許可を受け、2015 年ビン・ヅォン(BINH DUONG)

省に生産工場を設立したが、市場シェアは極めて低い。

42 スズキベトナムホームページ(https://suzuki.com.vn/gioi-thieu/viet-nam-suzuki)2019 年 10 月 13 日アクセ

43 ホンダベトナムホームページ(https://www.honda.com.vn/gioi-thieu/gioi-thieu-honda-viet-nam)2019 年 10 月 13 日アクセス

44 土屋勉男、三菱総合研究所アジア市場研究部編著(1999)『日本企業はアジアで成功できるーグローバル経営を 実現する指針』東洋経済新報社 p.59

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2.4 ベトナム二輪車市場における地場系企業の参入動向

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